2010.06.10

【研究者の仕事術】御園真史 特任助教

【研究者の仕事術】第2回は、修士2年生帯刀菜奈が
御園真史先生へインタビューに行ってまいりました!

御園真史先生は大学初年次教育や
リメディアル教育における数学の指導と学生の学び
を専門に研究なさっています。
予備校や高等学校での数学指導の傍ら、
e-ラーニングに関する会社経営などを経て、
研究者への道を志し、東京工業大学大学院にて博士(学術)を取得。
現在、専修大学兼任講師、東洋英和女学院大学、湘南工科大学の非常勤講師
でいらっしゃいます。
早速お仕事術を伺いましょう!


■研究室は生活の場!

Qなぜ研究者の道を目指されたのですか?


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もともと大学院には行きたいと思っていました。
進学を決定したきっかけは2つありました。
1つめは、大学の学生に対して高校の補習授業を通して、
高等教育にかかわるようになったこと。
2つめはインターネットを利用した教育システムを構築していて、
それを専門的に学べる分野は何だろうと検索していたら教育工学に出会ったことです。
研究室のホームページが充実していた東工大の赤堀研究室に惹かれ、入試説明会に行き、
入学志願をしたことが研究者の道への始まりですね。

Qどのような大学院時代を過ごされたのですか。

学費を稼ぐためにも仕事を続けていましたので、それは相当大変でした。
「研究室は生活の場。」というのが赤堀先生の方針でした。
一方で、研究室に行くことがゼミメンバーであることの証明といえますので、
仕事帰りに夜な夜な研究室に出没していたりしました。
そういう意味では、勤務日以外でも、今も東大に仕事帰りに寄ることがあるので
院生時代とあまりスタイルが変わっていないのかもしれませんね(笑)


■電車は集中型・お風呂は創出型の仕事術!

Q現在、研究者としての1日のスケジュールを教えてください。

いま毎週、8コマの授業を担当し、東大を含め4つの大学を回っています。
中には自宅から遠い大学もあり、往復4時間以上かかることもあります。
例えば、最も遠距離通勤である水曜日は片道100キロあります。
10時に家を出発し、13時から授業開始します。
3コマ授業をこなした後、18時ぐらいに授業が終わり、
その後21時ぐらいまではミーティング等があることも多く、
帰宅すると夜中0時を回ってしまいますね。
終電や深夜バスのお世話になることもしばしばあります。

Q移動時間は何に使いますか?

授業準備や論文の執筆に当てます。たいてい電車内では作業をすることが多いです。
例えば、「降りる駅まであと一時間しかない」というタイムリミットあり、集中できるのです。

Qアイディアも電車で生まれることが多いのでしょうか?

アイディアはお風呂でリラックスしているときのほうが浮かんできますね。
また、大事な意思決定もお風呂の中で決めることが多いです。
温泉が好きなので、露天で涼みながら1時間ほど源泉掛け流しの湯船に浸かります。
まさに,"Onsen Based Working"です(笑)


■論文書きは机の上より喫茶店!

Q1日のなかでホッとする瞬間はどんな時ですか?

仕事の合間に飲む一杯のコーヒーがとても好きで、生きがいです。
最近はコメダコーヒーという喫茶店を気に入っているので仕事を持って行きます。
おいしいコーヒーを飲みながら論文を書くとはかどります。

Qたくさん案件を抱えていらっしゃいますが、個々の仕事管理に工夫はありますか?

打ち合わせが基本の仕事では、次回報告することは何か、明確にするようにしています。
宿題が分かれば、半分終わったも同然!?


■通勤時間の仕事に役立つグッズを大公開!

Qいつも持ち歩くお仕事グッズを見せてください。

●鞄のなか編●

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3年ほど前に博士論文を書いたDELLのPC。お勧めは安いところ。

ネットにつなぐためのe-mobile。これがあるから電車で仕事ができる。

トレーディングカードケースに入っているのはトレカ...ではなく、ポイントカード群。
買い物カードとともに、良く行く温泉のカードを持ち歩いています。

学生の大福帳(学生が毎回コメントを書いて提出するシート)に押すスタンプ。
学生がいつレポートを提出したか一目でわかるための日付印。

書画カメラ用の赤青黒のpilotのサインペン。最近はあまりパワーポイントを使わないのです。

●ポケットのなか編●

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3本100円4色ボールペンを2本常備。
新しいe-mobileの携帯。Web、メールとtwitter用。
学部卒業時先生からいただいた思い出のキーケース。万歩計。

Q夢は何ですか。

ゼミ生は、仲良く協力して研究を進めていける研究室を作りたいですね。山内研がお手本です。そうすると、業績も後からついてくると思います。
ん、もっと他にですか? そうですね~、幸せな家庭をつくることでしょうか(笑)

Qずいぶん研究者は忙しそうですが、恋愛はできるのですか?

そりゃあ、もちろん。
工夫次第で何とでも例えば、仕事帰りに車で彼女を迎えに行ってご飯を食べに行ったりしますし、
休みが合う日は映画に行ったり、年に何回かディズニーランドにいったりしていますよ(笑)


■日常生活でもアンテナを張って情報収集を!

Q最後に御園先生にとって研究とは何ですか?

一言で言うと、

見えていなかったものを見えるようにすること

です。

その際に、主張を客観的に証明しなければなりませんが、難しいことです。
例えば、現場にいると、教員の主観で考えてしまうことが多いですよね。
しかし、研究として教育を見る際には

一歩引いた視点で授業や教育の場を見ること

が大切ではないでしょうか。
そのような視点で、教育の場で何が起こっているのかを可視化するのが我々のお仕事だと思います。

そのために、どこが問題なのかを見極めることが第一歩になりますが、
それは普段の授業などにヒントがたくさんあります。それを見逃さないことが重要です。
これを指導教員だった赤堀先生は

アンテナを張る

と表現しました。
私は「学生がどうしたらもっと成長できるか?」という観点でアンテナを張っているつもりです。
 
以上のことは、幸い実践的な場に巡り合えていたからできることだと思います。
その意味では、学部からそのまま修士課程に進学されたみなさんは、四苦八苦することも多いでしょう。
しかし、そのような視点だからこそできる研究があるはずです。がんばってください!


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編集後記:

「修士1年生では何をしたらいいか分からなくて、先輩の見よう見まねだった。
論文の読み方が分かってくると効率よく読めるようになったり、
後輩に教えるうち徐々に研究室にいること自体も楽しくなってきたのを覚えている。
締め切りが立て込むと正直つらいが、今の仕事は楽しい。」と語ってくださった御園先生。
お風呂でも電車でもコーヒーを飲みながらも研究のことを常に考えていらっしゃる先生から、
生活にいかに仕事時間を溶け込ませるかという技術と心意気を教わりました。

【帯刀 菜奈】

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