2025.07.07

文献整理に役立つツール(M1 飯島)

皆様はじめまして、山内研M1の飯島洋輔です。

今年の春より山内研究室に加わりまして、「学校教育で学んだ内容を学校以外の文脈でも使用できるようになることを補助するシリアスゲームの開発」というテーマで研究をしています。

今回は「研究小ネタ」として、文献整理に役立つツールをいくつかご紹介します。

山内研究室ではM1の間は基本的には文献レビューに注力します。山内研究室では、比較的自由に自身の研究テーマを探求できる一方で、その分野の先行研究を網羅的に把握することが求められます。先行研究レビューを丁寧に行うことで、適切な研究手法の選定や、自らの研究の新規性・独創性を示すことが可能になるため、これは研究計画を立てる上で不可欠なステップです。

私自身、学部生の頃は文献整理をしっかりしていなかったのですが、研究室の先輩方がきれいに文献を整理しているのを見てその考えを改めました。今回ご紹介するのは、大学院に入学してから私自身が耳にしたり、実際に試したりしたツールです。あくまで個人の使用感に基づいた紹介ですので、ご自身の研究スタイルに合うツールを見つけるための一助としてご覧ください。


1. Google スプレッドシート (Google Sheets)

Google WorkspaceやGoogle for Educationを導入している大学に所属している方にとって、最も手軽なツールでしょう。論文のタイトル、著者、発表年といった基本的な情報に加え、タグやメモを書き込むことで、簡易的なデータベースとして活用できます。最大の利点は、他の研究室メンバーや指導教員との共有が非常に簡単な点です。共同研究や研究相談の際に、同じリストを見ながら議論を進めることができます。

2. RefWorks

文献データベースで知られるProQuest社が提供する、高機能な文献管理ツールです。学生の場合は大学図書館を通して無料で利用できる場合があります。PDFファイルをアップロードして管理できるほか、フォルダやタグでの整理も直感的に行えます。特筆すべきは、参考文献リストの自動生成機能です。APAをはじめ主要な引用スタイルに対応しており、論文執筆の手間を大幅に削減してくれます。

3. Paperpile

このリストの中では唯一の有料ツールですが、研究室内外で利用を推奨されることが多い、非常に評判の高いツールです。私自身はまだ試せていませんが、Google Scholarや各種データベースからワンクリックで文献情報を取り込める機能や、Google Docs上でシームレスに引用・参考文献リストを作成できる連携機能など、その利便性は研究の効率を格段に上げてくれると評判です。

4. Notion

近年、情報整理の定番ツールとなりつつあるNotionも、文献管理に非常に有効です。その魅力は、何と言ってもカスタマイズ性の高さにあります。データベース機能を使えば、スプレッドシートのように一覧表を作成し、タグ付けやステータス管理(例:未読、精読中、読了)が可能です。また、各文献ページに詳細なメモを残せるのも大きな利点です。Markdown記法はもちろん、Mermaid記法で図を挿入したり、関連する論文ページへリンクを張ったりと、思考を整理しながら知識を体系化できます。

5. Obsidian

ローカル環境で動作する、Notionと似た使用感のメモ・知識管理ツールです。Notionとの大きな違いは、オフラインで快適に利用できることと、「グラフビュー」機能でノート間の繋がりを視覚的に表示できる点です。各論文のノートを作成し、引用・被引用関係をリンクで繋いでいくことで、研究分野の全体像や論文同士の関連性を直感的に把握できます。研究領域を俯瞰的に理解したい場合に特に力を発揮します。ただし、複数人での共有機能は有料プランでの提供となります。

6. FigJam

これは文献管理ツールではありませんが、Figma社が提供するオンラインホワイトボードツール「FigJam」も、使い方次第で強力な味方になります。特に、複数の研究潮流がある分野で、論文間の関係性をマインドマップのように可視化したい場合に便利です。論文を付箋のように貼り付け、引用関係を線で結び、時系列に並べることで、どのような研究が行われてきたのかを可視化できます。ただし、手作業がメインになるため時間と労力がかかる点、そしてあくまでホワイトボードツールであるため、より詳細なメモも残すために他の文献管理ツールとの併用が推奨される点には注意が必要です。


今回紹介した以外にも、便利なツールはたくさんあります。研究室の先輩方が紹介している他のツールなども参考に、ぜひご自身に合ったものを見つけてみてください。

この情報が、皆さんの研究生活の一助となれば幸いです。

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