2017.04.19

【今年度の研究計画】外国語学習における教室外活動に関する考察
(M2 林)

みなさま、こんにちは。M2の林怡廷です。
最近ようやく暖かくなりましたね。
先日、学際情報学府全体の構想発表会とゼミでの研究発表を終えて、やっと方向性を固めたところです。ご意見、ご指摘してくださった方々ありがとうございました。

それでは、本年度の研究計画を紹介したいと思います。

■テーマ
外国語学習における教室外活動に関する考察
 ー台湾人日本語学習者に着目してー

■背景
1. 社会的背景
 大学教育において提供されている外国語授業は週に二、三コマしか行われていない場合が多く、その限られた時間で上達するのはかなり難しい。それに、一クラスの人数が多いため、学習者の会話練習が授業で十分に確保されることは困難である。情報技術の進展により、膨大な教室外外国語学習資源がアクセスできるようになっている。特にインタネット上でのオンデマンド学習コンテンツが多く提供され、外国語学習はいつでもどこでもできるようになりつつある。そのため、多くの学習者は教室内だけではなく、教室外でも様々なリソースを通じて外国語を学習している。また、SNSを使い海外の友達と連絡を取ったり、YouTubeなどの動画サービスを使い外国の動画を見たりするなど、従来教材と見なされていないリソースを利用して学習することが多いと思われる。

2. 先行研究
 第二言語習得(Second Language Aqusition, SLA)の研究分野では教室外学習への注目が益々増えている。生涯学習の観点から見ると、学習経験を充実させるためには、教室外の外国語学習を促進することが重要であると考えられる(Butler 2011)。数多くの研究は、教室外学習は外国語学習の一部であり、言語習得に良い影響を与えられると主張している(例 Inozu et al. 2010, Sundqvist 2011)。質の良い教室外学習を構築することを支援するためには、最も重要なのは教室外学習活動の性質を把握することであると指摘されている(Benson 2011)。

2.1 教室外活動の実態
 Hyland(2004)は、香港の大学生は教室外でどのように英語を学習するを調査したところ、一番頻繁に取り組んだ活動は「メールを書く」「文章や本を読む」「テレビを見る」といった個人活動であると報告した。Doyle and Parrish(2012)は、日本人の大学生は空き時間に「教室外で英語を伝統的に使う」と報告した。テスト勉強に比べると、クリエーティブな活動、例えば英語を喋るや英語の歌を歌うといった活動を行う人が少ないという。一方、Inozu et al.(2010)では、トルコの大学一年生の教室外言語学習活動の内容と教室外学習に対する認識を調査し、その結果は、学生の英語に対する態度はポジティブであることが明らかにされた。ただ、約8割の学生は日常生活で英語能力を向上させる機会を探しているが、約4割の学生は教室外ではめったに英語を使わないと回答したという。

2.2 教室外学習と学習成果の関連
 教室外学習の形が様々であるため、どのような教室外学習活動が外国語学習に良い影響を与えられるかを明らかにする必要があると考える。磯田・田頭(2011)では、学生が授業外でどのような英語学習を行っているのかを調査し、TOEICスコアとの関連を分析したところ、学習時間・学習スタイルの差異はTOEICスコアに関連すると示した。ただし、量的分析に止めていたため、具体的にどのような学習活動が有効であるのかは明らかにされていない。Lai et al.(2015)は、教室外学習の多様性と学習成果を関連を考察し、より多種類の教室外学習活動は英語成績と正の相関があることが明らかにされた。しかし、この研究では教室外学習の数と学習成果との関連を分析したものの、どのような教室外学習活動がより効果的であるかは明らかにされていない。また、この研究の対象は中学生であり、英語学習は受験勉強が中心になりかねないため、生涯学習の視点で成人を対象にして調査することが必要と考える。

■先行研究の課題と研究目的
 今までの先行研究では、どのような教室外学習が学習成果にいい影響を与えられるか明らかになっていない。より良い教室外学習環境を構築するためには、有効である教室外活動を考察する必要があると思われる。そこで、本研究では教室外学習活動の実態、特にオンライン学習のあり方について調査し、学習成果または学習者の日本語に対する不安・自信・満足度などの指標との関連性について考察する。教室外学習活動の効果を明らかにすることで、今後の外国語学習の支援につながると考えている。

ーーー

研究の方向性は決めましたが、現在は研究対象(フィールド)と研究方法について日々考えています。また、学習成果の定義に関して、信憑性のある指標を見つけている段階です。
まずはプレインタビューで外国語学習のストーリーを深堀したいと考えていますので、「この人外国語すごい上手だからインタビューしてほしい」「私外国語ペラペラだからインタビューされたい」という方、ぜひメールしてくださいませ。
今年度もどうぞよろしくお願いいたします。

【林怡廷】

2017.04.11

【今年度の研究計画】プログラミング学習におけるTinkeringの支援(M2 原田)

みなさん,こんにちは
M2の原田 悠我です.

