2008.12.24
ちょっと前になりますが、12月5日にMEET Borderless Canvasという「議論するプレゼン」を可能にするシステムのプレス発表とデモ授業が行われました。(山内はデモ授業の担当でした。)
デモ授業は、デジタル教材のクリティークという大学院学際情報学府の授業をベースに展開されました。
MEET Borderless Canvasは、PowerPointのファイルを読み込んで、発表中にタブレットPCから自由に意見や質問を書き込めるようにするためのウェブサービスで、マイクロソフト先進教育環境寄附研究部門の栗原さんが中心になって開発されています。
この様子は様々なメディアに掲載されましたが、最近マイコミジャーナルのコラムで詳しくとりあげられましたので、ご覧ください。
http://journal.mycom.co.jp/column/icteducation/002/index.html
この記事のインタビューにもありますが、活動がシンプルなので一見簡単に実現できそうに見えます。
しかし、技術的には手書きで書いたストロークをリアルタイムで参加者全員に瞬間的に反映させる必要があり、高度なチューニングが必要でした。
また、発表と質疑応答のファシリテーションも、発表してその後に質疑応答という従来のやり方とは全く違う方法を考えなければいけないので、試行錯誤の連続でした。
人から見てシンプルに見えるソリューションにするためは、それを実現するまでにいろいろな苦労が必要なのだということを実感しました。
[山内 祐平]
2008.12.21
【クローズアップ教材】第2回目は、修論まっただなかの牧村がお送り致します。
各自が使っているサービスをご紹介するということになっていますが、実のところ私はオープン・コンテンツ初心者です。
初心者の視点から、どんな楽しみ方があるのかを探ってみたいと思います。
現在日本の多くの大学にも広まっているオープンコースウェアですが、MITで始まったそうです。
ということで、MIT OpenCourseWareを覗いてみます。
まず最初に、利用者や講義をする先生、学生など、OCWを取り巻く人達の一言が紹介されているのが目につきます。
利用者の一人は、「OCWは自分が将来何を学ぶかを決断するための大きな助けになる」と言っています。
そのような利用者の立場は容易に想像がつきますが、学内の人にとってはどうでしょう。
学生の一人は、「OCWを通して、私は教育を世界に向けてオープンにするムーブメントの一部になる」という風に意識しているようです。
また、ある先生は、「自分の講義の質を保つために重要なこと」と述べています。なるほど。
別の先生は「教育的であることと同時に、楽しめるものになるよう、努力している」ということです。
学内の人、学外の人、どちらにとっても、良いもののようです。
使わない手はないですね!
以前このブログでも、【役に立つウェブサイト】(佐藤朝美さん)として紹介されていましたが、もちろん東大にもあります。
最近、私は修士論文提出が近くなるにつれて、これが終わったら大学を出なければならないということをとても寂しく感じています。
在校生、卒業生、学外を問わず、「学びたい」人に開いているOCWは、卒業後も強い味方になりそうです。
...とはいえ初心者の私は、情報の波の中、何から始めれば良いのかわからなくなります。
そこで、JOCW(日本オープンコースウェア・コンソーシアム)を見てみると、各大学の人気コースが紹介されています。
人気のあるものから、次第に自分の興味へと深めていくのもよいかもしれません。
他にどんな楽しみ方があるかなぁと想像していたところ、先程のMIT OpenCourseWareの中で、Architecture and Planningのコースにある、"Experiencing Architecture Studio"を発見しました。
講義ノートはもちろんですが、スタジオでの学生の作品も公開されています。
2008年度後期、山内研究室では、Donald A. Schonの"Educating the Reflective Practitioner"を輪読しています。
その中には、建築や音楽、精神分析などの分野において、指導者と学生がどのようなやりとりをしているのかということが詳細に書かれています。
でも、実際に体験したことがない人に取ってはなかなか想像するのが難しいものです。
