BLOG & NEWS

2010.07.10

【研究者の仕事術】 佐藤朝美 助教

みなさま,こんにちは。
M1の柴田アドリアナです。
【研究者の仕事術】第6回は,助教をされている佐藤 朝美さんにインタビューに伺いました。

佐藤さんの研究テーマは幼児を対象とした学習環境のデザインです!幼児を取り巻くメディア環境、ナラティブストーリーテリングなどを専門に研究なさっています。
家族、仕事、研究...こんな忙しい中の佐藤さんの仕事術を伺いましょう!

Q. 大学の時代は何を勉強していましたか?

小学生の頃「ベルサイユのばら」っていう漫画を大好きで、憧れていて、絶対西洋史学科に行きたいと思っていていました。けれど、私の大学はハンムラビ法典とか、イギリ スのコレラの歴史を専門にしている先生などで、フランスのブルボン王朝とかを専門にしている先生が全然先生いなくて、面白くなかった!卒論で書いたのはフランスのポンパドゥール夫人の絶対王政の時代のことで、今の研究とは全然関係ないですね...

Q. では、今の研究テーマになったのはいつ頃ですか?

CSKというコンピューター会社でシステムエンジニアとして働いていました。子どもが生まれたのを機に、やめました。

たまたま、近所に武蔵野美術大学があって、メディアアートをやりたいと思って、家から通い始めました!しかも、デザイン情報学科っていうデザインと情報がいり混じったような学部でした。そこで小さい子供がいたインタラクションデザインの先生がいて、なんか、子供向けのデジタル玩具を作りましょうっていう話になりました。カードを用いたインターフェースで、バーコードを読み込ませると映像が流れるっていう作品を作ったんですよ。コンピュータグラフィックスをやっていた男の子と一緒にDirectorでLingoという言語で書きました。
Prototype 1
Prototype 2
Prototype 3
*Shockwave Playerのプラグインが必要です。

コンテンツを使った子供はすごく喜んでくれたけど、なんか少しは学習しているのではないかなと思っていて、いったい何を学んでいるだろうとすごく興味を持ちました!ただ遊ぶだけではなくて、その学ぶ力を引き出すようなものを作りたいと思いました。
美大では教育まではいかないので、教育学部ではコンピュータっていうことは関係なくなるから、どうしようと思っていた時に山内研のことを知りました。

Q. 小さい子供を育ちながら院生になるのは大変だったでしょう!

ムサビはいったん卒業して、また主婦の生活に戻りました。
子供が小学校一年生になった時にここの大学院に入ったのです。
最初は大変だったですね。子供が小学校一年生って一番のかわりめで精神的にも不安定なんだったので、私も一杯一杯になっちゃいました。その時、一年目の先輩がいらっしゃって、その方も中学生のお子様がいて、中学受験のために会社を辞めたんですよ。それで、子供が受かったので大学院に入りなおしたのです。その方がいうのは足し算の法則でした。
例えば、柴田さんは大学生活を100%やっているじゃないですか? でも私は大学生活は60%しかできないのだけれど、そのかわりに子供の学校生活・教育現場をのぞけるチャンスは20%ぐらい、それから主婦の楽しみとか育児する喜びとか加えると、気がつくと100%以上になってます。
すべてを足し算する。ひとつに対する達成度をみるのではなくて、その達成度を全部足して自分がどれくらいやってるかを評価すれば、いやにならないと言われました。その言葉に救われて当時は時間をさけなかったけど細く長く続けていこうと思って今に至りました。

Q. 仕事の流れに何か特徴ありますか?

仕事についてやらないといけないことを書き出して、一極集中しておかないと絶対忘れてしまうというのがあって。いくつか仕事があって、それぞれはそんなに重たくないけど、ポンポンポンって仕事があるような感じです。ことが生じた時に全部iphoneに書き入れて(To doっていうアプリ)、それを脇において、仕事をします。

Q. 研究の流れにも何か特徴ありますか?

私は後から研究の分野に入って来ちゃったから、皆がやっているような高等教育とか、協調学習とかすごく研究が盛んになっているところには今から入っても太刀打ちができないと思っていて、自分が持っていて他の人に持ってないものを使わないと勝てないっていうか... そういう物を使った方がいい研究が出るじゃないかなと思っていました。専業主婦を長い間やったので、子供とか、家族とか、そして物をテーマにすることが大切じゃないかなと思っています。学校とか子供とのかかわりも情報収集の一環と思って、研究のヒントにしたりしています。

例えば幼児教材をひたすらを熟読する。今はベネッセの進研ゼミをとってます。子供にやらせようと思ってとってるのではなくて、自分がチェックするためにとっています。例えば、ドリル+漫画、ゲームなどの付録やソフトウェアを試しています。あとは、親向けの雑誌もチェックして、この対象の親はどんなことを求められているかなどの情報を集めます。

Q. 佐藤さんの研究スタイルとは?

実生活密着型の感じなのかな?
なんか自分の周りで起きている子供の現象で解決したいこととか、不思議だなと思うことを研究対象としているので修士の時の研究とかもちょっと作って、近所の子とかにやらせて、反応見て、作り直してっていうのはよくやっていましたね。

Q. これから研究者になりたい方々に何かアドバイスありますか?

私は論文はお風呂の中で読むようようにしてます!

すごく集中できるし、家の中であんまり集中できる場所ってないだけど。風呂の中はすごく集中できて...しかも、汚せるから急いで読むのじゃないのか?だから一日一本読める!
シャワーの時はだめだけどね...

そして、最近さぼり気味なんだけど、レアジョブっていうインターネットでの英語会話をやっています。

私は本当に30歳を過ぎてから研究も英語も始めた事ばかりなのです。だから、後輩にむけ手のアドバイスとしては、「遅いって言う事はない!」です。今は研究者っていう人生をはじめて、論文も書けたし、国際学会にも2回発表できたし... 遅い事はないと思いました。山内先生のご指導がいいことはもちろんです。でも、何を始めるにも遅い事はないと思って、恥をかいても気にしないでいけば、なんかいくらでも人生は開けるのかなっと思います!

