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2025.02.12

はじめての博論構造構想日記 (D1 田中冴)

みなさまこんにちは、D1の田中です。

気づけば年度末ということで、今回は自分のD1の一年を振り返ってブログを書いてみます。

はじめての博士課程の一年目は、振り返ると、いろんなはじめての経験があったように思います。
はじめての論文投稿、はじめての査読対応、はじめてのファシリテーター(する方)…
どれも現在進行形で難しいものばかりですが、この一年特に難しく悶絶していたのは、「博論構造の計画を立てる」ことだったかと思います。なので、今回はこれについて少し書いてみようと思います。
※博論構造には、研究室や研究分野によって違いがあるため、ここで書くのはあくまで私の直面している博論構造の話であることを最初に断っておきます。

私が「博論構造」と書いているもののイメージをしていただくには、中原淳先生のこちらのブログ中の構造図を見ていただくのが良いように思います。
博士論文とは「構造を書くこと」である!? | 立教大学 経営学部 中原淳研究室 - 大人の学びを科学する | NAKAHARA-LAB.net

私がこのD1の一年で対峙していたのは、この構造図で言うところの1・2章→3・4章への分岐のロジックを立てるところです。つまり、「博論全体の大きなRQを解くためには、この2つの研究が必要である」という構造の設計図を立てるところです。

私の場合、構造図で言う研究①(3章)はもう既に実施した修論の内容で、研究②(4章)は来年度実施する研究になります。つまり、研究①という博論の中身の片足は大方決まった状態で、博論全体の構造と、研究②の計画を考えるということを、Dに入ってからのこの一年でやっていたということです。

この構造図をつくるのに四苦八苦した一年でした。はじめての査読対応の経験と合わせて、自分は論文の構造の何たるかなど、何も腹に落ちていないままに修論を書いたんだなと、そう思い知りながらの一年でした。

上記で紹介した中原先生のブログより引用:
ところで、博士論文を書いたことのある人ならおわかりだと思いますが、博士論文でもっとも難しいのは、「文章を書くこと」ではありません、、、たぶん。いや、それも難しいのよ。自分も、その執筆プロセスでは、何度か「悶絶憤死」しかけました。でもね、経験上、それ以上に難しいことがあります。博士論文でもっとも難しいのは「構造を書くこと」なのです。つまり、自分がこれまで行ってきた複数の研究を総括し、「ひとつの論文」としてまとめること、これがもっとも難しい。

例えば、この構造図や、IMRADなど、論文の構造を示すフォーマットや説明は世にたくさん落ちていますが、少なくとも私は、それらを受け取るだけで腹に落として使いこなすというのは難しかったです。自分としてはフォーマットに従って設計図を書いたつもりで、自信満々で人に持っていってコメントをもらってみると、大抵自分はフォーマットに従えてすらなかったことがわかり、確信がぶっ壊れるということが何度もありました。
フォーマットには書かれていない、とんでもない前提で勘違いをしていたとか、そういうのばかりです。根気強くずれているところを探すのに付き合ってくださる、周りの方々に感謝です。

この勘違い具合をどう伝えればいいかなと思って、最近具体例を考えているんですが、一個思いついたやつを書いておきます。

私が誰かに、「信号の色の『赤』は『止まれ』だ」という横断歩道の信号のルールを教えてもらったとします。私は自信満々に「OK!」と言って、信号が青のときに横断歩道を渡り始めます。渡ってる途中で信号が赤になったら、信号が『赤』なので私は横断歩道のど真ん中で完全停止して『止まれ』を実行します。そうすると、直行軸を走る車にはねられる、ということを、たぶん私はやりがちなんだと思います。
側からみるととんでもない勘違いですが、私はルールを適用したつもり満々なのが困ったもんです。

その後に、その既存のルールがなぜそうなっているのかを、周りの人に協力していただきながら、いろんな方向から噛み砕いていきます。「自分の進行方向の信号が赤になったら、直行軸方向の信号は青になって、車or何かしらが通るんだ。だから、進行方向の信号が赤のときに横断歩道にいたり、渡ったりしたら、車or何かしらと干渉するんだ」という具合です。ここまで私が自分で説明できるようになって、やっと既存のルールが腹に落ちて、自分で使えるようになる気がします。

コメントをくださる周りの方々からすれば、私は「そんなところで勘違いする?」「前にも言ったでしょ」みたいなことばかりなのでは、と想像します。
博論を書く上でやりうる勘違いをコンプリートしに行っているのか?と自分でも思います。
コメントをくださる方々には、辛抱強く付き合ってくださることに最大限感謝しつつ、
自分には、まあ、博論書くのはじめてだし、いろいろな勘違いが常ですけど、ここからできるようになっていきたいね…、と若干後ろ向きに元気づけながら、まだまだ続けていこうと思います。

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