BLOG & NEWS

2014.06.03

【山内研の活動】ファシリテーター制度

こんにちは。
先週末は、突然真夏のような暑さになりましたね。
これから外にでることさえ億劫になりそうですが、元気に研究して行きたいと思う今日この頃です。

さて、前回からブログテーマが【山内研の活動】に変わりましたが、本日は、今やなくてはならない大切な存在となった"ファシリテーター制度"について紹介したいと思います。

ファシリテーターとは、読んでその字のごとく、研究を"促進してくれる"役割を持った先輩が、研究のサポートをしてくれる制度です。
他の研究室では、メンターなどとも呼ばれているようですね。

前回のブログにも書かれているように、山内研では、1ヶ月〜1ヶ月半に1度研究の進捗発表があります。

各研究発表の間に、1度ファシリテーターと面談をし、前回の発表で得た課題、その後研究を進めた上で気づいた課題などを共有し、
次回の研究発表に向けた研究の方向性を一緒に検討します。

上記の面談以外にも、文献の探し方など、些細な疑問にも答えてくれるとても頼りになる存在です。

この制度は2010年から始まり、徐々に形を変えながら今の形式をとるようになりました。
制度ができた当初の様子については、下記をご参照ください。
http://blog.iii.u-tokyo.ac.jp/ylab/2010/10/post_266.html

以前は、研究関心によってグループをつくり、グループに1人ファシリテーターがつくようになっていましたが、
現在では、修士1年から1対1で以下のようにファシリテーターの方が担当してくれています。
修士1年→博士課程以上の方
修士2年→特任助教
博士課程→外部の方
博士3年→山内先生

私は、研究のやり方なんて皆目見当がつきません。という状態で大学院に入学したので、ファシリテーターの存在はとてもありがたく、なくてはならないものだと感じています。
また面談以外にも、英語が苦手な私と一緒に、英語で書かれた原書の輪読をしていただくなど、本当にお世話になっています。

山内研のとても手厚い研究環境に応えられるよう、また、ファシリテーターに頼りすぎることのないよう、真面目に研究しなければ...としみじみと思いました。

次回以降も、合宿、学会、飲み会など山内研ならではの行事を紹介するので、楽しみにしていてください。

逆瀬川愛貴子

2014.05.26

【山内研での活動】研究発表


みなさまこんにちは、M1の青木翔子です。

本日より、新たなブログテーマ【山内研での活動】に切り替わります。

山内研では、日々どのように研究が進められ、1年を通してどのような活動が行われているのでしょうか。
今回のブログテーマでは、その一端をご紹介できれば、と思っております。


第1回めの今回は、「研究発表」についてです。
院生の生活の中心は、「研究」ですが、その研究の進め方はそれぞれの研究室によって異なるかと思います。

山内研の特徴としては、じっくり研究について議論する場が設けられているということがあります。

方法としては、山内研ではゼミの時間に研究の進捗報告として、「研究発表」が行われます。
ゼミは週1回開かれ、順番に2人ずつ発表を行います。
ですので、自分の順番が回ってくるのは、1〜1.5ヶ月に一度です。


※研究発表でのポイントは、2012年度のブログテーマ【研究発表のこだわり】で詳しく述べられているので、是非そちらもご覧ください。
http://blog.iii.u-tokyo.ac.jp/ylab/2012/11/
http://blog.iii.u-tokyo.ac.jp/ylab/2012/12/


研究発表では、進捗報告の後のじっくり且つ活発に議論できる場が要です。

助教の方々、先輩方からの鋭い質問や問いかけ・アドバイスはとても身に沁みるものばかりです。
自分の発表ではないときも、進捗報告を集中してききそこから意義のある質問を生み出す、という訓練になります。
ディスカッションでの会話こそが研究を深め、学びを深めるのだなあ、としみじみ感じております。
そして、そこで出た課題と山内先生からのご教授をもとにまた次の研究へと移行していきます。

M1の身ですので、研究をどのように進めていけばいいのか?など不安は尽きません。
しかし、山内研での充実した議論やフォロー体制を経て、学んで行きたいと思っております。



なんだか、堅苦しい感じになってしまいましたが、ゼミでの活動は、とてもとても楽しいです!

第2回め以降では、ファシリテーター制度や、合宿について書いていきます!
お楽しみに!

