BLOG & NEWS

2024.04.12

【お知らせ】大学院夏季入試説明会

5月11日(土)13:30 – 16:30 に東京大学大学院学際情報学府の夏季入試説明会が開催されます。
15:30から行われる「各研究室のブース展示と研究紹介」には私と大学院生も参加いたします。
受験希望者はぜひご参加ください!

https://www.iii.u-tokyo.ac.jp/event/20240408

2024.03.01

【突撃!隣のファシリテーター④:山本良太さん】

D2の岩澤直美です。

山内研究室では、博士課程でもファシリテーターの方にたくさんお世話になります。私も、研究発表の前後はもちろん、学会発表や投稿論文、そして博士論文の全体像や進路についても、相談したり頼ったりしながら研究に励んでいます。<ファシリテーター制度とは?

私は昔から「迷惑じゃないかな」と心配してしまい、あまり人に頼ることが上手ではありませんでした。そんな私が、素直な研究の状態や気持ちを共有しながら先輩たちに頼れるようになったのは、ファシリテーター制度と山内研のコミュニティのおかげだと思っています。

今回は、私のファシリテーターである山本良太さんにインタビューをしてみました。

岩澤:山本さん、よろしくお願いします。改めてですが、山本さんの出身と研究内容、山内研に来てくださった背景について、少し教えてください。

山本さん(以下 敬称略):関西大学総合情報学研究科の出身で、博士課程では「新しいコミュニティの創出を通じた学習」について興味を持ち、活動理論に基づく海外での社会貢献活動の分析を行っていました。山内研究室の研究プロジェクトで、反転授業プラットフォームを使った学習促進の研究(論文)に携わる機会を得たタイミングで、ある意味の「修行」だと思って上京しました。今は、大阪教育大学で特任准教授をしています。


 
Q1. ファシリテーターってなんですか?

岩澤:山内研究室の共同研究に複数関わりながら、多くの修士や博士学生のファシリテーターを担当されてきたと思います。山本さんはこの「ファシリテーター」の役割や立ち位置をどのように捉えていますか?

山本:ファシリテーターって、スポーツ観戦でいう「ファン」のような立場で応援することかなって思います。素直に「面白い」とか「うーん」と微妙な反応を示したりとか。でも、結局プレイヤーは自分で練習してプレイをして、前に進んでいく必要があるのですが、ファンの意見も参考にする。さらに、山内研という一種のファンコミュニティの中でみんなでサポートしあっているものかなと思っています。

岩澤:なるほど!確かに、そうですね。ファシリテーターとは1対1でご相談をさせていただく機会は多いですが、それが全てではなく、ゼミのコミュニティの中でお互いをサポートしあう文化を感じます。

山本:みんな研究分野や内容は違うし、自分の経験の範囲内でしか応援できないので、他のサポーターの力も借りているコミュニティの「ピース」の一つとして、自分を位置付けています。


 
Q2. ファシリテーターとして意識してきたことについて

岩澤:山本さんがファシリテーターとして、特に意識していたことはありますか?

山本:RQの設定や質的分析などを進める際、学生が自分の研究におけるレンズの使い方やデータの解釈方法を見つけられるよう支援してきました。「なんでそういう解釈をしたん?」などと問いかけながら、別の解釈の可能性を提示してみたり。悩みながらも独自の視点で研究を進められるようにサポートすることを心がけています。

岩澤:独自の解釈や視点を見つけるのって難しいなと感じます。私のような初心者にとっては、提供された解釈例に固執してしまうこともあると思うんです。山本さんのアイデアに引っ張られすぎないようにするために、意識してる伝え方はありますか?

山本:「この解釈は一例に過ぎない」ということを明確に伝えるために、ある意味その事例のアイデアに"無責任"であることも示すようにしています。「知らんけど」「ほんまにそうなん」と投げかけて、改めて考え直してもらったり。

岩澤:確かに、言ってますね(笑)。私もそんなサポートを受けながら、自分の研究に対する理解が深まったと感じます。ありがとうございます。

山本:新しいアイデアや解釈の種は、対話の中で生まれるものだと思うんです。その対話の中で出た一つの事例を「道具」として、本人なりの新しいものを創っていけるといいなと思ってます。あとは、自分の研究者としての経験を踏まえた感想はかなり正直にはっきりいうようにしています。「めっちゃおもろいやん」と褒めたりとか。

岩澤:確かに。たまに、山本さんに方向性をお伝えした時に褒めてもらうと「あ、研究こっちの方向で間違ってないんだ」と、すごく安心します!「それは、まあ微妙やな」と言われたこともたくさんありますが。

山本:それはほんまに、フェーズや内容に限らず、率直な意見として伝えるようにしてます。研究の軸足やポイントって正解はないけど、これから研究をするという段階では、自分1人で判断するのって難しいから。その研究の価値を一緒に創っていけたらと思ってます。自分もそうされたら嬉しいしね。

岩澤:嬉しいです〜(切実)
 


Q3. どうやって頼ったらいいですか?

