BLOG & NEWS

2012.09.26

【お知らせ】スマートテレビが変える家庭学習


2012年度第3回BEAT公開研究会
「スマートテレビが変える家庭学習」開催予告

BEAT(東京大学情報学環ベネッセ先端教育技術学講座)では、
2012年度第3回 BEAT Seminar「スマートテレビが変える家庭学習」を
12月1日(土)に開催致します。

放送とインターネットを連携させた新たなサービスである「スマートテレビ
(Smart TV)」が、注目されてきています。これまでのテレビは、放送局から
視聴者への一方向的なコンテンツの提供が主流でしたが、スマートテレビの
登場により、ユーザー参加型の利用が加速されると思われます。家庭用のテレビが
インタラクティブになってインターネットにつながることで、家庭での学習は
どのように変化していくのでしょうか。

今回のBEATセミナーでは、神部恭久氏((株)NHKエンタープライズ・事業本部
企画開発センター・事業開発/エグゼクティブ・プロデューサー)に、スマート
テレビに対応したコンテンツのあり方についてお話いただきます。
また、講演2(登壇者調整中)では、スマートテレビのプラットフォームの概要や
今後の展開についてお話しいただき、スマートテレビが変える家庭学習環境に
ついて議論を深めたいと思います。

日時:2012年12月1日(土)14:00〜17:00

場所:東京大学 本郷キャンパス 情報学環・福武ホール(赤門横)
福武ラーニングシアター(B2F)
アクセスマップ>> http://www.beatiii.jp/seminar/seminar-map51.pdf

内容:
14:00-14:10
0. 趣旨説明
山内祐平(東京大学・大学院情報学環/准教授)

14:10-14:50
1.講演1「新しいメディア経験としての『スマートテレビ』(仮)」
神部恭久((株)NHKエンタープライズ・事業本部・企画開発センター・事業開発/
エグゼクティブ・プロデューサー)

14:50-15:30
2.講演2(登壇者調整中)

15:40-16:00
3.参加者によるグループディスカッション

16:00-17:00
4.パネルディスカッション「スマートテレビが変える家庭学習」
司会:
山内祐平
パネリスト:
中谷友紀((株)ベネッセコーポレーション・グローバル教育事業部・事業開発
セクション/課長)
神部恭久
*講演2の登壇者(調整中)

定員:180名(定員になり次第締切りますので、お早めにお申し込みください)
参加費:無料
懇親会:セミナー終了後1F UT Cafeにて 参加希望者(3,000円)

お申込みはこちら
↓↓↓↓↓↓↓↓
http://www.beatiii.jp/seminar/index.html

2012.09.26

【研究に役立つウェブサイト】造形ワークショップ関連サイト

こんにちは。
8月から始まりました、研究に役立つウェブサイトシリーズ。
第7回目は、M1の吉川久美子が担当させていただきます。

私の研究対象は"造形ワークショップ"です。
今回は、私が造形ワークショップの情報収集等の際に参照しているサイトをご紹介させていただきます。



1.アーティストこども
http://artists-children.net/

トヨタ自動車株式会社とAISプランニングにより運営されています。
子ども向けアートイベントの情報や、学校などでアーティストにより行われる
ワークショップの全国各地の情報を提供してくれています。

こちらのサイトの良いところは、イベントの情報掲載だけでなく、①こども向けワークショップなどを開催したことのある国内外の団体(コーディネータ一)、アーティストの一覧リストがあること、②そうした経験者(教師、アーティスト、コーディネータ)の経験談を掲載してくれているところにあると思います。メールマガジンも配信してくれており、私も読んでいます。

「アーティストに学校に来てワークショップを行って欲しい」、「全国でどのような活動が行われているのか知りたい」という方にオススメです。


2.武蔵野美術大学「造形ファイル」
http://zokeifile.musabi.ac.jp/

武蔵野美術大学通信教育課程の学生の補助教材として開発されたようです。
テキストと動画、写真により、素材、道具、技法に関する知識や用語などを
わかりやすく解説してくれています。PDFとして出力することも可能です。