--------お知らせ----------------

5/31(土)13:00〜
学際情報学府の入試説明会が開催されます!
山内研への受験をお考えの方は、是非この機会にお越し下さいませ。

当日は、山内先生もいらっしゃいますし、研究室案内なども行う予定です。
また、ブースでは、関連書籍も紹介しております。
http://www.iii.u-tokyo.ac.jp/news/2772
みなさまにお会いできるのを楽しみにしております!

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青木翔子

2014.05.16

【今年度の研究計画】創作活動を通じた学習を支援するツールの開発

みなさま、はじめまして。
今年度より山内研でお世話になっているM1の松山彩香です。

入学して一ヶ月半が経ち、本郷キャンパスに通うのにもすっかり慣れつつあります。
私は、何かを作ることで学べるツールを開発したい!と思って山内研に来ました。
学部時代とは研究分野が少し異なるので、大変なこともありますがその分新しい学びの多い毎日を送っています。

今年度の研究計画について、ざっくりとですが紹介させていただきます。

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■タイトル
創作活動を通じた学習を支援するツールの開発

■背景
現在の学校教育は教科書の文字を追う授業スタイルが主流であり、教科学習において生徒が受け身になりやすい。近年は「基礎から積み上げていく学び」から「基礎に降りていく学び」への移行が検討されており(市川 2004)、実現したいものを創作するために学ぶことは後者であると言える。創作は教科学習の意義を実感できる機会も多いが、教科学習に苦手意識がある場合、創作活動と教科活動の結びつきを意識できない場合がある。

■目的
本研究では、小中学生に創作活動と教科学習の結びつきを意識させるツールを開発し、教科学習に対する意欲を向上させ創作における発想力を増加させることを目的とする。

■期待する成果
創作活動と教科学習の結びつきが意識されることで、教科学習に対する意欲を向上させ、学習したことによって創作の幅を広げることができる。また、創作だけでなく、自己の活動と教科学習を結びつける意識作りを支援する効果が期待できる。

■補足
院試のときはシリアスゲームなどのツールを提案し、これよりもう少し具体的な内容で書いていました。
ですがもう少し幅広く考え直し、現在また新たに絞り込んでいるところです。
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これから2年間、自分らしい研究ができるようにこつこつ努力していきたいと思います。
まだまだ未熟者の私ですが、これからよろしくお願い致します。

さて、本郷キャンパスでは明日から五月祭が始まるので、今日はその準備でキャンパス内がとても賑やかでした。
私も論文読みの息抜きということで来場者として楽しみたいと思います。

また、5/31(土)には、私たちの所属する学際情報学府の入試説明会があります。
山内先生に加え、M1の3人で山内研を紹介させていただきます。
どんな方にお会いできるのか、とても楽しみにしています!


【松山彩香】

2014.05.10

【今年度の研究計画】社会とのつながりを見出す協同学習に関する研究

はじめまして。
今年から山内研究室で学ばせていただいております、逆瀬川愛貴子と申します。

文系学部しかない大学から、学際情報学府に進学してから1ヶ月と少し経ちました。
この大学院は、理系からの進学者がいるだけでなく、社会人の方も多く学んでいるので、さまざまなバックグランドと価値観を持った方々と接する機会があり、とても刺激的な毎日を過ごすことができています。

さて、記念すべき初ブログのテーマですが、「今年度の研究計画書」ということなので、まだ具体性の足りない状態ですが、申し訳程度に紹介させていただきます。

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◆タイトル
社会とのつながりを見出す協同学習に関する研究

◆研究背景
現代においては、地域や地域社会の問題の解決に向け、当事者意識をもち行動できるグローバル時代に対応した資質・能力、技能をもった人間の育成が重要であると指摘している。(多田2013)

また、小学校から高校まで全ての学校で総合的学習の時間が導入されることになり、これまでの学校教育で支配的だった一斉授業の形態が、もはや成り立たなくなってきていると述べている。(中野2001)
社会において求められる人物像が変化する中、学習のあり方も多様化しており、学生が共通の目標達成を目指してともに学ぶ協同学習が注目を集めている。協同学習とは、教育において小集団を活用するもので、自分と他者の学習を最大限に高めるために、協同して学習するものであり、(Johnson, D.W,&Johnson, R,T& Smith. K. A.2001)他者との関わりの中で学ぶことにより、学習テーマについてより意欲づけられ、自分の意見を表す機会が保証されるため、学習内容のより深い理解につながる理論である。