桜が綺麗ですね.
先週末は本郷キャンパス近くの上野公園にも花見をしている人が多くいて,
新年度が始まった実感と同時に焦りが湧いてきています.
(ちなみに,曇りの日に桜を綺麗に撮るにはどうしたらいいのでしょうか.せっかくならば曇りを活かした写真を撮ってみたいとも思うのですが......)

今回から始まる新しいブログのテーマは「今年度の研究計画」です.新しく山内研究室に入ったメンバーも含めて,今年度の研究計画をご紹介したいと思います.山内研究室のメンバーが今どのようなことを考えているのか,読者の皆様と共有できればと思います.

さっそくですが,私の研究テーマは「プログラミング学習」です.もう少し詳しく言うと,「どのような支援があれば初学者が上手くTinkeringしながらプログラミングを学べるようになるか?」で,もう少し広く言うと「どのような支援があれば初学者は素朴なモノづくりから,知性を活用したモノづくりへと変化するか?」になります.

【背景】
本研究で注目しているTinkering(ティンカリング,いじくりまわす)というワードは,日本語でもちらほら見かけるようになりました.しかし詳しく見てみると,その定義は研究によって幅広く様々です.例えば,試行錯誤や実験を重視する開発プロセスと紹介されたり,明確な計画を立ててから開発するプロセスと対比的に紹介されたりします(Berland el at. 2013).

本研究では様々な論文で言われていることを検討し,「明確な計画を元にプログラミングをするのではなく,素材や自分の書いたプログラムのフィードバックを利用しながら作り上げていくプロセス」と操作的に定義した上で研究を進めています.

このようなTinkeringですが,初学者がプログラミングを学ぶという観点からその重要性が指摘されています(Hancock 2003).というのも,(1) まだ知識が十分でない初学者でもとりあえず動くものを形にできる (2) より複雑な学習をすすめる上で重要になる知識や経験を得ることが出来る,からです.そのため,Tinkeringによる開発を目指した開発環境が多く開発されてきました(例: Scratch, Alice).

【問題】
しかし,残念ながら学習者任せにTinkeringさせても上手く学べていない可能性が存在します.例えばTrial and Errorを繰り返すのみで,たとえ動くものを作れてもその仕組みや原理を理解していない学習者が存在することが報告されています(Perkins et al. 1986).つまり,よりよい学習を促すためには,学習者が自由にTinkeringしながら開発することを重視する一方で,どのような支援があれば学習者の深い理解を構築することができるかについて検討していく必要があると考えました.

【解決方策】
そこで,私は自己説明理論を基盤としたシステムを開発しています.自己説明とは自分自身に向かって学習内容や自身の考えを説明する学習活動です(Chi 2000).上手く問題解決が出来る人は自己説明を行っていたという研究から来ています.また介入によって(ある意味強引に)自己説明を促すことで,学習効果が高まったという報告もあります.そこで,「Tinkeringによる開発場面において,Trial and Errorの結果を元に自己説明を促すことで仕組みの理解が促進される」という仮説を設定しました.

【課題】
現在は主に実践フィールドおよび評価方法について検討している段階です.どの年代に・どれぐらいの時間をかけ・どのような評価方法であれば,学習者の学びを上手く捉えることができるのか,システムを改良つつ,研究のロジックと予備実験のデータを行ったり来たりしながら検討しています.
「こういう実践フィールドあるよ」「こういう評価方法がよいのでは」
などコメントありましたら,ぜひメールください!!

本年度もよろしくお願いします.

