2019.10.31

【山内研の日々】文献発表とグループ討論とは?

こんにちは。修士課程2年の江﨑文武です。
【山内研の日々】というテーマのもと、今回は毎週のゼミで行われるプログラム「文献発表とグループ討論」についてご紹介します。

「文献発表」では教育工学やその周辺領域の潮流を概観することを目的に、毎年1-2冊の英語文献を輪読します。毎週、決められた担当者が担当章の日本語サマリーを作成し、ゼミ生に共有します。
その後、ゼミ生をいくつかのグループに分け、実践的な課題を元に「グループ討論」し見識を深めるのが本プログラムの概要です。

今年度はHANDBOOK OF RESEARCH ON LEARNING AND INSTRUCTIONという文献を輪読しており、基本的にはゼミ生の興味範囲と重なる章を各人が担当し、関連文献も併せてサマリーを作成します。

本日のゼミでは、経営学習論・人的資源開発論がご専門で博士課程に在籍中の田中聡さんが、ご自身の専門とは重なるところの少ない「Learning Histrory」という章を担当され、歴史教育の理論的展開や教育的文脈、歴史学習の限界と制約について昨今の研究を適宜参照しながら概観しました。
自分の専門領域を深めるために担当章を選択する方もいれば、自分の専門領域とは遠い領域の章を”あえて”選ぶ方もいるところが、このプログラムのユニークなところです。一見、自分の専門領域とは重ならない内容のサマリーを作るという行為は信頼性に欠けるように思えますが、多様なバックグラウンドを持ち合わせたメンバーを抱える私たちの研究室では、実は他のメンバーが専門的な知見を持ち合わせていた、という場合も少なくありません。

この日のグループ討論のテーマは「将来の研究課題として取り上げられている小学習者段階の歴史的思考力の育成と国家を超えたグローバルな視点の獲得に関する具体的な授業案についての議論と発表」だったのですが、歴史的な事象には多様な解釈があるということを間違い探しというギミックを用いて理解させる歴史マンガ本のアイデアや、歴史的思考をより身近なものに感じさせるためにファミリーヒストリーを追うといったアイデア、各国の教科書を読み比べるアイデア等々が発表されました。

学際情報学府がそもそも「情報」をめぐる諸領域を流動的に連携させるネットワーク組織として設計されていることを踏まえると、多様な視点から1つのテーマについて議論を深められるのは、私たちの大学院組織の魅力の1つです。YLabゼミでの「文献発表とグループ討論」はそうした魅力をより一層引き立ててくれるプログラムなのかもしれません。

江﨑文武

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