こちらのサイトの良いところは、①動画で制作技法や道具の使い方を教えてくれる、②素材の歴史が解る、③例えば日本画を描きたいと思った時に、どのような用具を揃えればいいのかが解るところにあると思います。ケント紙に鉛筆で描いたらこんな表情になるという作例も掲載されているのもおもしろいかと思います。

「自分で何か制作をはじめたい」、「造形ワークショップに新しい技法を取り入れたい」、「参加者に素材や道具の説明をどうしようか悩む」という方にオススメです。


3.「ネットTAM」
http://www.nettam.jp/

トヨタ自動車株式会社と企業メセナ協議会により運営されている
アートマネジメント(アートと法律、助成金に関する情報など)に関する総合情報サイトです。
先ほどご紹介した子ども向けの情報に特化した「アーティストこども」より、
さらに幅広くアートイベント等の情報を検索することができます。

こちらのサイトの良いところは、①アートマネジメントを学びたいと思った際の関連サイトや書籍を紹介してくれていること、②芸術分野の求人情報を提供してくれていることころにあると思います。

「芸術文化活動の支援・運営に関する情報を知りたい」、「実際にアルバイトなどで関われる現場を探したい」などという方にオススメです。


以上3つのサイトを簡単にご紹介させていただきましたが、
まだまだ私自身、研究に役立つウェブサイトを見つけている最中です。

今後、さまざまなサイトと出会いながら、研究の刺激やアイディアをもらいつつ、
日々研究に取り組んでいきたいと思っています。


吉川久美子

2012.09.20

【研究に役立つウェブサイト】 大学生の実態、ICT教育を知る

こんにちは、M1の梶浦美咲です。
先日、長崎で開催された日本教育工学会に参加してきました。
沢山の研究発表を聞けたのはもちろん、多くの研究者の方々と知り合うことができ、有意義な時間を過ごせました。学会に参加し、情報収集するのも大切だと思います。

さて、M2の方々のお役立ちウェブサイト紹介が終わりましたので、続く第6回目から3回分はM1が担当させて頂きます。

私は現在「初年次大学生の学習スキルを支援するシステムの開発研究」に取り組んでいます。そこで、研究の対象としたい初年次大学生の現状を見ようと思い、先日大妻女子大学の学生にインタビューに行って来ました。

現場の声を聞きに行くことも大切ですが、ベネッセが実施している大学生を対象とした調査の結果も大学生の現状を知る上で非常に役立ちます。

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1.ベネッセ教育研究開発センター「大学データブック2012」
http://benesse.jp/berd/center/open/report/dai_databook/2012/index.html

実際の大学生の生活や学習時間、就職活動等、現代の大学生像を浮き彫りにしています。大学生を対象とした研究をしない方でも、大学関係者であればデータを眺めているだけでも面白いかと思います。
その他ベネッセ教育研究開発センターでは大学生に限らず様々な調査・研究データを一般公開しています。学習者の実態を把握する上で参考になるのではないでしょうか。
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現状の大学生を知ることも大切ですが、権威のある行政機関が発信する情報も重要です。

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2.文部科学省
http://www.mext.go.jp/

言わずと知れた文科省のウェブサイトですが、日本の教育における現状や問題点、方向性などを知ることができるという点で重要なサイトです。
特に私が現在着目しているページがここ(「予測困難な時代において生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ」(審議まとめ) )です。
現代の大学生において、学修時間が不足していることが問題視されており、授業の事前準備、授業後の展開等の主体的な学びの重要性から、質を伴った学修時間の確保を重要視していることが分かります。
***

また、私はICTを活用した教育にも関心があります。
ICT教育の最新情報を発信しているサイトは沢山存在するのですが、その中でも私のお気に入りは「リセマム」というサイトです。

