2015.06.21
東京も梅雨入りしましたね。
洗濯物を外に干せなくて悲しい気分が続くM2の青木翔子です。
今回のブログテーマは、最近気になっているキーワード、ということで、私からは、21世紀型スキルを簡単に紹介したいと思います。
「21世紀型スキル」とは、ACT21S「21世紀型スキルのための教育と評価プロジェクト」(assessment & teaching of 21st century skills, ACT21S)にて定義されている言葉です。
21世紀は、グローバル化・高度情報化が進展し、知識・情報・技術が人の活動を動かしていくような知識基盤社会と呼ばれます。
未知の状況や、答えのない課題に向き合うときには、既存の知識や技術だけでは通用しません。適切な問いを立てたり、情報を収集したり、新しい技術や必要な資源を手に入れたりしながら、対処し、新しいものを創造していくことが求められます。さらに、そういった活動では、他者と協力しあうことが必要不可欠になっていくでしょう。
このように、工業中心から知識基盤社会へと転換している現代において、求められる能力像が変わってきているなかで、教育のあり方とその教育をどのように評価していくべきかを考えるプロジェクトが、ACT21Sです。
21世紀型スキルでは(1)思考の方法、(2)働く方法、(3)働くためのツール、(4)世界の中で生きるに分類され、10個のスキルを定義しています。
(1)思考の方法
創造性とイノベーション
批判的思考、問題解決、意思決定
学び方の学習、メタ認知
(2)働く方法
コミュニケーション
コラボレーション(チームワーク)
(3)働くためのツール
情報リテラシー
ICTリテラシー
(4)世界の中で生きる
地域とグローバルのよい市民であること
人生のキャリア発達
個人の責任と社会的責任
そして、さらに、それらは、知識、技能、態度のカテゴリから整理されます。
知識:10個のスキルそれぞれに要求される特定の知識や理解のために必要な内容
技能:児童生徒の能力・スキル・プロセス
態度・価値・倫理:21世紀型スキルの一つひとつに関係するような児童生徒の行動や適性
また、このACT21Sプロジェクト以外にも、世界中で知識や技能だけでなく、人間の全体的な能力を定義し、教育目標を設計しようとする動きが広がってきています。
新しい能力を捉えようとする言葉には、key、generic, general, 21st centuryとcompetencies、skills, capabilitiesなどを組み合わせたものが多いようです。ここで、国立教育政策研究所(2013)報告書の図を掲載しておきます。
このように、世界の動きを概観すると、基礎的なリテラシー、認知スキル、社会スキルの3つが含まれていることがわかると述べられています。(日本の動きも踏まえ、この報告書では「21世紀型能力」の提案もなされています。)
こういったスキルや教育目標などにはいろいろな感想があるかと存じます。しかしながら、時代や技術が劇的に変わっている・そしてこれからも変わっていくのも事実です。そして、どんなに時代が変わっても、変わらず教育が目指していくべきものもあると思います。
今度、教育とはどのような役割を担っていき、どのような形態になっていくのでしょうか。そんなことを考えるひとつの重要な資材が、21世紀型の能力像だと思います。
同時に、ここでは深く触れませんでしたが、評価のあり方については私たちはもっと慎重に考える必要があるとも思います。
まだまだ私も勉強不足ですので、ちゃんと勉強していきたいと思います。
では、このへんで失礼いたします。
【青木翔子】
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*参考文献
Griffin. P, McGaw. B, Care. E(2012)Assessment and Teaching of 21st century Skills, Springer Netherlands.(=2014,三宅なほみ監訳、益川弘如・望月俊男編訳『21世紀型スキルーー学びと評価の新たなかたち』北大路書房)
国立教育政策研究所(2013年3月)「社会の変化に対応する資質や能力を育成する教育課程編成の基本原理(教育課程の編成に関する基礎的研究 報告書5)」『平成24年度 プロジェクト研究調査研究報告書』