2021.11.19

研究に役立つ自分なりの小さなTips、マイルール(M1 早川裕貴)

M1の早川です。

今回も引き続き研究に役立つ自分なりのTipsについてのご紹介です。
既に大変ためになる方法をご紹介頂いているので、今回は役に立たなそうなTipsをお届けします。


Tips1:プリントする
研究って「やらなきゃなー」と思いつつなかなか体が動かないですよね。
かと言ってカレンダーとか予定に組み込んでも「今はなんかやる気出ないし休憩に専念した方がいい」となるのが我々先延ばし人間の宿命。


そこで最近採用してうまく行った方法がプリントすることです。
単純に印刷した論文をファイルに入れているだけです。
そして気に入った論文は肌身離さず持ち歩いています。
「なるほど、スキマ時間に読むってことね」と思われたかもしれませんが、違います。
だって外で紙の英語論文読むの大変なんだもの、単語の意味とか調べるの片手でやりづらいし。

ではなぜプリントして持ち歩くのか、その理由は「だんだん愛着が湧いてくる」からです。
持ち歩いても外で読むことはありません。ですが次第に
「寂しい思いさせて悪かったな…これからいっぱい読んでやるから…」
と思うようになり、結果的に論文を読むことができます。
しかも長く連れ添ったおかげか、英語でもあまり苦しまずに読むことができるのです。
不思議ですね。

ちなみに最近のツレはOECDのレポートです。
ぜひ試してみてください。


他にも書こうと思ったのですが特に工夫して研究していないので、最近考えたことを書きます。


教授がジュースを飲んでいるのをみると嬉しくなる
先生とか偉い人とかがジュースを飲んでいるのをみるのが好きです。
先生が真面目であればあるほど良くて、飲んでいるのをみるとなんだか嬉しくなってしまいます。
以前、東京大学のH田教授のゼミに参加していたことがあるのですが、生徒の議論に意見を言いながらボトルタイプのRedBullを飲んでいて
「めっちゃいいな…」
と独りでニヤニヤしていました。
我らがY先生もコーラがお好きなようで、対面ゼミの時たまに机にコーラが乗っていたりします。
先日は休憩時間に2本目のコーラを購入されていて、個人的にはテンションが上がりました。
以上です。

山内研ブログをどんな方がご覧になっているのかわからないのですが、ブログの内容的には結構真面目なものが多い印象です。
実際に研究室も真面目な方が多いので当然といえば当然ですが、たまにはリラックスした内容があってもいいかなと思ってます。

M1早川裕貴

2021.11.03

研究に役立つ自分なりの小さなTips、マイルール(M1 菊池ゆみこ)

M1の菊池です。
M1の久保田さんに引き続き、今回は私の研究に役立つ自分なりのTips, マイルールについてのお話です。
「研究に役立つTips」というよりも少し一般的な話かもしれませんが、しばしお付き合いくださいませ。


Tips1:早起きする
私もかつては宵っ張りの朝寝坊。「早起きは三文の徳」という言葉は耳にタコができるほど聞いていながらその効果を信用できず、就寝が0時超えは当たり前。1時2時とダラダラ起きていて…という生活を送っていました。2歳女児の育児中なので昔より朝方にはなっていたものの、大学院への入学を機に生活リズムを一新!思い切って「21時半就寝、5時半起き」生活にシフトしました。するとあら不思議。朝の5時台、文献もスラスラ読めるし(※個人比)、文章もスムーズに書ける(※あくまで、個人比)ではありませんか。このブログもまさに朝書いています。たまに23時や0時を過ぎるまで研究する日はありますが、そこでの進捗と朝一番の進み具合はやはり違うと感じます。朝5時台に起きると、朝一番のゼミや講義も元気に機嫌よく参加できるのも嬉しいポイントです。


Tips2:やはり体が資本!
大学院の合格通知が届き、嬉しい気持ちの次にすぐやってきたのが「研究生活のための体力をつけねば…」という思いでした。「健やかな研究は健やかな体に宿る」と信じ、体を動かして体力を維持/アップするための時間を作っています。私のおすすめは ジムでの”暗闇ボクササイズ”。周囲を気にせず、大音量の音楽の中でサンドバッグを思いっきり打ち込むのが気持ちいいのです!
また、体力づくりだけでなく体を「ほぐす・ゆるめる」重要性も感じています。特にオンライン授業が続く日は通学のための時間=歩いたり立ったりの時間も少なくなるため、私はすぐ体がコチコチになってしまいます。そこで”筋膜リリースグッズ”で背中や腰をゴ〜ロゴロ。気付きづらいけれど座っていると縮んでしまいがちな足の付け根、横隔膜や脇腹、肋間をほぐすのも忘れずに。