◆研究内容
社会協同学習というアプローチでリサーチを進めていき、社会でおこっている様々なことがらを自分に関連のあることと捉えられる想像力を培い、社会とのつながりを意識する中で、生徒が改めて自己を見つめ直すような研究をしたいと考えている。

◆キーワード
社会
協同学習
シティズンシップ教育
開発教育
ESD教育
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現在は、協同学習の理論について学んでいる段階ですが、
日々こつこつと文献を読み進めることで、研究について右も左も分からなかった私が、最近やっと自分の中で知識が体系化されていく感覚をわずかながら感じられるようになりました。
こうも優秀な方々に囲まれると、自分に足りない部分が見えて落ち込むこともありますが、これから2年間、たくさんの発見と学びに出会えるよう、日々邁進していきたいと思います。

【逆瀬川愛貴子】

2014.05.01

【今年度の研究計画】大人と若者をつなぐ学習環境デザイン

はじめまして!4月から山内研でお世話になっておりますM1の青木翔子と申します。

入学から1ヶ月経ちましたが、学際情報学府、そして山内研という学びの場に、今までにないワクワクを感じております。
そして、同じ目標を持って励む仲間に出会えたことに、改めて幸せを感じております。
さて、そんな私の研究計画ですが、以下のようなものを考えております。

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■タイトル
大人と若者をつなぐ学習環境デザイン ー若者文化に着目してー

■背景・目的
現在、若者の問題として、生活において個人化が進み、人間関係の希薄化が進んでいることがあげられる。特に、社会から閉ざされた学校という世界にいた若者は、モデルとする大人に出会うことがなく将来展望も持てなくなっている。
よって、本研究では、若者を対象とし、人間関係・将来展望を形成する実践共同体をデザイン研究することとする。

■仮説
現状では、地域や学校における居場所づくりなどが提唱されているが、居場所において若者の人間関係・将来展望の双方が形成されているかどうか疑問が残る。さらに、居場所に若者が積極的に参加しているとは言い難い。
そこで、若者が積極的に参加していると考えられる若者文化に着目する。若者文化は、しばしば批判的に捉えられるが、人間関係や将来展望を獲得している側面もあると考える。
よって、若者文化の共同体を研究し、若者が積極的に参加し、人間関係・将来展望を獲得できる共同体への示唆を得たい。加えて、若者文化に埋め込まれた学びも明らかにすることで、他分野への応用可能性を見出したい。

■学びたい理論的枠組み
Lave & WengerのCommunity of Practice
J. P. GeeのAffinity Space
学習環境デザイン
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現在は、「居場所」というキーワードで、先行研究のレビューを行っております。
まだまだ手探り状態ですが、頑張って良い研究に仕上げていきたいです。

私は、どちらかというと、好奇心の赴くまま浅く広く生きてきた方だと思います。
この2年間は、こつこつと学び、自分の根をしっかりと深く成長させるということを意識しながら研究を進めたいと思っております。

これからどうぞ、よろしくお願いいたします。


青木翔子

2014.04.28

【今年度の研究計画】開発途上国における初等教育への親の参加に関する研究―モンゴルの遊牧民コミュニティを事例として―

みなさま、こんにちは。
修士2年の中村絵里です。
新年度の慌ただしさが過ぎたと思うと、世間はもうゴールデンウィークですね。

昨年度と比べると、授業の履修登録数が激減しましたので、課題に費やす時間は随分少なくなりました。しかし一方で、自分自身の研究のための時間を、どう調整していくかが重要になってきました。この1カ月、自分なりに調整しながら過ごしましたが、まだ上手な時間配分ができていないと実感しています。連休で頭をクリアにしてから、どんどんペースを上げていきたいと思います。

今年度の研究計画について、まとめます。

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■研究タイトル(案)
開発途上国における初等教育への親の参加に関する研究
―モンゴルの遊牧民コミュニティを事例として―

