2015.05.02

【今年度の研究計画】高校生を対象とした協同学習における知識統合過程に関する研究

こんにちは。すっかり暖かくなってきて、半袖で過ごす方も見かけるようになりました。この連休中は天気が良い日が続くと良いですね。
さて、4月よりお送りしています、ブログテーマは「今年度の研究計画書」です。
大学院に進学した問題関心として、学校教育において、生徒が他者と関わりながら、主体的に学ぶことのできる授業を拡大させたいという思いがありました。教育現場に目を向けると、今までの伝統的な一斉授業の学習スタイルに慣れている先生にとって、新たな学習スタイルを導入することには様々な困難があり、それを乗り越えられるような研究をしたいと考えていました。
現在でも、問題関心の根底は変わっておらず、実際の教育現場にいる先生が活用できるような研究にできたらいいと思っています。
4月初頭に行われました研究構想発表会に提出したアブストラクトをご紹介します。

「高校生を対象とした協同学習における知識統合過程に関する研究」
近年、21世紀型スキルが提唱されるなど、社会において求められる人物像が変化する中、学習のあり方も多様化している。教室における学びにおいても、学習指導要領の改訂やPISA調査の実施などにより、生徒が共通の目標達成を目指し、ともに学ぶ協同学習が注目を集めている。協同学習とは小規模グループを活用する教育の一形態であり、自分と他者の学習を最大限に高める目的において、生徒同士の対話は重要な役割を果たしている。協同学習では、成員同士が学習資源となり多様な意見に触れられるという利点がある一方、対話が断片的な意見のやりとりとなるため、それらを統合し文脈として整理することが難しいという課題があげられる。そこで本研究では、協同学習におけるグループの対話において知識統合を促す方法を検討し評価することを目的とする。


まだ、リサーチクエスチョンも固まっておらず修正が必要な段階ではありますが、1度しかない修士2年間を無駄にしないように、自分のやりたいことは何なのか?を常に考えながら、研究を進めていきたいと思います。

逆瀬川

2015.04.20

【今年度の研究計画】高校生の生徒タイプと技術的流暢さに関する研究

みなさま新年度いかがお過ごしでしょうか。
M2になりました青木翔子です。
今年の春は雨が多く、新しく買った春用の靴を試す機会があまりなく、なんだか少し寂しいです。

はい、そんな私情はさておき今回のブログテーマは「今年度の研究計画」です!

この研究を志したとき(去年の研究計画のブログ)は、高校生などの青年が、自主的に参加している学校外のコミュニティ(音楽などの文化、FabLabなどのMaker文化の場)について研究したいと考えていました。学校や家庭に課題を持っていても、学校外のコミュニティに参加することで、全人格的な学習が起きている、その学習に着目したい。。。今もその気持ちは変わっていません。
しかし、この1年間で先行研究をレビューし学習理論を学ぶなかで、学校外の学習の場へ参加し学習する様子を的確に捉えるために、学校や家庭、友人関係などの様々な学習の文脈を考慮した研究を行いたいと考えるようになりました。そして、研究対象とする活動を、デジタルメディアやデジタルファブリケーションなどに絞ることとしました。

ですが、どのように、具体的に何について研究で扱うかに関しては、現在思案中です。
そもそもこの研究をしたい!と思った興味関心(問題意識)を、ひとつの研究に落とし込むことの難しさを感じております。そろそろ完成させて、研究を前進させていきたいです。
ということで、現在の研究案(仮ですが)です。
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◼︎テーマ
高校生の生徒タイプと技術的流暢さに関する研究 ーラーニングエコロジーの観点からー

◼︎背景と先行研究
インターネットの普及・デジタルメディア環境の変化によって、青年たちは学校外でデジタルメディアを活用する機会が増加し、生活環境も変化してきている。このような背景をふまえ、若者がどのような実践を行っているかに関する研究が増加してきている。たとえば、SNS上でのプロフィールや投稿を通して自身を表現したり(Boyd 2014)、コンピュータゲームやオンラインコミュニティでゲームの戦略や課題解決を通じて学習したり(Gee 2005)する実態が報告されている。