Tips3:予定管理はアナログ派
倉持さん、久保田さんはGoogleカレンダーで予定を書き込む派とのことですが、私はアナログに手書きで予定管理をしています。手書きすることで自分の意識に刻んでいるのかもしれません。何度もリピ買いしているのが、お笑い芸人ロザンの宇治原さん監修の「ナカバヤシ TODAYノート A5スリム」(回し者ではありません)。これに向こう1週間〜2週間分の予定とタスクリストを書き出しています。M2の先輩方を見ていると緻密にスケジュールを組みながら修論執筆をしてらっしゃるのを感じます。タスクをこなせた後に「できた!」とチェックを入れるのも小さな快感ですが、このノートを使うことで1日の間にできること/できなかったことを振り返って、自分の研究ペースを掴めるようになることも目指しています。


以上、「研究に快適に・元気に取り組むためのTips」という感じでした。自分の好きなこと、やりたいことを研究できる修士の2年間は私にとっては本当に貴重で贅沢な時間だと感じています。だからこそ心身ともに健やかに研究できるよう、この基本的なTipsを自分なりに大事にしていきたいと思います。

2021.10.29

研究に役立つ自分なりの小さなTips、マイルール(M1 久保田愛海)

 M1の久保田です。10月はノーベル賞の発表があり、(私の昨年までの研究に関わっていた)TRPチャネルを発見したDavid Julius と Ardem Patapoutianが医学・生理学賞を受賞したのが印象的でした(記事)。ノーベル賞の発表を見るといよいよ年末だなと感じさせられます。

 M2の先輩に続き、研究に役立つ自分なりのTips, マイルールについてのお話です(先輩がたのTipsはとても参考にさせていただいています、ありがとうございます!ちなみに、このブログはGoogle Calendarに予定を立てる倉持さんスタイルで書いています笑)。もちろん計画を立てることは大事でこれまでにも計画は立ててきたのですが、私の場合はうまくいかないことが多いです...。行動が決められている状況ではなく「やってみよう」と自発的に行動できる状況のほうが研究が進むので、如何にノリノリで研究できる環境を作るかを意識してきました。今回は3点紹介いたします。

1. 研究モードになるための音楽を流す
歌詞があったり、演奏経験があったりする曲だと曲の内容が頭に入ってきてしまうのですが、不思議と聞き流せる・集中できる音楽があります。私の場合は日によって異なっていて、ハワイアンカフェBGM(ハワイのビーチで作業している気分になる)や集中用の音楽(脳内でα波が出やすくなるように考えられた音楽らしいです)、ディズニーリゾート内のBGM(実際に行った気分になりノリノリで研究できます!)などを聞いています。因みに、自分がどの曲を選んだかを見返すと、自分の傾向も見えてきます。


2. よく使うリンクにアクセスしやすい環境をつくる
オンライン授業が増えて(その他の原因もあるかもしれませんが)、Google document や spreadsheetでの共同作業も増えました。また、論文もたくさん読んでいく中で、「TABが多すぎて何が何かわからない!」「すぐに開きたいのにどこにあるんだ!」状態になってしまい、そこで「すぐにアクセスする方法」を模索しました。以下がそのうちの一部です。
① よく使うリンクリストをつくる
Documentでは、記入している文章にリンクを埋め込むことができます。それを使って、自分なりにリストを作成します。お気に入り登録してもいいのですが、私はなんとなくこの方法が気に入っています。
② Slackの活用
Slackでのやりとりが多いので、その便利機能紹介です。チャンネル上部には「+関連ページを追加する」というボタンがあり、そこにリンクを貼ることができます。MTGや共同で作業しているシートのリンクを貼ることで、私自身アクセスしやすくなりました(ちょっとした時間がかかってしまう、、というストレスがかなり軽減されました)。


