2008.06.19
みなさま、こんにちは。
「福武ホールの歩き方」第8回目です。
今回は福武ホール1階屋外スペースで行われているイベントをご紹介いたします。
福武ホール1階屋外スペースは、通常、「テラス」と呼ばれています。
Cafeで購入したものを飲食することもできるのですが・・・
毎月第2土曜日に、このスペースで定期開催されているのが「UTalk」です。
「UTalk」は、様々な領域で活躍している東京大学所属の研究者をゲストとして迎え、少数の一般参加者の皆様と、気軽にお茶をする感覚のまま、会話を楽しんでいただく場となっています。
ゲストには、どうして研究を志したのかという熱い想いや、今どんなことに関心を持っているのかなどなど語っていただきます。
本や論文、テレビや講演会では全く味わえない、ライブな空気感がウリです。
7月12日(土)は、情報学環の佐倉統教授にお越しいただきます。
詳細はこちらから
社会とつながる東京大学のスポットとして、情報学環・福武ホールは様々なプロジェクトを進めつつあります。
まだ駆けだしたばかりでいろいろ模索中ですが・・・
今後の展開にご注目ください!!
それでは、いつの日か、このテラスでみなさまにお目にかかることを楽しみにしております・・・
【山内研究室博士課程 2年/UTalk企画担当:森玲奈】
2008.06.12
皆様こんにちは。
福武ホールのちょっと気になるところをご紹介する「福武ホールの歩き方」第7回です。
建築に疎い私も、安藤忠雄さんの建築が、計算し尽くされたモノの配置、光と影、
コンクリートの表情などが美しく素晴らしいという評を耳にしたことがあります。
実際にこの建物で院生活を始めて早3ヶ月。
建築と自然が創り出す素晴らしい瞬間を目にする機会に多々出会うことが出来ました。
まずは、階段。
↓ 縦長スリットの窓がこんな長い光を創りだします。
↑ 中央の丸階段ではこんな風に。
一歩外に出ると、木々の緑が夕日に照らされて。
一面の窓ガラスにも映し出されてます。
裏に回れば、一面のコンクリートに!!
まさに、CAMPUS に置かれた CANVAS、描き手は自然!?
これからも、季節や天気・時間等、様々な要素が掛け合わさり創り出される
無限の表現を存分に鑑賞していきたいと思います。
[佐藤朝美]
2008.06.09
6月21日の入試説明会を前に、研究室訪問をされる方が増えています。研究室訪問で話すことはいろいろですが、こちらから必ず聞くのは、「何を研究のテーマにしたいのか」ということです。テーマによっては、別の研究室の方が向いている場合もありますので、大事な質問です。
ところが、この質問にさっと答えられる人はあまりいません。研究テーマは、研究計画ほど焦点化されていないものの、問題の所在を含んでいるという意味で、高度な課題だからです。
長年この仕事をしていると、テーマ設定のつまづきのパターンもある程度見えてきます。たとえば、以下のような感じです。
・テーマが拡散する
「AとBと、それからCも関係あると思うんですよ...」といろいろなテーマが混じってしまうケースです。たいていの場合、AとBとCの関係には無理があります。このようなケースの場合は、自分の命があと1年しかなかったら、AとBとCのどれから手をつけるかと考えて、優先順位をつけて絞り込むことが必要です。
・テーマが大きすぎる
「今の社会を変えるためにはAが必要だと思うんですよ...」と熱く語るケースです。たいていの場合、Aはとんでもなく大きな問題で、一生かけても解決できない場合もあります。Aを細分化して優先順位をつけ、現実的に2年で行えるテーマに落としていく作業が必要です。この場合、Aは夢に近いものです。夢を持つことはよいことですが、現実的な戦略も必要です。
・テーマが新しくない
「Aとかやってみると、おもしろいと思うんですよ...」と思いつきでテーマを話すケースです。この場合、20年前に類似のことが行われていたりして、あまり新しくないということが多いようです。先行研究をよく調べて、人がやっていないことを見つける必要があります。
・テーマがない
「Aについて、勉強したいんです。チャンスをください...」と熱意を売るケースです。学部であればこれでもいいかもしれませんが、大学院は修了後その領域の専門性を持って、社会に貢献できる能力が必要になりますので、それにつながる研究のテーマ設定が必要になります。