本の中では建築学科のスタジオでの、スタジオマスターと学生のやりとりもいくつか紹介されていますが、その様子を想像し、より深く理解するために、OCWで公開されているスタジオの様子を参考にするのも良いかもしれません。
こんな風に、組み合わせて使うことも、学びを深める、そして楽しむために、有効なのではないでしょうか。
学びは学生だけのものではありません。
学校や先生からもらうだけのものでもありません。
自分で自分の学びをデザインするために、OCWは宝の山ではないかと思いました。
[牧村真帆]
2008.12.16
一橋大学大学院国際企業戦略研究科長の竹内弘高先生のお話をうかがう機会がありました。
国際企業戦略研究科(ICS-International Corporate Strategy)は、日本初の本格的なグローバルMBAプログラムで、授業は全て英語、学生の7割は留学生という大学院です。
ICSは、I can't sleepの略だと言われるほどハードなプログラムで、それぐらいしないと、国際的に通用できる人材は育てられないとのことでした。
面白かったのは、欧米の大学院と競争するときに、日本的な「ゼミ」の仕組みを売りにしている点です。寺子屋的な手厚いサポートと教員との深い人間関係が、海外から留学生を呼ぶときの重要な差別化要因だとのことでした。
何をグローバルスタンダードとそろえ、何を特徴として打ち出すか、戦略的な思考が必要なのだと痛感しました。
[山内 祐平]
2008.12.11
シリーズ【みんなの授業】が一回りしましたので、今週からまた新しいシリーズが始まります。
新シリーズのタイトルは【クローズアップ教材】!
最近、各大学のOCWをはじめとして、様々な形で知が公開されています。
そこで、山内研のメンバーが各自の勉強や趣味のために利用している
オープン・コンテンツはどんなものか、紹介していきたいと思います。
みんな、各自の学習の教材として、どのようなサービスを利用しているのか、
ちょっとのぞきこんでみましょう。
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トップバッターのM2坂本が紹介するのは、「iTunes U」です。
「iTunes U」とは、MacintoshでおなじみのApple社から提供されているサービスです。
Apple社が提供している音楽ソフト「iTunes」を立ち上げ、
iTunes Storeに行くと、左側のメニューからアクセスすることができます。
ここでは、ミュージックの購入やpodcastの登録と同じように、
様々な大学が公開している講義映像や音声などのオリジナルコンテンツを
無料で手に入れることができるのです。
具体的には、スタンフォード大学、カリフォルニア大学バークレー校、
デューク大学、マサチューセッツ工科大学などの米国内の著名大学から提供される
教育課程の講義、語学の授業、研究デモ、スポーツの名場面、キャンパスツアーなどの
コンテンツを手に入れることができるそうです。(Apple社 News Releaseより)
たとえば、スタンフォード大学では、「Stanford on iTunes U」というwebサイトを公開しており、
ここからスタンフォード大学のオリジナルコンテンツにアクセスすることができます。
使い方は簡単。画面の下に行き、真ん中にある
「Open Stanford on iTunes U」というところをクリックすれば、
iTunesが立ち上がり、スタンフォード大学のページが現れます。
(※あらかじめiTunesをインストールしておく必要があります。)
左側に様々なカテゴリが並んでいますので、興味のあるところへ行くことができます。
Educationのカテゴリの中には、Teaching and Learningなる領域があったりします。
まったく関係のない分野だと難しくてさっぱりわからないかもしれませんが、
同じ領域ならいい英語の勉強にもなるかもしれません。
ちなみにこのTeaching and Learningというところには、
「Teaching Science: How, What, and Who Decides?」とか、
「Making Teaching More Affordable」などなど、気になるタイトルが並んでいます。
ちなみに坂本のお気に入りは、ベタですが、Steve Jobsの卒業式での有名なスピーチです。
ブラウザで見るのと違い、iPodに入れることができるので、
いつでもどこでもリスニングの教材として利用できて便利です。
