2014.03.28

【5年間をふりかえって】急がば回れ


梅が散り、杏子が満開を迎え、桜のつぼみがほころび、春が巡ってきました。
1年で1番、おだやかな気持ちになれる暖かい季節ですね。
2013年度のYlabブログの最終回は、D3の伏木田が担当させていただきます。

大学院生活は早くも5年目が終わろうとしていますが、学部時代も含めるとかれこれ9年もの間、大学という学び場を堪能させていただきました。
決してひたむきに勤勉というわけでもなく、集中力に長けているわけでもないわたしが、こんなにも5年間をのびのびと過ごすことができたのは、ひとえにたくさんの方々の支えがあったからだと心から感謝をしています。


修士に入る直前、それまで心理学専攻でお世話になっていた先輩が、こう言ったのをとてもよく覚えています。
「君は何年に1人という逸材ではないけれど、こつこつ頑張り続けたらきっと、そういう人の背中が見えるくらいには追いつけるかもしれないよ。」
...だから頑張れ。
その人はそう励ましてくれたんじゃないかなぁといい方に解釈をして、そこから大学院生活がスタートしました。


それから1年後のちょうど今頃、その後4年間にわたって研究の手ほどきを教えてくださった助教の方から、こんなメッセージをいただきました。
「走り始めたら止まれないから。」
そのときは、なんでこれから走ろうとする人にそんな恐ろしいプレッシャーを...と思ったのですが、そのタイミングで言っていただいたからこそ、これまでめげずに自分らしく走れたように感じています。
止まれないなんてまたまた...と思って、しょっちゅう隙を見てはサボっていたわたしですが、"止まるなら潔く、止まった後はその分取り返そう"という気概をもって前を向き直すことができたのも、そのひと言のおかげだと思っています。


そして、博士課程に進む年の春、なんとはなしに落ち込んでいたときに、ある先生がかけてくださった言葉に救われました。
「いろいろなタイプの人がいるのだから、無理に野望を持とうとしなくていい。」
何かを変えたいという強い意志もなければ、絶対にこれがやりたいという信念もない。
その代わりに、目の前に見える景色の中で、自分ができる最大限の努力をしたい。
そう心では決めていても、ほんとうに今のペースで進んでいいのかなと不安になっていたときに、"このまま、こつこつと歩みを止めないようにいこう"と思い直すことができました。
そのときのほっとした瞬間を、今も大切に心にとめています。


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その時々に、悩んだり大声で文句を言いたくなったりしましたが、"やめたい"と1度も思わずに済んだのは、「あなたが好きで選んだ道でしょ」という、突き放すようで思いやりにあふれた両親の励ましがあったから。
圧倒的に優秀な人に出会うたびに、律儀にも毎回きちんと凹んでいましたが、「人は人我は我」と言い聞かせながら少しずつ成長しようと背伸びができたのは、たくさんの友人がみんなそれぞれに頑張っていたから。
どんなに大変でも、"つらい・忙しい・大変の3ワードは絶対に言わない"という自分の中の決まりごとをそこそこ貫けたのは、もっともっと過酷な状況で自分を削りながら挑み続ける友人がいたから。


今あらためていろいろなことに思いを馳せながら、"ほんのちょっとでも自信がほしい"ともがき続けた5年間の日々をふりかえってみました。
研究だけでなく、仕事やそれ以外の時間を一緒に過ごしてくださったみなさま、ほんとうにありがとうございました。
危ない道よりは遠くても安全な道を、急ぎ過ぎて転ぶよりはゆっくりと確実に、そんなふうにこれからも進んでいきたいと思っています。
4月からは情報学環 特任助教として、もうしばらく本郷の地にお世話になります。
どうぞよろしくお願いいたします。


伏木田稚子

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