めまぐるしく変化する技術やメディアコンテンツなどの状況下では、デジタルメディアを享受することにとどまらず、それぞれ場や技術に適応し、適切にデジタルメディアを活用し、主体的に創造・表現する「技術的流暢さ(technological fluency)」が重要である。Barron(2004)は、高校生が、家庭や学校、オンラインコミュニティなど様々な文脈を移行しながら、読書や授業、学校外の学習プログラムなどの学習資源を活用して技術的流暢さを学習していることを明らかにしている。また、そのような学習資源で構成されるような学習機会を提供する一連の文脈を「ラーニングエコロジー」と呼び、高校生が学習する様子を俯瞰的、文脈横断的にとらえている。Barronの研究では、技術的流暢さを必要とする活動の経験(Webサイトのコーディング、デザイン活動、ロボット工作等)とラーニングエコロジーの関連を明らかにしており、特に性差やどのような学習資源が技術的流暢さに効果的かに着目して分析を行っている。それによれば、女子生徒は家族の働きかけの有無が情報の専門科目の受講に関係すること、学校外の学習プログラムは技術的流暢さの経験と関連があること等がわかっている。

◼︎目的
一方で、家庭や学校での過ごし方は個々人で異なる。たとえば、溝上(2014)は、高校生の活動タイプなどをもとに、高校生を勉学タイプ、部活動タイプ、交友通信タイプといった6つに分類している。
しかしながら先行研究では、どのような学生が、どのような学習資源を持ち、文脈を移行し、技術的流暢さを身につけているのかについては明らかになっていない。実際の高校生に対して学習支援する際や、次の学習活動への参加を促す際には、生徒のタイプごとに支援することが有効である。
よって、本研究では、高校生の技術的流暢さの発達を支援する知見を導出するために、高校生のタイプによって、技術的流暢さに関する「ラーニングエロコジー」がどのように異なるのかを明らかにする。

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他にも、
・いかに高校生は文脈間を移動しているのか(次の活動に移行するトリガーとなる経験や仕掛けは)?
・技術的流暢さを獲得するにあたっての、デジタルメディアを扱う学校外の学習の場(Out-of-School TimeやAfter School Programs)の機能や役割は?(なぜ参加するのか?どうやって参加しているのか?どのような生徒が参加しているのか?)
・いかにアイデンティティや将来展望を獲得しているのか?
・技術に関しての関心が発達していく過程は、どのような要因で変化するのか?
など、気になることがたくさんあります。。。

しっかり今までのレビューを整理して、自分の気持ちも整理して、よいかたちに落とし込めるよう、踏ん張っていきたいと思います。
今年度もどうぞ宜しくお願いいたします。

【青木 翔子】

2015.04.10

【今年度の研究計画】正課外活動の活動内容とキャリア観の関係についての研究

赤門の隣の桜がきれいな時期になりました。新年度ですね。
2015年度第1回目のblogは、今年度の研究計画というテーマで
修士2年池田めぐみが担当させて頂きます。

私は、簡単に言うと、大学生の正課外活動(サークルやインターンシップなど)での学びについて研究しようとしています。
今までの研究から、大学生は正課外活動のなかで、汎用的技能や、エンプロイアビリティを高めていることが明らかにされてきました。しかし、いったい正課外活動の中のどのような要素が、学生の成長に影響を及ぼしたのかということに関しては明らかにされてきませんでした。
そこで、修士研究では、大学生の正課外活動のどのような要素(e.g. ロールモデルになるような人がいる、振り返りの時間が確保されている)が 学生の自己認識能力の向上や、将来展望の明確化等、キャリアに関わるプラスの変化に影響を及ぼすのかということいついて明らかにしていこうと考えています。


先日行われた、学際情報学府の研究構想発表会に提出した、アブストラクトはこちら。

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 大学生が授業のみならず,正課外での活動において学びを得ていることは,欧米において主にカレッジ・インパクト研究,トランジション研究の2つの文脈から明らかにされてきた(Astin 1993, Tchibozo,G 2007).こと日本においても,正課外活動での学びの成果は検証されはじめており,学生が正課外活動において汎用的スキルを獲得していること(山田・森 2010)や正課外で培われるOB・OGなどの人的ネットワークが就職活動に有利な情報を入手するのに効果的であることが明らかにされている(下村・堀 2004).このように,正課外活動は学生の学びや職業への移行を支える上で重要な活動である.しかし,正課外活動の種類は多岐にわたるにも関わらず,活動の種類ごとにその学習成果を比較検討した研究は少ない(Lauほか 2013, 秋元 2012).また,活動に含まれるどのような要素が,学生の成長実感に影響を及ぼしたのかということについては明らかにされていない. そのため,どのような要素を含んだ活動に参加すると,どのような学びが得られるのかということについてはわからないのが現状である.そこで,本研究では,正課外活動とキャリア観の関係に着目し,正課外活動のどのような要素(e.g. ロールモデルになるような人がいる、振り返りの時間が確保されている)が 学生の自己認識能力の向上や、将来展望の明確化等、キャリアに関わるプラスの変化に影響を及ぼすのかということいついて明らかにすることを目的とする.

