2025.05.10
こんにちは、山内研M2の山﨑聡一郎です。
入学してから早くも1年が経ちましたが、今回は「大学院生活での時間の使い方」をテーマに、社会人大学院生として複数の仕事と研究を両立している私の日常をご紹介したいと思います。
劇団四季との両立失敗?談
私が東大院は大学院2つ目だという話はこれまでの記事で繰り返し述べてきましたが、実は前の大学院に所属していた頃も、劇団四季での出演と両立しながら大学院生をしていました。当時は研究というものへの習熟度が低かったこともあり、修了に3年を要してしまいました。稽古と公演のスケジュールに追われながら、限られた時間で研究を進めていくのは思っていたよりも大変だったのです。でも、そんな失敗経験があったからこそ、今は幾分うまく時間を使えているのではないかと感じています。
前の大学院では合唱サークルにも入っていて、大学生の延長のような気分でした。今は会社を経営していることもあってサークルには入っておらず、ゼミと授業に集中しています。ただ、その会社で合唱団運営をやっているので、結局やっていることは変わらない気もします。
アウトプットからインプットへ
前の大学院を修了してからは、講演をしたり本を書いたりというアウトプットをすることが続いていました。その中でこども家庭庁ができるなど子供を取り巻く環境が変わり、いじめ問題についても改めてインプットをしながら、新しい解決策を提示していきたいという思いが募りました。
正直なところ、10冊以上の書籍を執筆したことでアウトプットをし尽くしてしまった感覚もありました。子どもを取り巻く状況に最新の知見を提供して貢献し続けるには、自分自身がもっとインプットをしつつ新たな知見を生み出さなければならないと感じたのです。そんな思いから、もう一度大学院に行くことを決意しました。
5年間で変わった研究環境
前回の大学院生活から5年間で大きく変わったなと思うのは、AIの発達です。論文を生成AIに要約してもらったり、まだ発見できていない先行研究を収集してもらったり。その分従来よりも世界中の、それこそ日本語と英語以外の言語で書かれた文献も調査する必要性が高まっているので、楽になったかというと微妙ではありますが、研究の充実度は確実に高まっています。
ただ、整理すべき文献の絶対量は飛躍的に増加しているので、情報処理能力や整理力は従来より必要になったと感じます。
もう一つの大きな変化は、オンライン授業が相当に増えてきたことです。もちろん対面でしか履修できない授業も少なくはありませんが、対面が前提だった頃に比べれば大きな変化です。出張していても、遠方に旅行していても授業が受けられるのは社会人大学院生としては画期的です。
普段の私のスケジュール
普段のスケジュールは、朝10~12時までを授業がある日は仕事に、仕事がメインの日は研究を進めています。日中は授業・ゼミが中心で、授業・ゼミがない日は仕事で演劇・演奏会の稽古が入ったり、運営している学習塾の授業が入ったりで夜まで過ごします。
会社経営者は労働者ではないので、毎日トータルでは10時間くらい働きます。そう言うとブラック感がありますが、途中で30分くらいの昼寝も欠かさず、自由度は高いです。仕事の日も2時間は研究時間を確保しており、これを週7日続けています。完全にオフの日は月に2日あるかないか。休日なしで大丈夫かと言われることもありますが、仕事も研究も私にとっては趣味的な側面があるので、それぞれがそれぞれの息抜きになっています。
通学日は週2日程度ですが、予定がない日は大学に行くとモチベーションが高まって研究が捗るのでキャンパスに行きます。東京大学の雰囲気は研究のモチベーション向上にとても良いですね。
ただ、余暇の時間と筋トレの時間は別腹です。日中の1~2時間くらいはジムに行って筋トレ。舞台に立つ仕事なのでボディメイクは仕事の内です。ボイストレーニングや次回出演に向けた自主練習もやります。日付が変わったらゲームしたり、晩酌したりといった余暇の時間を死守しています。起床は10時、就寝は深夜3時という生活なので、一般的な社会人とはズレがあるものの、何気に7時間睡眠は確保しています。
改めて考える「文武両道」
まだ就職していないフルタイムの大学院生は、私が仕事をしている時間もみっちり授業と研究に使えます。修士課程は履修すべき授業が多いので正直その方が余裕が持てて良いと思います。ただ、私は飽きっぽい性格なので、フルタイム大学院生ができた頃もなかなかそういう訳にはいきませんでした。今の生活の方が性に合っていると思います。一つのことに集中することが得意な人も、複数のことを同時進行で進めたい人もいると思うので、ここは個々人の適性だと思います。
ただ、いずれにしても大学院は自らの学びたいことがあって来る場所だというのは改めて思います。研究が好きなら社会人でも両立は何とかなる。仕事も大変だし研究も大変だけど、「好き」で乗り越える。山内研の場合はフィードバックが的確で作業課題がいつも明瞭なので、「やるべきこと」で悩むことは自分の場合はありません。
社会人大学院生をはじめて改めて思い起こすのは、「文武両道」の重要性を繰り返し説かれた高校時代のことです。先生や先輩から、「部活だけをやってて部活が強いのは当たり前だ。俺たちは部活も勉強もできるから評価されるのであって、片方しかできないのは駄目だ。」「文武両道とは文武両立とは違う。両立はうまく折り合いをつけて両方を良い感じにする妥協的な考え方だ。両道は、両方を極めること。」と言われてきました。このような考え方は誰にでも当てはまるわけでは無いと思いますが、私自身にとっては都合の良い考え方だなと思います。
仕事と研究の両方を極めて、両方で成果を出す。何なら、それぞれで相乗効果を発揮することを目指して、引き続き仕事と研究の両方に取り組んでいきたいと思います。
社会人として大学院に進学することを検討している方へ。確かに時間のやりくりは大変です。でも、研究への情熱があれば、きっと道は開けます。山内研には、さまざまな背景を持つ仲間がいます。そして、一人ひとりの状況に寄り添ってくれる研究指導体制があります。「もう一度学びたい」という思いがあるなら、ぜひ一歩を踏み出してみてください。きっと充実した研究生活が待っていると思います。
そうだ、5月22日には研究室入試説明会も開催します。ぜひ大学院生活に対する疑問や不安があれば、気軽に相談してくださいね!
【お知らせ】大学院夏期入試研究室説明会