■背景
2011年時点で、世界では5,700万人の就学適齢期の子どもが学校に通っておらず(United Nations,2013)、これらの子ども達の就学を妨げる要因は大きく4つに分類できる。(1)学校・設備・教材の不足等の外部環境のハード面、(2)教員の不在、教育の質の問題、偏見・格差等外部環境のソフト面、(3)家族の経済的および健康的理由等の内部環境のハード面、(4)親や地域社会による教育に対する認識の格差、文化・宗教的理由等の内部環境のソフト面。
国連ミレニアム計画(Millennium Development Goals: MDGs)では、8つある目標のうち、目標2.「普遍的な初等教育の達成」として、 すべての子どもたちが、男女の区別なく、初等教育の全課程を修了できるようにすることを掲げている。これまでの目標2.の達成状況を見ると、後発開発途上国において、1990年には、初等学校に入学した子どもの割合は53%であったが、2011年には81%に向上したほか、世界全体では、学校に通っていない子どもの数が、1億2,000万人(2000年)から5,700万人(2011年)とほぼ半減した(United Nations, 2013)ものの、目標達成期限の2015年までに、すべての子ども達が初等教育の全課程を修了できるようになることは、絶望的な状況である。

本研究では、就学を妨げる要因のうち、内部環境のソフト面(4)親や地域社会による教育に対する認識の格差に着目する。親や地域社会が、教育に対する認識を深めるためには、どのような支援方法があるかについて、フィールド調査と実践を基に評価を行う。研究対象を、国の平均値ならびに都市部の数値と比較して、初等教育の留年率や退学率が高いモンゴルの地方の遊牧民のコミュニティ(Save the Children Japan, 2013)とする。

対象国モンゴルの教育に関わる背景を調査するために、3月にモンゴルのウブルハンガイ県とアルハンガイ県を訪問・調査した結果、初等教育に関わる問題点として、次のことが明らかとなった。家から学校までが遠い、親が学校に行く機会が少ない、親同士が子どもの教育について話す機会がない、先生に対して親から意見を言いづらい、非識字の親(1990年以降の民主化への過渡期に就学適齢だった世代)が増えており、家庭で就学前教育や小学校入学後の教育を、親が支援することが困難になってきている。

■目的
初等教育への認識が十分でない親が、子どもの教育に関する情報を共有できる場に参加することによって、家庭で子どもの教育に関与する機会が増えること。

■方法
モンゴルの郡にある小学校に来年度(9月から)入学する予定の5歳児の親(父親・母親)を対象として、ワークショップを実施する。その際、ワークショップの成果物(何らかのメディアを使ったもの、例えばビデオ映像など)を、ワークショップに参加していない別の遊牧民コミュニティとも共有する。

■評価
ワークショップの開催前後で、参加者に対して質問紙調査とインタビューを行う。ただし、質問紙調査については、非識字の親のことを考慮に入れ、事前に用紙を配布する方法ではなく、ワークショップ当日に、口頭で文面を読み上げる等の工夫をしたい。

【中村絵里】

2014.04.20

【今年度の研究計画】高校生を対象にした柔軟なキャリア展望を学ぶワークショップの実践と評価???

こんにちは。まだまだ、朝晩は冷えますが
桜も散って、すっかり新しい生活にも慣れてきましたね。
新年度第2回目のBlogはM2の池田めぐみが担当させて頂きます。

私はざっくりいうと、高校生向けのノンフォーマルなキャリア教育の実践プログラムを考え、その効果を測るというような研究をしたいと思っています。
また、現状のキャリア教育の①将来の見通しを一つにしぼりこませる傾向と②高大接続において、大学でのノンフォーマルな活動を軽視している点に違和感を覚えています。