参考文献

秋元政則. (2012). 「社会人基礎力」の形成と就職活動に対する課外活動の意義 : チームワーク要求型授業との比較から (東京大学教育学部比較教育社会学コース・Benesse教育研究開発センター共同研究 社会科学分野の大学生に関する調査報告書) - (就職). 研究所報, 64, 76-87.
Astin, A. W. (1993). What matters in college? : four critical years revisited. Jossey-Bass.
Lau, H.-H., Hsu, H.-Y., Acosta, S., & Hsu, T.-L. (2013). Impact of participation in extra-curricular activities during college on graduate employability: an empirical study of graduates of Taiwanese business schools. Educational Studies, 40(1), 26-47.
下村英雄・堀 洋元 (2004).大学生の就職活動に おける情報探索行動:情報源の影響に関する検 討社会心理学研究, 20, 93-105.
Tchibozo, G. (2007). Extra-Curricular Activity and the Transition from Higher Education to Work: A Survey of Graduates in the United Kingdom. Higher Education Quarterly, 61(1), 37-56.
山田剛史, & 森朋子. (2010). 学生の視点から捉えた汎用的技能獲得における正課・正課外の役割. 日本教育工学会論文誌, 34(1), 13-21.
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修士生活本当に最後の1年です。できることをコツコツと、頑張っていこうと思います。
行き着く先は、面白い研究であることを信じて。

今年度もどうぞよろしくお願いします。

池田めぐみ

2015.03.24

【1年間を振り返って】千思万考

みなさま、こんにちは。
M1の松山彩香です。
Ylabのwebページがリニューアルされましたね!
すでに自分の名前が修士2年として載っていて、身の引き締まる思いです。
さて、今学期最後のブログとなりました。
「1年間を振り返って」書かせていただきます。

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この1年間を振り返ると、毎日いろいろなことを考えていたなあ、と思います。
そのせいか、あっという間に終わってしまうと思っていた修士1年目は、私にはとても長く感じられました。
研究に関しても、授業に関しても、日常の何気ないようなことにすら、入学前の何倍も頭を働かせていたような気がします。
考えることが増えた理由は大きく分けると2つあると感じており、ひとつは、いろいろな人に会って話を聞いたり、たくさんの場所に出向いたりする機会に恵まれたことです。
岐阜大学でのJSET、隠岐國学習センターへの訪問、小学校見学などを通して、学びについても研究についても多くの新しい発見がありました。
また、専修大学ネットワーク情報学部のTAを1年間務めさせていただき、他の大学の授業に関わることで考えさせられることもたくさんありました。年度末にはCreater's Talkという枠で、私が学部時代学んできたことと現在の研究を紹介するミニ講演をさせていただき、それが自分自身を振り返るきっかけになりました。
そしてもうひとつの理由は、同期と議論ばかりして過ごしたことにあると感じています。
私の同期は全員同い年の同性で身長もほぼ同じという、一見共通点だらけなのですが、考え方や価値観は意外とバラバラなので、口論に近い意見のぶつけあいをすることもよくあります。でもそのたびに価値観を揺さぶられたり、自分の考えが明確になったりするので、日々学び合っているのではないかと思っています。
そんなふうに思考を繰り返した分だけ、自分が少しずつ成長していることを感じることができた一年間でした。

一方で、まだまだだと感じることもたくさんあります。
ゼミの研究発表では、自分のやりたい研究を説明することすら上手くできず、自分の発表資料や発言を振り返っては「なにか違う」という思いをずっと抱えていました。
自分ではよく考えているつもりでも、いざアウトプットしようとすると、ありきたりな言葉を並べただけの浅い内容になってしまい、今でも愕然とすることばかりです。
思考の深さも、伝えたいことを伝える力もまだまだ圧倒的に足りていません。
自分の考えを整理することの難しさ、言葉にできない歯がゆさには、これからも向き合っていくことになりそうです。

それにしても、この1年間、研究内容を二転三転させながらも、あれこれと自分のやりたいことを考えることができたのは、とても貴重な時間だったのだなあと最近になって思います。
来年度からは、修論執筆というアウトプットに向かっていくため、ぐるぐると考えてばかりもいられないからです。
これからの一年は、M1の一年間とはまったく違ったものになりそうな予感がしています。
大変なこともあると思いますが、とにかく楽しんで研究していきたいです。
来年度もよろしくお願いいたします。


