2022.06.03

研究に役立つウェブサイトやツール2022ver.(M1 仲沢 実桜)

こんにちは。修士1年の仲沢 実桜です。
私は、自身の仕事でもあるグラフィックレコーディング・グラフィックファシリテーションに対する問題意識から研究テーマを設定していて、対話などの場における、リアルタイムのビジュアライゼーション(可視化)の効果について探究しています。

さて、
今回の「研究に役立つウェブサイトやツール」というテーマと同様のテーマが、じつは本ブログで過去に何度か設定されてきました。よって、菊池さんにならって私も「2022ver」という表現を採用します。

同様のテーマの過去の記事が気になる人は、これらのリンク先から記事を辿って読んでみてください。

▶︎ 2007ver 9月あたりから辿る
▶︎ 2012ver 8月あたりから辿る

ここまでの記事を拝読しての所感としては、テーマの「研究に役立つ」という言葉をどう解釈して書くかという点(「研究にどう役立つのか」)も執筆者それぞれで、どこに目を付けるかも多様であるのがおもしろいと感じました。

私は、

【1】「研究の入り口に立つ時/立ち返るのに役立つ」という観点

【2】「研究の世界に馴染むのに役立つ」という観点

という2つの観点から、役に立つWebサイトを紹介したいと思います。

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【1】「研究の入り口に立つ時/立ち返るのに役立つ」webサイト紹介
東京大学附属図書館Literacy

 その中の特に次のページ
 > データベースの活用法

 > レポート・論文作成支援

 > 文献管理ツール

ひとつ目に紹介する「東京大学附属図書館Literacy」は、「学術情報リテラシー」に関する情報をまとめたサイトで、学習や研究をすすめていくために役立つ情報が入手できるというものです。
「学術情報リテラシー」と言われてもピンと来ない人もぜひ、ページの見出しの言葉を見てみてください。「文献データベースを使う前にキーワードの幅を広げたい!」など、見出しから情報を見つけやすいように工夫されています。扱うテーマも「論文の構造」から「文献管理ツールの比較」「査読について」まで、研究という営み全体について体系的に概説されています。また、東大附属図書室が作成したサイトなだけあって、概説それぞれに関して参考図書が紹介されている点も特徴的です。

私も最近、このLiteracyの文献管理についての説明を参考にして、文献管理ツールを使い始めて、研究を効率化してくれていること実感しています。時間は有限である中で研究を進めるとなると、できるところで効率化を図ることは重要です。このことについては、少し前の加藤さんの記事でも言及されており、「Zotero」というツールが紹介されていましたね。

Literacyのデータベースの活用法というテーマに関連させて参照したいのは、山内先生が2007年7月に自身の領域に関連する「文献検索に役立つもの」を紹介していた こちらのエッセイ記事です。しかしツールを紹介するに終わらず、その続編のエッセイ記事では、ツールを使いこなすための思考の準備段階の観点を提示しています。

山内先生の「データベースがあれば目的の文献が探せるかというと、そう簡単ではない」という指摘はもっともで、ツール単体ではなく使い方まで含めて学ぶ必要があると私も思います。

今回のブログテーマ「役立つwebサイト・ツール」についても、各人がそのツールを「どのように使いこなしているか」を想像しながら読んでみるといいかもしれません。

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【2】「研究の世界に馴染むのに役立つ」webサイト紹介
:研究者のWebサイトや、学会のWebサイト

 ※検索ツールがあると、より楽しい

続いては、研究者のWebサイトや学会のWebサイトのを見ることの勧めです。

これによって、研究の世界と気軽に親しむことができてよいと感じています。
スマートフォンが身近になった私たちの生活では、私のように、気になることがあるとすぐ「ググる」(webブラウザで検索することの意)習慣がある人も多いのではないでしょうか。ときどきは全世界を対象にするのではなく、学術的世界に寄って情報を探索してみませんか。そうすることで、研究者の考え方や研究室の文化などのメタ的情報に親しむことができると考えています。