※ 研究計画の詳しい内容は,報告集に記載されています.
『プログラミング学習におけるTinkeringの支援
-自己説明を通じた仕組みの理解を促すシステムの試作-
The Support of Tinkering in Learning Programming
Prototyping a System: Facilitating Learner Understanding of Code through Self-Explanatory Activity.日本教育工学会研究会報告集, pp.325-332, 2017年3月.』

原田 悠我

2017.04.01

【山内研 今年度のまとめ】初心忘るべからず(M2青木)

大学院生活を振り返るというお題で、しかもこのブログを書くのも最後かと思うと、何か良いものを書かないと、、と思いあぐねてなかなか筆が進まず、だいぶ更新が遅くなってしまいました。(メンバーの皆さん本当に本当にごめんなさい。いつも迷惑ばかりかけています。。)

一度、ちょっと凝ったタイトルで8割書いたのですが、何かしっくりこず、全部を消去して、もう一度ゆっくり深呼吸をして研究生活を振り返ってみて書いてみると、「初心忘るべからず」という案外普通のタイトルになってしまいました。改めて、ことわざってすごいなとしみじみ感じています(笑)。


◆研究は人間らしい営み
ここに入った当初は、「研究」のことは何も知らず、全てが新しくて、ワクワクと不安に押しつぶされそうな毎日でした。

先行研究を読むということ、それをまとめるということ、そして、自分の研究をそれに位置付け、研究手法を学び、研究対象について考えぬく、、、ということ。そして、どんな研究が良いのか、どのような手法を取るべきなのかというようなことは、全てゼミやファシリテーターの方と相談しながら、議論しながら決めていく。そこにわかりやすい基準などない。全て、考え続ける必要があることばかりでした。

そんな営みの中にあって、研究ってとても人間らしい営みだなあ、と思いました。この表現が正しいのかはわかりませんが、それは、とても難しくて苦しくて、全然できるようになった気はしないけれど、新しいことを考え作っているという喜びは、とても人間らしいと感じました。

これからの時代に求められる他の多くの仕事でも、手続きは違えど、研究と同じように何かしらの価値を創造し提供していかなければなりません。その基礎となるものが鍛えられたような気がします(多分)。
研究の新しさ、面白さ、独自性はなんだろう?誰の役に立つのだろう?どのように整理すれば伝わるのだろう?、、、そんなふうに自分の生み出そうとしているものに問いかける姿勢は、すべてのことに通じる姿勢だと感じます。


◆豊かな時間
そんなふうに考える時間、そしてたくさんの方々とお話し、議論できた時間は、人生においてとてつもなく豊かな時間だったと思います。
考えてみれば、私はずっと、こんな話ができる仲間、そして時間を求めていたように思います。
大学時代は入りたかった大学にも入れず、入りたかったゼミにも入れなくて、あまり大学には行かずに、
アルバイトやボランティアをしたり、一人で本を読んだりしながら悶々と考えている時間を過ごしていました。
こんな研究がしたい!こんなことを考えている!と自分の考えていることを、実現できる環境が欲しかったんだろうと思います。そんな環境が、この大学院時代にはありました。
改めて、山内先生、助教の方々、そしてメンバーに感謝、感謝、という感じです。


◆「研究する自分」との出会いとこれから
大学院に入って、初めて「研究する自分」に出会いました。新しい自分でした。
これから私は、創業者として関わっているNPO法人PIECESというところで働くことになりました。
これからは、どんな自分に出会えるのだろうか。と考えるととてもワクワクしています。

NPOでは、実践がメインになります。場を毎日のように作り、考え、改善していく。そして、それを外の人に伝えていく。そんな活動をしていきます。
研究とは、少し違う頭の使い方をして行かなければならないなあと感じています。
山内先生が以前、「研究的実践者と実践的研究者がいる」とおっしゃっていました。自分の軸足はこれから実践になっていきますが、教育という実践が対象となっている研究では、実践と研究は明確な境界線があるわけではなく、連なり、お互いに影響を及ぼしあうある種の運命共同体のようなものなのかもしれないと思います。(そしてそうであるべきなのだろう、とも)

もともと私は小学生の頃から、社会(特に教育)をよりよくする仕事に就きたいと思っていました。好きなテレビ番組はニュース番組やジャーナリズム系の番組や本が好き、そんな小学生でした。
そのためにどんな仕事につけば良いのか、ということに関して、ずっと悩んできた人生だったように思います。それは今も変わりません。

研究にせよ、NPOにせよ、そのほかの仕事にせよ、どんな形であれ、教育を通して社会について考えていける仕事にこれからも関わっていけたらいいなあと思います。

研究の淵に漂ったこの3年間はとても充実し、楽しかった、それだけは間違いないなと思います。
そして、本当に多くの方々と、ここに来たから出会うことができたし、豊かな時間を一緒にできました。
その喜びを忘れず、研究頑張ろうと思った初心を忘れず、そして、小さい頃からの思いも忘れず、
これからも、楽しく、精一杯、そして時に休み、ぼーっっとしながら頑張っていきたいと思います。
引き続き、どうぞ宜しくお願い致します。