そこで、4月2日に行われた学際情報学府の修士論文構想発表会に以下のような研究計画のアブストラクトを提出しました。

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技術の進化とグローバル化により、労働と雇用の在り方が変革期を迎え(Gratton 2011)若者を取り巻く 労働環境も厳しさを増している。また、大学全入時代に突入し"とりあえず"進学する若者が増え(文部科学省 2006)退学率も上昇している。これらのことから高校でのキャリア教育は重要度を増しており、実際に高校ではインターンシップや社会人の講演、大学の授業の聴講など、将来の見通しの形成を重要視した取り組みがなされている。しかし現行のキャリア教育には以下二点において問題がある。1つは、将来の見通しを一つに限定する危うさを意識できていない点である。児美川(2012)が、「この先は一人の人間が40年以上同じ仕事を続け、同じ会社で働くという時代ではなくなり、途中で転換する力も必要になってくる。すなわち、個人がキャリアを開発する時代であり、キャリア教育にはこうしたことへの視野が必要である」と指摘するように、個々人のキャリア転換が頻繁に行われる社会において、見通しを1つに絞り込ませる現行のキャリア教育では、その職業が未来においてなくなった場合、その職業に当人がつけそうになくなった場合危険をはらむ。もう1つは、高大接続において、大学におけるノンフォーマルな学びを軽視している点である。政策研究・研修機構(2007)の進路が決定した大学4年生向けの調査によると、「進路選択で役立った大学の経験」として「経験の場」(ゼミ・研究、授業、サークル活動、アルバイトなど)を挙げる学生が全体の59.3%いること、中でも授業・講義よりも、サークル活動や、アルバイト・仕事を重要と挙げる学生の方が、相対的に多かったことが明らかになっている。このように、ノンフォーマルな活動が進路選択に影響を与えることが明らかになっているにも関わらず、現行の高大接続の取り組みにおいては、学部選びにおける大学の授業の聴講等正課内の学習しか着目されておらず、高校生が大学生の正課外の学びについて知らないのが現状である。そこで、本研究では学びに着目しながら参加者の興味にそった参加者のとりうる複数のキャリア展望を描く高校生向けのークショップを開発し、その効果検証を行う。
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しかし、ご覧の通り、今の研究計画のままでは
実践の計画がうんぬんの前に
自分が問題だと感じる部分を綺麗に、しっかりと指摘することができていません。

なので、先行研究をレビューし、現行の高校でのキャリア教育の問題点の指摘をしっかりできるようにするというのが今の課題です。
よって研究の方向性もかわるかもですな。
ぬううううう!がんばらねば!えむに。。。。。。。。。!

そんな感じで、未熟に未熟を重ねたような私ですが今年度もどうぞよろしくお願いします。。。。。。。。!


池田めぐみ

2014.04.13

【今年度の研究計画】他者との相互作用を用いた学習計画のプランニング支援システムの開発と評価


みなさま、こんにちは。
ylab修士2年の青木智寛です。本年度もどうぞよろしくお願いします。
早いもので、修士生活2年目=修士生として折り返しの地点にやってきました。
去年の今頃、まだ何もわからなかった頃に比べると、かなり専門的な内容に関する知識も増え、自分の関心のある領域において、どのような研究が盛んに行われており、何が問題として挙がっているか、ある程度全体像を把握できるようになりました。
1年間ひたすら調べる活動を続け、年度末には実際に高校生にインタビューすることもでき、現在、より具体的に自分の研究の形を作っている最中です。
まだ、暫定的なものではありますが、現時点では以下のような研究を進めようと思っております。

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●他者との相互作用を用いた学習計画のプランニング支援システムの開発と評価●


【背景】
 近年、教育における「自ら学ぶ力」をもった自律的な学習者の育成が重要視されており(市川 1995)、人の学習の自律性について説明する理論としては、自己調整学習という理論が注目されている。
 自己調整学習とは、「学習者が課題の解決のために計画を立て、モニタリングを通じて、自らの認知、行動、意欲の調整を図る過程」(Hadwin et al. 2011)のことである。
 人間の認知的活動には認知的活動とメタ認知的活動の2つがあり、ともに自己調整学習における重要な役割を果たす。メタ認知に関する学習方略は自己調整学習の要素として必ず含まれている方略であり(佐藤 1998)、おもに認知の調整と制御に焦点をあてている。具体的には、課題を分析して目標を設定する「プランニング」や、自分自身の理解を確認するため自問自答する「モニタリング」、自分の認知活動がうまくいくように整える「調整・制御」などがある(Pintrich et al., 1993)。これらのメタ認知的な学習の要素に着目すると、プランニングに焦点をあてた研究がいくつか見受けられる。
 学習課題を先延ばししないためには正確なプランニングをすることが有効であり、(藤田 2010)学習者は成長に従ってプランニング方略を習得していく(野上,丸野 2005)ことが明らかになっている一方で、プランニングに対する知識を習得することは必ずしもその実行につながるわけではないことも指摘されている(Pintrich & Schrauben 1992)。森(2004)の研究によれば、プランニングに対する知識があっても、そのコストを認知していると使用が抑制される。