2010.07.06

【お知らせ】「学びの空間が大学を変える」出版記念セミナー・名古屋開催決定

5月に発行された「学びの空間が大学を変える」はおかげさまで好評をいただいております。お買い上げいただいた皆様に御礼申し上げます。

5月22日(土)に情報学環・福武ホールで出版記念セミナーを開催して盛況のうちに終了いたしましたが、ご要望にお答えする形で、九州地区と大阪地区に加え、名古屋地区の開催も決定しました。名古屋地区では、名古屋大学の恒川先生のご協力で名古屋大学FM研究会との共催になります。

【名古屋地区】
  日時  :2010.8.3(火) 14:00開演(13:30開場)
  定員  :100名(事前登録、先着順)
  場所  :名古屋大学ベンチャービジネスラボラトリー
    名古屋市千種区不老町
   ※下記HPの51番の建物(左上あたり)
     http://www.nagoya-u.ac.jp/global-info/access-map/access/
  資料代 :1,980円
  主催  :東京大学情報学環・福武ホール アフィリエイトプログラム
  協賛  :名古屋大学施設計画推進室 コクヨファニチャー(株) ボイックス(株) 丸善(株) 
申込期限: 7.27(火)
   講師  :山内 祐平 東京大学大学院 准教授
        林 一雅  東京大学 特任助教
        恒川 和久 名古屋大学 講師
   プログラム:
        14:00-14:30 名古屋大学FM研究会発表
          ・学生・教員の評価と大学運営からみた教育環境
        14:30-15:40 セミナー
          ・ケーススタディ:駒場アクティブラーニングスタジオ(東京大学)
          ・ケーススタディ:マイライフ・マイライブラリ(東京女子大学)
          ・ケーススタディ:プレゼンテーションピット(はこだて未来大学)
        15:40-16:00 休憩(※アクティブラーニング向け家具や納入事例パネルをご用意しております)
        16:00-16:30 グループディスカッション
        16:30-17:30 意見交換会

お申し込みはこちらからどうぞ。
(7月24日九州・8月6日大阪の申し込みもできます。)

山内 祐平

2010.07.02

【研究者の仕事術】 水越伸 教授

みなさま、こんにちは。M1の菊池裕史です。
【研究者の仕事術】シリーズ第5回は、情報学環教授の水越伸先生にインタビューに伺いました。

僕は今学期、山内先生と水越先生が担当されている「文化・人間情報学研究法III」という授業を受講しています。学生のグループワークに対してユニークな例を交えながら的確なアドバイスをしてくださる水越先生に出会い、「学環にはこんな面白い先生がいたのか!」と衝撃を受けました。そんな水越先生に、今回は「研究者になるまでの道のり」、「研究者になってからの具体的な仕事術」という2つのトピックについて伺いました。ぜひ全文を通してご覧ください!

【研究者になるまでの道のり】

Q1. 水越先生は最初から研究者を目指していたのですか?

高校の頃から人類学をやりたいと思ってて、自分で言うのもなんだけど、ある程度勉強したいというような気持ちがあって大学に入ったのね。ただ、完全に研究者になりたいとか、そんなふうには思ってなかったかな。大学の学部生のときから助手になるまでやっていたデザイン事務所での仕事が面白かったんだけど、すごく辛くて苦しくて・・。だから、なんかもっと「俺はこんなことをやるんじゃなくて、思想とか理論とかをやるはずだったんだよ!」みたいな気持ちがすごくあって、それで毎日毎日(デザイン事務所での仕事が)嫌だったんだけど、一方で現実の仕事もものすごい面白かったのよ。

Q2. 思想とか理論とかをやりたいというのは、学部の頃から考えていたのですか?

それは、社会人の人が大学院で勉強したいと言うのに近い感覚だったかな。山内研でもあるかもしれないけど、社会人のほうがピュアに学問をしたいって言うじゃん。それに近い感覚があったんだよね。大学3年の秋くらいから、ようやくさっき言った仕事(デザイン事務所での仕事)が自分1人でできるようになった感じがしてきて、それで、このままこうゆう仕事を社員としてやってくという道もあったんだけど、俺はそれは嫌だったんだよね。これはいかんと思ったわけ。でも、「じゃあ何だったらいいの?」っていう見通しはないのよ。ただ、それは嫌だなと思って大学の4年のときに大学院に行こうと思ったんだよね。つまり、大学4年生のときに「研究者になりたい!」っていう明確な気持ちはなかったんだけど、コマーシャルな世界で生きていくのは嫌だなと思ってたんだよね。

Q3. なぜコマーシャルな世界で生きていくことが嫌だったのですか?

何か、どっかで嘘だと思ってた。それは非常に虚構だと思ってた。要するに、同じモノ(プロダクト)でもガワを変えたり、ある技術にいくつかのグレードを設けることでそれをパッケージ化して、それにある社会的・文化的なイメージを付与して、記号的な価値を付与して。っていう、まぁ、人々の欲望を喚起して買ってってもらうみたいなさ。要するに送り手が巧妙にマーケティングと設計をして、人の文化的な行動をコントロールするっていう、それが良いかどうかは今考えるとわかんないんだけど、俺はそれはなんかやりすぎだと思ってたんだよね。それで、いつかそうゆうのは崩れると思ってた。こうゆう虚構の体系は必ずいつか崩れるに違いないと思ってた。だから、「俺はこうゆうコマーシャルだったりビジネスライクじゃない方向に行った方がいいよな。」って気はしてたんですよ。ところが、それはそれで面白いんだよな。やっぱりそこにはコマーシャルかパブリックかとか、アカデミックか大衆的かとかそういうことを別にした技法もあったし。あと、途中でやめるのが嫌だった。途中でやめたら負けだなとも思ってた。

研究者にまったくなりたくなかったかというと、それはそうじゃないと思うよ。でもぼんやりとしか思ってなくて、研究者になりたいっていうはっきりした気持ちはないまま、もうどうしてもそこの場所でそのまま行くのが嫌だったんで、パブリックな場として大学院をすごく理想視して考えたんだよね。それで修論を書いて博士に入ったころに、「僕もう事務所でやれることはやれたな。」と思って、それでもうやめようと思ったんですよ。ちょうどその頃僕は助教になれて、それを機に僕はデザイン事務所から足を洗ったんですよ。

【具体的な仕事術】

Q4. 具体的な「仕事術」といったものはありますか?