青木

2017.03.31

【山内研 今年度のまとめ】業務と研究と(家庭と)のワーク・スタディ(・ライフ)バランス

今回のYlabブログは、D3佐藤が担当します。

冒頭から恐縮ですが、昨年度はただただ現職の業務に追われ、博論への時間を十分に取れなかったことを反省しております。

昨今良く聞く「日本の研究者の研究状況は芳しくなく・・・」の状態で、現職のような地方の私大になると特に学生への指導も群を抜いて手厚いのではないかと推察しており、研究時間を確保するのが困難な状況にあります。

そんな中、私は教務に関わる「長」を担ってしまい、赴任間もなく右も左も分からことも加え、膨大な時間を費やすことになってしまいました。

ただ、振り返ってみると、「研究の時間を取られ、本当に無駄だった!!」とも言い切れず、浅はかかもしれませんが、貴重な体験だと思ってしまうのです・・・

■業務の振返り
教務ではいろんな学生の問題に付き合うことになります。貪欲に、熱望し、進学し、勉学している人が多々いる自身の学生の立場とは異なり、大金を払って大学に来て、それでいて上手く学べない人がこんなにもいるのか・・・と当初は衝撃でした。

「最近の若者は」と一括りにできず、一人ひとり事情やつまづきポイントが違っています。サボり心だけでなく、友達とのいざこざ、病気や怪我、就活でのちょっとした事件を、上手く乗り切れる子とそうでない子がいます。保護者との面談やご家庭との電話を重ねるうちに、学生の問題が、学生個人の問題ではないことを実感することが多々ありました。

つまり、いろんな出来事を乗り越えて糧にできるかどうかは、個人の資質だけではないのでは?ということです。もちろん、保護者が悪いと言ってるのではありません。保護者の置かれている環境、家族構成、兄弟構成、いろいろな要素が混ざり合い、当の学生の「学びに向かう気持ち」に影響しているという仕組みを垣間見た気がしました。

先週の卒業式では、辛い体験を乗り越え、無事卒業できた学生を見送りながら、長きに渡り背後で支えたご家族の顔が思い出されました。

■博論の振返り
そして・・・
めぐりめぐって考えてみると、幼少期からの対話(親だけでなく保育者や祖父母など身近な大人達)の中で、いろんな出来事を語り合い、意味づけ合う行為の重要性を痛感するのでした。

私の博論のテーマはナラティブスキルの習得で、効果の測れる「スキル」の言及に留まっておりますが、ナラティブの行為そのものが、子育ての中でもっともっと着目され、大切にされるべきだと感じました。

幼い頃から、良いことや悪いことを含めた出来事を丁寧に解釈していくこと、様々なエピソードを自分なりの物語として蓄積していくこと、そのことが将来何かを成し遂げたいという気持ちや障害を乗り越えようとする原動力につながるのでは?

誰かと対話を重ねる関係性を築いている人は、大変なことが起きたときに、たとえ時間がかかったとしても、少しずつ前に進んでいけるのでは?

と考えた次第です。

(■家庭の振返り)
余談ですが・・・
仕事や研究から、さらに優先順位が下がってしまった息子との対話時間も確保せねばと反省もしています。

■今後に向けて
現職の「長」は後一年継続なのですが、自身の博論のテーマの素晴らしさ(自画自賛?)に気づいた今、何が何でも博論を仕上げたいと思います!

佐藤朝美

2017.03.30

【Annual summary】First step of the journey (M1 Qiaochu)

Hi everyone! This is Qiaochu, now entering my second semester in M1. Though basically belonging to ITASIA program, I gradually get to feel the preciousness of being in Ylab. This belief is well confirmed after my first Haru Gashuku this month, where our seniors shared lots of research methodologies selflessly and I was also able to make more connection with everyone. The research fields in Ylab differ a lot, which gives possibility to more inspiration and I always received great advice after each presentation. For me, the last semester mainly processed in two lines: following the curriculum of ITASIA and initiating my own research in the meantime. The balance between and the optimization of efficiency have become the focus of my research life.

