2015.06.11

【最近気になっているキーワード】フォーマル学習とインフォーマル学習

みなさんこんにちは。
【最近気になっているキーワード】シリーズ第1回目の今日は、私M2の池田がお送りします。
私が昨今気になっているキーワードは、インフォーマル学習です。


普段、日々を過ごしている中で、授業で何かを習ったりしたわけではないけれど、「あー、勉強になったなー」「学んだなー」と感じた経験はありませんか?インフォーマル学習とは、おそらく、そんなときに起きている学びです。
しっかりした定義を持ってくると、インフォーマル学習とは、フォーマル学習(学校での授業など、組織化され、構造化された学習)と違い、「仕事、家庭生活、余暇に関連した日常の活動の結果としての学習(0ECD 2011)」のことです。
例えば、サークル活動の中で人間関係のトラブルがおきて、それに対応して行くなかで、知識やスキルが身に付いた場合、サークル活動の中でインフォーマルな学びが起きていたということができるでしょう。

フォーマル学習と、インフォーマル学習の違いはOECD(2011)により、下図のようにまとめられています。

スクリーンショット(2015-06-11 19.55.29).png

※OECD(2011)を参考に筆者が作成

フォーマル学習とインフォーマル学習の間にはノンフォーマル学習という学習も存在します。ノンフォーマル学習とは「学習(学習目標、学習時間、もしくは学習支援の観点から)としては明確にデザインされていないが、計画された活動に埋め込まれた学習(OECD 2011)」のことで、ワークショップなどが、それにあたります。


このようにフォーマル学習と、インフォーマル学習は学習の提供者等によって分類されています。しかし、これらの学習が全く持って別ものというわけではありません。昨今では、フォーマルな学びとインフォーマルな学びのつながりに着眼した研究も見られます。
例えば、アメリカの研究では、家庭での数学的経験(くだものの数を数えるなど)が、後に数学を学ぶ際の理解を助けることが明らかにされています(Bevan et al. 2013)。また、日本の大学生研究においても、授業外の活動において、授業で学んだ知識を使ったり、活動に参加する中で、もっと学びたいと思った授業を、学生が履修するようになることが明らかにされています(河井 2012)。


MOOC等オンライン学習やワークショップ、企業やNPOが企画する数々の参加型学習などの広まりと共に、フォーマルでない学びの場もたくさん溢れる世の中になりました。山内先生(2013)が言うように、フォーマルな学習と、インフォーマルな学習がシームレスにつながっていく中で、学習者ひとりひとりが持つ可能性が最大限に発揮できる学習環境が構成されていくと良いですね。


参考文献
Bevan, B., Philip, B., Stevens, R., & Razfar, A. (2013). Lost opportunities : learning in out of school time. Springer.

河井亨. (2012). 授業と授業外をつなぐ学生の学習ダイナミクスの研究 : WAVOCプロジェクト参加学生へのインタビュー調査の分析から. 教育方法学研究 : 日本教育方法学会紀要, 37, 1-12.

OECD(2011). 学習成果の認証と評価 : 働くための知識・スキル・能力の可視化. 明石書店.

山内祐平. (2013). 教育工学とインフォーマル学習(<特集>情報化社会におけるインフォーマルラーニング). 日本教育工学会論文誌, 37(3), 187-195.


池田めぐみ

PAGE TOP