【松山彩香】

2015.03.16

【1年間を振り返って】大器晩成

みなさんこんにちは。
年度始めに行われる学府恒例の研究構想発表会に向け、本格的に焦りを見せはじめた、M1の逆瀬川です。

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1年を振り返って

私は、経済学部から学際情報学府に進学し、教育や学習といった分野の知識がない状態でのスタートでした。
また、一斉講義型の授業しか受けてこなかった学部時代に比べ、グループワーク中心の授業やゼミでは、学ぶスタイルも変わり、うまくできないと感じることがたくさんでてきました。

M0の頃からゼミに参加していましたが、最初は質問することができない自分がとても悔しく、コンプレックスを感じていました。

M1になってからも、なかなか質問することができない日々が続きましたが、なぜできないのか考えてみることにしました。
その結果、私は人の話を素早く理解し、その上で、自分の言葉で意見を述べるということに、ひどく時間がかかる。つまり、瞬発力がないのだと気付いたのです。
瞬発力がないから、研究発表を聞いていてもうまく質問することができないし、グループワークで話し合っていたことを、まとめて全体に発表することにも苦手意識を持ってしまうのだと。

それからは、理解を早めるために、必要なキーワードはメモするように心掛け、数をこなさないと成長しないと考え、今までびくびくして言えなかった陳腐に思えるような質問でも積極的にするようになりました。

一年をかけてだんだんと質問が自然と浮かんでくるようになり、グループワークでの話し合いの内容を全体共有することも、苦にはならなくなってきました。

そして最近、就職活動の一貫で行った会社訪問で、企業の方に「君は質問するのがうまいね」と、とても軽い感じで褒められたのですが、
学府に進学が決まり山内研にきてからずっとコンプレックスに感じていたことを、思わぬタイミングで褒められた私は、とても嬉しく終始ニヤニヤしてしまいました。
この1年で確実に成長したと実感できたからです。

上記以外にも、厳しい授業やゼミ、歯に衣着せぬ物言いをする研究室の仲間のおかげで、これまでは気付かなかった自分に不足している部分に出会わなければけない瞬間がたくさんあり、
その度に、少し落ち込み、時には見てみぬ振りをしてしまう自分がいますが、なんとか受け止め、ダメな部分に向き合える人になりたいと思います。

自分ができないんだと悟った瞬間、私たちは成長するための一歩を踏み出していて、できない部分を変えたいと思い、少しずつでも行動することができれば、それは大きな学びに繋がる。というのが、1年間を通して感じたことです。

もちろん、変えていくことは簡単ではなく、たくさんの時間がかかり、性格上どうしようもないこともあるかもしれません。
それでも、まだまだ伸びしろしかない私には、社会にでるまでにたくさんできることが残っているはずです。

今まで見えなかった自分に出会える学習環境があることに感謝しながら、あと1年間、ゆっくり時間をかけて自分と対話しながら、修士論文という経験したことのない大作業を成し遂げたいと思います。

来年度もよろしくお願いいたします。


逆瀬川

2015.03.09

ylab春合宿

少しずつ、暖かな空気が漂い、それに伴い、花粉が舞い始め、春の訪れを感じさせますね。

さて、3月4.5日と、ylab恒例の春合宿にいってまいりました。
今回の舞台は、鬼怒川温泉。温泉で普段の疲れを癒しつつ、通常のゼミでは補えない、研究に必要な学びを2日間がっつりやっていこう。というのが、春合宿の趣旨です。

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1日目はお昼に鬼怒川温泉駅に集合し、お昼を食べた後、早速学習プログラムが始まります。
このプログラムは、修了する先輩方の修論を、M1が読み込み、内容を発表するというものです。
文章の形になった修論を、最初から最後までしっかり目を通すことで、来年度自分たちが執筆するイメージを抱くことができます。


その後は、レクリエーションの一環として、ビブリオバトルをしました。
最近?はやりのビブリオバトルですが、個性豊かなylabメンバーが、普段どのような本を読んで生活しているのか知りたくなり、企画をしました。
学術書に限らず、小説、新書、エッセイ、レシピ本など様々なジャンルの本が集まりました。
本の内容に限らず、自分の好きなものの魅力を相手に伝えるための、効果的なプレゼンを学ぶいい機会になったと思います。
チャンプ本に選ばれたのは、安斎さんの『レトリック感覚』でした。おめでとうございます。
2位はM0の杉山くんの『千字文』と、大健闘でした。

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2日目は、朝から2つ目の学習プログラム「修論ができるまで」を行いました。
修了する先輩方3人と助教のお二人に、終始生活のスケジュールと、修論執筆し終えた経験から言える、当時の工夫や技などを教えていただきました。
その後は、それぞれの疑問点を持ち寄りパネルディスカッションを行いました。