Having set the research question in MOOC & community, I gave three presentations last year ("Community Building for xMOOC in Post-MOOC Era", "Legitimacy and Case Study of Community Building for MOOCs" and "Online and Offline Community Building in MOOCs"). After that, one important adjustment I made to my research is widening the research subject when doing literature review, from xMOOC to online study (Thanks to advice from Prof.Yamauchi ). This change of research subject can be somewhat rare when the scope of research actually always expands inevitably as it develops and we just have to control it. However, in the case of MOOC study, first the merge of xMOOC and cMOOC is ever deepening in recent years. Moreover, MOOCs, being one form of online education, share lots of common points with it.

Another core problem concerns the feasibility of data collection, if necessary in later stages. As set in my RQ, the research would like to find out relevance between community building and the efficiency of MOOCs learning. But even in case study, samples of scale are required for the sake of rationality. This can be a huge challenge for me when this kind of data collection is always done by academic institutions. For example, during the process of literature review, I indeed found some perfect data like the "HarvardX-MITx Person-Course Academic Year 2013 De-Identified dataset, version 2.0", aggregated records representing one individual's activity in one edX course. And I tried to visualize the relationship between accomplishment of MOOC certificate & active events and major countries from the data (a brief version as shown below). However, such huge data can hardly be collected by individuals for research purpose. And there are always lots of factors influencing learning motivation & efficiency. I doubt if I can really come up with persuasive data analysis with limited sample. So for this stage I decided to follow the advice of doing typology of MOOC study.

zhou_20170331.png

Along the research till now, I shall really thanks the all help I got from people around. Just as Sugiyama-san stated in his sharing during Haru Gashuku, research can never be done by one's own effort. I indeed got much more help than expected in and outside Ylab. Not to mention Takahama-san's prompt guidance before every presentation and all the seniors share with me their precious suggestions and research experiences. Rebecca also provides me with the opportunity of observing the procession of their learners' online community, one belonging to a MOOC course on Coursera she's helping with. Now right on the new starting line, I hope to organize myself and life around better. To find insufficiency from what have been done as well as challenge all the possible stereotypes.

【M1 Zhou Qiaochu】

2017.03.27

【山内研 今年度のまとめ】"検査"多き1年

気がつけば、3月末。東京では、桜が開花しましたね。D1の池田です。
今回のBLOGは【今年度のまとめ】というテーマです。1年を振り返ると"検査"を受け、どこが悪いのか、どこが足りないのか等把握する機会が多かったと感じたので、「"検査"多き1年」という副題をつけました。

■ アカデミック・ライティング
 今年度は、修論の学術論文化を目指し、論文を書く機会の多い1年でした。今まで、私の書く文章はどこがおかしい、ということには気づいていたものの、何がおかしいのか考えず、とりあえず書くということを続けていました。体調に例えるのならば、具合が悪いというということに気づきながら、病院に行くなどせず、生活を続けていたと言えます。今年度は、ファシリテーターの伏木田さんをはじめ、山内先生、ゼミのメンバーや査読者の方々に書いた文章を読んでいただく機会が多くありました。具合の悪い人で例えるならば、病院に行って検査を受ける機会を得ました。人からフィードバックをもらう機会を通じ、自分の文章のどこがいけないのか、何が足りないのかすこしずつわかってきた気がします。

■ 研究に関するスキル
 今年度は、授業や心理テストを通じ、自分の思考の特徴や足りないスキルについても理解を深めることができた年でした。わかっているつもりでわかっていないこと、怖いですね。

■ 体調面
 体調を崩すことが多く、リアルな検査を多く受ける1年でもありました。体調を崩して休養をとったら、やることがべらぼうに溜まる..といったことを経験し、研究を続けるには身体が資本だということを痛感しました。食生活を適当にしたり、運動を面倒臭がってサボってしまうなどの傾向があるので、来年度は病院で検査を受ける回数を減らせるように、こういった点を直していけたらと思います。

気づけば、あと数日で来年度..今年わかった検査結果を元に、苦手なことを克服し、成果につなげられるといいなと思います。

【池田めぐみ】

2017.03.22

【山内研 今年度のまとめ】修士1年を振り返って

こんにちわ。M1の花嶋です。
私がまとめとして伝えたいこと、また修士生として1年間研究というものに触れて最も強く感じたことは、「学術研究の深さ」です。
私は、「数学苦手者にどのように教えたらいいのか」について研究をしているのですが、「どのように教えればよいのか」を考えるには、「なぜ生徒ができないのか」を知らなければならないということで、その点に関する先行研究を読み漁りました。

その結果実感したことは、
① とてつもない量の研究がすでになされており、その知見が過去の莫大な研究の中に眠っている。
② 同じようなつまづきが課題として繰り返し指摘されている。
の2つです。

