2026.07.09
こんにちは、山内研D1の山﨑聡一郎です。
今回は「研究と運動の関係」をテーマに、最近感じていることを書いてみたいと思います...
2025.10.15
大学院学際情報学府の冬季入試の案内が学環ウェブサイトに掲載されました。
https://www.iii.u-tokyo.ac.jp/...
現在、様々な教育現場で情報通信技術の普及が急速に進んでいます。
学習は支援者やともに学ぶ学習者・メディアなどの人工物の微妙なバランスの中で発生する複雑な事象です。情報通信技術を学びの場に導入する際に、学びを支える環境(空間・活動・共同体・人工物)をどうデザインすれば学習を有効に支援できるのかを、実践的研究の中で明らかにしていきます。
研究室の大学院生は幼児から社会人まで幅広い対象の学習環境に関する研究を展開しています。また、大学院入学までの経歴も様々で、心理学・教育学・情報工学など幅広い分野から人材が集まっています。
多様な背景を持った学生を支援するため、研究ファシリテータによる学習のサポートや、春合宿・夏合宿を中心とした補完カリキュラムを導入し、毎週のゼミを中心とした教育の仕組みを構築しています。
大学教員:東京大学、鶴見大学、立命館大学、産業能率大学、徳島文理大学、
愛知淑徳大学、帝京大学、京都造形芸術大学、首都大学東京など
大学職員:東京大学
民間企業:ボストンコンサルティング、ベネッセコーポレーション、博報堂、内田洋行、Google、Oracleなど
独立起業:東京視点、NPO法人Collable
東京大学大学院
情報学環 学際情報学府・教授
| 1967年 | 愛媛県生まれ |
| 大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程中退 | |
| 2000年 | 大阪大学助手、茨城大学講師、助教授を経て東京大学大学院情報学環准教授 |
| 2014年 | 教授 |
知が日常的に再編成される情報化社会において、人間が自ら変化し続けるための営みとして「学習」の意義はますます重要になっています。教えられるのを待つのではなく、積極的に自らの学びをデザインする存在として学習者をとらえ、そのプロセスを支援するための今までにない新しい仕組みについて、教育学・デザイン論・教育工学・認知科学などの知見を元に研究していきます。
反転授業のルーツとなる実践を行ったバーグマンとサムズの著書。山内・大浦が翻訳を監修しています。反転授業が生まれた経緯と実践のポイントがまとまっています。
(オデッセイコミュニケーションズ 2014年)
山内・森・安斎共著によるワークショップデザインに関する体系的な概説書。研究室で行われてきた実証研究を基盤に、学習活動としてのワークショップの本質に迫る一冊です。
(慶応大学出版会 2013年)
山内が編者として大学の学習空間の変革に関する理論と実例をまとめた書籍。ラーニングコモンズやアクティブラーニングスタジオなど、学習環境としての空間を考える際に参考になる一冊です。
(ボイックス出版 2010年)
山内が編者としてデジタル教材の展開についてまとめた書籍。歴史・理論・開発・評価まで学習環境における人工物としての教材を網羅的に理解できます。
(東京大学出版会 2010年)
美馬・山内共著による学習環境デザインに関する入門書。空間・活動・共同体の観点から今後の学習環境デザインのポイントについて考察しています。
(東京大学出版会 2005年)
情報リテラシー・メディアリテラシー・技術リテラシーなど、情報化社会を生き抜くための新しい能力概念に関連して、発展の歴史とワークショップなど教育プログラムへの展開事例を紹介しています。
(岩波書店 2003年)
こんにちは、山内研D1の山﨑聡一郎です。
今回は「研究と運動の関係」をテーマに、最近感じていることを書いてみたいと思います。
研究というのは、つくづく自分との闘いだと感じています。仮説を立てては壊し、データや文献と向き合っては行き詰まる。その過程で不安になったり、気持ちが沈んだりすることも少なくありません。私自身、定期的にそういう波がやってきます。ただ最近になって、その原因の一端は「運動不足」にあるのではないかと思うようになりました。
気分が落ち込む時の法則?