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3.リセマム
http://resemom.jp/

教育ICTに関することのみならず教育や生活に関するニュースを幅広く発信しているサイトです。
電子黒板やタブレットPCの普及状況等初等中等教育に関するニュースも豊富ですし、高等教育分野においても、eラーニングやオンデマンド授業等、様々な情報が提供されています。「アプリ」という項目もあるので、教育系アプリ開発をする方は、このサイトで最新の学習アプリ情報を得ることもできます。
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その他、小中学校におけるデジタル教科書・教材の普及にご興味のある方は、DiTT(デジタル教科書教材協議会)のページをチェックすると良いかと思います。

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4.SocialLearning.jp
http://sociallearning.jp/

このサイトでは、海外のソーシャルラーニングに関する記事を邦訳して簡潔に紹介してくれています。
海外の大学に関する記事も多く取り上げられています。海外のICTを活用した教育動向に関心のある方はこちらのサイトも確認すると良いのではないでしょうか。
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最後におまけです。
私は現在Androidアプリ開発の勉強をしているのですが、プログラミングができない方でも容易にAndroidアプリが開発できてしまうサービスが存在するので紹介しておきます。

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5.MIT App Inventor
http://appinventor.mit.edu/

マサチューセッツ工科大学(MIT)が提供しているコーディング不要のAndroidアプリ開発ツールです。
本来はプログラムの作り方の基礎を学習するためのツールなのですが、部品を組み合わせていくだけで誰でも手軽にAndroidアプリが作れるようになる、ということで関連書まで出ているようです。
***

以上で私のウェブサイト紹介は終わらせて頂きます。
上記以外にも、M2の早川さんも記事に書いていましたが、Twitter等のSNSを利用して情報収集するのも良いかと思います。

まだまだ私の知らない有益なサイトが沢山ありそうなので、今後も情報収集していこうと思います。

梶浦美咲

2012.09.19

【エッセイ】物語の落とし穴

Harvard Business Reviewのブログで面白い記事を見つけました。

Y世代(現在23歳から37歳)の標語「好きなことをしよう (follow your passion)」の落とし穴:好きになったり楽しさを感じられるまでには時間がかかり、仕事を選ぶ基準としては機能しない

http://blogs.hbr.org/cs/2012/09/solving_gen_ys_passion_problem.html

世代論の妥当性はともかくとしても、「意識が高い」学生と話していると情熱がなければならないという強迫観念を持っているのではないかと感じることはあります。

この記事で面白いのは、後半にスティーブ・ジョブスについて触れているところです。ジョブスは有名なスタンフォード大学でのスピーチで仕事に情熱を持つことの重要性を訴えていますが、伝記が示すようにジョブスの情熱の対象は東洋の神秘主義など様々に移り変わっています。現実に起こったことは複雑で、単純な「お話」に還元できないものですが、ジョブスをカリスマとしてあおぐY世代がこのスピーチに影響されている可能性はあるかもしれません。

スピーチなどの「物語」は人間に不可欠なコミュニケーション様式であり、出来事の意味を人に語り共有することは価値あることです。ただし、自分の人生に予定枠として「物語」をあてはめることの危険性については意識した方がよいと思います。

TEDなどのプラットフォームによって、物語は流通するようになりました。それに刺激を受けることはよいことですが、物語として単純化された「過去の」情熱を、今から始まる「未来の」選択の前提にすると、かえって可能性を狭めてしまうのではないでしょうか。

今の自分が物語に出てくる人のようでなくても、あせることなく目の前にある現実の中からよりよい選択を積み重ねていけば、振り返ったときにそこに物語ができているかもしれません。

物語の「予定枠化」は若い人たちだけのことではありません。時代が激しく移り変わる中で、自分を明治維新の英雄になぞらえる中高年もたくさんいます。誰に迷惑をかけているわけでもないのですが、「自分は坂本龍馬のように生きるのだから○○しなければいけないんだ」というような話を聞くと、「そういう枠を捨てて考えたら違う未来が待っているかもしれないのに」と残念に感じることがあります。