3. 運動をする
自分がノリノリな状態で研究するためには、よくない状況をできる限り減らすことが大事だと思うので、その方法として運動が有効だと考えています。私の場合はバレエのレッスンに行くときが一番リフレッシュでき、レッスン後には「楽しかった!また研究も頑張ろう!」と気持ちを切り替えています。運動時には一時的に思考を研究以外に向けることになるので、煮詰まってしまった・情報過多になってしまった自身の状態をメタ認知しやすくなります。そこから問題点を整理したり、新たな発見をしたりすることで、次の行動にシフトできます。


自分の意欲をあげる方法をまとめると以上のようになります。「コントロールされるのが苦手で自分の意欲で行動したい」と考えていますが、そのための方法自体もコントロールなのだ(コントロールされていないように思わせながらコントロールする方法を考えていたのだ)と思いました。次回の記事には、研究手法のTipsを挙げられるように引きつづき頑張ります。


M1 久保田 愛海

2021.10.24

研究に役立つ自分なりの小さなTips、マイルール(M2 岩澤直美)

M2の岩澤です。前回の倉持さんのブログに引き続き、「研究に役立つ自分なりの小さなTips、マイルール」をご紹介します。

研究計画そのものに向けたTipsではないですが、今回挙げるのは下記の3つ。たぶん研究方法に関しては、博士の先輩方が参考になることをいろいろ書いてくれると思います。
 1. 研究モードになる環境を作る
 2. 心の拠り所を作る
 3. 寝る


1. 研究モードになる環境を作る
 私は基本的にマルチタスク型の人間なので、読書も複数の本を並行して少しずつ読み進めたり、いろんな仕事や書き物を往復しながらこなしていく方が得意なタイプなのですが、研究ではこれができませんでした。研究そのものがマルチタスクを求められるからです。膨大な量の先行研究を思い出し、ここまで積み重ねてきたロジックになる格の部分を肉付けするように情報を探しながら、同時に実践の内容も考えるーーとなってくるとそれだけで脳のCPUが限界になるので、途中で仕事や他のタスクを思い出した瞬間にシャットダウン…再起動にすごい時間がかかる…。ので、普段の作業から研究モードに切り替えるための環境作りが大事だと感じています。

 私の場合は自宅のデスクよりも、近所のワークスペースに必要なものだけを持っていって作業をすることが多いです。(自宅だと他の書類が目に入ってしまう)もしくは大学の研究室や、ラーニングコモンズ。周りで集中して頑張ってる人たちがたくさんいると、だらけてる場合じゃないな、と気持ちが切り替わります。

 また、せっかく場所を切り替えて研究モードになっても、途中で仕事や遊びの連絡がきたら脱線してしまうので、「この日は研究以外をしない」「今日は○○時以降は他の作業をしない」と意思を強くして決めておくようにしています。その代わり、決めてない日に研究が進まなくても、自分を責めないのがマイルール(苦笑)

 これは、研究室の池尻大先輩が「やっぱり研究日作らないとだね〜」と言っていたのをM1の時に聞いてから実践してることですが、本当にその通りだなと実感しています。「研究日確保スタイル」というらしいですが、詳しくはブログを遡ったら出てきたので、興味のある方は読んでみてください。ちなみに、「最初の頃はうまく機能していたものの、半年も経つとこのスタイルも失敗だなと判断するようになりました」とのことです。

 2011.12.03【山内研メンバーの一日】博士課程専用ライフスタイル
 

2. 心の拠り所を作る
 メンタル維持の観点からたぶん2番目に重要。私の場合は趣味がこれに当てはまっていて、美味しいワインを飲んだり、料理をしたり、海に入ったりする時間をしっかり作ることで、気持ちに余裕を持たせてあげるようにしています。今は新型コロナウイルスの感染防止のためにお店は時短営業で、お気に入りのお店もワインのラストオーダーが20時。「ラストオーダーまでにここまで終わらせる!」と頑張ってから、感性だけでじっくり楽しめるワインと向き合いながら、脳内に眠っていた昔の旅や出会いの記憶たちを掘り起こすのが好きです。

 修論締め切りまであと2ヶ月少し。同じ状況でも、「やばい、あと2ヶ月なのに全然進んでない上に沼にハマった…どん底…。」と狭い部屋に1人で篭って作業しようとしても、焦るだけで効率は悪い上に、メンタルやられます。「あと2ヶ月ちょいか〜、海入ってワイン飲んで気持ち切り替えて頑張ろう〜〜」と思っている方が健康的だと思うんです。(え、この余裕がラスト3週間の時点で維持できているかどうか…?それは次のブログ更新くらいのタイミングでご報告できると思います…。)

