2018.01.23

【教えて!山内研究室】合宿で何をするの(D1 杉山)

D1の杉山です.
山内研について紹介するシリーズ「教えて!山内研究室」,今回は「合宿」がテーマです.


Q.春と夏に合宿があるようですが、その合宿はどういったことをやるのですか?その目的は?

A.春と夏で合宿の趣旨が異なります!端的にいうと...

夏合宿:教育・学習に関する古典的な思想家について学ぶ + 学びのフィールドに出会う
春合宿:修士論文を完成させるための研究方法について学ぶ

ことが目的です.詳しく紹介しましょう.


夏合宿
 山内研には,もともと教育・学習に関するアカデミックなバックグラウンドのない人が多く所属しています.ふだんから自分の研究テーマに関わる先行研究は各自でレビューするとして,もっと根源的なところで教育・学習の研究分野を形づくってきた古典を読む機会はあまりありません.そこで,夏休み中にそうした古典的な思想家について調べ,夏合宿でその思想家の概念を自分の言葉で説明・発表するという学びの機会が設けられています.例年,学生は

  •  ・ジョン・デューイ:学習者中心の教育思想を提示した哲学者
  •  ・ジャン・ピアジェ:知識を構成する人間の能動性に着目した心理学者
  •  ・レフ・ヴィゴツキー:発達における他者との社会的関係性に着目した心理学者
の3人+αについての発表を行い,理解を確認するためのディスカッション課題も用意します.
 デューイ,ピアジェ,ヴィゴツキーの3人はいずれも学習環境デザインという営みの重要な先駆者です.直接自分の論文で「先行研究」としては引用しなくても,先行研究の系譜を辿っていけば必ずたどり着く存在です.
 
 夏合宿はこの「学者レビュー」に加えて,学びの現場のフィールドトリップも行います.これまで私が参加した夏合宿では,越後妻有(新潟県),雲南(島根県),軽井沢(長野県)を訪問しました.合宿の企画は基本的にM1が行うのですが,私がM1のときは2015年で,ちょうど越後妻有で開催されていた「大地の芸術祭」を取り上げ,そこでのアートフェス・ボランティアたちの学びをテーマにしました.ありがたいことにガイドスタッフの方に協力いただき,アート作品を巡るだけでなく,そこで活動されている住民の方や「こへび隊」の方々とお話する機会を得られました.芸術祭について事前に書籍でインプットする時間も設けたのですが,活動拠点でボランティアを統括し,入念なマニュアルをつくりあげているリーダーの方々の存在は,実際に訪ねてみないと分からないことでした.


春合宿
 夏合宿と打って変わって,3月に開かれる春合宿は,修士論文を書き上げたM2からこれから本格的に論文を書くM1に向けて,研究方法を伝授することを目的としています.「研究方法」には,統計や言語データの分析やシステム開発の技術に加え,いかにスケジュールをマネジメントしてくかなど,研究を進めていく様々なやり方が含まれています.教科書には書いていない豆知識って結構あったりしますよね.春合宿ではM2が自分が研究を進めてきた2年間を振り返りながら,修士論文を書くうえで重要だったことや役に立ったこと,失敗したことなどを後輩たちに伝えていきます.私が去年発表したときは,「自分の研究について日常のなかで人と話すこと」を強調しました.ゼミと関係なく仲間と日々研究の話できることが大学院の醍醐味だと思っていて,実際に会話を通して重要な先行研究に出会ったからです.


そして...懇親会
 夏合宿・春合宿ともに夜は懇親会が開かれます.これも大事な時間.一緒に飲み食いすることでコミュニティが生まれていくのは研究の世界も変わりません.研究の話も,研究とは全く関係ない話もいろいろします.山内先生から昔話を聞くのも面白いんですよね.この前の夏合宿では本を出したときのことをうかがいました.「人間」としての研究者の世界に最も近づけるのは懇親会の場だと思っています.


山内研の合宿は毎年M1が企画し,手配などもすべてこなします(いつも本当にありがとう!).合宿を開くのは大変ですが,山内研の合宿はその分たくさんの学びが得られる場だと思います.

D1 杉山昂平

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