もしまだ利用したことがない方がいれば、試してみてはいかがでしょうか。
※ちなみに、東京大学の講義も、iTunesから見ることができます。
iTunes Uではなく、podcastsから検索すると出てきますが、
iPodに入れて持ち運べるというところは一緒ですね。
僕は佐伯先生の講義を持ち運んで勉強しています。
詳しくはこちらに載っています。
[M2 坂本篤郎]
2008.12.09
安藤忠雄建築展「挑戦 -原点から」が開催されています。
(12月20日まで・ギャラリー間)
http://www.toto.co.jp/gallerma/ex081003/index.htm
情報学環・福武ホールの模型も展示されていますが、この展覧会の最大のポイントは、初期(1976年)の傑作である住吉の長屋が原寸大で再現されているところです。
住吉の長屋は、縦に細長い2F建ての民家ですが、入り口と奥のスペースの間の天井がぬけており、「トイレに行くのに傘をささなければいけない家」として話題になった作品です。安藤氏の自然と共にある生活というコンセプトと、コンクリートと鉄で構成された基本コンポートネントは、最新作である情報学環・福武ホールにもそのまま継承されているといってよいでしょう。
30年前の作品にもかかわらず古めかしい感じがしません。同じコンポーネントを使いながらも建築の表情が違うのも興味深い点です。
「何を一貫させ、何を変えるのか」この問題は建築のみならず全てのクリエイティブな仕事に共通した課題なのかもしれません。
[山内 祐平]
2008.12.06
今回で【みんなの授業】シリーズは終了。
トリをつとめます博士課程2年の森玲奈です。
私がが取り上げるのは
文化人間情報学基礎3(通称「基礎3」)という科目です。
これは水越伸先生と山内祐平先生のコラボレーションによる授業です。
この二人は交互に出てくるということではなく、
二人が「いつも」いらっしゃいます。
この科目は、開講されて今年で5年目。
冬学期の科目ですので、まさに今開講されています。
修士1年の履修者が多く、私も3年前に履修しました。
これは、学際情報学府の学生が履修する科目の中で、
最もハードな科目の1つであることは間違いないです。
この科目が楽勝!と言う人は、学環のもぐり、だと言っても過言ではないと思います。。。
■カリキュラムデザイン
簡単に言うと、過去の<偉人>(履修者人数によって異なるが4〜6名)に関し、担当を決めてグループをつくり、調べ、発表し、それをもとに議論をするという授業です。
(※なお、今年度より、形式は変わらないですが、調べる対象は過去の<ムーブメント・動き・グループ>に変更されています。)
■基礎3の難しさ(1):扱う対象の難しさ
基礎3の難しさは(1)調べる(2)発表する(3)議論する、という対象となる偉人のバックグラウンドが幅広いということにあります。
過去のラインナップをご紹介しましょう。
2004年度(1期):
ピアジェ/清水幾太郎/ヴィゴツキー/ミード/デューイ/マクルーハン
2005年度(2期):
デューイ/フレイレ/リースマン/鶴見俊輔/フーコー
2006年度(3期):
バフチン/デューイ/イリイチ/レイモンド・ウィリアムズ/ハロルド・イニス
2007年度(4期):
ベイトソン/モンテッソーリ/リップマン/ロラン・バルト/柳田国男
2008年度(5期):
アップル/バウハウス/新教育運動/思想の科学
■基礎3の難しさ(2):他者の視点を獲得し内在化することの難しさ
グループ持ち回りなので、それぞれ発表担当は2週分(2回)です。
しかしながら、自分の担当でない時は「ただ聴くだけ」でいいわけでは全くありません。
他のグループが発表している回には、発表後のディスカッションタイムでの発言が必要になります。
このディスカッションタイムでは、それぞれの学生は自分の担当した<偉人>の視点に立ち、他グループが担当している<偉人>に対し、質疑をしたり、議論をふっかけたり、それに応戦したりしなければなりません。
すなわち、ちょっとした知的ロールプレイゲームのような様相も呈しているのです。
他者の視点を我がものとし、他者の声を内在化させて議論をするというのは大変ハードな活動です。ですから、同じグループのメンバーとは毎回作戦会議をし、この闘いを毎週やるので、終わるころには「同志」さながらです。
■履修者の受けとめ方
2期〜4期の学生の皆さんに、今回のブログを書くにあたり、数名感想をお寄せいただきました。