大事なことは時間をかけて考えたり先行研究を調べたりすることです。こんがらがっていても努力したものは話を聞けばわかります。もつれた糸はアドバイスによってほどけるかもしれませんが、糸がなければ作品を作ることはできません。
[山内 祐平]
2008.06.05
皆さまこんにちは。
福武ホールのちょっと気になるところをご紹介する「福武ホールの歩き方」第6回です。
今回は、雨の福武ホールをご紹介します。
雨の日、福武ホールの中を歩いていると、雨の音がきれいに聞こえてきます。
コンクリートとガラスに囲まれた建物なのに、これほどきれいに雨の音が聞こえるのは不思議です。
内側から外を見ると、灰色の壁を背景に屋根から落ちる雨が白く、ガラスのようにキラキラ光って見えます。
(写真にはうまく写っていないのが残念です。)
建物の外に出ると、さらに雨音がクリアになります。
ピチャン、ピチャン、ピチャピチャピチャ・・・
静かな大学の中では、細長い福武ホールの屋根から落ちるたくさんの雨音が、重なり合って聞こえます。
私は今までは雨の日が嫌いでした。
でも、考えてみると、落ちる雨粒をぼんやり眺めたり、雨音に耳を傾ける機会は、普段それほどありません。
雨を感じられる福武ホールに引っ越してからは、これからの梅雨も楽しみです。
皆さまも、雨粒を見に、雨音を聞きに、雨の日の福武ホールにぜひお越しください。
2008.05.28
皆様こんにちは。
福武ホールのちょっと気になるところをご紹介する「福武ホールの歩き方」第5回です。
今回は福武ホールの“内”を歩きながら“外”を感じる、
ふとした瞬間をご紹介します。
一見すると無機質な印象を与える福武ホールかもしれませんが、
驚くほどに緑や光を感じられる建物になっています。
私のお気に入りは、階段の途中にある壁のすき間です。
昇り降りする度に、本郷通りに面したクスノキが目に入ってきます。
透けるような緑がきれいで、階段を使うたびにほわわんとした気分になります。
本郷通りの足元が見えますね。
今までご紹介した写真は、ホールの端にある階段ですが、
こちらは中央にある階段。
今度は上を見上げると、天井部分にすき間が。
こちらも立派なクスノキが繁っています。
建設の際、東京大学と本郷通りとの間にあるクスノキは残され、
また建物自体も、クスノキを越えない、地上2階の高さに抑えられています。
このことで本郷通りの緑の景観が守られたと言えるでしょう。
しかし、守られたのは景観だけなのでしょうか?
福武ホールのすき間から外を覗くたびに、
むしろ建物の方が、生い繁るクスノキに守られているような、
そんな感覚を覚えるのです。
[大城 明緒]
2008.05.27
5月10日に、情報学環・福武ホールオープニングシンポジウム「世界の一元化に抗して文化に何ができるか」が開催され、好評のうちに終了いたしました。お手伝いいただいたみなさん、参加していただいた方々にお礼申し上げます。シンポジウムの様子は5月24日の朝日新聞に掲載されたほか、7月上旬でNHK BSフォーラムで放映される予定です。またお知らせします。
このシンポジウムではいろいろ面白いことがあったのですが、個人的には大阪大学総長の鷲田先生が最後のまとめで発言されていたことが心に残りました。(以下のまとめは私なりの解釈も入っています)
「アーティストの強さは、彼らがリベラルであることから来る。ここでいうリベラルは、自由というよりも、英語でもう一つの意味である”気前のよさ”という意味である。彼らは普通だとありえない時間や労力をかけて、表現活動をおこなっている。自分のもてるものをおしげもなく最大にふるまう、その気前のよさこそが、創造的なエネルギーの源泉になっている。」
自分のもてるものをおしげもなくふるまう「気前のよさ」をささえる、文化というシステムがなければ、創造的活動は生まれないのでしょう。
それはすぐ役に立つのか、いくらの金銭的価値になるのか、という問いは、この世に生きている以上、逃げることはできません。しかし、この呪縛からいくばくか逃れられる場を用意していかないと、新しいことを生み出すエネルギーは失われていくのだと思います。
[山内 祐平]
2008.05.23
みなさま、こんにちは。福武ホールのちょっと気になるところを紹介する「福武ホールの歩き方」第四回目です!