例えば、「りんご1個100円で、x個買った時の値段は?」に答えられない生徒がどうしてわからないのか、以前の私は、「問題の意味が分かっていない」、「文字の意味が分かっていない」ということぐらいしか答えられませんでした。
しかし、「意味が分かっていない」とはどういう状態なのか、その時の生徒の頭の中では何が起きているのか、それが分からないで教え方を考えても、それは病状が分からないけどとりあえず苦しんでる患者に闇雲に手術をするようなものです。

先行研究を読む時間は、「なるほど、そういうことだったのか!」の連続でした。
自分の疑問が解消されていく興奮を感じながら、と同時に「ここまでのことが今までの研究で明らかになっているのか!」と深く感銘を受けました。そしてさらに同時に、(少なくとも数学学習において)人の思考の根本的な原理となる仕組みについての知見、つまり先人が明らかにしてきた偉大な知見が、一般の人たちの目の届いていないということを実感しました。

知見を知るということは、使える「眼鏡」を増やすということです。
サッカーを20年間やってきた人と、サッカーを初めて見る人と、同じサッカーの試合を見ても「見え方」はまるっきり違います。それは、「何を、どのように」見ればよいかを知っているからです。

勉強が苦手な生徒を見る上でも同様で、どのように見ればよいのかを見る「眼鏡」を持っているかどうかで、生徒が何につまづいていて、どのように対処すべきなのかを思いつく可能性は違ってきます。(そこから適切な指導法を思いつく段階にもまだ壁はあるのですが、、、)

先行研究を読むまで自分が全くこれらの知見の存在をしらなかったこと、そして同じようなつまづきが繰り返し指摘されている状況を鑑みるに、これらの知が一般の人のみならず、教育関係者の間にも完全には広まっていない(様々なコスト的に実行できないという問題も大きいですが)という可能性が伺えます。

学際的な視野のスコープは、ビジネスと研究活動の境界にも及ぶべきものだと、思ったりした今年度でした。

M1 花嶋陽

2017.03.20

[Year-End Review] Life Knowledge and Bits (M2 Lian)

The past year had been the fastest year I've ever lived through in my entire quarter century of existence. It was as if every month, there was something new to experience (and there probably was). It was my first year completing all the seasons in temperate countries and I am fortunate enough to experience them in arguably the best places to have done so. My heart feels full from all the blessings reaped from this risk.


Pacing
The bulk of my coursework for my intensive interdisciplinary program had concluded just last month and I now have the freedom and heavy responsibility to focus on the delivery of my thesis. Of course, just the mere completion of my courses was no easy feat. I made it no easier for me either as I took the initiative to go beyond prescribed curriculum, cross-enrolled in different graduate schools, and go as far as participate in summer exchange. It was hectic, to say the least, but I wouldn't have done it any differently.

I had always enjoyed keeping myself occupied and always on the run, and I believe that past year took its toll on me. Either that, or signs of aging. Although I have no intentions of stopping, I do feel the need to slow down and pace myself as to not overexert too much, too fast. I have already reached the latter half of my 20s and I believe it's high time to look for long-term professions that are conducive to my complexity-loving personality, yet would have the stability and sustainability that a normal desk job could provide.


Learnings Beyond the Classroom
Readings and articles are not all bad, but I felt that the most I have obtained from living in Japan, and eventually exchanging in Europe- are the life skills (such as biking!) I have learned which I could never have gotten by staying at my office job or my country for that matter. Recently I'd sat in some final defense of our program seniors and most non-native international students who had studied countries and cultures aside from Japan were asked, "What's the merit of your studying here? Your demographic is in the . Most of your literature is in English." I couldn't help but find myself trying to fairly justify myself for this same question and I came up with a few answers:

There are plenty of reasons, aside from personal interest.
1. I don't believe an institution is confined to its geographical location. Especially for globally acclaimed universities such as the University of Tokyo, ITASIA studies should encompass even the most remote regions of Asia.
2. I believe it's good research practice to remove yourself from an environment, to maintain objectivity, when doing social studies research; To see things I may not have seen up close. Japan is also a good place to do this because of the stark differences in culture with my choice of audience.