・授業名の通り「研究者やその理論」を知る上での"基礎"を学べた。当時は研究に直接関係ない人ばかりでうんざりしていたが、振り返ってみると理論を学ぶ上で、研究者の時代的背景から育ち、さらには影響を受けた研究者との関係性まで見ていくとその研究の本質が見えてくるのだということを体感でき、その後の自身の研究の進め方に影響していたと思う。
・基礎3は二つの学際性っていうのが面白さのポイントかなと思う。1つ目は、対象の学際性。扱う巨人たちは教育だけではないので、違うジャンルの人との関連を考える必要があること。2つ目は、発表する学生の学際性。同じグループの人たちのバックグラウンドが異なるので、その違いが発表資料を作るときにディスカッションになったりする。この2つの学際性があるからこそ、基礎3は盛り上がるのかなと思う。
・分野の違う人物を深く,そしてお互いを絡ませながら調べて発表する機会は,ものごとの共通点や相違点など発見する力を養うのによかったと思う。また,ちょうど1900年前後(100年前)の時代に関わった人たちだったので,100年前の時代を思い描くことを通して,逆に100年後を見通してみるということにも意識が向いて興味深かった。言説や思想の形式というのが時代と結びついているものなんだということは、基礎3を通しての主題のような気もしている。その中でこの時代を生きる自分たちをどう位置づけるかということを問われているのかなと思う。
・(担当した偉人Xについては)教育の分野に直接関係する人物ではなかったのではじめはまったく知らなかったが、自分の関心のあるキーワードと関連づけて学んでいくうち、自分に興味のある分野とのつながりが見えてきた。そして、この人が魅了されていたのはこんな感覚だったのかなとその人生に引き込まれていったのが楽しかった。同じ班のメンバーとも、ああでもないこうでもないと言い争いをしつつも、有意義な議論をすることができた。メンバーそれぞれがXを好きになってしまい、発表の形にまとめるのはなかなか大変だったが、普段だったら交流することのない学環のメンバーとの親睦が深まった授業の1つだと思う。
・そもそも授業のスタイル自体が新鮮だった。毎週大変だったが、まさにHardFunという感じだと思う。新しいことを知るという点でも一度に5人というのはお得な気がするが、それ以上に、分野や時代や国が異なる研究者を関連づけて考えるというのが、やはりこの授業で一番魅力的な点だと思うし、これが大変な点でもあるのだと思う。学環という新しい環境に来て、二足のわらじを履くということをすこしずつ実感できるようになったのはこの授業かもしれないという気もする。
■「基礎3」とは何なのか・・・
履修者に「感想を一言で」と言っても、みんな二言、三言と書きたくなってしまう・・
それぞれの「基礎3」があり、想いがあることがうかがえます。
では、そんな基礎3、その本質とは一体何なのでしょうか。
その手がかりを考えるべく、今回基礎3の2期生 森玲奈は、基礎3の1期生である北村智さん(橋元研OB、現在は情報学環・特任助教)と、この授業の本質とは何なのだろうかという話をしてみました。
ーこの授業は何を学ぶ授業だと思いましたか?
基礎3というくらいなので、やはり「キソ」でしょうね。
ー「キソ」とは何の「キソ」なのでしょう。
文化人間情報学コースにはいろんな先生がいますよね。現在の学問は領域によって分断され、細分化されてしまっていますが、さかのぼっていくと、文系の学問というのは「神学」「哲学」に行き着くわけですよね。それは、昔は一緒に行われていたのです。例えば、僕たちの担当したのはG.H.ミードでしたが、同じ期で扱ったデューイとはとても仲の良いお友達でした。デューイは山内先生、G.H.ミードは水越先生がセレクトされた偉人だったわけですが、この二人は同じ大学で、プラグマティズムという価値観のもと、交流していた。例えばそういうようなこと。そういうことを調べて学ぶことで、学際情報学府にいるものとして、「学際」の「キソ」を学ぶ科目だったのではないでしょうか。
ー学際の困難さ難しさ、可能性も含めてバーチャルに、全て引き受けてみるというような授業だったのでしょうか・・・魑魅魍魎うずまく学問の世界に身を置いてみるということで。
水越先生はよく、「野蛮」という言葉を好んで使われますね・・・
ー「野蛮」、「野蛮」に学ぶ、ですか。でも私は2期だったので、先輩の資料などをひたすらかき集めて授業に望んだので少し心構えができていたのですが、1期は何も下地がなかったわけですよね?