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M0もM1も、修士生活は生まれて初めてのことであり、知らないこと・見当のつかないことで溢れています。そんな不安を和らげ、自分たちの修士生活を描くいい機会になりました。


最後は、鬼怒川観光ということで、ロープウエイに乗り、お猿に会いに行きました。
凄まじい餌の取り合いを目の当たりにし、どの世界にも生きる厳しさがあるのだと痛感しました。

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2日間、みなさんお疲れ様でした。この合宿で学んだことを残りの修士生活に活かし、充実した1年にしたいと思います。

2015.02.27

【1年間を振り返って】和而不同

みなさま、ごきげんいかがですか。
早いもので、春がすぐそこまでやってこようとしていますね。
花粉症なので来週中には病院に行こうと思います。
M1の青木翔子です。

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1年間を振り返って

"この2年間は、こつこつと学び、自分の根をしっかりと深く成長させるということを意識しながら研究を進めたい"

これは、私が昨年の4月に本ブログに書いた目標(思い?)です。
この思いは、1年の時を経てどのように変化したのでしょうか・・・!?
①こつこつ学ぶ、②自分の根を成長させる、という2点にわけて振り返っていきたいと思います。


①こつこつ学ぶための生活リズム
恥ずかしながら学部時代は、毎日こつこつと学ぶというより、参加しているプロジェクトやアルバイトベースの緩急の激しい生活を送っていました。

その生活リズムを、"こつこつ学ぶ"型に変化させようと努めた1年だったように思います。
つい気が抜けると夜型になる生活を、朝方へと徐々にシフトさせ、毎日研究に向き合う時間を忙しくても確保したいなあ、と。

しかしまぁ、習慣をつくる、というのはかなり大変ですね!(苦笑)
一度乱れた生活リズムを整えるには、気合いと工夫が必要ということを学びました。
それでも、今年度は、授業がたくさんありましたので、ある程度の生活リズムをつくることができました。(しかし同時に、課題に追われる日々でもありました。)
M2では、M1のときよりも授業をとる必要性がないので、自力で生活リズムをつかねばなりません。工夫を凝らして、自分にとって心地の良いリズムをつくりながら、研究に向かいたいと思います。その意味で、来年度は、"こつこつ学ぶ"ための良い習慣をブラッシュアップする年にしたいです。

②自分の根を成長させる学習資源
生活リズムの話は、序章、ということで、ここからが本題です(笑)。

・・・自分の果たせる役割は何だろう?
学部時代、専門性や強みとして自信をもてるものもなく、器用貧乏になりかけている(器用でもないが)自分に思い悩んでいた時期がありました。そして、自分の「専門性」を見出し、少しでも根をはりたい!と大学院進学を志し、いまがあります。もちろん、いまも専門性の「せ」の字もないですが、1年間でとても成長したように感じます。

そこで、どのような学習資源(経験や活動)を通して、この1年間学んだのか?について、私なりの視点で、簡単に振り返ってみます。

まずは、毎週のゼミです。
ゼミは、学習資源の宝庫です。ゼミ生の発表資料はもちろんですが、忘れてはならないのが、ディスカッションでの先生・助教の方々、先輩方のコメントです。「なぜあの方はあの発言をしたのか?」と再度自分自身に問うと、その人の知識の深さや研究への視点、着眼点に関する仮説が浮かび上がってきます。(もちろん、まだまだわからないことだらけですが。)そうすると、他のゼミ生へのコメントも、自分の研究に対するコメントへと変換することができ、学びが広がったように思います。

次の大きな学習資源は、論文や本を挙げることができます。
その著作を知識として取り込むのはもちろんですが、論文や本を読むときも、その論文や本の、社会的背景、研究的な位置づけを意識して読むと、「研究」をメタ的に捉えることができます。
そして、ゼミでのディスカッションと同様に、なぜこの著者はこの研究をした、そしてなし得たのか?この研究の着眼点をどのように獲得したのか?と問いながら読むと、さらに楽しく読むことができました。
直接的な論文や本ではありませんが、図書館の論文誌の棚も学習資源として活用していました。どのような論文誌があり、どのような研究がなされているのか?ということは、自分の研究を立ち位置を確認できますし、ピンとくるキーワードに偶然出会えることもあるでしょう。