今回は、福武ホールの学環コモンズを管理していただいている原田さんを紹介したいと思います。
簡単な紹介はパンフレットなどでもされていますが、今回はもっと詳しくお話を伺うべく、突撃インタビューを行ってきました!では、その様子をどうぞ。
原田さん「こんにちは。」
(原田さんは学環コモンズに入ると必ず優しく挨拶をしてくれます。)
池尻「こんにちは!今日は色々とお話を聞かせてもらいたいと思います。よろしくお願いします。早速ですが、コンシェルジュってどんなお仕事をされているんですか?」
原田さん「なんか恥ずかしいですね(笑)仕事としては、福武ラーニングシアターや福武ラーニングスタジオの予約の申し込みを受け付けたりしています。後は、そこのドリンクシステムを管理したり、使ってる学生さんの相談があれば乗っています。」
(ここでちょうど予約の電話が入りました。今まではにこやかでしたが、仕事の時はきっちりと応対していて、かっこよかったです。)
池尻「そういえばいつも挨拶をしてくれますが、あれは決まりなんですか?後、一人で管理されているようですが、同期がいないと寂しいなあって思いませんか?」
原田さん「挨拶は自主的です(笑)人と関わるのが好きなんです。お仕事は一人で少し寂しいですが、スタッフの方やここに来る学生さんと話をしているんで、そんなに寂しくはないですよ。」
(原田さんの気さくな性格からか、周りに学生がいる風景は良く見かけます。)
池尻「福武ホールで勤めているってことは、お昼ごはんはやっぱりUTカフェですか?」
原田さん「そうですね、あ、でも意外と学食に行ったりもしますよ(笑)でも一人で食べに行くことが多いので、たまには学生さんとかと一緒に食べに行きたいですね。あ、そうそう食べ物といえば、コモンズのドリンクシステムで、ハワイの水が飲めるようになったんです。」
池尻「え?ハワイからわざわざ仕入れているんですか?」
原田さん「そうなんです!しかも無料なんで、是非みなさん飲みに来てください(笑)」
(僕も飲んでみましたが、本当におしかったです。名所になること間違いなしだと思います。)
池尻「原田さんはどういった経緯でここの仕事に就くことになったんですか?後、お仕事はどうですか?」
原田さん「実は私の前に決まっている人がいたんですよ。でもたまたまその方のご主人が転勤することになったらしくて、席が空いたらしいんですね。で、たまたまこの仕事を見つけた私が就いちゃったということなんです。そういう意味では、こことご縁があったんだなあと思っています。お仕事ですが、私はもともと人と関わる仕事が好きなので、留学生を含め、色々な人と話せるこのお仕事はとても気に入っています。楽しいですよ。」
池尻「では最後に、今後の抱負をお願いします!」
原田さん「早くコモンズの看板娘になりたいです!(笑)後、居やすい空間を維持していきたいと思いますので、いつでも遊びに来てください。相談事受け付けます!」
今回は突撃インタビューにも関わらず、快くお話をして下さってありがとうございました。実のところ、ほぼ初対面だったのですが、とても楽しい時間が過ごせました。気さくに話せる明るいお姉さん、という印象でした。学環コモンズに入る機会がれば、是非一度「コモンズの看板娘」こと原田さんに話しかけてみてください。きっと楽しい時間になると思いますよ。
[池尻良平]
2008.05.15
皆様こんにちは。東京大学本郷キャンパスにこの春新しくオープンした福武ホールを利用する私たちが,福武ホールのちょっと気になるところをご紹介する「福武ホールの歩き方」第3回です。
本当はですね,福武ホールの七不思議とか,知られざる秘密部屋とか,そういう話をすると面白いんですが,今回はシンプルに福武ホール・グルメ情報をお届けします。
--
東京大学には,教職員・学生がキャンパス内で支障なく研究活動を継続できる環境を提供するため,生協を始めとした様々な店舗が営業しています。キャンパス内には某コンビニもありますし,某コーヒーチェーンや某サンドイッチチェーンもあります。印刷屋さんも旅行代理店も,そして理髪店もあります。