例えば、
「創造性」に関するキーワードについて知りたい時は、日本創造学会のwebサイトで「創造性キーワード集」というまとめがあります。そのページの執筆者や出典引用元もきちんと記されているので信頼性が高いですし、なにより研究者が自身の領域のキーワードを端的に説明してくれることがありがたいです。すでに知っているキーワードでも、「このように説明するのか!」という説明の仕方についての気づきが得られることもあります。

他にも、
研究者のwebサイトとして、授業でもお世話になっている藤本徹先生のwebサイト「Ludix Lab @ UTokyo」を紹介します。この山内研究室webサイトと同様に、藤本先生のサイトにもブログがあり、ゼミ活動の報告やゲーム学習に関連する理論の概説などの濃密な情報が発信されています。
このサイトは、サイト内の検索機能があるために探索がやりやすく、例えば、自分が今プレイしているゲームタイトルを入れて検索すれば、そのゲームについてゲーム学習の理論を参照しながら論じられているものが見つかることもあり、楽しいです。(私は、「リング・フィット・アドベンチャー」で検索したことがあります。)

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まとめに代えて

上で紹介した山内先生の過去のエッセイでも述べられていたように、ツールはツール単体では成立せず、そのツールを使う人があって初めて「役に立つ」という現象が起こり得るものです。

今回のブログテーマは、「研究に役立つウェブサイトやツール」ですが、ブログの文章を読むことで学べるのは、リストアップされたツール名のような顕在的情報だけではないはずです。私は、本ブログの記事や、本記事で紹介したようなwebサイトで情報を獲得することで、研究者らしい考え方や文化、姿勢などの潜在的な情報についても学ぶことができると考えます。このような学習の対象になる潜在的な情報のことを、「隠れた情報」とも呼んでみたくなりました。(教育学の用語「隠れたカリキュラム(hidden curriculum)」をオマージュして私が考えた言葉です。)

[仲沢 実桜]


P.S.=====
藤本徹先生、お誕生おめでとうございました!👏🥳

2022.05.23

研究に役立つウェブサイトやツール(M1田中冴)

皆様はじめまして。この春入学したM1の田中冴と申します。
いつも読む側だったこの山内研ブログを、自分が書くことになるとは…としみじみしつつ書いています。

まずは自己紹介を兼ねまして、これまで何をしていた人かを簡単に紹介します。
私の生まれは福岡で、大学学部時代は九州工業大学というところで機械工学をやってました。この大学にはグループワーク向けにデザインされたMILAiSという教室がありまして、私はここの学生スタッフをずっとやっていました。そこのスタッフ研修で学習環境デザインに関する文献のゼミをやったり、それをもとにワークショップを企画したりする中で、私は徐々に山内先生の研究室に興味を持つようになりました。そこで学部4年時に学際情報学府の院試にチャレンジしましたが、あえなく不合格。今考えてもあまりに向こう見ずだったと思うんですが、当時併願も就活もまったくしていなかった私は、来年度行く宛が完全になくなりました。2021年2月ごろのことです。
その後、MILAiSでお世話になっていた先生の元同輩というご縁で、聖心女子大学の先生が私を研究生として1年受け入れてくださることになりました。私は上京し、この先生のもとで1年修行しつつ、学際情報学府にまたチャレンジしました。そして、学部時の夏季冬季院試を全て合計して実に4回目(!)のチャレンジでやっと合格をいただき、2022年4月に入学するに至りました。

入学してから早1ヶ月ですが、各自の研究テーマに限らずにいろんな興味や思いについての話に付き合ってくださる同期の方々や、面白くて頼もしい先輩方に出会うことができ、忙しくも楽しく過ごしています。
私の研究テーマですが、皆様にツッコミをビシバシいれていただきつつ、絶賛問い直し中です。恐れを捨ててざっくり書きますと、人の考えの枠組みを変えるというところを、ハイパーテキスト的な文書システムによって支援できないか、といった感じです。はやくこのブログに書けるくらいにまとめられるよう頑張ってまいります。