僕は基本的にケータイとスケッチブックとMacを持ち歩いてる。あと、色鉛筆みたいなものも。僕は基本的に絵でモノを考えるんですよ。そこで一番大事なことは、手書きで絵で考えて、それがある程度形になってからテキストでスライドにしたりするということ。スケッチブックの絵を後でスキャンしてiPhotoに入れておいたりもします。

Q5. それはテキストにならないことをイメージとして残しておくということですか?

うん、そうだね。言葉にならないことをイメージにしておく。あと、これ(スケッチブックを指して)は俺なりにパッケージ化されてて、これを見ると思い出すことがいっぱいあるんだよね。これは、「これを見るとその時に戻る」って言うようなものだから、間違ってもイラレで書き直すようなことをするっていうのはダメなのよ。ニュアンスが消えちゃうから。これはアイディアの種みたいなものなんですよ。アイディアって忘れちゃうじゃん?で、もう一回ここに戻ったときに、「あー、あの時こうゆう気分であんなこと考えてたな。」ということが思い出せて、リンクしているものを思い出すアイコンになるんだよね。

Q6. いつもMacとスケッチブックを持ち歩いているということですが、何かイメージが浮かんだ時に、「Macとスケッチブックのどちらに記憶しておくか」という判断はされているのですか?

それは段階的なもので、ある程度スケッチブックで形を成してきたらパソコンに移るんですよ。基本はこっち(スケッチブック)で考えてますね。だから重くても持って歩かなくちゃならない。あと、これ(スケッチブック)は小さくてはダメなんです、僕は。

Q7. なぜスケッチブックが小さくてはダメなのですか?

それは僕がデザイン事務所にいたときに叩き込まれたことで、手書きでノートをとるときには「大きい紙に比較的小さい文字でモノを書きながら、全体を眺めながら考えていくってことをやったほうが良いよ。」ってデザイナーの人に言われたの。要するに、文字とか記号が置かれている場の関係みたいなものでニュアンスとかが伝わるっていうところがあるから、ワープロで頭からしか書けないというのはダメなんだよね。

Q8. エスノグラフィーなどをやる時に、水越先生独特のやり方といったものはありますか?

たとえばどこかに行った時に、どの階に何があって、どれくらいパーティションがあるかとかを見てます。あと、どの雑誌が置いてあるのかとかも。そういうこう、レイアウトデザインみたいなこととか、どういう服を着ているのかとか、普通インタビューじゃどうでもいいだろって言われるようなことを凄くよく見てますね、僕は。

Q9. それは、何か狙いがあって見ているのですか?

まあ、狙ってはいますよね。それは、「その人たちが本当はどういう人たちなんだろう?」っていうことについて彼らがインタビューで答えてくれることっていうのは、彼らが本当に言いたいことのごく一部に過ぎなくて、言葉にならないものを捉えるためにはモノとか空間とか人の身のこなしとか、そうゆうことが重要だっていう狙いがあるよね。それと、組織の状況認識とかって誰か1人に聞けば分かるとか、インタビューだけで分かるものではないから、そういった意味でも今言ったようなことっていうのが大事だなってことは思ってたことですね。

Q10. グループで仕事を行う際に考えていることなどはありますか?

グループでプロジェクトをやる、あるいは色んな得意分野のある人が連合体を組んで何かをやるときのコーディネートをするときには、自分の仲間だけを集めないようにしてます。なるべく色んな得意分野を持っている人を集めるっていうのが面白いなって思ってて、いまだにそうゆうことが好きですね。

Q11. そういったコーディネートをする際に、多様な人が集まるとうまくまとまらないような気がするのですが、その際に気をつけていることはありますか?

すごくベタな言い方なんだけど、仕事の話だけをしないというか、あれこれと色んな話をしますね。その時に大事にしてるのは、その人の仕事のことだけじゃなくて、その人の人間としての全体をなるべく知ろうとする。だから、話す時にはすごくざっくばらんに気の置けないことを話したり、冗談を言ったり、お酒を飲んだり、その人の氷山の一角じゃない全部を見るようなところまでを分かち合いながら付き合うというような、その人のごく一部では付き合わないといったことを意識してますね。その人の全体性をリスペクトするというか、シンパシーをもってコーディネートをすると、よくある「キャラとか専門性といったことでぶつかる」ということはなくなりますね。まぁ、それは努めてやっているというよりは、僕のキャラクターですけどね。

Q12. 最後に、カバンの中身を撮らせていただいてもよろしいですか?(笑)

あぁ、あんまり何もないけど、いいよ。(笑)

画像(リンク切れ)

気になるスケッチブックはマルマンのものです!

本日はお忙しい中、長時間のインタビューにお付き合いいただき、どうもありがとうございました!

編集後記

僕が水越先生にインタビューに伺った際に最初に言われた言葉が、「キミはどんな人なの?何の研究をしてるの?」といったものでした。最初はなぜ水越先生がこのようなことを聞くのかがわかりませんでしたが、インタビューが終わったときには、僕を単なるインタビュアー(仕事)としてではなく、僕全体として捉えようとしてくださったのかなと思いました。インタビューの内容からだけではなく、インタビューをすることそのものを通して水越先生の言わんとすることを学ぶことができました。これから関わり合う人に対して、僕もこのような「その人全体を捉えるような接し方」ができるように努めていきたいと思います。

2010.06.29

【お知らせ】保育環境デザイン研究会「乳児保育室の環境条件と子ども遊び」

第1回保育環境デザイン研究会「乳児保育室の環境条件と子ども遊び」のご案内

人間形成における重要な時期に、子どもが長時間過ごす保育園。どのような保育環境を提供することが質の確保につながるのでしょうか。生活の場としての役割が大切な保育空間に、学びという視点をどう取り入れていけばよいのでしょうか。