岩澤:山内研の環境は、本当に恵まれていると改めて感じさせられます。最近は、私もファシリテーターや、先輩、同期や後輩にもたくさん頼るようになりましたが、それは「自分では乗り越えられない!」という壁にたくさんぶつかるようになったからだと思います。でも、これまでの私のように、どれくらい頼っていいかわからないって思う人も少なくないと思うんです。

山本:もう大人だし、研究者として成長する過程としても、自分から積極的にサポートを求めることも大事だと思います。それに、そもそも大学院にいるような人って、「議論を嫌いなわけがない」と思うんです。研究に関する相談って、その探究の方向性を「一緒に議論する場」だから、それを楽しまない人って山内研にはいないんじゃないかな。

岩澤:確かに!ゼミ前後でなんとなく相談しあってる時間も楽しいですし。でも研究が進まずネガティブになると「議論になるようなリソースを揃えなきゃ相談できない」ってハードル上がってしまうこともあって…。

山本:リソースってなんでもいいと思うんです。たくさんレビューしてきたならそれでもいいし、実践現場があるなら、その時の感じたこととやりたいことを扱ってもいいし。そこから次の探究課題を見つける議論の素材って、みんな十分持ってるんだと自分は思ってます。「ファン」としてのファシリテーターなので、どんな内容や状態でも、対話の中で相手の視点や感情を知れるのって嬉しいですよね。

岩澤:ゼミ中の指摘ばかりに目を向けると自己肯定感が下がりますが、私もゼミコミュニティーを「ファン」として捉えられると、少し乗り越えられる気がします!

山本:大学院で学んでいると、自信がボキボキ折られるじゃないですか。でも、人によって得意なところって違っていて。文章が上手い人もいれば、実践が得意な人もいる、面白い観点で分析をできる人もいるーーその人の「武器」を一緒に見つけていけるのは、ファシリテーターとしても楽しいことかなって思います。

岩澤:本当に「すごい人」に囲まれて落ち込むことばかりですが、私も自分なりの武器を見つけていきたいと思います。

 
 
Q4. コミュニティと学習のおもしろさを教えてください

岩澤:ファシリテーターとしての楽しさをたくさん教えていただきました。最後に、山本さんにとっての「学習」のおもしろさを教えてください。

山本:一見、みんな同じような行為をしているように見えるけど、その実態が実は多様なことにおもしろさを見出しています。同じ組織や集団内に、多様な経験を持っている人が集まった時の「掛け算のパフォーマンス」として発揮できる環境作りに関心を持っています。フィールドワークで見えてくる答えが、自分の現場を作る時の参考になっているように思いますし、論文を通じてそれが他の人の参考にもなってくるといいなと思います。自分の研究は、自分が一番面白いと思いながらやってると思います。

岩澤:それぞれの現場で、文化や歴史もある中で、効果的な介入方法を提案するのは難しいですよね。山本さんは今も新しい現場を作っていくこともあると思いますが、周りに頼ることもありますか?

山本:他の教員や、研究者仲間に相談することはたくさんあります。自分から積極的にサポートを求めながら前に進んでいく必要があるという意味では、院生と同じだと思いますし、それを可能にしてくれるのがコミュニティの魅力だと思います。

岩澤:ありがとうございました。改めて、山内研のファシリテーター制度の足場掛けが重要な役割を果たしていることと、山本さんや周りの人に引き続き頼らせていただけるのだという自信を持てました。引き続き、よろしくお願いいたします。


山内研のsupportiveなコミュニティにもう少し甘えながら、私自身も、その中でできることを返していきたいと思いました。がんばります!