では、ここから「研究に役立つウェブサイトやツール」の紹介に入っていこうと思います。

①研究を進める場所
学環コモンズ
1つ目は、研究を進める場所についての話題です。2021年はせっかく東京に来たのに自宅での作業ばかりだったので、2022年はなるべく外に出てみようと思っています。最近は、本郷キャンパス内の学環コモンズという場所でよく作業をしています。学環コモンズは、情報学環・学際情報学府の全メンバーが利用できるスペースで、個人作業をしている人もいれば、グループで会議をしている人もいたり、その辺でちょっと世間話をしている人もいたりと、いろんな使い方が混ざり合っている場所です。学際情報学府の方々はとりわけ研究テーマが多彩ですが、そういう垣根も超えて「何読んでるんですか?」と話しかけてくださる方がいたりと、越境がテーマのひとつである学際情報学府の特徴がよく滲み出ている場所だなとも感じます。
場所場所によって、いる人も違えば文化も違ったりするので、気分や作業内容によっては、学環コモンズに限らずに場所を変えたりもします。研究をする場所を気にしてみたり、いつもとはちょっと違う場所に体ごと移してみるというのは、結構気分転換にもなって良いかもしれません。

②作業時間記録アプリ
toggl track
2つ目は、作業時間記録アプリです。学際情報学府に入ってから、思っていたより授業が忙しく、なにかと時間に追われて、気づいたら一週間経ってる、ということがよくあるので、何に時間がかかっているのかを残していくために使い始めました。時間記録系のアプリはたくさんあるので、特にこのアプリがおすすめということでもないですが、私がやりたいことが無料で十分にできるので、toggl trackというアプリを使っています。基本的な使い方は、今からやることのタイトルを書いて、タイマーのスタートを押す。作業が終わったらストップを押す。これだけです。
私は事前に計画をたててその通りにこなしていくというのが本当に苦手なので、あくまでやったことを記録するだけをやる、と心に決めてtoggl trackを使っています。作業時間の履歴を残していくことで、パソコンに向かって作業してる時間は1日平均これくらいなんだなとか、この本を1章分精読すると2時間くらいかかるなとか、前回はこの発表の準備にこれだけ時間がかかったから次もこれくらい見ておこうとか、そういう見通しは立てやすくなったように感じます。

【田中冴】

2022.05.19

研究に役立つウェブサイトやツール(M1加藤亮介)

皆さん初めまして。今年の春に入学した加藤です。

まあまずは本題の前に自己紹介を。私は東京学芸大学の初等社会科選修を2017年に卒業して商社で保険の企業営業を5年していました。学部では教育や経済学、デザインに特に興味があってあれこれ手を出したものの、吸い寄せられるものに出合えず(生意気ですね)、ふらふらしている私を拾ってくれる会社に迷わず就職、そこでは本当に色々な経験をさせてくれました。今でも感謝です。

会社でもいろいろ手を出す癖が止まらなかった私ですが、いろいろな関心が共存しているのが自分の個性なのかなと思い始め、でも自分が一生かけて取り組むフィールドは決めたいなという気持ちがずっとありました。そこで出合ったのが情報学環でした。人の成長という軸はありつつも、教育=学校というイメージを壊してくれるぶっちぎりの多様性に惹かれて山内先生の研究室にチャレンジしたところ、運よく拾っていただきました。

拾われてばかりの私ですがこれからの素敵な出会い・出合いを楽しみにしつつ日々学んでいます。

さて、ここでようやく「研究に役立つウェブサイトやツール」です。研究計画書で役立った、修士論文で役立っているものをメモします。

・教育業界ニュース「ReseEd(リシード)」
https://reseed.resemom.jp/
私の場合、教育と距離のある環境で研究計画書を書く必要があったので、「教育では今何が課題になっているか」に目を向けることから始めました。いくつかニュースサイトは見ましたが、RedeEdは政府系(文科省など)と企業系(商品・サービスのリリースなど)、研究系(実態調査のリリースなど)がバランスよく載っているサイトのように感じました。