この研究会では、これらの問題について、保育[Child Care]、子どもの発達[Child Development]、子どもの遊び[Children's Play]、学習環境[Learning Environments]、空間デザイン[Architectural Design]という多様な視点(CDPLA)を切り口に、保育・幼児教育関係者、建築関係者、研究者等多様なバックグラウンドの皆さまとともに考えていきたいと思います。

第1回は村上博文さんをお招きし、乳幼児保育室での空間構成により子どもの遊びがどのように変化するのか?また、現状の保育空間の音環境がどのようになっているのか?にまつわる研究を映像とともに紹介して頂きます。

下記に詳細をご案内申し上げます。
皆さまのご参加をお待ちしております

-----------------------【第1回研究会】-----------------------
■日 時:7月14日(水)16:00-18:00

■場 所:東京大学本郷キャンパス
 東京大学 情報学環・福武ホール B2F ラーニングスタジオ1
 http://fukutake.iii.u-tokyo.ac.jp/access.html
 都営大江戸線 本郷三丁目駅 (徒歩7分)
 東京メトロ丸ノ内線 本郷三丁目駅 (徒歩8分)
 東京メトロ千代田線 湯島駅 (徒歩20分)
 東京メトロ南北線 東大前駅 (徒歩10分)

■定 員:20名

■テーマ:乳児保育室の環境条件と子ども遊び
 ~空間構成と音環境に注目して~

■講 師:村上 博文(東京大学大学院教育学研究科)

■参加費:無料

■参加方法:
ccd.pla【アットマーク】gmail.com までメールにてご連絡ください。
(お手数ですが【アットマーク】を@に変換お願いいたします。)

〆ココカラ============================================
参加申し込みフォーム
7月11日(日)までにお申し込み下さい。
人数が多数の場合は先着順とさせていただきます。

第1回保育環境デザイン研究会 に申し込みます。
氏名:
フリガナ:
所属:
メールアドレス:
この情報をお知りになったきっかけ:
(                         )
ご興味をもたれた理由などありましたらお願いします
(                         )
〆ココマデ============================================

■主催:東京大学 情報学環・福武ホール アフィリエイトプログラム
■共催:(株)ミサワホーム
■企画担当:佐藤朝美(東京大学大学院 情報学環 助教)

2010.06.26

【研究者の仕事術】椿本弥生 特任助教

みなさま,こんにちは。
M2の伏木田稚子です。
【研究者の仕事術】第4回は,特任助教をされている椿本さんにインタビューに伺いました。

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文章評価の研究で博士号をとられた椿本さん。
現在は,文章産出モデルの一部をもっと詳細に表すことはできないか?という視点から,そのプロセスにおける「寝かせ」による認知的な効果を,質問紙調査によって明らかにしようと試みられています。
分量があり,論理構成がしっかりしていて,頭と時間を使って書くような文章,例えば書籍の原稿や論文などを対象に,書き終わらずに寝かせている間,人々の認知過程では何が起こっているかを探っているとのこと。
寝かせた後,修正がはかどるのはなぜ?改編を思い切ってできるのはなぜ?という単純な疑問が研究の鍵となっているそうです。

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今回は,文章を書くこと,それを読むことに強い関心を持たれている椿本さんに,アイディアの書き留め方から情報の整理,そして研究に対する姿勢や頭と時間の使い方に至るまで,ざっくばらんにお話いただきました。
少々,記事が長くなっていますが,どうぞごゆっくりとお読みいただければと思います。

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●○紙とペンは必需品。アイディアを「書き留める」ことへのこだわりとは?

Q1. アイディアが浮かんだとき,そのアイディアを残しておきたいとき,どうされていますか?
ごはんを食べているとき,誰かと研究に関係ない話をしているとき,お風呂に入っているとき,ふっとアイディアが浮かぶことってありますよね。そういうとき,すぐにノートに書き留めます。相手に「ちょっと待って」と言ってね(笑)大学時代は,生協で売っている大学ノートを,今は少し小さめのノートをいつも持ち歩いています。

Q2. 「書く」ことがポイントなのでしょうか?
そうですね。書いているとアイディアがもっと思い浮かび,考えていることの整理もできます。アイディアを湧かせたり,深めたり,残しておいて後で見返したいときにノートは向いています。付箋に走り書きをしたメモも清書はしないで,そのままノートに貼ります。エッセンスが抜けないよう,生のまま残しておきたいのです。


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Q3. 例えば,どのように「書いて」おくのでしょうか?
研究をいくつか並行して進めているときは,どのネタがどの研究に使えるかわからないので,研究ごとにページを分けてただただ時系列に書いていきます。ときどき見返して,必要なときに必要な部分を使う。そのときの関心に使えるかどうかだけが大事なのです。ここにメモがある,ここにないメモはしていない。そうわかっているからこそ,何かネタがないかな,ちょっと詰まってきたなと思ったらこれを見ます。論文を読んでいて,大事だなと下線を引いたところもノートに書き留めます。本文を読み返したいときに迷子にならないよう,論文の出典(著者と年代)はしっかりと書いておきます。


●○思い出すヒントを未来の自分に。研究も情報もファイルごとに整理整頓。

Q4. 論文の話が出ましたが,研究に関連する文献はどのように管理されていますか?
これから読む論文は,リストを作ってPCに保存しておきます。すでに読んだ論文は,プロジェクトごとにファイルを作って,その中にどんどん入れていきます。今は,BEAT,自分が関わっている科研費プロジェクト,自分の研究の3つのファイルに分類しています。読んだ論文の表紙には,その論文のポイントをメモして貼っておく。そうすることで,思い出すヒントを未来の自分に与えられるのです。
ファイルの中は,特に整理をしていません。整理に時間を使い過ぎるのはもったいない。がさがさ触っているうちに,使えそうな論文は前の方に,今はまだ...というものは後ろの方に,自動的に分かれていくような気がします。

