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2019.03.12

【山内研院生の過ごし方】Part2 〜江﨑文武さんインタビュー〜

こんにちは。山内研修士1年の谷口恵子です。
社会人修士学生インタビュー第2弾は、ソウルミュージックバンドWONKのメンバーで、音楽レーベル:EPISTROPHを経営されている江﨑文武さんにお話を伺いました。いつも日本中、世界中を飛び回っているイメージの江﨑さんが、どのように仕事と研究を両立されているのか、個人的にもお聞きしたいと思っておりました。

ー まずは普段の1日の過ごし方を教えてください。

全くと言っていいほど規則がありません。基本的に夜型です。夜は街が静かなのと、通知の類も来ませんし、創作に集中出来る時間帯です。
平均すると就寝時間は3:00頃、起床時間は8:00頃です。5時間程度の睡眠で終わる日もあれば、10時間寝る時もあります。
毎日が不規則なので、どういう過ごし方というのもの難しいのですが、ある日のスケジュールはこんな感じでした。

8:00 起床、朝食のフルグラ
9:00 メールやチャットの処理
10:00 研究(文献レビュー)
12:00 アーティストとランチMTG
13:00 レーベルのスタッフと雑務
15:00 取引先とMTG
17:00 移動
18:00 レコーディング
24:00 レコーディング終了
25:00 焼肉
26:00 帰宅
27:00 就寝

ー 1週間の過ごし方を教えてください。

演奏する仕事、曲を作る仕事、音楽レーベルを経営する仕事が並行しているので、毎週の過ごし方はまちまちです。
平均して月の1/3は東京を出て地方にいます。夏は音楽イベントも多いので毎週末は地方です。
仕事も研究もとにかく期日が迫っているものから手をつけています。

平日は自分の会社の仕事や創作をしています。合間を縫って研究に手をつけています。
ただ、研究テーマが音楽よりになったことで、音楽の仕事をしているときに研究にヒモ付きそうな事象と出会うことも多くなりました。土日は音楽の仕事が入ることが多く、ライブで遠征していたり番組の収録をしたりしています。
遠征は長時間車に乗ることが多いので、そのタイミングで文献リサーチを進めることもしばしばです。

ー 忙しい時期の工夫はなにかされていますか?

とにかく「今しなくていいこと」を徹底的に自分の中から排除することを心がけています。
ついつい他のものに目が行きがちな性格なのですが、グッと集中すればなんとかなることも。
ものすごく集中すると飲み食いするのも眠るのも忘れる(というかテンションが高まって眠れなくなる)ので、そんな感じでフロー状態に入れば乗り切れる気がしています。

ー 研究を行う中で,持つと良い時間はありますか?

研究一筋の人生を送っているわけではないので、アドバイス的なことは全く言えないのですが、自分にとっては、社会を見つめる時間って大切だなと思います。研究に限らず、自分の創作もそうですが、なんのためにこれをやっているのか、なんのために生きているのか、なにを遺したいのか、毎日ぼんやりと考える時間を設けると、自ずとこれからの歩み方が見えてくる気がします。あと、本当は、研究室にもっといられればなと思います。諸先輩方との会話から得られる学びは非常に大きい。

ー 社会人と院生をどう両立していますか?

両立出来ているとは思えないので、なんとも言えないうえ、各方面に陳謝したい気持ちですが、こればかりは研究内容と仕事内容がマッチすることを狙うしかないかもしれません。全く関係ない仕事と並走している状態ってものすごく大変だと思います。

ー 入学時の予定と実際過ごしてみてのギャップはありますか?

入学時は、当時働いていた教育系ベンチャーでの仕事と研究を結び付けようと思っていましたが、今現在、想定とは全く違う人生を歩んでいるので、まず自分の今置かれている状況にギャップを感じています。「大学院」という組織は当たり前ですが研究機関であって「受け身で教わる」場所ではないんだなということを実感していますが、山内研に関してはさすが学習の研究室ということもあって、分からないことをサポートしてくれる体制が抜群に整っているなと思います。

ー それは私も日々思います!ご回答ありがとうございました。私も子どもが3歳で、子どもの創造性をどう育んでいくことができるのか、とても興味があります。これからも江﨑さんの研究を楽しみにしております!


