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2018.07.15

【研究計画】小中学生のICTを利用した個別最適化学習(Personalized Learning)における効果的なコーチング手法の研究(M1 谷口恵子)

こんにちは。今年4月に入学した社会人学生、M1の谷口恵子です。出版社でビジネス書や語学書の編集をしながら、英語学習コーチとして社会人向けに英語学習のサポートもしております。

私が山内先生の研究室で学習環境デザインについて学びたいと思ったきっかけは、主に2つあります。一つが、自分自身の社会人経験や、英語学習コーチとしての経験から生まれた「なぜ学びに対して消極的な人と積極的な人がいるのだろう?」「なぜ自分で学べる人と、人から教えられないと学べない人がいるのだろう?」という疑問です。社会に出てみるとわかりますが、学校教育が終わった後こそ、自ら学び続ける力が必要です。そして、何を学ぶのかを考えて選ぶ力も必要です。しかし、その力を持っている人と、そうでない人がいます。そして大人になってからその力を新たに身に付けることは、不可能ではありませんが、とても大変です。こうした学びに対する態度や能力形成の端緒はどこにあるのだろうか、それを教育によって向上させるにはどうしたらいいのだろうか。そんな疑問が出発点の一つでした。

そしてもう一つが、どんどん変化のスピードが増していくこの時代を生きる子どもの将来を考えたときに、自分の頭で考えて、自分の好きなことを見つけて、楽しく生きていく力を身に付けて欲しいと思ったことです。それはもちろん我が子だけでなく、これからを生きていくすべての子どもたちにそうあって欲しいと思っています。そのために必要な教育というのは、生徒が受け身になってしまいがちな一斉教育ではなく、自律的な学習の力を伸ばせる「自分で考えて選び進める形の学習」なのではないのだろうか、というところから、Personalized Learning という学習形態に注目し始めました。

Personalized Learning はアカデミックというよりも実践現場、特にアメリカを中心にここ数年バズワードのようになっている言葉です。定義も使っている団体によって様々ですが、たとえばUNESCOのIBE(International Bereau of Education:国際教育局)という機関が出している "Personalized Learning" というペーパーによると、以下のような定義になっています。

"Personalized learning is teaching and learning that is focused on the background, needs, potential and perception of the learner. It is learner-centred education."

つまり、個々の学習者のさまざまな違いや個性に応じた、学習者中心の学び方が Personalized Learning です。近年ではICTの進歩により、効果的にPersonalized Learning が進められるようになってきたのでは、ということで、特にアメリカのIT企業や、Philanthropists、教育関係者の注目を集めているのです。

私自身の興味関心に戻ると、ICTを使いこなす力も、生きていく力として非常に重要で役立つという実感があることと、ICTを活用することで効率的に学習が進められたりデータの管理がしやすくなったりするという利便性も活かしたいと考えているため、研究テーマは、ICTを活用した Personalized Learning に設定しています。ただ同時に、英語学習コーチとして人の学習のサポートをしてきた経験からは、ICTだけでは実現できない学習サポートの役割も指導者には求められると思っており、学習内容を教えること以外の指導者の役割にも注目しています。

入学して早くも4ヶ月目、ゼミでの研究発表も3回させていただきましたが、興味関心がまだ収束していないどころか、先行研究のレビューを進めるほどに興味関心がむしろ拡散していくような気すらしています。社会人で育児中でもあるため、目まぐるしい日々を送っていますが、それでも、先行研究のレビューや興味関心のある分野について調べることは本当に面白くて、なんとか時間をやりくりして、もっと研究に時間を使いたいと思っているところです。次回のブログでは、こんなふうに時間を活用できるようになりました、というご報告ができるようにがんばります!

【谷口恵子】

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