福武ホールにもカフェが入りました。「UT Cafe BERTHOLLET Rouge(UTカフェ ベルトレルージュ)」です。といっても今回はUT Cafeのご紹介ではありませんので詳しくは書きません。表参道にあるCafeが東大にやってきたという風な程度で留めたいと思います。
UT Cafe BERTHOLLET Rouge
http://fukutake.iii.u-tokyo.ac.jp/facilities_inside-ut_cafe.html
それにしても「カフェ」であります。この洒落た空間で味わうことのできる品々は,これまで大学で提供されていたものと明らかに異なります。そして私たちは思い出すのです。知的な社交場には,それにふさわしい料理も用意されなければならないということを...。
--
そして,今回是非オススメしたいのが,ここの「ポムフリ」です。
え?フライドポテトじゃないかって?そうです。フライドポテトです。ポムフリといいます。
しかし皆さん,ただのフライドポテトだと侮ってはなりません。ここのポムフリは絶品です。フライドポテト愛好家の私が言うんだから,間違いありません。
ご覧ください,この香ばしいポムフリの姿を。写真は二人前(1,000円)です。
揚げ立てのポムフリは,カリッとした食感と,厳選されたソルトをまぶしてキリッとした塩味を効かせています。一口食べれば,思わず次の手が出てしまう美味しさ。女性陣も「これならいくらでも食べられそう」と申しております。そして,普通なら冷めてしまうと食べられたものではないですが,このポムフリは冷めても美味しい!
--
かつてファーストフード業界におけるフライドポテト戦争は熾烈でありました。確かにフライドポテトはサイドメニュー。主役のハンバーガーの陰に隠れて,あまり目立ってはいませんでしたが,そこには各社の試行錯誤の歴史があったのです。
ハンバーガーチェーンといえばマクドナルドかロッテリアと考えられていた頃,フライドポテトの王者は「マックフライポテト」であったことにそれほど異論はないでしょう。その後,ロッテリアはフライドポテト試行錯誤時代を迎えます。太さを変えたり,味を変えてみたり。そこから生まれたのは「ふるポテ」であり,商業的なヒットとなったわけですが,いわば飛び道具を使うその攻め方に,ピュア・フライドポテト派の評価は厳しかったわけです。
しかし,王者「マックフライポテト」も安泰ではありませんでした。牛肉ショックとヘルシー時代の到来です。マックフライドポテトのうまさの秘密は,動物性油を使った調理法にありました。しかし,世間を騒がせた牛肉問題と健康問題への関心の高まりのダブルパンチを受け,植物性油へと切り替えることにしたのです。
こんな歴史を経て,いまではフライドポテトも主役級の商品として単独のCMが製作されるようになっています。もっとも,こうしたファーストフードで食べられるフライドポテトの多くはイモを粉状にしてから出来上がったもの。調理による誤差は激しく,最良の状態のものを得るのは一種のくじ引きのようなところもあります(マニアはどういう条件で注文すると揚げ立てを獲得できるか研究しているようです)。
フライドポテト。それは小さな幸運と不運が同居する不思議な食べ物なのです。
--
しかし,もし皆さんが,幸せのフライドポテトを確実に味わいたいとお考えなら,行き先の一つは東京大学福武ホールのUT Cafeでしょう。これからの夏。UT Cafeのポムフリをつまみに一杯やりたいと,本気で思います。なにしろこのポムフリを味わう度,幸せな笑みをこぼしてしまいそうになりますから。
福武ホールにお越しの際は,是非ともポムフリをご堪能ください。ちなみにテイクアウトもできますし,山内研ではポムフリの差し入れを常時受け付けております。
[林 向達]
2008.05.09
【福武ホールの歩き方】第二回目です。
【福武ホールの歩き方】…どこかで聞いたような気もしませんか?