全然知らない人を調べているので、どこを読んでまとめていいのか、ポイントが分からず、発表時に教員に指摘を受けることもしばしばありました。それにiii-onlineにもなっていたので・・・文献講読的授業をe-learningにしてしまうという冒険的授業でしたね。
ーこれがきっかけで、北村さんは山内先生と出会うわけですよね?
そうですね。共同研究をするようになるわけです。不思議なものです。
ーまさに学際的出会いがリアルに生まれたわけですよね。お話ありがとうございました。
■最後に一言
学環に来たら、飛び込んでみる価値はある授業だと思います。
覚悟はいりますが。
【担当:森玲奈】
2008.12.03
Yahoo!が百科事典サービスをはじめました。
http://100.yahoo.co.jp/
もともと国語辞典や英和辞典を無料でサービスしていたので、百科事典を加えることは不思議ではないのですが、現実に小学館の日本大百科事典(ニッポニカ)がオンラインで無料で使えるようになると、大学生へのインパクトが相当ありそうです。Wikipediaと違って、こちらは専門家が書いているものなので、教員も引用を禁止できないでしょう。
百科事典は昔数十万円していたので、知のインフラが誰でも無料で使えるようになることはとてもよいことだと思います。もちろん専門家が書いたものが常に正しいわけではありません。現代は知がすごいはやさで書きかえられている時代でもあります。多様な情報を総合して判断する際の一つの指標として、専門家が提供する知を位置づけるような「情報の読み方」の教育が必要になりそうです。
[山内 祐平]
2008.11.28
第7回の【みんなの授業】は、D2の佐藤朝美が担当いたします.
今回は、夏学期に開講された「学習環境デザイン論」をご紹介します。
■授業の概要
長~い人生において、人は教室の中だけで学んでいるわけではありません。学習者は取り巻く環境との相互作用をとおして能動的に学んでいます。そして、様々な場で学びを行っていると認識してみると、その学びには、「どこで」「誰と」「何を使って」「どのように」・・・など、複雑な環境という要素が絡み合っていることが分かります。
この授業では、学習環境のデザイン原則や背景理論について学ぶことを目標としています。空間・活動・共同体・人工物という視点から学習環境の具体的な事例を報告し、その背景にある原則や学習理論について考察を行います。
何を隠そう、山内先生の担当授業です。
■授業の進行
授業の進み方はざっとこんな感じです。
・前回の議論の確認 10分
・担当より報告 30分
・討論課題提示
・グループディスカッション 30分
・プレゼンテーション 20分
先生を交え、受講者全員がコミュニケーションとっていくようなアットホームな雰囲気です。
■スケジュール
2008年度は下記のような内容で実施されました。
4/18 オリエンテーション 授業の内容と進め方
4/25 ゲストセッション 学習環境デザイン工房
5/9 事例研究:活動 作って・語って・振り返る
5/16 理論研究:活動 構成主義的学習論
5/23 事例研究:共同体 知識を共創する
5/30 理論研究:共同体 実践共同体論
6/6 ゲストセッション
6/13 事例研究:空間 気づきを誘発する
6/20 理論研究:空間 アフォーダンス論
6/27 ゲストセッション
7/11 デザイン課題
7/18 デザイン課題
活動の事例としては、
「Legoブロックをつかったワークショップ」
共同体では、
「不思議缶ネットワークの子どもたち」
「Chrysler Corporation(USA)
空間では、
「多摩美術大学図書館」」
などを扱っており、
ゲストセッションでは、学習環境デザイン工房の方や、山内研出身で東京大学情報学環助手の荒木淳子先生などがいらして下さっています。
■iii online
ここまで紹介すると「受講してみたい!」と思った方が多くいらっしゃるのではないかと思います。なんと!2007年4月13日から7月20日まで行われた授業の映像が一般公開されています。一部非公開のビデオもありますが見応え十分です。是非ご覧下さい。