ーー
D2 岩澤直美

2024.02.20

【突撃!隣のファシリテーター③:増田悠紀子さん】

皆さまこんにちは、M1の松谷です。
本記事では前回までのブログシリーズに続き、これまでの1年を共に伴走してくださったファシリテーター、増田悠紀子さんを紹介します。修士課程1年を終えようとしている今、山内研究室に入ってから定期的に相談にのっていただきながら過ごした日々を振り返りつつ書いてみようと思います。


増田悠紀子さんは山内研の現在博士課程3年生に所属しています。増田さんは「デザイン系産学連携プロジェクトの学習環境に関する研究」をテーマにされています。産学連携というと、研究成果や技術を持つ大学などの教育機関と企業が連携し、新たな製品などの開発を行うといった取り組みですが、その中でも、増田さんは武蔵野美術大学でのデザイン系産学連携を対象に研究をされています。
デザイン産学連携は「企業とデザイン系大学によって、製品化やさまざまなデザイン開発の可能性を探求することを目的として取り組まれる産学連携」(菅野、2010)で、学生が主になって制作活動を行う実践的教育機会とされています(増田、2023)。増田さんは、デザイン産学連携プロジェクトにおける参加学生の経験と彼らのクリエイティブ・コンピテンシー(OC)などの能力の獲得に関する研究をされています。

増田悠紀子、伏木田稚子、池田めぐみ、山内祐平:デザイン産学連携プロジェクトにおける学生の経験とクリエイティブ・コンピテンシーの獲得実感に関する研究─グループ、教員、連携先との関わりに着目して、デザイン学研究、69(3)、31–40、2023
増田悠紀子、伏木田稚子、山内祐平:デザイン産学連携プロジェクトでのタイプ別の経験と能力獲得実感との関係、日本デザイン学会研究発表大会概要集、70: 358、2023


まだまだ全ての研究を把握しきることはできていませんが、増田さんのこれまでの研究は、産学連携プロジェクトの実践調査で得たデータをもとに、クリエイティブ・コンピテンシーなどの能力獲得とそれに影響する因子を明らかにするという内容なのではないかと認識しています。


私は高校生がイノベーションワークショップ(グループでアイデア生成をするような)に参加した前後での心理的な変化や、効果に関して、修士研究で行おうとしています。増田さんの産学連携とは、対象や手法は異なるものの、プログラムの内容や目指すものは共通しているところがあるかと思います。共通するところがあるからこそ、産学連携とは異なる点はどこなのかなどといったように、対象とするプログラムならではの特徴を意識するきっかけとなったように感じています。

増田さんからも、研究相談をする際や発表後のフィードバックをいただく際に、そうした視点でのコメントを頂いています。自分が関わってきたプログラムを中心に考えてしまうと、他のプログラムとの差異や、あるいは実は共通しているという点が見えにくくなってしまいます。特に私は対象とするイノベーションワークショップに高校時代から関わっていたために、かなりバイアスが掛かってしまっているのではないかということに、山内研に入ってから気づくことができたように思います。近い領域だからこそ得られる違った視点もあるのだなと感じました。

また、増田さんとの定期的な研究相談では、近い分野でどのような実践や研究がなされているかといったお話を伺う機会もあり、研究としてどのように行っていくのかということを知ることにもつながっているように思います。1人で進めていたら迷って前に進めない場面においても、自身のこれまでの経験を踏まえて、研究を前に進めるための方針や、やるべきことに対するアドバイスを頂けることは、とても力になります。

まだまだ修士の研究では迷うことばかりで、どのような方針で進めていけばいいのか立ち止まってしまうことも多いですが、ファシリテーターとの相談から少しでも多くのことを学んで行きたいと思います。まだまだ山内研には様々なバックグラウンドを持ったファシリテーターがいますので、以降のブログもお楽しみにしてください!

Reference
菅野洋介:中小企業によるデザイン系大学との連携 : 新潟県長岡地域を事例として , デザイン学研究 , 56(6), 93–10 2, 2010
増田悠紀子, 伏木田稚子, 山内祐平:デザイン産学連携プロジェクトでのタイプ別の経験と能力獲得実感との関係,日本デザイン学会研究発表大会概要集,70: 358,2023

2024.02.04

【突撃!隣のファシリテーター②:池田めぐみさん】

皆さまこんにちは、M2の田中です。
本記事では前回までのブログシリーズに続き、田中の修士課程2年間を共に伴走してくださったファシリテーター、池田めぐみさんについて紹介します。
修士課程の大半を終えた今(修論審査の結果はまだ出ていませんが…)、修士課程の間定期的に相談にのっていただいた日々を振り返りつつ書いてみようと思います。