・Zotero(論文の管理アプリ)
https://www.zotero.org/
研究計画書を書いている1年前の自分に教えてやりたい、というアプリです。皆さんは論文を読みためているうちにパソコンのフォルダがいっぱいに、フォルダ分けしようにもカテゴリに悩むにという経験はないでしょうか。このアプリだと論文から書籍のメモまでまとめて一つのフォルダに保存、検索でき、一つのファイルを複数のカテゴリに分類することができます。ファイルによっては自動で論文情報を登録、参考文献の書式で出力してくれるので、参考文献を手打ちしていた私にとっては感動でした。似たようなアプリはいくつかあるようですので使いやすいものを選ばれることをおススメします。

2022.05.11

研究に役立つウェブサイトやツール(M2早川裕貴)

お久しぶりです。修士二年の早川裕貴です。

案外ブログ記事を読む人が多いことを知ったので今回は真面目に書こうかなと思います。
今回のテーマは「研究に役立つツール」なので、最近使って便利だったツールを紹介します。

Zapier
アンケート調査を行うにあたり、煩雑な操作を自動化するために各種webツールを用いています。
特にZapierは特定アクションに対して、連続する操作を設定することができる便利なウェブアプリです。
例えば
・グーグルフォームに回答があったら、その回答者にメールを送る
・回答に対して乱数を生成して、アンケートに埋め込んで送信するとか
・未回答者に対して定期的にDMを送る
などの作業を自動で行うことができます。

Slack sdkというAPIを利用してbotを作れば、Personalizedした研究フォームをDMすることもできます。
縦断調査にはもってこいですね。


無料かつノーコードなので(slack sdkは別)気軽に使える点が魅力です。
なので研究のみならず、趣味や仕事など様々な場面で役立てることができます。

遊び半分でツールを作るのが好きなので心に余裕ができたらYlabのslackで、
「研究室にある書籍を呟くbot」とか
「卒業生の修論のどこか一節を脈絡なく呟くbot」とか
作ってみたいと思ってます。

おまけコーナー【先輩への手紙編】
Wさん、お元気ですか
私も春からM2になり、同時に新しいM1が入学してきました。
去年の自分とは比べ物にならない優秀な方々で面食らいまくっております。

私が入学した当初は右も左もわからず彷徨っていましたが、ようやく先輩方が言っていたことがわかるようになってきました。
M1の研究を見て「これめっちゃいいな…」的な魅力を感じられるようにもなってきました。

Wさんは去年の同じ時期、テーマが定まらない自分を目にかけてくださりました。
それによって救われていた自分がいるのも事実です。
最終的な研究スケジュールはWさんと同じには絶対になりたくないのですが、後輩に安心感を与えられる良きM2としての姿勢はWさんから学び、体現できるように努力していきます。

素敵な後輩より

2022.04.14

研究に役立つウェブサイトやツール2022ver.(M2菊池ゆみこ)

こんにちは、修士2年の菊池ゆみこです。
新年度、新学期!春ですね〜〜〜。
私も2年次に進学いたしまして、丁寧にしかしスピード感とアツい気持ちは失わずに研究していこう、と心持ちを新たにしております。

さて今回のターンは「研究に役立つウェブサイトやツール」をテーマに、山内研所属メンバーがブログを執筆いたします。
このタイトルでの記事は過去2007、2012年にも書かれていたのですが、装いも新たに2022年バージョンとして情報をお届けできればと思います。

