2026.05.01
皆さん、こんにちは。修士3年の李です。この1年間、就職活動を進めていく中で、仕事と学術研究には多くの共通点があることに気づきました。今回はその学びについて、皆さんに共有したいと思います。
「研究」と「コンサルティング」と聞いて、どのような印象を持つでしょうか。一見、アカデミックな教育工学の世界と、ビジネスの最前線であるコンサルティングは遠い存在に思えるかもしれません。しかし、私が修士課程での研究、特に学習方略や学習支援の研究に取り組む中で実感したのは、両者には「課題解決のプロセス」における強力な共通点があるということです。
今回は、コンサルティングの根幹を成す「ロジカルシンキング」が、いかに教育工学の研究、特に研究計画の立案や文献調査を効率化させるかについてお伝えします。
1. 大きな問題を「構造化」し、解けるサイズに分解する
教育工学の研究、とりわけ「学習術」や「学習方略の認識」といったテーマを扱う際、私たちは最初「どうすれば学習効率が上がるか」「なぜ学習者は適切な戦略を使わないのか」といった、非常に大きく曖昧な問いに直面します。
ここで役立つのが、コンサルティングにおける「問題の構造化(Issue Tree)」のスキルです。
漠然とした大きな問いをいきなり解こうとするのではなく、それを構成する要素を「MECE(漏れなく、ダブりなく)」に分解していきます。例えば、「学習戦略の認識」という課題であれば、「戦略の存在を知っているか」「その効果を信じているか」「実行するコストをどう感じているか」といった具体的なサブ課題に切り分けます。このように大きな問題を構造化し、実行可能なサイズの小さな課題へと分解することで、研究の「攻めどころ」が明確になります。
2. 曖昧さを排除し、実施可能な解決案を導く
コンサルタントの仕事は、クライアントの曖昧な悩みを具体的なアクションプランに落とし込むことです。これは研究においても全く同じです。「学習意欲を向上させる」という目標だけでは、具体的にどのような介入(Intervention)を行えばよいか見えてきません。
しかし、問題を構造化した先にある「小さい具体的な課題」にフォーカスすれば、「特定の学習方略の効果をメタ認知的に促すフィードバックの提示」といった、具体的で実施可能な解決案(研究手法)を提案できるようになります。いきなり巨大な壁に挑むのではなく、確実に登れる階段を設計する。このステップこそが、研究の実現可能性(Feasibility)を高める鍵となります。
3. 修士課程における「効率」の最大化
このロジカルシンキングの活用は、限られた時間の中で成果を出さなければならない修士段階において、大きな恩恵をもたらします。
目標の明確化: 課題が分解されているため、自分が今「どのパズルのピース」を埋めようとしているのかが常にクリアになります。
文献収集の効率化: 問いが具体的になれば、検索すべきキーワードや参照すべき先行研究の範囲が自ずと絞り込まれます。関連性の低い文献を読み漁る時間を削減し、核心に触れる議論に集中できるのです。
教育工学の研究は、理論を構築するだけでなく、現場の課題をどう解決するかという「実践的」な側面を強く持っています。だからこそ、ビジネスの世界で洗練されてきたロジカルシンキングや構造化のスキルは、私たちの研究を加速させる強力な武器になります。
「何を研究すればいいか分からない」「先行研究の海で迷子になっている」という方は、一度ペンを持って、自分の問いをツリー状に分解してみてください。きっと、進むべき一本の道が見えてくるはずです。