そして、忘れてはならない学習資源には、インフォーマルな議論やおしゃべりの数々があります。
研究について、研究室の研究室の同期や先輩方とのインフォーマルに様々な議論や雑談をできたことは大変有意義で、たくさんの気づきや学びを得ました。ゼミの研究発表以外の場で、研究に至るまでの個人的な思いや、こだわりに関して互いに話すことで、一人でパンクすることもなく(パンクはしかけたりしてますが)、研究を進めることができましたし、自分でも気づかなかったことを発見させてもらったりしました。

最後に、「学際情報学府」という学習環境としての素晴らしい学習資源がありますね。
学際領域にいることによって、自分自身の研究の立ち位置というものを否が応でも考えることとなりました。授業では、グループワークなども多く、そこでも会話も、それぞれの研究分野の独自性が感じられ刺激的でした。
そして、授業内容も、実践的なものから、基礎的なものまで幅広く学ぶことができました。

自分なりの「根」は、このような豊かな学習資源によって、少しずつ、少しずつ、成長した1年でした。
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ブログのタイトルにもある「和而不同」、読む下しますと、「和して同ぜず」。
その通り、様々な方々と関わり合いながらも、研究を進め、自分なりの「根」を築くことができるよう邁進して参ります。
今年度、お世話になった方々、本当にありがとうございました。
来年度もどうぞよろしくお願いいたします。

青木翔子

2015.02.22

【2年間を振り返って】雨奇晴好

皆さま、こんにちは。
M2の中村絵里です。
間もなく修士課程の2年間が終わろうとしています。
この4月からは、教育学研究科 教育内容開発コースの博士課程に進学することが決まりました。春からの進路につながる道が開けたのは、修士の2年間があったおかげです。
本ブログを書かせて頂くのは、今回で最後になりますが、改めてこの2年間を振り返ってみたいと思います。

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雨奇晴好。
私にとって、この2年間は、ある意味で天候のように自らの意思ではどうにも変えられないものに逆らうことなく、その天候に合わせて出来ることを精一杯行ってきた2年間でした。

晴れの日は、私にとっては、大学院の授業やゼミに出席したり、ゼミ合宿や学会に参加したり、フィールドに出たりといった研究のために費やすことのできた日々のことです。
一方、雨の日は、片道約2時間バスや電車で通学に費やした時間や、子どもたちが寝静まった後の深夜や早朝の時間のことです。雨の日は、とにかく文献を読んだり、研究経過をまとめたり、課題に取り組んだりといったことに充てていました。

私の場合、晴れと雨以外に、曇りや嵐の日もあり、それは、どうにも身動きが取れずに研究以外に費やす時間でした。

M1の頃は、晴れの日が多かったような気がします。
週に5日は授業やゼミのために、大学に来ていました。授業の課題も多かったので、課題に取り組みながら研究の基礎力を養うことに時間を割いた1年でした。

M2になると、私自身の生活に変化があり、曇りや嵐の日が増えました。
1つには、子どもの小学校のPTA本部役員という親としての仕事が入りました。市内でも特にPTA活動の盛んな小学校であるため、平均すると週に2回以上は、PTA活動のための会議、小学校での印刷作業、自宅での書類作成作業、学校行事などがありました。こちらは、まだ継続中ですが、地域の子どもたちのためと思って、もうしばらく尽力したいと思います。また、夏以降には、週2日仕事を始め、さらに週1日は、研究のカウンターパートとしてご協力頂いたNGOのセーブ・ザ・チルドレンでインターンとして海外事業部の仕事の補佐をしていました。仕事もインターンも、私自身の研究と関連が深かったので、それぞれの活動から学ぶことは多かったと感じています。

M2の1年間での晴れの日は、モンゴルでのフィールド実践と、その後の分析・評価、そして修論執筆でした。私にとって与えられた晴れの日は、日数も時間も限られていましたので、晴れの時にできることを最大限行おうと心掛けました。12月後半に、朝から晩まで修論執筆のために、自宅に籠ることができた日々は、今から思えば最高の晴れ間でした。この時に、子どもたちの世話をしてくれた実家の両親や姉の家族、そして、協力してくれた夫には心から感謝しています。

最後になりましたが、2年間を通してご指導くださった山内先生をはじめ、助教の先生方、研究室の先輩方、同期のみんな、そして後輩たちには、本当にお世話になりました。
山内先生には、研究過程の重要なポイントごとにご助言をいただきました。また、ファシリテーターの伏木田先生は、M1の時に研究知識がほぼゼロだった私に懇切丁寧に指導してくださいました。そして、M2の時のファシリテーターを務めてくださった荒先生は、研究の方向性や実践計画を固めていく上で、多くの時間を割いてアドバイスしてくださいました。この場をかりて、皆さまに心より感謝申し上げます。