では早速参りましょう!今回私からは2件、研究に役立つウェブサイトをご紹介いたします。

①博士論文に頼ろう!
ProQuest Dissertations & Theses Global
海外の博士学位論文の検索サイトです。
研究を始めるにあたってはまずは先行研究をレビューし、自分の研究対象となる分野を概観する必要があるのですが、Google scholarでキーワード検索をしてみても期待していたような文献が見つからないこともしばしば。そうなるとそして研究群の概観もなかなか掴めない…
(Google Scholarで検索して、偶然面白い論文が見つかる瞬間も好きですが)
そこで広い学術の海にこぎ出す海図の一つとして頼りにし始めたのが博士論文です。2012年の記事で池尻さんも言及されていますが、博士論文は前半部分に先行研究のレビューがあるので、その箇所を読んだり、参考文献リストからさらに他の文献を辿ったりしています。また私はタイトルの付け方をバーッと見て、自分の研究分野においてどのような問いの立て方がありうるのかを考えたりすることもあります。
そして個人的に、自分の研究対象となる分野に多くの先達がいることに勇気づけられたりもしています。

②おもしろ記事だって研究の肥やしだ!
デイリーポータルZ
急に方向転換しまして、こちら老舗のおもしろ記事サイトです。息抜きに読むことがあるのですが、それぞれの記事に研究に通じるものを感じることがあります。例えば「メガネ」というキーワード一つとっても、メガネ屋さんの名前を収集しておもしろがる記事から、メガネ職人の専門学校に体験入学する記事、わざと斜めにずれ落ちるメガネを工作する記事といった具合に各記事の切り口がユニークかつシャープでバラエティに富んでいます。しかも、記事の構成もかっちりしていて、イントロダクション⇨リサーチクエスチョン⇨手法⇨結果⇨考察、と、論文に近い構成になっているではありませんか。何よりニッチなテーマを扱っていても、記事構成や文章力、そして説得力ある情報・データを用いてあらゆる読者に興味を持たせ、わかりやすく伝えきるという意味では、大いに修士論文の参考にしたいところです(していいのかしらん?)


これらのサイトをうまく使いながら、引き続き研究がんばろうと思います!
では今回は、この辺で・・・・。

(M2 菊池ゆみこ)

2022.03.31

研究に役立つ自分なりの小さなTips、マイルール(D1 増田悠紀子)

D1の増田です。
研究に役立つTipsということで、これまでのみなさんがとても面白い&役立つ投稿をされており、自分が行なっていることもほぼ出尽くしたなかなのですが、最近意識していることについて書こうと思います。

私は昨年度修士課程を卒業し、今年度から博士課程に入学しました。
修士と博士で大きく変わったと感じたことは、研究のスケジュール感(規模感と言い換えてもいいかもしれません)の変化でした。修士課程は2年間という限られた期間であり、その期間でやれることは自ずと限られてきます。自分は修士課程で何度も迷子になりましたが、それでも2年間という時間のリミットが、「ここから先はもう悩んでいる時間ではない!」と拡散する思考を強制的に収束させてくれたように思います。
一方、博士課程は修士課程と違い、領域による差もありますが、何年で博士論文を提出するかというのは個々人のペースに委ねられている部分があります。それは、時間をかけて研究できるというとても自由で豊かな時間ではありますが、時にこの自由さが研究をまとめることを難しくさせているようにも思います。もともと、山内研究室の博士学生には、下記のような大・中サイクルとしての日々のマイルストーンがあったのですが、最近それよりも小さなサイクルを回そうと試みています。小さいサイクルでは、完成にこだわらない強制的なアウトプットをすることで、ちょっとずつ大きなサイクルに近づければと思っています。


⑴大きなサイクル:博士コロキウム
学際情報学府の博士課程の学生は、毎年11月に博士コロキウムという発表会に参加します。ここでは、博士論文の構想について発表し、主査の先生以外の学環の先生からも意見をいただける貴重な機会です。修士課程では、M2の際に、「構想発表会」「中間発表会」という研究進捗の報告の場が設けられていますが、博士課程では、オフィシャルに研究進捗を報告する場は1年に1回のコロキウムのみです。コロキウムはその意味で博士課程の大きなサイクルのマイルストーンの1つで、1歩ずつ博士論文の提出に近づいていることを感じたい・・・と思いならが臨みたいと思っています。