 趣味である必要もないかもしれませんが、友達と会う時間を作ったり、散歩してちゃんと空気を身体に入れてあげたりと、気持ちの整理ができる方法を見つけるのはおすすめです。


3. 寝る
 1番大事なのは、やっぱり睡眠です。私も一時期「ショートスリーパーだから5時間で全然平気!」と思って夜遅くまで作業をしていたのですが、急に倒れたことがあったので、睡眠時間は何よりも優先させています。寝る前に湯船に浸かったり、アロマを焚いたりするのが最近は好きです。(締め切り何日前までこれを実践できるのかどうか…それは次のブログ更新のタイミングで……)


 ところで、イルカって可愛いですよね。脳を休めたいときにYoutubeで可愛いイルカの動画を見ています。修論頑張ります。


M2 岩澤直美

2021.10.22

研究に役立つ自分なりの小さなTips、マイルール(M2 倉持裕太)

こんにちは!M2の倉持です。
今回のテーマは「研究に役立つ自分なりの小さなTips、マイルール」ということで、修論執筆の山場を迎える私のマイルールを2つ紹介したいと思います。

1つ目がGoogleカレンダーを活用したスケジューリングと実行タスクの可視化です。
修論の提出までの残り時間がシビアになってきている中で、提出というゴールから逆算して、計画的に執筆を進めることが重要になってきています。ダラダラしたくなることも大いにあるのですが、今はとにかく自分のダラダラ欲に打ち勝つことが重要です。そのために、私はGoogleカレンダーをフル活用しています。前日に、何時から何時までどのタスクを行うか、明日の予定を全てGoogleカレンダーに入れるようにしています。そして、当日は、どのタスクに何時間使ったのか、想定よりもどれくらい早く/遅くそのタスクを実行することができたのか、結果をGoogleカレンダーに入れるようにしています。これらを実施することで、各タスクをこなす自分にタイムプレッシャーを与え、緊張感を持ってタスクに取り組むことができます(今のブログ執筆も1時間想定で緊張感を持ちながら書いています)。またどの作業にどれくらいの時間がかかっているか可視化されるので、データが溜まれば溜まるほど、各タスクの工数の予想精度が上がっていきます。修士2年のこの時期になると、時間と自分の集中力との勝負になるので、このような工夫は(私のような、気がつけばYoutubeで海外サッカーのスーパープレー集を見てしまっているような人には)有効だと考えています。

2つ目は、なぐり書きでも良いから、その日進めた研究を文章化しておくということです。これは、情報学環の吉見俊哉先生が授業中に仰っていたことで、「有名な先生が言ってるからやってみるか〜」くらいの軽いノリで愚直に始めてみたのですが、特に研究の背景部分の執筆や先行研究レビューに取り組むときに非常に有効であると感じています。M1の先行研究レビュー時期や、M2になって研究の背景部分を執筆する際は、膨大な量の先行研究を読み、体系的にまとめていく必要があります。その作業を行う時に、ただただ読みまくって、わかった気になって放置しておくと、数日のうちに頭から読んだ内容が消え去り、同じ作業を後日もう一度しなければならないという状況に陥ります。こういった事態になることを可能な限り防ぐために「文章化」が役に立ちます。今日自分はどんな文献を読み、何がわかって、何が分からなかったのか。これくらいの情報だけでも良いので、文章化しておくと、翌日以降に研究を始める際に、前日までの進捗を振り返る時間を大幅にカットでき、スムーズに新しい文献のレビューに移ることができます。※もちろんこの「文章化」は、レジュメの形にしたり、修論の本文を書くという作業にも置き換わると思います。
軽いノリで始めたのですが、M1の頃にやり始めてスプレッドシートにまとめていた内容が、M2で研究の背景を執筆する際に、ボディブローのようにじわじわ効いてきているのでおすすめしたいマイルールです。また、これに派生して、先生が授業の中でふわっと言ってることが実はめちゃくちゃ大事なことだったりするので、授業が脱線した時でもしっかりと話を聞いておくという(Tips?)は重要かもしれません。