Q5. いつ頃から,今のようなスタイルで取り組まれているのでしょうか?
卒論のときは,それだけに集中すればよかったのですが,修士に入ってから仕事がぶわっと増えて混乱したのがきっかけです。後輩の研究の手伝いや,自分の研究,当時お世話になっていた赤堀先生のプロジェクトなど,自分の中にいくつかファイルがあるなぁと感じるようになっていきました。
頭の中が研究ごとに分かれている場合,論文の管理も同じようにしておくと,頭の中と現実世界の対応がつきます。迷う時間が少なくなるのです。そのため今では,複数の研究で必要な論文は,その数だけ印刷をしてすべてのファイルに入れておくようにしています。

Q6. 複数のファイルがあると,バランスを取るのが難しそうですが・・・?
たまにファイル間で情報を比べると,関係性が見えてくる気がしています。各ファイルは独立しているのではなく,その全体がわたしの研究なのです。各研究に取り組む時は,そのことだけを考えています。けれども,ちょっと離れて俯瞰して見ると,複数のファイルが自分の中にあることや,研究全体に対する自分の考え方に気づくことができます。
大学院の頃,「寝ても覚めても研究だ」と赤堀先生に言われ続けました。土日,正月,クリスマスはないんだ,と(笑)その頃は,先生の言葉の意味がよくわかっていませんでしたが,最近になってようやく,1000時間考えて一瞬ひらめいた,それが大事,それが命と感じるようになってきました。どれだけ考えても足りることはないんですね。


●○オンとオフの繰り返しを支えるのは「楽しい」という気持ち。

Q7. もう考えられない!というときはどうされていますか?
何も考えなくていい作業も研究には必要だと思っています。体調が悪い,お腹が空いている,嫌なことがあった,そういうときでも,仕事は進めなければいけません。そういうときのために,頭を使わなければいけない仕事と,頭を使わなくてもいい仕事の両方を持つようにしています。機械的にこなす仕事に無心で取り組んでいると,だんだん頭が活性化してきて,ちょっと頭を使う仕事もやるかという気持ちになります。実は,そういう手だけ動かす仕事も好き。進んだという達成感は重要ですね(笑)
基本的には,トータルで研究が進めばいいと思っているので,頭を使わなくてもいい仕事にはあまり時間をかけないように,なるべく早く頭を使う仕事に移れるようにしています。どうしようもないときは,何もしません。休むのも仕事,そう思ってひたすらスイッチをオフしていれば,またやりたくなるし,やらざるを得なくなるものです。そうしたらスイッチをオフする。その繰り返しです。

Q8. オンとオフの繰り返しの日々,研究が嫌になることはありませんか?
プロジェクトが忙しいときは,自分の研究の比重を少し落として,仕事に集中します。落ち着いたら,また自分の研究に戻ります。日々やることは違います。大変さや楽しさも微妙に違いますが,どれも楽しい。詰まるときも,逃避したくなるときもありますが,嫌にはなりません。つまらないと自分が思うことはやっていないからでしょう。調べることが退屈ということもありません。知りたい!と思ってやっているからです。
卒論の頃から,テーマを自分で自由に見つけて良い環境にいたので,好きなことをどんどんやらせてもらっていました。もちろん研究は1人ではできません。先輩や先生,ときには後輩に相談して進めていきました。一人だったら息詰まるときもあったはず,周りに恵まれていたので楽しく思えていたのでしょう。みんなが楽しんで研究できる環境と,自分が好きなテーマに取り組むことができる状況。ラッキーですね,その波にうまく乗れているような気がしています。


●○研究を支えているのは,人や時間の「グラデーション」

Q9. 大学院の頃も含めて今も,周りの人々の存在は大きいのでしょうか?
大学院時代に,研究の相談をさせていただいた先輩や先生は,今でも一緒に研究をしたり,飲み会をするなど,関係が続いています。それは財産ですね。学部時代,教育心理学を専攻していたので,修士に入ってから教育工学の考え方に馴染むのが大変でした。道筋が見えず,赤堀先生に言いたいことが通じなくて,ゼミの後に泣いたこともありました。初めての学会発表の前夜,「これは教育心理学のまとめ方だ」と言われて「前日にそんな・・・」と落ち込んでいたら,やさしくて面倒見のいい先輩たちが夜中の3時,4時まで付き合ってくださって。教育工学の話の運び方,つまり学問の背景に溶け込ませるということを徹底的に教えてもらいました。ほとんど寝ずに発表をしましたが,聞き手に話が通じて報われました。すごくうれしかったのを今でも覚えています。
その頃も今も,研究をめぐってプロジェクトメンバーと喧々諤々の議論をするのは変わりません。いい研究をしたい,こういうことを明らかにしたい,その気持ちがあるからこそ,なのです。「君違う!」「あなたこそ違う!」そういう議論もなくゆるい場合は,これで結果が出るのだろうかと不安になります(笑)。

Q10. みんなで研究を進めていく,そういうスタイルを大切にされているのでしょうか?
みんなで相談していいものをつくる,そういう考え方は院生時代も今も変わりません。情報学環で働き始めた年の6月に,スイッチをオフできないまま仕事をしていてダウンしました。そのときに考え方が変わりました。研究はみんなで一緒に進めるものだから,みんなのことを考えて休めるときには休まないと,と。1人でやる研究もありますが,みんなで話しながらいいものをつくるというスタイルが私にとっては普通になっています。そのやり方が好きだし,馴染んでいるのでしょう。
もちろん,自分で考える時間とのバランスも大切です。1人で集中する時間と,みんなで分担してアイディアを出す時間,そういうものがうまく分散されているといいのかなと感じています。その2つはきれいに分離せず,混ざっている部分もありつつ・・・そうですね,グラデーションみたいなものではないでしょうか。1日の中で,プロジェクトの期間ごとで,うっすらと分かれているグラデーション。理想としては,そのバランスを保ちながらやっていきたいですね。