⑵中サイクル:研究室ゼミやファシリテーターの先生との相談
山内研究室は毎週ゼミを開き、持ち回りで院生が自分たちの研究進捗を報告・相談しています。研究室の人数にもよりますが、大体1ヶ月に1回は自分の番が回ってきます。ここでは、研究の流れをよく知ってくれているゼミ生や助教の先生方からアドバイスをいただき、それに対応できるよう次回のゼミ発表までに文献調査や構想を練ります。また、これは過去の記事のなかでも度々紹介されていますが、ゼミ生1人づつにつくファシリテーターの先輩との相談も行うことで、具体的なアドバイスや悩み相談にも載ってもらっています。

⑶小サイクル:少人数での研究進捗報告会
1ヶ月ごとのゼミのサイクルでも、途中期間どうしてもぼーっとしてしまう集中力のない人間であることと、ゼミは春休みなどの長期休暇は開催されず、その期間を有効活用するため、もう少し小さいサイクルを回したいと考えました。現在、博士課程の学生とOBの先輩とともに、週に1回の進捗報告会を行なっています。1週間という期間のなかなので、大きな進捗をつくるというよりは、小さいブロックを積んだり崩したりしながら、先輩たちに相談に乗ってもらっています。また、研究の辛さや行き詰まりの愚痴を吐き出す場として気持ちが楽になる場でもあります。コロナ禍でゼミ生と気軽におしゃべりできる機会が減っている中、このような少人数での気楽な会というのは、研究のペースメイキング以上に精神的な面で救われているように思います。


また新しい年度が始まりますが、良い博士課程ライフをゼミ生のみなさんと送っていきたいです。


D1 増田悠紀子

2022.02.08

研究Tips:スーパー銭湯で研究する(D5 平野智紀)

D5の平野です。大学院生が研究に役立つ自分なりのTipsを紹介するシリーズとのこと、私の最近のルーティンは散歩、と思ったのですが、修士課程の渡辺さんに紹介されてしまいました。役に立つかわかりませんが、コロナ禍で約2年間封印中の研究メソッドを紹介したいと思います。

それは、「スーパー銭湯で研究する」です。

私は社会人大学院生なので、日々の仕事を離れて研究に取り組む日をつくることが何より重要です。以前にも、研究を一気に進めるために、一人で近場の温泉宿にこもって、1泊2日で原稿執筆を進める「ひとり文豪ごっこ」を不定期で実施していました。これまでに行ったのは、湯河原温泉、野沢温泉、福島・飯坂温泉など。「スーパー銭湯で研究する」は、それの日帰りバージョンという感じです。

最近のスーパー銭湯は、無線LAN完備で、コワーキングスペースを備えているところもあります。朝一で入館し、ひとっ風呂浴びたあとに、コワーキングスペースで研究し、お腹が空いたら館内のレストランで食事を取り(勢い余ってランチビールを頼まないよう注意)、ふたたび研究作業に戻ります。煮詰まってきたときには、お風呂に入って、交互浴でととのいます。1日中たっぷりいて、ランチ代を含めて3000円ぐらいです。来たからには元をとらなければと、しっかり研究を進めようという気持ちにもなるので、おすすめです。岩澤さんも書いていましたが、研究せざるを得ない環境に自分を置くことがとても大事だと思います。最寄り駅までバスの送迎もついていて、至れり尽くせりです。

私はこの方法で、博士研究の執筆・投稿と、博士論文に向けた2つの実証研究データの再分析までを行うことができました。コロナ禍が長期化し、「ひとり文豪ごっこ」はもちろん、スーパー銭湯にもなかなか行けていません。博士論文の仕上げに向けて、引き続き研究日確保のための新しいスタイルを模索したいと思います。

平野智紀

2022.01.25

研究に役立つ自分なりの小さなTips、マイルール(D2 井坪葉奈子)