実際、私が高校生を対象におこなったインタビューでも、定期テストまでに与えられた学習内容について勉強しなければならないことはわかっており、それを実現するために学習計画を立てる方法は知っていながらも、実際に計画を立てるには至らないと言った声を多く聞いた。


【目的】
 そこで本研究では、学習者がプランニングを実際に行うことができるようになるために、プランニング方略に対する「有効性の認知」に着目する。有効性の認知によって自身のプランニング方略の調整をするシステムを開発し、実践を通じて評価することを目的とする。


【方法】
プランニング方略の価値を認識させるために、「他者との相互作用」を利用する。他者との相互作用とは学習者同士で可視化されたプランニングの調整過程を確認し、それをもとにコミュニケーションを取ることである。これを実現するためのアプリケーションを開発する。
(UIについては検討中)


【実践】
対象期間: 定期テスト前の2~4 週間(中長期におけるプランニング調整の変化を追う)
対象とする学習者: 高校生(学習者はプランニング調整能力の発達段階にあると思われる)
学習目標: 定期テストにおいて試験範囲に含まれる学習課題を完了させること

1グループ10名前後の学習者の集団に、支援システムを利用しながら学習を進めてもらう。

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...と研究計画を立てたものの、研究の意義や、成功可能性など、詰めるべき部分は多々残されており、まだまだ根本からひっくり返る可能性を残したものとなっております。
今後もさらに先行研究を調べ、問題の明確化、支援原理の必然性なども含めて、柔軟に研究計画をブラッシュアップしていきたいと思います。


青木智寛

2014.03.28

【5年間をふりかえって】急がば回れ


梅が散り、杏子が満開を迎え、桜のつぼみがほころび、春が巡ってきました。
1年で1番、おだやかな気持ちになれる暖かい季節ですね。
2013年度のYlabブログの最終回は、D3の伏木田が担当させていただきます。

大学院生活は早くも5年目が終わろうとしていますが、学部時代も含めるとかれこれ9年もの間、大学という学び場を堪能させていただきました。
決してひたむきに勤勉というわけでもなく、集中力に長けているわけでもないわたしが、こんなにも5年間をのびのびと過ごすことができたのは、ひとえにたくさんの方々の支えがあったからだと心から感謝をしています。


修士に入る直前、それまで心理学専攻でお世話になっていた先輩が、こう言ったのをとてもよく覚えています。
「君は何年に1人という逸材ではないけれど、こつこつ頑張り続けたらきっと、そういう人の背中が見えるくらいには追いつけるかもしれないよ。」
...だから頑張れ。
その人はそう励ましてくれたんじゃないかなぁといい方に解釈をして、そこから大学院生活がスタートしました。


それから1年後のちょうど今頃、その後4年間にわたって研究の手ほどきを教えてくださった助教の方から、こんなメッセージをいただきました。
「走り始めたら止まれないから。」
そのときは、なんでこれから走ろうとする人にそんな恐ろしいプレッシャーを...と思ったのですが、そのタイミングで言っていただいたからこそ、これまでめげずに自分らしく走れたように感じています。
止まれないなんてまたまた...と思って、しょっちゅう隙を見てはサボっていたわたしですが、"止まるなら潔く、止まった後はその分取り返そう"という気概をもって前を向き直すことができたのも、そのひと言のおかげだと思っています。


そして、博士課程に進む年の春、なんとはなしに落ち込んでいたときに、ある先生がかけてくださった言葉に救われました。
「いろいろなタイプの人がいるのだから、無理に野望を持とうとしなくていい。」
何かを変えたいという強い意志もなければ、絶対にこれがやりたいという信念もない。
その代わりに、目の前に見える景色の中で、自分ができる最大限の努力をしたい。
そう心では決めていても、ほんとうに今のペースで進んでいいのかなと不安になっていたときに、"このまま、こつこつと歩みを止めないようにいこう"と思い直すことができました。
そのときのほっとした瞬間を、今も大切に心にとめています。


