2010.07.10

【研究者の仕事術】 佐藤朝美 助教

みなさま,こんにちは。
M1の柴田アドリアナです。
【研究者の仕事術】第6回は,助教をされている佐藤 朝美さんにインタビューに伺いました。

佐藤さんの研究テーマは幼児を対象とした学習環境のデザインです!幼児を取り巻くメディア環境、ナラティブストーリーテリングなどを専門に研究なさっています。
家族、仕事、研究...こんな忙しい中の佐藤さんの仕事術を伺いましょう!

Q. 大学の時代は何を勉強していましたか?

小学生の頃「ベルサイユのばら」っていう漫画を大好きで、憧れていて、絶対西洋史学科に行きたいと思っていていました。けれど、私の大学はハンムラビ法典とか、イギリ スのコレラの歴史を専門にしている先生などで、フランスのブルボン王朝とかを専門にしている先生が全然先生いなくて、面白くなかった!卒論で書いたのはフランスのポンパドゥール夫人の絶対王政の時代のことで、今の研究とは全然関係ないですね...

Q. では、今の研究テーマになったのはいつ頃ですか?

CSKというコンピューター会社でシステムエンジニアとして働いていました。子どもが生まれたのを機に、やめました。

たまたま、近所に武蔵野美術大学があって、メディアアートをやりたいと思って、家から通い始めました!しかも、デザイン情報学科っていうデザインと情報がいり混じったような学部でした。そこで小さい子供がいたインタラクションデザインの先生がいて、なんか、子供向けのデジタル玩具を作りましょうっていう話になりました。カードを用いたインターフェースで、バーコードを読み込ませると映像が流れるっていう作品を作ったんですよ。コンピュータグラフィックスをやっていた男の子と一緒にDirectorでLingoという言語で書きました。
Prototype 1
Prototype 2
Prototype 3
*Shockwave Playerのプラグインが必要です。

コンテンツを使った子供はすごく喜んでくれたけど、なんか少しは学習しているのではないかなと思っていて、いったい何を学んでいるだろうとすごく興味を持ちました!ただ遊ぶだけではなくて、その学ぶ力を引き出すようなものを作りたいと思いました。
美大では教育まではいかないので、教育学部ではコンピュータっていうことは関係なくなるから、どうしようと思っていた時に山内研のことを知りました。

Q. 小さい子供を育ちながら院生になるのは大変だったでしょう!

ムサビはいったん卒業して、また主婦の生活に戻りました。
子供が小学校一年生になった時にここの大学院に入ったのです。
最初は大変だったですね。子供が小学校一年生って一番のかわりめで精神的にも不安定なんだったので、私も一杯一杯になっちゃいました。その時、一年目の先輩がいらっしゃって、その方も中学生のお子様がいて、中学受験のために会社を辞めたんですよ。それで、子供が受かったので大学院に入りなおしたのです。その方がいうのは足し算の法則でした。
例えば、柴田さんは大学生活を100%やっているじゃないですか? でも私は大学生活は60%しかできないのだけれど、そのかわりに子供の学校生活・教育現場をのぞけるチャンスは20%ぐらい、それから主婦の楽しみとか育児する喜びとか加えると、気がつくと100%以上になってます。
すべてを足し算する。ひとつに対する達成度をみるのではなくて、その達成度を全部足して自分がどれくらいやってるかを評価すれば、いやにならないと言われました。その言葉に救われて当時は時間をさけなかったけど細く長く続けていこうと思って今に至りました。

Q. 仕事の流れに何か特徴ありますか?

仕事についてやらないといけないことを書き出して、一極集中しておかないと絶対忘れてしまうというのがあって。いくつか仕事があって、それぞれはそんなに重たくないけど、ポンポンポンって仕事があるような感じです。ことが生じた時に全部iphoneに書き入れて(To doっていうアプリ)、それを脇において、仕事をします。

Q. 研究の流れにも何か特徴ありますか?

私は後から研究の分野に入って来ちゃったから、皆がやっているような高等教育とか、協調学習とかすごく研究が盛んになっているところには今から入っても太刀打ちができないと思っていて、自分が持っていて他の人に持ってないものを使わないと勝てないっていうか... そういう物を使った方がいい研究が出るじゃないかなと思っていました。専業主婦を長い間やったので、子供とか、家族とか、そして物をテーマにすることが大切じゃないかなと思っています。学校とか子供とのかかわりも情報収集の一環と思って、研究のヒントにしたりしています。

例えば幼児教材をひたすらを熟読する。今はベネッセの進研ゼミをとってます。子供にやらせようと思ってとってるのではなくて、自分がチェックするためにとっています。例えば、ドリル+漫画、ゲームなどの付録やソフトウェアを試しています。あとは、親向けの雑誌もチェックして、この対象の親はどんなことを求められているかなどの情報を集めます。

Q. 佐藤さんの研究スタイルとは?

実生活密着型の感じなのかな?
なんか自分の周りで起きている子供の現象で解決したいこととか、不思議だなと思うことを研究対象としているので修士の時の研究とかもちょっと作って、近所の子とかにやらせて、反応見て、作り直してっていうのはよくやっていましたね。

Q. これから研究者になりたい方々に何かアドバイスありますか?

私は論文はお風呂の中で読むようようにしてます!

すごく集中できるし、家の中であんまり集中できる場所ってないだけど。風呂の中はすごく集中できて...しかも、汚せるから急いで読むのじゃないのか?だから一日一本読める!
シャワーの時はだめだけどね...

そして、最近さぼり気味なんだけど、レアジョブっていうインターネットでの英語会話をやっています。

私は本当に30歳を過ぎてから研究も英語も始めた事ばかりなのです。だから、後輩にむけ手のアドバイスとしては、「遅いって言う事はない!」です。今は研究者っていう人生をはじめて、論文も書けたし、国際学会にも2回発表できたし... 遅い事はないと思いました。山内先生のご指導がいいことはもちろんです。でも、何を始めるにも遅い事はないと思って、恥をかいても気にしないでいけば、なんかいくらでも人生は開けるのかなっと思います!

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