物語から学びながら、物語にしばられない。ーそういう生き方は意外に難しいのかもしれません。

山内 祐平

2012.09.13

【研究に役立つウェブサイト】特別支援教育の動向を読む

みなさまこんにちは。M2の山田小百合です。
【研究に役立つウェブサイト】第5回目を担当させていただきます。

...ということで、何を紹介したらいいかなぁと考えていたのですが...
最近、「特別支援教育(or インクルーシブ教育)に関心があります!」という方(学生さんも社会人の方も)と、ユニバーサルデザイン(orインクルーシブデザイン)に関心のあるデザイナーさん、クリエイターさんとお目にかかる機会が増えました。
これまでは「ニッチな領域」なんて言われていたように思いますが、多くの人の関心の1つになってきているように感じています。

個人的関心に留まるだけでなく、社会的にも実は大きな動きもありました。
先日、厚労省は、民間企業の障害者雇用率を2.0%とすることなどの方針について発表しましたし、
文科省は、現在障害を持つ子供の通学先が「原則として特別支援学校」と定められている法令を改正し、普通の小中学校に通学しやすくする方針を固めた、というニュースもありました。

現在日本は障害者権利条約の批准に向け、いろいろな現場で地道に改革を行なっている傾向を見ると、これからますます注目される分野ですし、この領域はとてもおもしろいので、全く知らない人、ちょっとだけ興味ある人にも、もっと知ってもらいたいなと思っています。

というわけで、この分野にほぼ素人だった私が研究を始めて1年半たって、この領域の動向をチェックする際にお世話になっているサイトをご紹介しますね。

 ▼

まず、特別支援教育といえば、特別支援教育総合研究所(通称:特総研)が有名なのではないでしょうか。

■独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所
http://www.nise.go.jp/cms/
特別支援教育を専攻していたり、専門の方にとっては当たり前かもしれませんね。
知らない方もいらっしゃると思うのですが、研究や報告書などが充実しているので、最近どんなことがされているか、一つの目安として参考にして良いと思います。
ちなみに私は特総研のメールマガジンを拝読しています。


■発達障害ニュース
http://sogamoni.blogspot.jp/
こちらはブログですが、特別支援教育や障害者福などに関するニュースをいち早くお伝えしてくれるブログです。
新聞社のニュースだけでなく、網羅しているメディアは幅広いです。
また、関東だけでなく、地方のニュースも取り上げてくださるので、日本全国の動向が把握できます。


■Disability Scope
http://www.disabilityscoop.com
お次は海外のサイトをご紹介します。
ここは障害者福祉、特別支援教育に関するニュースを提供しています。
障害種別やジャンルにわけられてニュースをチェックできるのがポイントです。
情報の質としても、Education WeekやThe Washington Postなどとも連携しているようで、まさに世界の動向をチェックできます。

Facebookページもあり、私はこちらでもチェックしています。
http://www.facebook.com/disabilityscoop


■Inclusive Schools Network (ISN)
http://inclusiveschools.org/
続けて海外のサイトをご紹介。
こちらは、世界中でインクルーシブ教育に注目している専門家、ご家庭、学校、その他組織やコミュニティ向けのサイトです。世界の教育のリソースを共有したり、ネットワークとして機能しています。
とにかくインクルーシブ教育に関するリソースが豊富!
また、このネットワークに加盟している団体はとっても多く、たくさんご紹介されていることもあり、海外での教育実践現場の実態や、そもそもどんな団体があるのか、知ることができました。


■イソムラ式
http://isoamu.exblog.jp/
株式会社グラディエ代表取締役 磯村歩さんのブログです。
ユニバーサルデザイン、サスティナブルデザイン、建築、福祉、介護などを扱っておりとっても充実しています。
インクルーシブデザインなどのお話も時々扱っており、拝読させていただいております。
ワークショップもよく開催されているようで、いつかおじゃましたいなぁと思っています。
磯村さんにもぜひ一度お会いしてみたいですね。


というわけで、5つのサイトをご紹介しました。
その他、Facebookでは海外のNPOのFacebookページなどもこっそりチェックしたりしています。
もし面白そうなサイト、団体等ありましたら、ぜひぜひ教えて下さい!