IMG_2861.jpg


その時々に、悩んだり大声で文句を言いたくなったりしましたが、"やめたい"と1度も思わずに済んだのは、「あなたが好きで選んだ道でしょ」という、突き放すようで思いやりにあふれた両親の励ましがあったから。
圧倒的に優秀な人に出会うたびに、律儀にも毎回きちんと凹んでいましたが、「人は人我は我」と言い聞かせながら少しずつ成長しようと背伸びができたのは、たくさんの友人がみんなそれぞれに頑張っていたから。
どんなに大変でも、"つらい・忙しい・大変の3ワードは絶対に言わない"という自分の中の決まりごとをそこそこ貫けたのは、もっともっと過酷な状況で自分を削りながら挑み続ける友人がいたから。


今あらためていろいろなことに思いを馳せながら、"ほんのちょっとでも自信がほしい"ともがき続けた5年間の日々をふりかえってみました。
研究だけでなく、仕事やそれ以外の時間を一緒に過ごしてくださったみなさま、ほんとうにありがとうございました。
危ない道よりは遠くても安全な道を、急ぎ過ぎて転ぶよりはゆっくりと確実に、そんなふうにこれからも進んでいきたいと思っています。
4月からは情報学環 特任助教として、もうしばらく本郷の地にお世話になります。
どうぞよろしくお願いいたします。


伏木田稚子

2014.03.22

【5年間をふりかえって】初心忘れるべからず

D3の安斎勇樹です。5年間にわたる大学院生活も早いもので今月で終わり。これが最後の研究室ブログの更新となってしまいました。これまでの5年間を総括しながら、いまの心境を綴りたいと思います。

安斎が入学の頃より掲げていたテーマは、「研究と実践の両輪を回す」ということでした。工学部からの進学で、入学時は学問的なバックグラウンドはなにもなく、あるのはわずかな実践感覚のみでしたから、せめてその種を活かし、現場のリアリティをしっかりと掴みながら、社会に付加価値を生み出せる実践的研究者になりたい。そう考えながら、さまざまな活動に取り組んできました。研究もろくにでできない癖に「研究も実践も」と欲張ったおかげで、途中何度も足がもつれそうになりましたが、幸いにも指導教員の山内先生を筆頭に、周囲にはロールモデルとなる研究者や先輩方が沢山いらっしゃり、さらには日々刺激をくれる同期、そのほか活動を支援してくださる多くの方々など環境に恵まれて、自分が目標として当初から思い描いていた大学院生活は、おおむね実現できたのではないかと思います。

博士論文はまだまだ仕上がっておりませんが、取り組んできたワークショップの実践はおそらく200回を超え、研究成果は3本の論文と2冊の書籍にまとめることが出来ました。数としての成果が重要だとは思っていませんが、振り返るとその一つひとつの実績が積みあがるにつれて、着実に現場で視えることが増え、逆にわからなくなることも増え。そうした経験学習のサイクルを螺旋的に駆け上りながら、ワークショップデザイン論という未開の領域を探ってきた5年間だったと思います。苦しい時期もありましたが、総じてとても楽しく、面白く、とても幸せな5年間でした!

こうやって書くと、ややもすると「一人前の何者か」になれたかのような錯覚に陥りそうになりますが、残念ながらそんな感覚にはほど遠く。いまだに海外文献のレビューは遅々として進まずストレスを感じるし、文章はヘタクソで嫌になるし、知識量も足りなすぎる。ある一つの研究の型は身についたけど、その他の無数の方法論については素人同然。苦手意識のあった統計も、苦手なまま5年経ってしまいました...やばい...。そんな膨大な未熟さを抱えたまま、一つか二つの小さな武器をなんとか身につけて、ようやく戦場に立つ権利を得たのかな...という、そんな心境です。

4月からは、東京大学大学院情報学環の特任助教として、主にFLITのプロジェクトに取り組む予定です。ワークショップの専門性と接続しながらも、また新たなチャレンジが必要になりそうなプロジェクトです。また並行して、博士論文も仕上げなければいけません。研究者としてはちょうどフェーズが移り変わる、区切りの時期となりますが、大学院で積み上げたものを良い意味でリセットして、自分の未熟さから目を背けず、慢心せず、改めて一から知識と技術を積み上げていきたい!という想いです。もしどこかでサボってあぐらをかいていたら、喝を入れて下さいませ。引き続き、よろしくお願いします。

安斎 勇樹

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