Finished, Not Perfect
Lastly, brushing over essays from my first year of coursework made me self-aware of the concept of "finished, not perfect." It's a dogma wherein one should not spend too much time perfecting the current obra maestra but simply continue working because improvement comes naturally from experience and repetition. Time spent with every single detail might sacrifice the nitty-gritty, or at worst case end up not finishing at all. Another reason is similar to what I had previously mentioned about knowing where to reserve your energy in order to accomplish the more important feat, which in this case is sweet completion.


Until next time,
M2 CASTILLO Lian Sabella

2017.03.16

【山内研 本年度のまとめ】M1 林怡廷

皆様、こんにちは。M1の林怡廷です。
時が経つのがはやいもので、入学したのが昨日のことように思えるんですが、もうすぐM2になります。
実は3月31日は私の来日2周年記念日になります。なので美味しいものを食べに行きたいと思います。
さて、日本生活の2年目、修士生活の1年目を振り返ってみたいと思います。


■研究
最初は漠然としたアイデアしかなかったので、しっかり先行研究をレビューするところからはじめました。
第二言語学習の動機付け、自己効力感、自律性、メタ認知......など、様々な関連キーワードで第二言語学習に関する論文を調査して読みました。
また、CALL(Computer Assisted Language Learning)に興味があるため、6年分の論文をレビューしました。
ファシリテーターとの相談とゼミでの研究発表を繰り返しながら研究を進めていくうちに、興味関心が広まりすぎて、自分がどんな研究をやりたいかわからなくなったこともあります。
それに、いくら論文を読んでもなかなかまとめられなかったです。
すごく悩んでいた時期があったですが、その時ファシリテーターの仲谷さんから頂いたアドバイスは「自分の理想的な学習者像を頭の中で描いてみる」とのことでした。
それでわかったことは、自分の理想的な学習者が自発的にかつ継続的に学習をする人ということです。
これを常に念頭に置くことで、よりクリティカルに論文を読めるようになったと思います。
三月に指導教員とファシリテーターとの三者面談で、やっと方向性を固めました。
M2からは教室外での第二言語学習活動に関する調査研究を行う予定です。しっかり調査計画を立て、良い知見を導き出せる研究にしたいと思います。


■就活
卒業したらどうします?台湾に帰りますか?それとも日本に就職しますか?
この質問は私の「日本に来てから一番よく聞かれる質問」のTop 3にランクインしています。
(ちなみに、第1位は「どうして日本に来たんですか?」、第2位は「どうやって日本語を勉強したんですか?」でした。)
本当のこと言うと、最初は何も考えてなくてそのまま日本に来ちゃったんです(笑)
しかしながらここで2年を過ごして、この国で働いてみたいという気持ちが湧いてきました。
台湾に帰るという選択肢ももちろんありますが、まずはここで自分の力を試してみたいと思います。
というわけで今は絶賛就活中です。ぜひともよろしくお願いします。


■生活
今年度は徹夜が多い一年でした。ゼミ、研究、就活、自分の生活のバランスを取るのが重要な課題だと考えて、特に睡眠と食事生活を見直すべきだと最近ずっと思っています。
ですから、新年度はまず朝型人間になるために頑張りたいと思います。
趣味としてずっと写真を撮っているんですが、今年になってはじめて合同写真展に出展しました。とても達成感があって楽しかったです。
合宿でも写真を撮りまくって、被写体になってくださった山内研メンバーに感謝です。
「写真はその瞬間を撮った時から過去になる」好きなフォトグラファー篠山紀信がそう言いました。
研究も生活も、前向きに新年度を迎えながら、すべての過去を大事にして撮り続けたいと思います。

【林怡廷】

2017.03.14

【山内研 今年度のまとめ】修士研究残りの期間でやるべきこと(M1 根本紘志)

先日、研究室の春合宿がありました。テーマは「研究法を引き継ぐ」こと。
修士論文を書き上げたM2の方々のヒストリーを伺いながら、この1年間を振り返り、M1が今後やっていくべきことを考える機会となりました。

今年のテーマは「修士論文を書くまでにやらなければいけないこと」。
M1があと1年間でやらなければいけないことを、先輩方の経験を元に考えました。

(研究科や専攻によって異なると思いますが、)修士論文は大まかに4章立てに分かれるとされます。

第1章:研究の背景
 なぜその研究が①社会的に②学術的に意義があるのか?とリサーチクエスチョン

第2章:研究の方法
 どのように研究を行うのか?(実践の内容やデータの取り方)

第3章:研究の結果
 実践や調査の結果どのようなデータが取れたのか?

第4章:研究の結論と考察
 第1章で立てたリサーチクエスチョンに対する答えはどのようなものか?
 研究の社会的・学術的意義は?