以上、非常にシンプルな内容ではありますが、私のマイルール紹介でした!これから他の院生の投稿もどんどん増えてくると思います!非常に楽しみです!
※ちなみに今回のブログ執筆には1時間半かかり、途中、自分のダラダラ欲に負けて10分間Youtubeで可愛いネコの動画を見てしまいました。反省して明日からまた頑張りたいです大号泣

2021.08.16

【開催報告】STEAM教育に関する公開研究会「STEAM夜話 Vol.4 STEAM教育指導案の実践報告(1)ロボットプログラミング×工作」

山内研究室では2020年4月より世界140ヶ国以上でSTEAM教育ソリューションを提供する Makeblock Co., Ltd. からご支援いただたき、STEAM教育に関する研究プロジェクトを進めています(プレスリリースはこちら)。
 
当プロジェクトでは「研究プロジェクトの中間成果をみなさまにお伝えしたい」「このプロジェクトを通してSTEAM教育に関心のある教育関係者のみなさまの輪を広げたい」という思いから「STEAM夜話」という公開研究会を開催しております。「アメリカのSTEAM教育」をテーマにした第1回の資料はこちらから、「韓国のSTEAM教育」をテーマにした第2回の資料はこちらから、「『未来の教室』事業のSTEAM教育」をテーマにした第3回の資料はこちらからご覧いただけます。

このたび、第4回のSTEAM夜話「STEAM教育指導案の実践報告(1)ロボットプログラミング×工作」を2021年8月4日に開催いたしました。私たちのプロジェクトで開発した指導案を実践いただいた小学校の先生にゲストでお越しいただき、小学校・工作科におけるSTEAM教育の可能性と課題についてお話しいただきました。

実践の難しさについても率直に切り込んでいいただくお話で、大変活発な議論が生まれました。参加いただいたみなさま、どうもありがとうございました。

質疑応答の内容は下記のスライドからご覧になれます。

STEAM夜話 Vol.5も引き続き実践報告を扱う予定です。また告知をいたしますので、関心のある方はぜひお申し込みください。

2021.07.13

【研究テーマ紹介】EFLでの会話を促進する事前学習に関する研究(D2 井坪葉奈子)

こんにちは、D2の井坪です。
博士課程も2年目に突入しました。研究の大枠は変わっておらず、「日本の大学生が、外国語としての英語(EFL)での会話に積極的に参加するにはどうすればいいのか」ということについて引き続き考えています。

国際化が進む日本の高等教育現場では、多様な背景を持った国内外の学生が関わる場面が増えてきています。そのような場のひとつとして挙げられるEMI(English-Medium Instruction:英語で行う授業)は、留学生や国内の大学生が、共に英語を使って、教養・専門科目を学ぶ場です。
しかし、英語での会話や授業に参加することに困難を感じる英語学習者は多いようです。

私がこの研究を行おうと思った背景には、小学6年生でスリランカのインターナショナルスクールに通うことになった時のエピソードが強く関係しています。
インターナショナルスクールでは、全ての授業が英語で行われており、クラスメイトも先生も、全員が英語でコミュニケーションを取っていました。
ほぼ英語がわからない状態でそこに放り込まれた私にとっては、友達を作ることも、授業についていくことも、だいぶハードルが高かったように思います。

特に、授業では「多分答えがわかっているけれど、英語でなんと言えばいいか自信がない。なんとなくこうかなと思う言い方はあるけれど、英語が間違っていたら恥ずかしいから手は挙げないでおこう・・・」となったことが、数えきれないほどありました。
上述した、英語での会話や授業への参加に困難を感じている状態です。
唯一、私が自分らしくいられるなと思っていたのが、英語を母語としない生徒だけが集められているクラスにいる時でした。みんな英語を勉強中の身なので、お互いに遠慮せず話すことが出来て、そこでは「これは正しい言い方なのだろうか・・・?」といったことも意識しすぎることなく、活発に発言できていたように思います。
そこで初めて、英語力の問題だけではなく、環境によって、話すことが出来るかが決まる節があるのでは、と思った気がします。
では、どのような環境なら話しやすいのか?話すことが出来るのか?というのが、今の自分の研究です。

この研究を進めることで、あの頃の自分や、あの頃の自分と同じようなもどかしさを感じている人の助けになれればいいなと思っています。
長い道のりではありますが、研究の宛先となる人々のことを常に心に留めながら、残りの道中も進んでいけるように頑張ります!