山田小百合

2012.09.12

【10年後の教室】国境を越える家庭教師―「グローバルラーニング」

日経 教育とICTオンラインのブログ連載「10年後の教室」第10回記事が公開されました。
国境を越える家庭教師――「グローバルラーニング」
外国語などを中心に進む同期型学習

http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20120911/1062702/

ぜひお読み下さい。

山内 祐平

2012.09.09

【研究に役立つウェブサイト】My Recommend Websites

みなさま、ごきげんよう。修士2年の早川克美です.

空も高く感じられるようになり,すっかり秋めいてまいりましたね.
例年であれば...食欲の秋・芸術の秋・ファッションの秋を満喫したいところですが,修士2年の私達にとっては,残り僅かと迫った修士論文執筆へのプレッシャーと闘う「ひたすら研究の秋!」でございます.
余談ですが,多方面の方々にご協力やアドバイスをいただくことの時期,スケジュール通りに動ける自らの環境を整えることが必須ですから,何より大切なのは健康管理ということになります.例年,秋にはインフルエンザの予防接種を受けたり(笑),日常の健康管理に気を配ることが大真面目に研究室で話し合われていたりします.
私自身,見た目に反比例して虚弱体質なので,この夏休みは小学生のような早寝早起きを心がけました.

さて,この時期の私たちは,研究に向けての学びに一定の目処をつけて,研究方法を選択し,様々な現場に赴いて積極的に人々と関わる実証・実践的な学び〜研究の段階に移っています.今回のブログテーマ「研究に役立つウェブサイト」シリーズは,こうしたプロセスの中で,興味を持った対象や研究領域を調べるためのメンバーそれぞれのレコメンドです.

いつにもまして前置きが長くなりましたので,「研究に役立つウェブサイト」ご紹介させていただきます.

私の研究対象は,「ラーニング・コモンズにおける大学生の学習実態」を調査研究することです.空間と人間との相互作用について,「学習」という目的活動に着目して実態調査をもとに考察しようとしています.
先行研究は,教育工学・建築学・認知科学・環境心理学・図書館情報学・社会学......と多岐にわたっているので,以下の様々なウェブサイトを並行して検索活用しています.

1.スタートは「日本の論文を探すArticle CiNii 」
http://ci.nii.ac.jp/
ご存知,文字通り国内の論文を検索する学術情報ナビゲーターです.検索ワードをあれこれ悩み操りつつ,徐々にターゲットを絞り込んでいっています.

2.認知科学会・学会誌「認知科学」
http://www.jcss.gr.jp/kikanshi.html
ここでは「認知科学」各号の目次と研究論文を公開しています。
電子アーカイブはJ-Stage https://www.jstage.jst.go.jp/browse/jcss/-char/ja/ で公開されており,1994年の創刊号から2011年刊行号まですべて見ることができます.

3.海外論文の検索「SciVerse」
http://www.hub.sciverse.com/action/home
こちらは同期の呉さんも紹介されていましたが,http://www.sciencedirect.com/ もここに含まれています.登録することで,自分のライブラリに検索した結果を保存,システムからレコメンドが得られ,まだまだ使いこなせていませんが,他の研究者の興味の動向なども知ることができたり多様な機能が用意されています.
ここではラーニング・コモンズの「activities」「education」「behavior」に関する「investigating」「research/researching」をキーワードに検索しています.
留学生の呉さんは,PBL(プロジェクト学習)を支えるような座席レイアウトの研究をされていて,海外論文については強力なアドバイスをいただいていて感謝です.

その他のweb上での情報収集は,毎朝,我らの山内先生がTwitterでつぶやかれる「先生の目で収集された情報・News」が大変ありがたく,それをきっかけにしばしネットサーフィンをしては視野を広げたり,知識を深めたりしています.
山内先生のTwitterアカウントはこちら

まだまだたくさんあるようにも思えるのですが,論文検索以外は,統合的なサイトというよりその都度有用だと思われた情報をEvernoteにタグ付クリップ保存していることが多いです.
外出時にはiPhoneからSNSやSafariを通して気になった情報はInstapaperに一時保存→帰宅後まとめて確認,Evernoteへという流れでウェブ上の情報収集を整理したりしています.