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晴れの日も雨の日も、また、曇りの日も嵐の日も、それぞれに美しい景色が見られるように、周囲の環境に惑わされることなく、その時々でできることを最大限に行ったとても充実した2年間でした。

ありがとうございました。

【中村絵里】

2015.02.15

【2年間を振り返って】駑馬十駕


こんにちは。まだまだ寒さが厳しいですね。
「振り返り」シリーズ第3回は、M2の池田がお送りいたします。

振り返るべきこと、反省すべきことは多々ありますが、今回は
現場を見るということ、論文と向き合うことについて、
新しく気づいたことを書いていきたいと思います。

■現場を見るということ

この1年は、私にとって、多くの大学生と会った年だったと思います。
大学生に研究のヒントになりそうなインタビューをさせていただいたり、
ワークショップの参加にご協力いただいたり、
また、TAとして、大学生の授業の様子も見させていただく中で
去年度よりもはるかに多くの大学生とかかわって?きました。

本物の大学生とお話したりするなかで、
普段論文を読んでいるだけでは気づかないような
大学生がどのようなことを考え、日常を過ごしているのかということや
自分が勝手に持っていた仮説が間違っていることなどを知ることができたと思います。

リアルな状況を見る中で気がつくことってたくさんあるんだな。
もっと観察の仕方を学びたいなと思った1年でもありました。


■論文と向き合うこと

今まで論文と向き合うということが私はとてつもなく下手くそでした(現在進行形で苦しんでいますが)。
論文を読んでも、それをどう組み立てて良いかわからず、
論文が自分の血や肉になっていない感がぷんぷんするのです。

この1年、ゼミやファシリテーターの森さんにご指導いただく中で、
そんな、血にも肉にもなっていなかったレビューの作業を
血肉にしていくにはどうしたらよいかということがぼんやり見えてきた気がします。


先行研究は、自分の研究を位置づけるようにまとめないと意味が無い
先行研究との差異はどこにあるのか
なぜ、この研究をする意義があるかということをまとめて道筋を立てる
がんばらないとな。

ーーーー
さて、こんなあたりまえのことにあらためて気づいたとしでもありましたが
駑馬十駕という言葉を信じて無事修論を書き上げられるようがんばりたいと思います。
次はM2の中村さんです。

2015.02.08

【2年間を振り返って】孟母三遷

こんにちは。山内研修士2年の青木です。
先月末に修士論文口頭試問が終わり、今はずっと先延ばしにしてきた自動車免許の取得のために教習所に通う日々です。同時に、来年度から所属することになる業界について少しでも知識をインプットしようと、隙間を見つけては情報収集をしています...

さて、今年度最後のお題は「振り返り」ということで、修士2年間を振り返ってみたいと思います。

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◯1年目:模索→焦点化
1年目の初めは、「大学院で研究する」ということがどのような活動をすることなのか、正直はっきりとわかっていなかったように思います。様々な領域から学生がやってくるこの学府にとってそれは必然なのかも知れません。とにかくそんな状態なので、その進め方に慣れることに精一杯でした。僕はもともと理工系の研究室に所属していて、指導教員と一対一の相談で研究が進んでいくスタイルに慣れていたこともあり、まずは山内研のようなゼミとファシリテーターとの相談を中心に研究が進むというスタイルを受容することから始まりました。
研究の進め方に慣れてくると、次は自分がやりたい研究は何なのかということを自問自答する日々が続きました。もともと学習について学部時代にあまり(というかほとんど)学んでこなかった自分にとって、日々流れこむ知識は全てが新鮮です。昨日まで考えていたやりたいことが、今日読んだ文献によって揺さぶられるということが多々起きました。そのうち、読んだ文献に引っ張られて自分が何を研究したいのか、わからなくなって混乱してしまう時期もありました。自分の今やっている文献レビューは、果たして自分のやりたい研究につながっているものなのかどうなのか、ということを毎日ぐるぐる考えていました。
1年目の冬、ひと通り土台となる理論や先行研究のレビューを進めてきたころ、実際の現場で学習者にヒアリングをして、自身の研究の関心の領域と照らしあわせて問題点を焦点化する段階に入りました。研究室の諸先輩方のご協力の下、複数の学校で放課後にさまざまな高校生とお話させていただいた結果、実際に高校生の抱えている問題を受けて、今まで調べてきたことに濃淡がついていく感覚を覚えました。もっと掘るべき場所と、切り捨てる場所がなんとなく見えてきたように思い、ここで「自律的な学習」から「学習の計画性」「先延ばし」という研究の軸が見え、研究計画がある程度形になりました。