こんにちは、D2の井坪です。
今回のテーマは研究に役立つ自分なりの小さなTips、マイルールということで、私が実践しているものを2つ、ご紹介したいと思います。


1. Google Scholarのアラート機能を活用する
Google Scholarという論文検索エンジンでは、特定のキーワードを含む新着論文をメールで通知してくれる、「アラート」を設定することができます。
私の場合だと"willingness to communicate"(WTC)という概念が研究のコアになっているので、"willingness to communicate"をキーワードとして登録しておくことで、1日1回程度のペースで、新着論文のリンクがメールで送られてきます。
この分野で有名な研究者の新しい論文だ!と、推している作者の新刊が出た時のように喜ぶこともできますし、最近のWTC論文はこういう観点のものが多いなと、研究の潮流もなんとなくつかみやすくなったり、あとは日々新しい論文が出ていることを改めて認識することで、自分も頑張らなければ・・・という気持ちになるのでおすすめです。


2. コミュニティに所属し、人と話す
山内研というコミュニティでも、ゼミで研究発表をした時のメンバーからのフィードバックや、ファシリテーターと呼ばれる研究の相談にのってくださる先輩の存在(ファシリテーター制度については、こちらの記事で紹介されています)が、研究を進める上で重要な役割を担ってくれているように思います。
そして、博士課程に入ってからは、山内研だけでなく、ほかのコミュニティにも顔を出すようになりました。例えば私は、博士課程教育リーディングプログラムのひとつである、多文化共生・統合人間学プログラムに所属しているのですが、そのプログラム生が運営するライティング部というものに参加しています。
ライティング部では、2週に1度、人文社会系の博士課程に在籍する学生が集まり、お互いの書いたものを添削し合ったり、研究の進捗や悩みを共有したりする活動を行っています。ライティング部で、違う分野の人からコメントをもらうことで、角度を変えて自分の研究を眺めることができるように感じますし、お互いに励まし合うことは、ともすれば孤独な道のりになってしまう博士課程を生き抜くためにも必要な気がしています。


人と話すのがあまり得意ではないので、2については練習中という感じではありますが、これからも色々なチャンスを拾って、自分の視野を広げていければいいなと思っています。
以上、本当に小さなものではありますが、自分なりのTipsでした。


D2 井坪葉奈子

2021.12.03

研究に役立つ自分なりの小さなTips、マイルール(M2 渡辺拓実)

M2の渡辺です。

今日焼いた目玉焼き。黄身はいい感じだったのですが、白身に火が通り過ぎていました。
何事も加減は難しいものです。

🍳  

さてさて、研究に役立つTips・マイルールについてです。

「何がわからないかがわからない...うまく文章にできない」
そんなときどうする?
に対するTips、マイルールについて書こうと思います。

本日紹介するのは、【散歩がいつの間にか文章の手前まで来ている法】です。

「何がわからないかがわからない」状態というのは、なんかモヤモヤするな〜とか、自分が何がわからないのかがうまく言葉にならない、言語化できない、みたいな状態をイメージしてもらえると良いかなと思います。

🚶‍♂️

最近のこと。

修論の1章と2章のつなぎのロジック、なんだかしっくりこないな〜
みたいなことがありました。

とりあえず歩きます。
自分の頭の中に思い浮かんだことをひたすらに書く、ジャーナリングっぽいやり方も割と好きなのですが、今回は歩きます。

ボイスレコーダーのアプリを起動します。
歩きながら、話を始めます。
質問とかをします。

具体的にどこがしっくりこないの?
なんでしっくり来てないの?