最後に,やはり重要とおもわれる情報は「紙に出力」するのが一番かと思われ,マーカーを引いたり,書き込みをしたりするのは,まだまだ実物の「紙媒体」になっています.「紙媒体」を使い込む(読み込む)行為の方が,自分に取り入れた実感を得られるようにも感じています.一方で,その分類・整理はやはり電子媒体に軍配が上がるわけで,こちらは現在の研究テーマとは直接的ではありませんが,継続的な興味ある対象として見つめていきたいと考えています.

来週は長崎大学で日本教育工学会の全国大会が開催されます.研究者の先達の方々の発表にふれ,お話の機会を持てることが大変楽しみです.
どうぞよろしくお願いいたします.

では,いつになく散漫な内容となってしまいましたが,この辺で.
長文&拙文におつきあいいただきありがとうございました。

早川 克美

2012.09.04

【エッセイ】"楽しくやろう"というけれど...

8月26日の深夜にTBSの文化系トークラジオ Life に参加させていただきました。
パーソナリティの鈴木謙介さんをはじめ、出演者やスタッフのみなさまに暖かく迎えていただき、朝まで楽しい時間を過ごすことができました。ありがとうございました。
深夜ラジオに慣れておらず、言いたいことが十分伝わったかどうか不安もありますので、番組をきっかけに考えたことをまとめておきたいと思います。

この日は「"楽しくやろう"というけれど...」というテーマでした。仕事や勉強などで「楽しもうよ」といわれることが増えたけど、楽しめない人はどうしたらよいのか、また、楽しむことを強制するのはどうなのか、といった設定だったと思います。

このテーマを考える際には、「楽しむ」という日本語が多義的であることに注意が必要です。辞書には (1) 充実感を持って心が高揚している状態 (2) 物質的に恵まれて楽である状態が記載されています。例えばやりがいを感じる仕事に集中している状況は前者であり、気の置けない仲間と飲んでいる状況は後者だと思われます。

番組中でも紹介しましたが、(1)の「楽しさ」については、M.チクセントミハイが研究しています。
フロー体験入門―楽しみと創造の心理学

チクセントミハイはスポーツや仕事などで、時間を忘れるほど集中して楽しんでいる状況を「フロー体験」と名付け、その条件を探りました。その結果、内発的に動機付けられている状況(お金などの報酬ではなくその活動自体に魅力を感じている)で、自分が持っているスキルと課題の制約がつりあっているときにフロー状態が起きることを明らかにしています。このような状態をHardFun(苦しいけれど楽しいーくるたのしい)と呼ぶこともあります。
このように、仕事や勉強に自分なりの楽しさを見つけ、その結果パフォーマンスがあがることに対しては番組中でも大きな異論はなかったように思います。またゲーミフィケーションのような手法は、課題を明確化し、スキルとつりあわせるためには有効でしょう。

問題になるのは、(2)の楽しさを報酬とし、外発的動機付けとして利用しようとする場合です。例えば、企業が仕事を押し付けようとしている場合に、飲み会などで共同体意識を醸成し「みんなのためだから」という理由でつらい仕事を楽しめといわれるといった話がでました。楽しさを悪用することに問題があることは明らかですが、私自身はもう少し根が深い問題なのではないかと考えています。仕事を押し付けようという「悪意」が明らかであればまだ抵抗しやすいのですが、もとが「善意」なので事態が複雑になっているのではないかと思うのです。
番組中で佐藤淑子さんの「日本の子どもと自尊心―自己主張をどう育むか (中公新書)」を紹介しましたが、この本の中には、アメリカ人の達成動機と親和動機が負の相関関係にあるのに対し、日本人は正の相関を持つという研究が紹介されています。つまり、日本人は人間関係に配慮し「先生やお母さんのため」に勉強する傾向があるということです。仕事についても同様に「みんなのために仕事をする」ことが「仕事そのものの達成」より優先してしまうことがおきがちです。
他者のために役に立ちたいという欲求は自然なものであり、そのこと自体に問題があるわけではありません。「あの人のようになりたい、だからあの人のために何かしたい」というロールモデルからの動機は、外発的動機付けと内発的動機付けを橋渡しする役割を果たしています。しかし、それが文化的規範となり、欲していない人に対して抑圧的に機能しているとしたら問題です。
ただ、この規範がもともと善意に発していることを知っているからこそ、多くの人はそれを裏切ったら文化的コードを守らなかった罰として「いじめ」にあうかもしれないことを恐れているのではないでしょうか。だから本当は(2)の意味でも楽しくないのに無理につきあっているのではないでしょうか。