【井坪葉奈子】

2021.07.05

【研究テーマ紹介】対話型鑑賞において知識構築を促すファシリテーションに関する研究(D5 平野智紀)

D5の平野智紀です。社会人院生として博士課程に入学してから、いつの間にか、院生の中でも古株になってしまいました。私はアート鑑賞の一手法である対話型鑑賞のファシリテーションについて研究しており、今年度は博士論文の審査を受ける予定です。他の院生のみなさんが自身のことを書かれているので、私も、これまで書いていなかった、なぜこの研究をするに至ったかについて紹介したいと思います。

私の修士課程での研究は、対話型鑑賞ではなく、ミュージアムでのインフォーマル学習についてでした。ある会で修士研究について発表させていただいたとき、「そういえば京都におもろいことをやってる福さんという人がいてな。週末に鑑賞会があるんやけど」という情報をいただき、京都造形大(当時)でやっていたACOP:アート・コミュニケーションプロジェクトの秋の鑑賞会に急きょ飛び込んでみたのが、私の対話型鑑賞との出会いです。

ACOP:アート・コミュニケーションプロジェクト(京都芸術大学)

ACOPでは毎年、アートプロデュース学科1回生の必修授業として対話型鑑賞のトレーニングを行っており、その成果発表会が秋の鑑賞会でした。ここでお会いしたのが、MoMAでエデュケーターの経験があり、アメリア・アレナスを紹介して対話型鑑賞を日本に広げた立役者である、福のり子先生でした。巻き込み力の高いパワフルな先生で、鑑賞会の後の打ち上げで「平野くん、せっかくやから、(ACOPの)報告書にレポート書いてくれへん?」と言っていただいたのを皮切りに、数年間でいろいろなプロジェクトをご一緒しました。印象に残っているのは、東京大学CoREFと連携した「ロボットと一緒にアートを見よう」や、関西アートビートの「ミュゼオバトル」など。自身でも、対話型鑑賞ワークショップ「まれ美:まれびと美術館ナイト」を企画するようになりました。

私はその後、機会をいただいて「六本木アートナイト」や「あいちトリエンナーレ」といったアートプロジェクトでボランティア育成を担当するようになりました。これにより、自身でワークショップを企画するだけでなく、対話型鑑賞のナビゲイター(ファシリテーター)育成に関わることが増えました。この頃には、博物館学の教科書で一節設けられて解説されたり、アート思考の本で方法が紹介されたりするぐらいには、一時期からすると対話型鑑賞は広く普及してきて、実践者の数も増えていました。そんな中、私自身が実践者のみなさんにどのように貢献できるかを考えた結果、研究者として対話型鑑賞の研究をするに至っています。

博士論文をまとめるにあたって痛感したことは、研究的には、対話型鑑賞は心理学研究に基づく方法論ですが、その理論的背景が十分に理解されていないこと、実践的には、一口に対話型鑑賞といっても、それが取り入れられる文脈によって、そのねらいも、実践デザインやファシリテーションも異なることです。この課題に自分なりに応えることができているかどうか、まずは博士論文を世に出せるよう、がんばっていきたいと思います。

平野智紀

2021.06.25

【研究テーマ紹介】 「日本国内における演劇ワークショップ・ファシリテーターの効果的な養成方法に関する研究」(M1 菊池 ゆみこ)

みなさまはじめまして。菊池ゆみこと申します。
今年度4月入学の修士1年で、山内研のブログでは初めて筆(?)をとらせていただきます。どうぞよろしくお願いします。

さて早速ですが、私の研究テーマは
「日本国内における演劇ワークショップ・ファシリテーターの効果的な養成方法に関する研究」です。

この研究テーマに至った経緯について、自己紹介とともにお伝えしたいと思います。
しばしお付き合いいだければ幸いです。


私は東京大学の文学部で美術史を学んだのち就職しました。が、割とすぐに「やっぱり演劇をやりたいです!!会社辞めます!!」と、幼い頃からの夢だった舞台の世界に飛び込みました。