---

編集後記:
日頃わたしがうつうつと悩んでいることも織り交ぜながら,研究に必要な心構えや,時間と頭の使い方を伺ってまいりました。
自分に合うやり方を見つけるまで,何度となく向き合わなければいけない壁。
それをひとつひとつ乗り越えた先に,椿本さんが教えて下さったようなあり方を見つけることができればいいなと思いました。
お忙しいところ,ありがとうございました。

[伏木田稚子]

2010.06.23

【お知らせ】「学びの空間が大学を変える」出版記念セミナー・九州大阪地区開催決定

5月に発行された「学びの空間が大学を変える」はおかげさまで好評をいただいております。お買い上げいただいた皆様に御礼申し上げます。

5月22日(土)に情報学環・福武ホールで出版記念セミナーを開催して盛況のうちに終了いたしましたが、地方の方のご要望にお答えする形で、九州地区と大阪地区での開催が決定いたしました。(名古屋地区も企画中です。)

<プログラム(九州・大阪共通)>
   14:00~15:00 セミナー
        ・ケーススタディ:駒場アクティブラーニングスタジオ(東京大学)
        ・ケーススタディ:マイライフ・マイライブラリ(東京女子大学)
        ・ケーススタディ:プレゼンテーションピット(はこだて未来大学)
   15:30~16:00 グループディスカッション
   16:00~17:00 意見交換会

<その他>
 ・受講料は当日受付にて現金でお支払ください。
 ・当日はセミナー受講者に、書籍「学びの空間が大学を変える1,980円」を配布いたします。

<お問合せ>
   コクヨファニチャーセミナー事務局
   e_manabi@kokuyo.co.jp

-------------------------------------------------------------------------------------

【九州地区】
  日時  :2010.7.24(土) 14:00開演(13:30開場)
  定員  :80名(事前登録、先着順)
  場所  :福岡国際会議場 5階中会議室
        http://www.marinemesse.or.jp/congress/access/
  受講料 :1,980円
  主催  :東京大学情報学環・福武ホール アフィリエイトプログラム
  協賛  :コクヨファニチャー( 株) ボイックス( 株) 丸善(株) 
  申込期限: 7.17(土)
  講師  :山内 祐平 東京大学 准教授
       林 一雅  東京大学 特任助教

【大阪地区】
  日時 :2010.8.6(金) 14:00開演(13:30開場)
  定員 :80名(事前登録、先着順)
  場所 :大阪大学中ノ島センター 7階セミナールーム
         http://www.onc.osaka-u.ac.jp/others/map/index.php
  受講料:1,980円
  主催 :東京大学情報学環・福武ホール アフィリエイトプログラム
  協賛 :コクヨファニチャー( 株) ボイックス( 株) 丸善(株) 
  申込期限 : 7.30(金)
  講師 : 山内 祐平 東京大学 准教授
       西森 年寿 大阪大学 准教授

お申し込みは以下のサイトからお願いします。
http://www.kokuyo-furniture.co.jp/manabi/seminar/

大学の学習空間に関心を持つ方々とお話できるのを楽しみにしております。

[山内 祐平]

2010.06.21

【研究者の仕事術】佐倉 統 教授

【研究者の仕事術】第3回は、修士2年生程琳が
佐倉統先生へインタビューに行ってまいりました!
佐倉先生は進化生物学を中心に科学史、科学技術論と幅広い分野にわたり研究者の道を歩んでいます。科学技術というものを人間の長い進化の視点から位置づけていくことを、興味の根本として挙げています。
早速獅子座のA型の佐倉先生の仕事術を伺いましょう。

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(佐倉先生の机に向き合う姿)
1.研究者としての人生と会社に入るサラリーマンと、どう違うように捉えていますか?

佐倉先生:研究というのは、基本的に芸術に似ていて、自分のオリジナリティで勝負するものです。何か新しい理論や新しい知識を見つけたりするのが研究者の目標です。チームでやることもあるし、プロジェクトでやることもありますが、そのような場合でも自分の判断というのが大事になりますし、誰かに命令されてそのまま仕事をするというのとは違います。チームの中での仕事でも、やっぱり自分のオリジナリティが重視されると思います。
 一方、企業で働く人にとっては、企業という大きなシステム全体のゴールに向かって、利益をあげるとかシェアを増やすとか、共通の役目を果たすために、ある意味では命令されたことをやり遂げるのが仕事なんだと思います。
 こういう面で見ると、大学の研究者のほうは、作業する場所や時間についてはかなりの自由度を許されていますが、それだけの成果を挙げないといけないという個人の責任も大きいものがあります。


2.どうして研究者の道を志したんですか。
佐倉先生:好きでしたから。子供のときは星の話とかロケットとかが好きで、SFも大好きでした。宇宙飛行士にもなりたかったんですが、結局目が悪いため断念しましたが、科学者になりたい気持ちは子供のときからずっとありました。
 今は科学者ではなくて、むしろ科学社会学的なことをやっています。もちろん、昔ぼくが思っていたようには科学も科学者もピュアな存在ではなくて、もっといろいろな側面がありますよね。実験対象者の選抜や調査日程の調整、実験道具の作成など、実験のセッティングがものすごく大変で、最終的に論文になるのはほんの一部だけです。科学や学問のことを知ってもらうためには、そういった研究成果以外の部分を、もっと積極的に見せていくことも必要なんじゃないかと思います。


3.ご自分では、自己流というか、好んだ仕事術はなんでしょう。また、このほかに、社会との境目をどう乗り越えるか、あるいはどう行き交うのかを教えてください。
佐倉先生:時間的には、私は夜型です。静かな時間で、集中して考えたり、書いたりすることができるからです。でも、今の研究活動というのは基本的にチームで進めるものです。決して一人ではいい成果を出すことができないので、普段の情報収集から実際に調査研究を進める段階まで、チームワークがとても大事です。メンバー同士のディスカッションは欠かせません。
 私は、井戸を深く掘りさげるように研究をするタイプの人間ではなく、また、まったく新しいものを作り出すような素質もないのですが、自分のやり方としては、視野をできるだけ広げておいてさまざまなジャンルのことを知り、その異なったジャンルの間の関連を見出して、エディターとして結び付けていくというやり方をしています。その、今まで見えていなかったつながりを明らかにすることから、なにか社会に貢献できるようなことを研究したいですね。
 また、教員になって自分の研究室をもつようになると、自分のことだけ考えていればいいというわけにはいきませんよね。若いうちは自分の研究のことだけで頭がいっぱいでしたが、そのうち学生も増えてくるし、さらに歳を重ねると助教や研究員もついてくるので、研究室全体の維持や運営管理が大事になってきます。私は、どちらかというと、大きなチームを動かすのが苦手で、10人程度の目が届く範囲でのメンバーと一緒にがんばる方が好きです。