スマホに向かって、話かけます。
ひとりごとではなくて、スマホさんに向かって語りかけます。
スマホさんに説明をします。できるだけ分かりやすいように説明をします。
小学生でもわかるような説明だと素晴らしいのだと思います。

とはいえ、まとまっていないことについて話をしているので、ものすごくうまく話せません。
ただ、話し続けていると、どこかでいい感じになる時があります。

どこでいい感じになるのかは、わからないので基本的にずっとレコーディングします。

気が済むまでひたすら歩きます。
途中で温かい飲み物を飲むのも良いでしょう。
気が済んだら歩くのをやめます。
家なり、図書館なり、任意の場所に戻りましょう。

言ってたことを聞き直します。
重要そうなことがあったら書き起こします。
聞き直して、書くことは重要です。
ここをやらないと、話せるんだけど書けないを乗り越えられません。

以上が、【歩きながら話したことがいつの間にか文章の手前まで来ている法】の紹介です。


【補足】
📍わからないことが割と明瞭なとき(特定の情報が欲しいとき。知りたいことが明確なとき。)は散歩は割と無力かもしれません。
その時は諦めましょう。
図書館にいくなり、パソコンで検索するなり、好きにしてください。

📍この方法、わからないけどとりあえず書いてみることを通して考えがまとまる。とはちょっと異なると思います。
この方法、結局は話す言葉がそのまま文章になっています。
話すときに使う言葉と書くときに使う言葉はやはり異なるので、わからないものを書き出すこと、わからない中でも書いてみることとは違った行為だなと自分では捉えています。
なので、わからないけれどとりあえず書いてみる。といった行為を試みることは非常に重要で、得られるものはこの方法とは異なるかなと。

ここまで書いていて思ったのですが、この方法、単純にわからないまま書くことに比べて、工数がめちゃくちゃかかっていますね。
結論としては、あまりオススメしません。

みなさんも良い散歩ライフをお過ごしください。



M2 渡辺拓実

2021.11.19

研究に役立つ自分なりの小さなTips、マイルール(M1 早川裕貴)

M1の早川です。

今回も引き続き研究に役立つ自分なりのTipsについてのご紹介です。
既に大変ためになる方法をご紹介頂いているので、今回は役に立たなそうなTipsをお届けします。


Tips1:プリントする
研究って「やらなきゃなー」と思いつつなかなか体が動かないですよね。
かと言ってカレンダーとか予定に組み込んでも「今はなんかやる気出ないし休憩に専念した方がいい」となるのが我々先延ばし人間の宿命。


そこで最近採用してうまく行った方法がプリントすることです。
単純に印刷した論文をファイルに入れているだけです。
そして気に入った論文は肌身離さず持ち歩いています。
「なるほど、スキマ時間に読むってことね」と思われたかもしれませんが、違います。
だって外で紙の英語論文読むの大変なんだもの、単語の意味とか調べるの片手でやりづらいし。

ではなぜプリントして持ち歩くのか、その理由は「だんだん愛着が湧いてくる」からです。
持ち歩いても外で読むことはありません。ですが次第に
「寂しい思いさせて悪かったな…これからいっぱい読んでやるから…」
と思うようになり、結果的に論文を読むことができます。
しかも長く連れ添ったおかげか、英語でもあまり苦しまずに読むことができるのです。
不思議ですね。

ちなみに最近のツレはOECDのレポートです。
ぜひ試してみてください。


他にも書こうと思ったのですが特に工夫して研究していないので、最近考えたことを書きます。


教授がジュースを飲んでいるのをみると嬉しくなる
先生とか偉い人とかがジュースを飲んでいるのをみるのが好きです。
先生が真面目であればあるほど良くて、飲んでいるのをみるとなんだか嬉しくなってしまいます。
以前、東京大学のH田教授のゼミに参加していたことがあるのですが、生徒の議論に意見を言いながらボトルタイプのRedBullを飲んでいて
「めっちゃいいな…」
と独りでニヤニヤしていました。
我らがY先生もコーラがお好きなようで、対面ゼミの時たまに机にコーラが乗っていたりします。
先日は休憩時間に2本目のコーラを購入されていて、個人的にはテンションが上がりました。
以上です。

山内研ブログをどんな方がご覧になっているのかわからないのですが、ブログの内容的には結構真面目なものが多い印象です。
実際に研究室も真面目な方が多いので当然といえば当然ですが、たまにはリラックスした内容があってもいいかなと思ってます。

M1早川裕貴

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