2024.12.12
皆さん、こんにちは。山内研究室M1の李佳誠です。気づけば、M1として過ごす時間も残りわずかとなりました。本日は、M1段階において大学院生活を送る上で、どのように自分の自己調整学習を促進するかについて、自分の視点からお話ししたいと思います。
自己調整学習とは、学習者が自分自身の学習目標を達成するために、認知・感情・行動を体系的かつ自発的に方向づけ、維持していく過程のことです(Zimmerman&Schunk, 2011)。簡単に言えば、先生や親から求められて勉強するのではなく、自分で目標を設定し、計画を立てて学習に取り組むことを指します。大学院生活では、学部時代と比べて、自己調整学習の能力がより一層求められると感じています。たとえば、学部時代に比べて授業の数が少なくなり、自由な時間が増えることが挙げられます。この自由な時間をどう活用するかが非常に重要です。遊びに流されることなく、自律的に自分の修士研究に取り組む必要があります。しかしながら、すべての人がこの自由な時間を効率的かつ自律的に活用できるとは限らず、自己調整学習がうまく機能しないケースも少なくありません。その結果、修士課程を順調に修了できない場合も見られます。以下、M1段階において、どのように自己調整学習を促進するかについての経験を皆さんと共有したいと思います。
1. ファシリテーターとの学習計画作り
まず、ファシリテーターとともに学習計画を立てることの重要性についてお話しします。山内研究室にはファシリテーター制度があり、博士課程の先輩がM1の勉強や研究活動をサポートしてくださいます。私の場合、ゼミ発表の後にファシリテーターと話し合い、次の1か月間の学習計画を相談しています。この際、非常に細かい計画を作るわけではなく、1か月の中で取り組むべき主な内容や方向性を確認します。ファシリテーターは具体的なアドバイスをくださるだけでなく、必要に応じて計画を修正してくださり、大変心強い存在です。さらに、ゼミ発表の1週間前には、1か月間の成果をファシリテーターと確認し、最後の1週間で何を重点的に学ぶべきかを決定します。これにより、自分が何をやるべきかが明確になり、目標に向けた安心感やモチベーションが高まるのを感じています。
2. 学習場所の選択
そして、自分に相応しい学習の場所で勉強することです。教室の広さや照明などの環境的および地理的要因は、学習成果を高める重要な要素として特定されています(Yar & Shaheedzooy, 2023)。このような物理的な要因のみならず、雰囲気という感覚的要因も存在していると考えています。例えば、自分の場合では、家では「休憩」の雰囲気が強く、家で休むことが多いです。一方、学校では「勉強」の雰囲気が強く、ここで勉強すれば、より効率的に勉強できると感じています。したがって、勉強する前に、場所の属性をきちんと考え、自分にとって一番「勉強」の雰囲気が強い場所を選んだ方が良いと考えています。
3. メリハリをつけた学習
最後に、学習にメリハリをつけることです。M1段階では、毎月1回ゼミで研究発表が求められます。発表の準備には、1か月間の研究成果をまとめ、資料を作成する必要があります。最初の2~3週間を無計画に過ごし、最後の1週間で集中して資料を作成する方法をとる人もいますが、私はこの方法をお勧めしません。なぜなら、短期間で焦って資料を作成すると質が低くなり、発表時に十分なフィードバックを得られないからです。また、M1段階では、単に勉強するだけでなく、「熟考」する時間も必要です。たとえば、学んだ内容が自分の研究目的にどう関連するのか、新規性のある課題は何かを深く考えることが求められます。慌ただしく作成した資料では、この「熟考」が不十分となり、結果的に貴重な機会を浪費してしまうこともあります。
そのため、メリハリをつけて計画的に取り組むことが大切だと考えます。私の場合のスケジュールは次のようになります。
1. 最初の1週間:研究の方向性を明確にし、文献リストを作成する。
2. 2~3週間目:文献を読みながら、発表資料を徐々に作成する。
3. 4週間目:ファシリテーターと相談しながら、資料を修正する。
このようなスケジュールで取り組むことで、焦ることなく、質の高い発表資料を作成することができます。
以上、ファシリテーターとの計画作り、学習場所の選択、そしてメリハリをつけた学習についてお話ししました。これらの取り組みは、自己調整学習を実践する上で非常に有効だと感じています。皆さんが充実したM1生活を送れるよう、心から祈っております。
ZIMMERMAN, B. J. and SCHUNK, D. H. (2011) Self-Regulated Learning and Performance:
An Introduction and an. Overview. In ZIMMERMAN, B. J. and SCHUNK, D. H. (Eds.). Handbook of Self-Regulation of Learning and Performance. Routledge, New York(塚野州一訳(2014) 自己調整学習:序論と概観.塚野州一,伊藤崇逹監訳 自己 調整学習ハンドブック.北大路書房,京都,pp.1-10).