4.お仕事に愛用されている部品を見せていただきます。
佐倉先生:パソコン観境も大事ですが、筆記用具にもこだわりを持っています。もともとフィールドワークをしていたので、メモ用のノートが必須で、あとは四色のペンと蛍光ペンを常に持っていますね。思いついたことがあれば、すぐに書けるようにこういうものが必要です。後ではメモの書き写しはしないですが、ノートは書き終わるまでずっと一冊で、まとめるときは直接パソコンで作業します。メモでも、書籍でも、ほかの情報でも、ある程度まで分かれば、より細かい分類はしないタイプですね。基本的に書類の管理や整理はとても苦手で、おおざっぱにフォルダーに分けて管理しています。あと、よく忘れるので、大事なことは必ずアシスタントに覚えておいてもらうようお願いします。セカンドブレインですね。(笑)

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(二十年前からのメモを大切にしまった箱) (昔のメモ)
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(いま愛用している四色ペン) (必須三点物:ノート+四色ペン+メモ帳)
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(本に違う色のラベルでジャンルわけをする)

【程 琳】

2010.06.15

【お知らせ】日本教育工学会設立25周年記念シンポジウム

山内が理事を務めております日本教育工学会設立25周年を記念して、6月19日(土)にシンポジウムが開催されます。私は午前の部で総括をさせていただきます。

【第1部 10:00~11:50】
研究方法論を探る(私の教育工学研究 -この10年の潮流を踏まえて-)
司会:宮田 仁(滋賀大学)
報告者:システム開発から  金西 計英(徳島大学)
情報教育の実践研究から   高橋 純 (富山大学)
教育方法の改善から     村上 正行(京都外国語大学)
認知領域の研究から     辻 義人 (小樽商科大学)
総括:山内 祐平(東京大学)

また、午後からは、学会や研究領域を代表する豪華なパネリストがこれからの学会の役割について討論します。

【第2部 14:00~16:30】
日本の教育,これからの10年(学会の役割と連携を探る)
司会:山西 潤一(富山大学)
パネリスト:
市川 伸一 (東京大学:日本心理学諸学会連合理事長・教育心理学)
岡本 敏雄 (電気通信大学:教育システム情報学会長、情報システム学)
村井 純  (慶應義塾大学:慶應義塾大学環境情報学部長、情報工学)
永野 和男 (聖心女子大学:日本教育工学会会長、教育工学)

教育実践と研究の関係について問題意識や関心をお持ちの方の参加をお待ちしています。
申し込みはこちらからお願いします。

[山内 祐平]

2010.06.10

【研究者の仕事術】御園真史 特任助教

【研究者の仕事術】第2回は、修士2年生帯刀菜奈が
御園真史先生へインタビューに行ってまいりました!

御園真史先生は大学初年次教育や
リメディアル教育における数学の指導と学生の学び
を専門に研究なさっています。
予備校や高等学校での数学指導の傍ら、
e-ラーニングに関する会社経営などを経て、
研究者への道を志し、東京工業大学大学院にて博士(学術)を取得。
現在、専修大学兼任講師、東洋英和女学院大学、湘南工科大学の非常勤講師
でいらっしゃいます。
早速お仕事術を伺いましょう!


■研究室は生活の場!

Qなぜ研究者の道を目指されたのですか?


画像(リンク切れ)

もともと大学院には行きたいと思っていました。
進学を決定したきっかけは2つありました。
1つめは、大学の学生に対して高校の補習授業を通して、
高等教育にかかわるようになったこと。
2つめはインターネットを利用した教育システムを構築していて、
それを専門的に学べる分野は何だろうと検索していたら教育工学に出会ったことです。
研究室のホームページが充実していた東工大の赤堀研究室に惹かれ、入試説明会に行き、
入学志願をしたことが研究者の道への始まりですね。

Qどのような大学院時代を過ごされたのですか。

学費を稼ぐためにも仕事を続けていましたので、それは相当大変でした。
「研究室は生活の場。」というのが赤堀先生の方針でした。
一方で、研究室に行くことがゼミメンバーであることの証明といえますので、
仕事帰りに夜な夜な研究室に出没していたりしました。
そういう意味では、勤務日以外でも、今も東大に仕事帰りに寄ることがあるので
院生時代とあまりスタイルが変わっていないのかもしれませんね(笑)


■電車は集中型・お風呂は創出型の仕事術!

Q現在、研究者としての1日のスケジュールを教えてください。

いま毎週、8コマの授業を担当し、東大を含め4つの大学を回っています。
中には自宅から遠い大学もあり、往復4時間以上かかることもあります。
例えば、最も遠距離通勤である水曜日は片道100キロあります。
10時に家を出発し、13時から授業開始します。
3コマ授業をこなした後、18時ぐらいに授業が終わり、
その後21時ぐらいまではミーティング等があることも多く、
帰宅すると夜中0時を回ってしまいますね。
終電や深夜バスのお世話になることもしばしばあります。

Q移動時間は何に使いますか?

授業準備や論文の執筆に当てます。たいてい電車内では作業をすることが多いです。
例えば、「降りる駅まであと一時間しかない」というタイムリミットあり、集中できるのです。

Qアイディアも電車で生まれることが多いのでしょうか?

アイディアはお風呂でリラックスしているときのほうが浮かんできますね。
また、大事な意思決定もお風呂の中で決めることが多いです。
温泉が好きなので、露天で涼みながら1時間ほど源泉掛け流しの湯船に浸かります。
まさに,"Onsen Based Working"です(笑)


■論文書きは机の上より喫茶店!