私は研究のかたわら俳優業もしており、身体そのものが仕事道具であり商品でもあります。そのため日頃からボディメイクを目的に筋トレを続けているのですが、研究や俳優業以外の仕事が立て込んでくると、なかなかジムに行く時間を確保できなくなってしまいます。
厄介なのは、気分が落ち込んでいるときほど、自分でも気づかないうちに筋トレの頻度が落ちていることです。そんな状態である日時間ができて筋トレをすると、嘘のように元気になる瞬間があります。「今日は行きたくないな」と重い腰を上げてジムに向かい、トレーニングを終えて帰る頃には、行く前とはまるで別人のようにすっきりしている。この現象を何度も経験するうちに、これは単なる気分転換以上の何かなのではないかと感じるようになりました。
運動嫌いだったはずなのに
実をいうと、私は小中高生時代、根っからの運動嫌いでした。体育の成績も芳しくなく、球技も持久走も苦手意識のかたまりだったように思います。そのため今でも、筋トレに向かう前は気持ちの上ではどこか憂鬱で、決して「筋トレが好き」というわけではありません。行く前どころか、筋トレ中も割と「なんでこんな苦しいことやってんだろうな」と思いながらバーベルを担いでいます。
それにもかかわらず、実際に身体を動かした後の心身の軽さは本物です。運動が好きか嫌いかという気持ちの上での評価と、運動が実際にもたらす疲労回復の効果との間には、案外大きなギャップがあるようです。この「思っていたより効く」という感覚のずれこそが、今回この記事を書いてみようと思ったきっかけでした。
「気のせい」ではなかった ー 運動とメンタルヘルスの科学
そこで少し調べてみると、この実感を裏付ける研究成果が国内外に存在することが分かりました。
まず国内の研究では、公益財団法人明治安田厚生事業団体力医学研究所が2006年から続けている「コアスタディー」が参考になります。同研究所が行った調査(甲斐ら, 2011)によれば、運動を全くしない人々と比較して、週2時間以上の運動習慣を持つ人々は、1年後に抑うつになるリスクがおよそ半分だったといいます。
さらに2024年には、英国の医学雑誌『BMJ』に、オーストラリア・クイーンズランド大学のマイケル・ノエテル氏らによる系統的レビュー・ネットワークメタ分析が発表されました。うつ病治療に関する218件のランダム化比較試験、14,170人分の参加者データを統合したこの研究では、ウォーキングやジョギング、ヨガ、ダンス、太極拳・気功、そして筋力トレーニングなど、運動の種類を問わずうつ症状の改善に効果が見られています。とりわけ筋力トレーニングは若い世代で効果が高い傾向にあることが示されました。専門家からは、運動全体の効果量は心理療法や抗うつ薬に匹敵する、あるいはそれ以上との指摘もなされています(Noetel et al., 2024)。
つまり、私が感じていた「行く前は億劫なのに、終えると元気になる」という感覚は、案外裏付けのある現象だったということです。
そういえば、学際情報学府では山内研の内外を問わず、筋トレに励んでいる方を何人も見かけます。趣味がダンスや登山といった、身体を動かすことである方も決して少なくない印象です。研究に打ち込む人ほど、身体を動かすことの効能を経験的に知っているのかもしれません。
おわりに
研究は長期戦です。だからこそ、頭だけでなく身体のコンディションを整えることも、研究を続けていくうえで欠かせない技術の一つなのだと、最近になってようやく実感するようになりました。私のように運動嫌いであっても、無理のない範囲で筋トレを続けていくことが必要なのかもしれません。
無理のない範囲で、というのが結構ミソでして、5年前くらいにバーベルデッドリフトで腰を痛めてトレーニングベルトを使うようになり、昨年あたりからバーベルスクワットで膝が痛むようになってしまったので最近はブルガリアンスクワットにハマっています。筋肉は裏切らないけど関節はすぐ裏切る、とインターネットの叡智が語っていました。
これから山内研や学際情報学府を目指す方の中にも、研究の波に不安を感じることがある方がいらっしゃるかもしれません。そんなときは、ほんの少しでいいので身体を動かしてみてください。案外、気持ちのほうが後からついてくるものです。研究も運動も無理なく長く続けていくことを大切に、これからも心身ともに健康な研究生活を送っていきたいと思います。
参考文献
Noetel M, Sanders T, Gallardo-Gómez D, Taylor P, del Pozo Cruz B, van den Hoek D, et al. Effect of exercise for depression: systematic review and network meta-analysis of randomised controlled trials. BMJ. 2024;384:e075847.
https://doi.org/10.1136/bmj-2023-075847
公益財団法人 明治安田厚生事業団 体力医学研究所「運動とメンタルヘルス」
https://www.my-zaidan.or.jp/tai-ken/information/mental/(2026年7月閲覧)
糖尿病ネットワーク「運動でメンタルヘルスを改善 すべての運動にうつ病を軽減する効果が ウォーキング・ヨガ・ダンス・筋トレを調査」
https://dm-net.co.jp/calendar/2024/038146.php(2026年7月閲覧)
Science Media Centre. Expert reaction to systematic review and network meta-analysis on the effect of exercise on depression.
https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-systematic-review-and-network-meta-analysis-on-the-effect-of-exercise-on-depression/(2026年7月閲覧)
異文化間感受性の学習支援に関する研究
大学生のライティング過程における構造的統合化を支援するシステムの開発
視点取得に焦点を当てたアライの学習プログラムのデザイン
法教育がいじめ被害者の援助要請を誘発する可能性
熟達した演劇ワークショップ・ファシリテーターの特徴に関する研究
オンライン学習環境における共調整学習方略の有効性認知を高める介入手法のデザイン
失敗経験と方略修正を行う場の提供を通して概念知識の転移を促すゲーム学習システムの開発
相互作用的創発に基づく生成AI活用型英語エリシテーションタスクの開発
成人の余暇活動におけるメディア実践と興味の統合過程
~ZINE制作者のインタビュー調査から~
How elementary teachers transition into TPACK-based teaching in 1:1 device classrooms
オンライン実践共同体における参与の可視化が学習者の職能に与える影響
学習者の自己省察を促すESD(持続可能な開発のための教育)の実践設計
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