旅行と言えば!の『地球の歩き方』を思い出した方も多いのではないでしょうか。
旅行先で「どんな時間を過ごすか」を想像して、計画を立てる時に使うと思います。
オススメしたい場所はたくさんあるので何を書くかすごく悩みましたが、今回は、【福武ホールの歩き方】ということで、私のオススメの福武ホールでの「時間の過ごし方」をご紹介したいと思います。
人間観察が趣味の私は、福武ホールに「居る人」を見ていると、とても癒されます。
実はこれが、すごく楽しいのです。
前回は安藤先生特製ベンチについてでした。
確かに私も、あの大きなベンチのあちこちに座ってみたり、寝転んでみたりと、あのベンチの周りだけでも、時によって色々な過ごし方をしています。
長い長い考える壁の内側(時には外側でも!)では、本当に思い思いに、人が過ごしているのです。
こんな風に、上にも下にも、奥にも手前にも、そして壁の向こう側にも、人がいるって、なんだかうきうきしませんか?
カフェでゆっくりしたり、ミーティングをしたり。
通りがかりに学環コモンズを覗いたり、思わずコンクリートに触ったり。
私も学環コモンズを覗いてみると、ガラス越しに、一人で勉強している人、赤いソファでゆったり本を読んでいる人、二人でおしゃべりしている人、ランチを食べている人、二人で、大人数で、打ち合わせをしている人…。
色々な姿が見られます。
思わず覗き込んでしまう人も。
これは研究室に来ていただいた方しか体験できないおまけですが、上から人がどんな風に過ごしているのかを眺める、というのが、実は私は結構好きです。
壁の向こう側からこちらを見ている人を発見したりすると、ちょっと嬉しくなります。
福武ホールに居る人の、そんな姿を観察してみる、というのが私のオススメの福武ホールでの過ごし方です。
あぁ、この場所ってこんな過ごし方ができるのか!という発見や、この人ったら、ついこんなことしちゃってる!というおもしろさがあります。
少し私の研究と関係するのですが、こんな風に人の過ごし方を見ることは、結局のところ、その空間を見るということなのではないかなと思います。
まさに、その瞬間、その状況でしか起こらない、人と空間の出会いですね。
私はある空間に人が居る風景が、大好きなのです。
福武ホールにいらした際は、人間観察をして時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
そんな姿を、私に観察されているかもしれませんが。
[牧村真帆]
2008.05.07
ル・コルビュジェ DVD-BOXを見ました。
ル・コルビュジェは、近代建築の三大巨匠のひとりで、コンクリートを用いた建築で有名です。
この映像は、本人が50年代にラジオ用に録音したインタビューテープを元に構成されています。彼が語っているヴィジョンに既視感を持ちつつ、いったいなんだろうと考えながら見ていたのですが、マルセイユの集合住宅 ユニテ・ダビタシオンの説明の時に気がつきました。
コルビュジエは、科学技術を活用し、住宅を高層化することによって、人間に幸せな住環境をもたらすことができると信じていました。高層化することで、緑地を確保でき、職住近接が実現できると考えていたからです。「住宅は住むための機械である」というのは彼の有名な言葉です。
ほぼ同じ時代に、教育の世界では、B.F. スキナーが、従来の経験主義的な教育方法にかわり、学習者一人一人のニーズにあった、夢の「科学的方法」としてプログラム学習とティーチングマシンを提案していました。
このふたりが特に似ているというよりも、今から50年ぐらい前には、科学技術がユートピア的文脈で語られることがあったという方が正しいかもしれません。
近代の所産である集合住宅とティーチングマシンの子孫たちは、現代の日常風景の中に点在しています。我々は今も彼らの祝福と呪縛の中にいるのかもしれません。
[山内 祐平]