◯2年目:実装→実践→記述
正直、焦点化した問題はかなり根が深くレビューも不完全な状態だったのですが、自分のとった問題点の解決方法が「システムによる介入」である以上、開発物を作らないことには先に進まないので、夏から秋にかけてはひたすら実装作業に続きました。しかし、学部時代に経験したことのないスケールの開発で、さらにWeb系の使用したことのない言語もあり、その習得が必要だったので、概形が完成するまでにどれほどの時間を要するかなかなか検討がつきませんでした。知り合いのエンジニアの方のご協力も受けながら、付け焼刃的ではあるものの漸進的に進めていった結果、操作性はともかく機能面に関してはなんとか形になりました。
同時に、システムの効果を測定するための評価実験についてもその協力者を検討していたのですが、夏合宿で訪れた隠岐島の方々のご好意によりそこで評価実験をおこなうことになりました。評価実験をおこなう際には、種々の困難もありましたが、結果として非常にリッチなデータが得られる結果となりました。
ここまでの段階で、修士論文提出までは約一ヶ月。かなり時間的にハードなことは目に見えていましたが、とにかく書き進めるということを念頭に置いて残り時間を常に意識しながら「暫定的な完成」を数回経て、修士論文の完成に至りました。


◯満足のいく研究のために
以上、事実をつらつらと書いてみましたが、ここから少し振り返ってみて、もっとこうすればよかったかな、と思うことを書いてみようと思います。

【レビューを加速させるために】
学府の学生はほとんどそうですが、他領域からやってきた人間にとって、新しい領域で学術研究レベルの知識を修得することは非常にハードルが高いと思います。もちろん、入試までにある意味「教科書」的な必読書はある程度読んできましたが、「読み」を加速させるための既有知識量としてはまだ不十分なものだったように思います。今になって思うのですが、最初読むのが辛かったハンドブックが、今ではスムーズに読み進められたりするのは、やはり専門的な用語およびその語が用いられる領域について「出会う」経験を積んだからだと思います。まず初めの時期はそのような「出会う」機会を増やすために、専門書や論文を読む合間に、学部生向け、一般層向けの書籍(新書、有斐閣アルマの赤丸のもの、放送大学テキストなど)を読んでおいてもよかったかな、とも思います。

【とりあえずつくってみる】
教育工学研究では「開発」「実践」を扱う研究が多く、研究室の修士生も僕を含めて多くの方がそれをおこなってきていますが、全てがうまくいく結果に結びつくとは限りません。少しでも期待する結果に結びつけるためには、可能であればまだ早いと思う段階でも何かしらつくってみても良いのかなと思います。もちろん、何事にも「プレ」はすべきだということは各所で言われて来たことではありますが(僕の場合は十分にできませんでしたが)、それよりももっと早い段階で一度かたちにしてみる、また、スキル等の関係で十分につくれなくても、かなり具体的に「つくったものがどのようなものになるのか」について考えておくことは無駄にならないように思います。もちろん、レビューとの優先順位は考えながらですが。

【だれがどうなるべきなのか】
これもあたりまえのことなのですが、対象となる学習者の像をできるだけ具体的にイメージすることが重要だと思います。そのために、研究対象となりそうな方々に会ってお話をすることはもちろん重要ですが、できれば可能な限り多くの幅広い方々とお話をするべきだと思います。やはり時間の問題はありますが、お話をした方の数だけ、文献からは読み取れないような一人ひとりの生活背景やマインドを伺うことができます。そこから常に自身の研究との接続を考えてブラッシュアップしていくことが、より質の高いアウトプットに結びつくのではないでしょうか。


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最後に、総合的に俯瞰して実感したのは、研究は常に暫定解しか出せないということです。
自分にとって新しい発見が生まれる度に、理想のゴールが少しずつ前に移動していき、本当に納得できるものにたどりつくことは難しいことを実感しました。しかし、その暫定解と根気強く向き合っていくことが修士研究を進めていく際の真摯な態度ではないかとも思いました。
別の領域に移動すれば別の領域の慣習があり、その中での学びがあります。いろいろな場所でいろいろな学習者に会えばまた、その中でしか得られない学びがあります。赴いた場所、領域でその都度自身の考えを再構築していくことが、研究自体にとっても僕自身にとっても理想的なものにつながるのかなと思いました。


なんだか長くなりましたので、このあたりで終わります。今春からは社会人として、また新たな領域で精進したいと思います。


青木智寛

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