とはいえ、私が受講した2005年の授業から年々、特に事例など最新情報の動向が学べるようどんどん進化しております。(授業の教室も、ビデオ当時は暫定アネックスでしたが、今年から福武ホールになっています!) 時間が許せば毎年覗いてみたい授業です。このブログをご覧になり興味を持たれた方は是非、来年の夏学期に開講されると思いますので生の授業にもご参加ください。
[佐藤朝美]
2008.11.25
研究室がある本郷キャンパスは秋葉原に近いので、足りない部品があると秋葉原に買いに行きます。
街を歩いていると気づくのが、売れている情報機器の変化です。
ネットブック、それも5万円以下のものばかり売れています。ちょっと前までは2台目ねらいの30代男性が多かったのですが、最近は10代後半から20代前半の女性も増えてきているようです。
この背景にあるのが、ウェブにアクセスできれば多くのサービスを享受できる「クラウドコンピューティング」です。端末はネットにつながってウェブが使えれば十分で、サービスの本体はネットの向こう側にあるという仕組みです。
ネットブックの普及が、ケータイ中心だった日本人の情報行動にどういう変化をもたらすのか、学習支援サービスにどう影響するのか、注意深く見守っていく必要がありそうです。
[山内 祐平]
2008.11.20
「みんなの授業」第6回は、M1の岡本がお送りいたします。
今回は、今年度の夏学期に開講された「文化・人間情報学研究法3」をご紹介します。
「文化・人間情報学研究法3」は、山内祐平先生と水越伸先生が担当されている、
講義+実践形式の授業です。
~前半:講義~
様々な領域で行われている実践研究の概要や、ワークショップのデザインの基本、
その内容の評価の仕方について、講義形式で学びます。
講義形式と言っても、質疑応答やディスカッションももちろんあります。
「なぜ実践研究なのか」という点や研究の方法論については、講義の後にも、他の
受講者と話が盛り上がったりしました。
~後半:実践~
グループに分かれてワークショップ案を作成し、実践します!
もちろん実践するだけではありません。
自分たちが企画・実践したワークショップの評価も行い、その結果を発表します。
なお、結果の発表は授業の受講者だけでなく、過去にこの授業を受講していた
先輩や卒業生の方などにもお越しいただきました。
今期は約20名が受講していたのですが、「仕事としてワークショップに関わった経験
がある」という人や「ここに来るまでワークショップなんて知らなかった」という人など、
いろいろな人がいました。
当然、各自の研究テーマや専門も様々です。
そうした中で、興味・関心をすり合わせ、一からワークショップを企画・実践していくのは、
予想とは違う難しさがあります。
ワークショップのアイデアを考える中で、「参加してくれる人に、普段使わない頭の部分を
使ってほしいよね」ということを何度も話したのですが、「普段使わない頭の部分」をいちばん
使ったのは、私たち受講者ではないかとさえ思いました。
今年は、「色」「音」「声」「人生ゲーム」などをキーワードにしたワークショップが企画・実践
されました。
本実践までの間に、グループメンバーや先生方とミーティングを重ね、場合によっては
複数のプレ実践を行い、案を練り上げて行きます。
途中、思いもよらない発見やトラブルがあり、どのグループも大変だったようです。
でも実際のワークショップで、参加者の方から「こういうところが面白かった!」と、思っても
みなかった部分でのフィードバックをもらったときには、純粋に楽しいと感じました。
もちろん、修士の研究で手法としてワークショップを用いる人はほんのわずかです。
でも、「研究対象、あるいはそれに関連のある事柄に積極的に関わる機会を持つことで、
いかに多くの知見を得られるか」については、この授業で多少なりとも感じることができたの
ではないかと思います。
個人的には、「他の人と協同してひとつの企画をつくりあげていくことの難しさ、楽しさ」に
ついても、考えさせられる部分がありました。
自分の考えをきちんと伝えながら、他の人の考えを聞き、「じゃあ、こうしたら良いかもね!」と
新たなかたちが生まれるプロセスは、難しくもワクワクするものです。
一緒に企画をしたグループのメンバーには、感謝することもいろいろあります。
他の研究室の院生と交流する機会としても、こうした授業は貴重だと感じました。
きっと来年も開講されると思うので、どんなワークショップとそれにともなうドラマが展開される
のか、楽しみです。
[岡本 絵莉]