Q1日のなかでホッとする瞬間はどんな時ですか?

仕事の合間に飲む一杯のコーヒーがとても好きで、生きがいです。
最近はコメダコーヒーという喫茶店を気に入っているので仕事を持って行きます。
おいしいコーヒーを飲みながら論文を書くとはかどります。

Qたくさん案件を抱えていらっしゃいますが、個々の仕事管理に工夫はありますか?

打ち合わせが基本の仕事では、次回報告することは何か、明確にするようにしています。
宿題が分かれば、半分終わったも同然!?


■通勤時間の仕事に役立つグッズを大公開!

Qいつも持ち歩くお仕事グッズを見せてください。

●鞄のなか編●

画像(リンク切れ)

3年ほど前に博士論文を書いたDELLのPC。お勧めは安いところ。

ネットにつなぐためのe-mobile。これがあるから電車で仕事ができる。

トレーディングカードケースに入っているのはトレカ...ではなく、ポイントカード群。
買い物カードとともに、良く行く温泉のカードを持ち歩いています。

学生の大福帳(学生が毎回コメントを書いて提出するシート)に押すスタンプ。
学生がいつレポートを提出したか一目でわかるための日付印。

書画カメラ用の赤青黒のpilotのサインペン。最近はあまりパワーポイントを使わないのです。

●ポケットのなか編●

画像(リンク切れ)

3本100円4色ボールペンを2本常備。
新しいe-mobileの携帯。Web、メールとtwitter用。
学部卒業時先生からいただいた思い出のキーケース。万歩計。

Q夢は何ですか。

ゼミ生は、仲良く協力して研究を進めていける研究室を作りたいですね。山内研がお手本です。そうすると、業績も後からついてくると思います。
ん、もっと他にですか? そうですね~、幸せな家庭をつくることでしょうか(笑)

Qずいぶん研究者は忙しそうですが、恋愛はできるのですか?

そりゃあ、もちろん。
工夫次第で何とでも例えば、仕事帰りに車で彼女を迎えに行ってご飯を食べに行ったりしますし、
休みが合う日は映画に行ったり、年に何回かディズニーランドにいったりしていますよ(笑)


■日常生活でもアンテナを張って情報収集を!

Q最後に御園先生にとって研究とは何ですか?

一言で言うと、

見えていなかったものを見えるようにすること

です。

その際に、主張を客観的に証明しなければなりませんが、難しいことです。
例えば、現場にいると、教員の主観で考えてしまうことが多いですよね。
しかし、研究として教育を見る際には

一歩引いた視点で授業や教育の場を見ること

が大切ではないでしょうか。
そのような視点で、教育の場で何が起こっているのかを可視化するのが我々のお仕事だと思います。

そのために、どこが問題なのかを見極めることが第一歩になりますが、
それは普段の授業などにヒントがたくさんあります。それを見逃さないことが重要です。
これを指導教員だった赤堀先生は

アンテナを張る

と表現しました。
私は「学生がどうしたらもっと成長できるか?」という観点でアンテナを張っているつもりです。
 
以上のことは、幸い実践的な場に巡り合えていたからできることだと思います。
その意味では、学部からそのまま修士課程に進学されたみなさんは、四苦八苦することも多いでしょう。
しかし、そのような視点だからこそできる研究があるはずです。がんばってください!


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編集後記:

「修士1年生では何をしたらいいか分からなくて、先輩の見よう見まねだった。
論文の読み方が分かってくると効率よく読めるようになったり、
後輩に教えるうち徐々に研究室にいること自体も楽しくなってきたのを覚えている。
締め切りが立て込むと正直つらいが、今の仕事は楽しい。」と語ってくださった御園先生。
お風呂でも電車でもコーヒーを飲みながらも研究のことを常に考えていらっしゃる先生から、
生活にいかに仕事時間を溶け込ませるかという技術と心意気を教わりました。

【帯刀 菜奈】

2010.06.08

【お知らせ】6/12(土)大学院入試説明会開催

6月12日(土)に大学院学際情報学府入試説明会を開催します。
16時からの学環・学府めぐりに山内研究室も出展します。
(山内と大学院生が対応します)
教材開発、ワークショップ、学びの空間などに関心がある方のご参加をお待ちしています。また、この日来られない方でも、研究室訪問はいつでもウェルカムです。contact[atmark]ylab.jpまでメールでご連絡ください。

・山内研究室修了生の主要就職先
 東京大学・玉川大学・山形大学・産能大学・立命館大学
 ベネッセコーポレーション・博報堂・ボストンコンサルティング・リサパートナーズ・野村アセットマネジメント・東京視点(起業)

日時:2010年 6月12日 (土) 13:00 ~ 17:00
会場:東京大学大学院情報学環・福武ホール(赤門横) 福武ラーニングシアター(B2F)

(開場12:30)
13:00~13:30 智慧の環・学びの府  
         (石田 英敬 学環・学府長,佐倉 統 専攻長)
         学府長、専攻長が学環・学府のあらましを説明します。
13:30~13:50 学環・学府 いったいどんなところ?
         (石崎雅人,佐倉 統,相澤 清晴,坂村 健)
       各コースのアピール、どんな人に来てほしいかなどをコース長が語る
       ビデオメッセージ。
13:50~14:10 大学院生のプロフィール&就職・進学情報
         (学務係ほか)
       どんな学科や大学から学生が集まり、いかに学び、どこへ就職したり、
       進学しているか。データを使って説明します。
-休憩-
14:25~15:15 鼎談:学環・学府を生きて!
         (登壇者:大島まり,武田安恵&筧康明=学府同窓生)
         OG/OB体験談、アドバイスを聞きます。
15:15~15:45 2011(平成23)年度入試説明 
         (入試実施委員会,学務係)
         マジメに入試手続き説明!原則は募集要項をよく読んでください!
-休憩-
16:00~17:00  学環・学府めぐり
     各研究室紹介。
     スタッフや院生とめぐり逢える知的バザール(教職員,現役大学院学生)

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