そして俳優活動を始める中で出会ったのが「演劇ワークショップ」でした。

まず演技スキル向上を目的としたものやオーディションのためのもの、はたまた上演する作品づくりのために開催される「ワークショップ」にいくつか参加しました。レッスンや本番のための稽古とはまた違う形式の場、ということは理解できましたが、「ワークショップ」とやらに参加すると単にレッスンやオーディションを受けるより楽しいし、知り合いが増えるな、くらいの印象でした。
しかしある時何気なく「普段演劇をやっていない人のためのワークショップ」に参加してみたところ、今まで参加したワークショップとは異なる雰囲気・体験に目から鱗がポロポロと落ちるような感覚があり、いつしかそれは「演劇ワークショップってなんだろう」「演劇ワークショップってどう作られているんだろう」という興味に変わっていきました。
折しも俳優として活動する中で、演劇を使ってもっと社会と繋がれないだろうか、という思いも抱いていたところでしたので、その興味はさらに「自分が演劇ワークショップをやる側になる」という道に続いていきました。

ちょうどその時期(2010年くらい)から、子どもたちのコミュニケーション能力向上が叫ばれ、その手段として演劇が注目されだしました。そして小中学校、高校などに演出家や俳優などの演劇の実践家が派遣され、演劇ワークショップを行う機会が増えていきました。
こうした機縁も重なり、私は今日まで演劇ワークショップをやる側=演劇ワークショップ・ファシリテーターとして10年近く仕事をしております。

そして近年は後進を育てるお仕事もいただくようにもなりました。ですが……これが想像以上に難しく、ファシリテーター育成の場に立つ度、以下のような疑問が湧いてくるのです。

そもそも、演劇ワークショップとは何なのでしょう?良い/悪い演劇ワークショップとは?
優れた演劇ワークショップ・ファシリテーターとはどんな人なのでしょう?
または何ができる人のことを言うのでしょうか?
そして、演劇ワークショップ・ファシリテーターはどうしたら育つのでしょうか??

……これは実践だけでは解き明かせない!!!という思いから、山内研究室のドアをノックし、「日本国内における演劇ワークショップ・ファシリテーターの効果的な養成方法に関する研究」とテーマを立てるに至っています。


現在は先行研究のレビューをしながら、この先何を明らかにしていくべきなのか考えている日々です。
必死で悩ましくもありますが、社会人となってからこうしてまた思い切り学べること、教育にまつわる様々な研究をしている方に囲まれた環境にいられることがとても楽しいです。

今までの実践を背景にしながらも決してそれに引きずられることなく、柔軟に泥臭く研究していきたいと思っています。

最後までお読みいただきありがとうございました!

【菊池ゆみこ】

2021.06.05

【研究テーマ紹介】 俯瞰による知識の相互的理解を目的としたSTEAM教育に関する研究(M1 久保田 愛海)

はじめまして、M1の久保田愛海です。
私は、「俯瞰による知識の相互的理解を目的としたSTEAM教育に関する研究」というテーマで研究を進めています。今回がはじめての投稿ということで、このテーマに至った経緯を自己紹介を交えて書いていきたいと思います。

私は幼い頃から歌ったり踊ったりすることが大好きで、クラシックバレエも習っていました。中学生からは、吹奏楽部でアルトサックスも吹いていて、踊りと音楽(芸術)のことばかり考えているような生活でした。

勉強面では、いわゆる「できる人」ではありませんでした…。しかし、勉強に目覚めたタイミングが2度あり(このお話は機会があればまた書けたらなと思います)、そのおかげで物事を理解する楽しさや友達と教えあう楽しさを知り、「教育」に興味を持つようになりました。

勉強が面白く感じるまでにかなり苦労してしまいましたが、東京理科大学に入学しました。学部では、生物(発生生物学や細胞生物学、遺伝子工学など)を学んでいました。また、教職課程も履修していたのですが、その過程の授業で「教育工学」を知りました。「教育をデザインする」という考え方に魅力を感じ、教育について専門的に考えたいと思うようになりました。

このような背景で教育工学について勉強していたところ、「STEAM(STEM)教育」に出会いました。
”Art”に関しては、「芸術」、「(芸術も含めた)教養」と解釈が分かれていますが、これまでの私の軸であった「芸術」と「勉強」について考えることができることに運命を感じ、現在のテーマに至りました。

現在は、文献レビューを進めながら自身のテーマについて考えています。
運命だと思って進んだこの道で、ワクワクしながら研究できたらなと思っております。
これからよろしくお願いいたします!

【久保田愛海】

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