さて、もう一つの問題は、本当は楽しみたいと思っているのに楽しめないという問題です。自分で楽しいことを見つけて変わっていける人たちをまぶしく眺め、でも自分はそうはなれないと悩んでいる人もいるのではないかと思います。
この問題に対しては、前述の佐藤さんの本にもとりあげられている日本人のセルフエスティーム(自尊心)の低さが関係していると考えています。国際比較調査によって、日本人は欧米や中国・韓国に比べ、自分を肯定し有能であると考える子どもが少ないことが明らかになっています。ただし、潜在意識レベルの自尊心を測定すると高い人もいることから、小学生の間に「謙遜の美徳」が内面化した結果、楽しむことを自ら抑圧するようになっている可能性があります。

これらの問題に対してどのような処方箋がありうるのかについては、番組で十分にお話しすることができませんでした。ここでは以下の5点をあげておきたいと思います。

1)「楽しもう」と言わない
「楽しもう」という人に悪気はないのかもしれませんが、押し付けられていると感じた瞬間楽しめなくなる人もいます。「楽しむ」かどうかはその人の自由であり、操作できることではありません。結果として楽しんでもらえるよう努力するのはよいと思いますが、楽しんだかどうかはその人の言葉や表情から判断する方がお互いに幸せになれると思います。

2)多様性を認める組織文化
何を楽しいと感じるのかは人によって差があります。自分なりの楽しさを見つけることを許容することを組織文化の基本にすると構成員の居心地がよくなります。構成員が自発的に楽しいと感じていることを伸ばせるよう管理職が配慮すると組織が活性化します。

3)内気な人を大事にする
楽しむことは義務ではありません。また、楽しいことを表現しなければならないという決まり事もありません。内気な人は往々にして楽しんでいないように見えますが、その繊細な心の動きによって大きな仕事をなしとげることもあります。反応がないように見えたとしても、「のりがわるい」と責めることはやめましょう。

4)成長マインドセット
楽しめない人の中には「自分は変われない」と思いこんでいる場合もあります。C.デュエックという研究者はこのような考え方を固定マインドセットと名付けましたが、今は楽しめなくてもいつか楽しめるように「自分は変われる」(成長マインドセット)と考えるようにすると何かきっかけが見えてくるかもしれません。

5)楽しさに対する批判的思考

楽しさは感情を表す言葉であるため、論理的に考えることはしばしば嫌われます。(楽しいんだからいいじゃないか!)しかし、どう楽しむか、その楽しみ方でよいのかについて深く考えることは、より多くの人と楽しみを共有するために役に立ちます。
チクセントミハイはフロー状況にあることと、その活動が社会的に妥当であることは必ずしも一致しないと述べています。人は残虐な行為に楽しさを覚える場合もあります。その時は楽しくてもあとで一生を台無しにすることもあるでしょう。一歩引いて自分の楽しさを見つめる視点も大事だと思います。

山内 祐平

2012.09.01

【研究に役立つウェブサイト】オーラル・ヒストリー関連サイト

みなさまこんにちは。
【研究に役立つウェブサイト】シリーズ第3回は、M2の末 橘花がお送りします。

私は普段、論文検索サイトのciniiや世界の教育系論文の検索サイトであるERICなどを使用しています。これらは、誰もが通る道だと思うので、私の研究に特化したものをご紹介しようと思ったのですが、私の研究分野である歴史教育では例えば歴史教育で身につけるべき力とそれをのばすための教材を紹介したThe Historical thinking Projectがあります。しかし、オーラル・ヒストリー関連は、そもそも教育研究自体が少ないので、今回は様々なオーラル・ヒストリー・プロジェクトのwebサイトをご紹介したいと思います。