池田めぐみさんは山内研OGで、現在は東京大学 社会科学研究所に所属されています。
現在の池田さんの研究は、主に働く人のレジリエンスや学びに関するものです。
「レジリエンス」とは、「環境の変化に適応し、ネガティブな仕事状況に対処する個人の能力(NOE et al. 1990)」とのことで、このレジリエンスが及ぼす効果や要因を研究されています。
池田さんが山内研にいらっしゃった際は、修論では大学生のクラブ・サークル活動、博論では大学生の正課外プロジェクトを対象に、それぞれの活動における学生の取り組みがキャリアレジリエンスの獲得実感に与える影響について検討するという研究をされていました。
- 池田めぐみ, 伏木田稚子, & 山内祐平. (2018). 大学生のクラブ・サークル活動への取り組みがキャリアレジリエンスに与える影響. 日本教育工学会論文誌, 42(1), 1-14.
- 池田めぐみ, 伏木田稚子, & 山内祐平. (2019). 大学生の準正課活動への取り組みがキャリアレジリエンスに与える影響 他者からの支援や学生の関与を手掛かりに. 日本教育工学会論文誌, 43(1), 1-11.
博士号取得後から現在にかけては、レジリエンスを引き続き主な対象としつつ、対象は職場における若年労働者の能力向上を扱う研究などを行われているようです。
- 池田めぐみ, 池尻良平, 鈴木智之, 城戸楓, 土屋裕介, 今井良, & 山内祐平. (2020). 若年労働者のジョブ・クラフティングと職場における能力向上. 日本教育工学会論文誌, 44(2), 203-212.
- 池田めぐみ, 田中聡, 池尻良平, 城戸楓, 鈴木智之, 土屋裕介, ... & 山内祐平. (2022). チャレンジストレッサーとヒンドランスストレッサーが 若年労働者の業務能力向上と情緒的消耗感に与える影響: レジリエンスの媒介効果に着目して. 経営行動科学, 33(3), 143-156.

田中が概観する限り、池田さんのこれまでの研究は、調査で得たデータをもとに、着目する能力の獲得・向上に影響する因子を明らかにするというスタイルのものが多いかと思われます。
対して田中が修士課程で行った研究は、大学生のライティングを支援するシステム開発研究です。
なので、池田さんと私は、広い意味での人間の学習を扱うという基底は共通しているとはいえ、研究の対象も手法も、結構違うタイプと言えるのではないかなと思います。
山内研のファシリテーターと院生の組み合わせのバリエーションはいろいろあると思いますが、研究内容的に近しい人同士になるケースもあれば、こういうケースもあります。

今振り返ると、私の場合はこの組み合わせが大変ありがたかったと感じています。
池田さんは分野が遠いからこそ、研究の中身や詳細に入り込みすぎずに、「どういう研究として仕上げるのか」というメタい視点からいつもコメントをしてくださいました。
というのも、私がレビューや開発をしていると、今していることに入り込みがちな性分であったので、池田さんとの相談の度に、「そういえば私、2年で修士論文としてまとめないといけないんでした」「そういえば私、開発研究をやりたいんでした」みたいな気づきをたくさんいただきました。
私のやりたいことは尊重しつつも、研究として成り立たなさそうだったり、無謀だったりするようなことを私が言い出したときはちゃんと諭してくださる池田さんがファシリテーターだったおかげで、修士課程は安心感を持って精一杯研究に打ち込めたと思います。

また、池田さんとの定期的な研究相談のおかげで、「分野は違うけど一番自分の研究の話を聞いてもらっているこの人に、面白さや意義が伝わるよう研究を説明できないといけない」という力が、常に自分にやんわりと作用していたように思います。
もちろん、他の山内研メンバーも基本的に研究分野はまちまちなので、山内研にいる以上、常にそういう力場の中に身を置くことになる運命なのですが、
他のゼミメンバー以上に継続して自分の研究の話を聞いてくださるファシリテーターがいてくださることで、「まずは一番研究の話を聞いてくれているこの人に伝えられなきゃ」と、説明の努力を絶やさないよういられたように思います。

一人で入り込んで悩む時間も大事にしたいと思う私ですが、こういう期間はのばそうと思えばいくらでものばせてしまうので、2週間〜1ヶ月おきくらいにファシリテーターとの相談やゼミ発表という強制自己開示イベントが発生する山内研の制度は、研究初心者の自分が〆切までに修士論文を書く上でありがたいものだったなと思います。
他の山内研メンバーのファシリテーターや関わり方については、以降のブログシリーズでも明らかになると思います。お楽しみに!

NOE, R.A. and NOE, A.W. and BACHHUBER, J.A. (1990) An investigation of the correlates of career motivation. Journal of Vocational Behavior, 37(3):340–356

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