山内研のM1期間は、基本的に第1章(と第2章の一部)を固めることに専念します。
修士入学時に自力で書いてみた研究計画書を解きほぐし、特に学術的な歴史(先行研究)を調べながら自分の研究を位置づけようとします。

それがほぼ終わり(...!)となるこの期間に、第2〜4章をどのように書いていくのか?を肌で感じる(そして結構大変であることに気づく)合宿でした。

自身の研究は現時点で「現場などの介入対象に対して何かしらの介入を実施し、その成果をデータとして取る」形の実践(実験・準実験かも?)を予定しています。
そのことも含めて、M2の先輩方の発表&助教の方も含めたグループワークで以下のような点についてアドバイスをいただきました。

①どんな変化を起こすのか?を具体的に
ただの実践では無く「実践研究」であるためには、介入の結果何かしらの変化が起きなければなりません。そして、実践であれば「何か変わった気」がすることがまず大事ですが、研究の場合は何かが「明確に変わった」ことが言える必要があります。
人の学習はとても複雑で、いっぺんに何かが「明確に変わる」ことはなかなか起きません。その中でも何が「明確に変わるべき」なのかを絞り込む必要があり...最近は「結局、学習者がどう変わっていれば良いの?」という問いをひたすら突きつけられています。

②それをどのスパンでどう測るのか?を具体的に
修士研究に使える時間はあと1年。準備(後述)を考えると、実践に使える期間はそう多くありません。多めに見積もっても約1ヶ月間。①で起きる変化を、1ヶ月間という期間でどう捉えるのか?(インタビューなのか質問紙なのか、授業中などの言動なのか...)
実践後、「マインドセットは変わったけど行動はあまり変わらなかった」という状況が起きた場合、インタビューや質問紙を取っていなければ手遅れです。事前にどう測るのか?の設計ができていないといざデータを取っても手遅れになってしまうことも...

③どのようにデータを取るか?を具体的に
実験室であってもデータを取るのはそう簡単ではないのですが、教室などでデータを取る場合、研究に協力してくださる方の学習活動を邪魔せずに研究に使えるデータを取らなければなりません。しかも、インタビューなどであればボイスレコーダーのスイッチ入れ忘れ、カメラのバッテリー切れなどが致命的です(そして時々ある)。
実践を行ってデータを取る場合には、それに加えて実践活動自体が上手くいく必要があります。先生やファシリテータの役割もしながら同時に調査員の役割もこなす...マルチタスクのあまり得意でない自分にとっては結構な挑戦です...
多くの場合、こうしたことを防ぐために事前にプレ実践(や予備調査)を行うことが一般的です。つまり、プレ実践+本調査合わせて2ヶ月程度はかかることになります...

④どのようにデータを分析するか?
研究としての知見を出すためには取ったデータを分析する必要があります。
質的に分析するのであればコーディングの基準など、量的に分析するのであればどのような分析手法、検定を用いるのかといったことを選び「いざ分析」という時には手を動かせるようにしておくことが大事。つまりは、データを取りつつ並行して分析手法を学習する必要が...

⑤そして自分の研究の社会的・学術的意義は?
この点は結構M1の期間に固めて仮説を作ってきているのですが、当然実践をしながら、データを取りながら、データを分析しながら仮説は常に変わります。M2の方も「実際に修論を書きながら追加で学術書や論文を読んでいた」とおっしゃっていました。

M1の時にやっていたことは⑤をじっくり...。
M2でやるべきことがいかに多いかが見えて来ていて、戦々恐々としています。

加えていざ初めてみてわかったのですが、論文を読んだり先行研究をまとめたりといった作業(特に後者)は意識しないと難しいということがこの1年の個人的な反省として残っています。自分の関心に合った学術書や論文を読むので基本的に面白くなって「あ、こういうことが分かっているのならこういうことはどうなんだろう?あ、この論文も近そうだ...!」といって次々に手が出てしまいます。「思い切って時間を取ってまとめる時間を作る」「何本読んだら書く」というキメが大事だということをアドバイスとしていただきました。

M1の1年間は自分の研究以外にも授業があり、思えばあっという間に過ぎ去ってしまった1年だったように感じます。修士生活もあと1年...もう半分過ぎてしまったと思うと焦りがつのりますが、これまでの先輩方も2年で修論を書き上げているという事実を胸に、これからの1年(実際はあと10ヶ月弱)頑張っていきたいと思います。

根本紘志

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