オーラル・ヒストリーは、文化人類学、社会学、歴史学、政治学など様々な分野から発達しているため、目的や手法は多種多様です。生きた声を収集するオーラル・ヒストリーは、命には限りがあるため、使用用途や分析方法はさて置き、とにかく証言が消えてしまう前に、記録に残そうというスタンスをとっているものが多いようです。そのため今後整理が必要になるであろうとも言われているのですが、今回はとりわけ有名なプロジェクトをご紹介したいと思います。


【専門としてのオーラル・ヒストリー】

日本オーラル・ヒストリー学会
まずは学会です。これはプロジェクトではありませんが、日本で唯一のオーラル・ヒストリーの学会です。学会誌は2年以上前のものはフリーで読むことができます。オーラル・ヒストリーがどのようなものか、またどのように分析されているのかを知るのに役立つと思います。


【災害の記憶を記録する】
戦争や地震など、様々な感情や体験を歴史として刻むためにオーラル・ヒストリー・プロジェクトが行われています。

NHK戦争証言アーカイブス
こちらのサイトはご存知の方も多いかと思います。
これは、戦争を体験した人々の証言を収集し放映したNHKの「戦争証言プロジェクト」の中で収集した証言を、未放送の部分も含めて、インターネットを通じて誰もがいつでも視聴できるようにしたものです。このサイトでは、証言であるインタビュー以外にも、実際に放映された番組、戦時中のニュース映画、戦時録音資料を見ることができます。

311まるごとアーカイブス
昨年3月11日に発生した「東日本大震災の経験や教訓を人類共通の資産として千年先の後世に伝承し、安全な社会を構築することが現世代の責任」であると掲げ、被災地の失われた「過去」の記憶をデジタルで再生し、被災した「現在」と復興に向けた「未来」の映像や資料をデジタルで記録しまるごとアーカイブすることを目的として、「東日本大震災・災害復興まるごとデジタルアーカイブス」(プロジェクト略称:311まるごとアーカイブス)が立ち上がりました。このプロジェクトには、本専攻である学際情報学環の吉見俊哉先生も携わっていらっしゃいます。


【専門分野のオーラル・ヒストリー】
各学会や業界でオーラル・ヒストリーを行う場合もあります。

日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴ
美術の分野に携わってきた方々にインタヴューを行い、口述史料として収集・保存している団体で、2006年に美術史の研究者や学芸員によって設立されました。


【組織のオーラル・ヒストリー】
企業、官僚、大学など様々な組織で、暗黙知の継承や、公的な記録として残すことを目的として、オーラル・ヒストリー・プロジェクトが行われています。

Stanford Oral History Programs
米国スタンフォード大学文書館が所蔵するオーラルヒストリーのコレクションをオンラインで公開したものです。この、大学の歴史をオーラルヒストリーとして残す取組み"Stanford Oral History Project"は、1978年に、同館とStanford Historical Societyによって始まりました。大学の経営陣や教員、職員や卒業生に対する400以上のインタビューや会話が存在するそうです。


【番外編】
アメリカ人の小学生コール・カワナくんによるオーラル・ヒストリー講義(動画)
コールくんは、広島の原爆者である大叔父アーサー・イチロウ・ムラカミ氏へインタビューをし、その体験談を記録しました。また­彼は、他の生徒たちのために、オーラルヒストリーインタビューの記録の仕方をを9分間のDVDにまとめました。

オーラル・ヒストリー推しの私としては...なんだか先を越された感じがしますね(笑)

このように様々なオーラル・ヒストリー・プロジェクトがあります。

上記にあげたものだけでなく、自身の家族史や会社や大学など組織の歴史、自分自身の専門分野の歴史など、文字に残らないけれど、残すべきものとして重要なものも多々あると思います。そんなときにオーラル・ヒストリーを使ってみるのもいいかもしれません。


【末 橘花】

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