2019.03.11

【山内研院生の過ごし方】Part2 〜中野生子さんインタビュー〜

こんにちは。山内研修士1年の谷口恵子です。
山内研には、働きながら学生をしている「社会人学生」も数名います。私もその一人ですが、どうやって仕事と研究を両立すればいいのか、忙しいときにはどうやって乗り切ればいいのか、社会人学生でなくても、そのコツを知りたい方は多いのではないでしょうか。

ということで、【山内研院生の過ごし方】Part2は、修士課程の社会人学生のお二人のインタビューです。まずは、社会人としてフルタイムで働きながら、間もなく修士課程を修了、博士課程に進学される中野生子さんにお話を伺いました。

ー まずは普段の1日の過ごし方、1週間の過ごし方を教えてください。

そうですね。私は修士2年の春に転職をしたので、1年と2年に分けてお答えしますね。ちなみに、大学院に通っている間に転職することは本当にお勧めしません(笑)

修士1年のときは、UWC ISAK Japan(軽井沢にある日本初全寮制インターナショナルスクール)のファンドレイザー(奨学金のための寄付集め)の仕事をしておりました。仕事柄、東京を拠点にしており、ノマド的に色々な場所で仕事ができました。自宅にしていた大型シェアハウス内にあるワークスペースで仕事をすることもありましたし、人と会うことも多かったので、そうしたときには近くのカフェで仕事をしたりもしました。勤務時間も固定ではなく日によって違いましたが、仕事量は多かったので、平日は朝から夜中まで働いていましたね。
修士1年時は授業も多く、週に3回は大学に来ていましたが、それを乗り切れたのは当時の柔軟な働き方のおかげだったと思います。

修士2年の5月に転職をして、IT企業の教育機関向けソリューションのセールス部門での仕事を始めました。そこでも比較的柔軟な働き方をさせてもらっていて、毎日の出社時間も柔軟ですし、ゼミのある木曜日は出社せずに、大学で仕事をしています。大体、10時頃に出社して20時頃まで仕事をすることが多いですね。

ー 研究は週末にまとめて行っていたのですか?

そうですね。土日はほぼ研究にあてていました。1日4~5時間以上は研究時間をとっていました。

ー フルタイムで働きながらの研究生活はお忙しいと多いと思うのですが、工夫されていることがあれば教えてください。

今の仕事では、上司が研究機関との共同研究に関心を持っていたこともあり、私が複数の大学、研究機関との橋渡しをして共同研究プロジェクトを立ち上げ、アカデミックとの繋がりを持っていることが職場にとってもメリットになるようにしました。それによって職場からは、研究に使う時間が仕事の一部のように見てもらえて、理解を得ることができています。
あとは、文献レビューをするときなど、できるだけハンドブックを効果的に利用するようにしました。各分野のハンドブックには、読むとよい文献が参照されていますので、まずはハンドブックで概要をつかみ、そこに参照されている文献を読んでいくようにしました。フルタイム学生とは異なり研究に使える時間が限られているため、文献をたくさん読むにしても、できるだけ良い文献を早く見つけることができるように、ということを意識していました。

それから、生活の中で優先順位をつけて、以前は好きだったネットワーキングやボランティアの活動、イベント開催などもやめました。とにかく、仕事以外の時間は研究に充てられるようにしています。

ー 入学時の予定と実際過ごしてみてのギャップはありましたか?

私は社会情動的スキルについての研究をしているのですが、入学前に考えていたよりも、修士課程でできることには限界があるな、ということは入学後に思いました。そこで、修士2年目の途中で、博士課程への進学を考え始めたのです。
修士課程ではUWC ISAK Japanのサマースクールを対象にした調査研究を行いましたが、博士課程では開発研究を行いたいと思っています。その内容については、また研究計画のブログで詳しくお話しますね。

ー 私も社会情動的スキルについてはとても興味があります。今後も中野さんの研究を楽しみにしております!ありがとうございました!

2019.03.08

【山内研院生の過ごし方】Part1

みなさんこんにちは、Ylab M1の小野寺です!
Ylabブログ2・3月のテーマは「山内研の院生の過ごし方」。シリーズで計4回に渡ってお送り致します。
記念すべき第1回は修論審査を終えたM2の先輩2名にお話をうかがいまして、2年間の修士課程生活を振り返っていただきました。

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【インタビューした先輩方のプロフィール】
・花嶋さん
研究テーマは「文字式におけるプロセプト的思考の獲得を支援するゲーム教材の開発と評価」。本研究室では珍しい数学教育を対象とした研究をなさっている先輩です。
【記事リンク】
【今年度の研究計画】文字式の数量表現を支援するゲーム教材の開発と評価 -プロセプト的思考に着目して-


・Zhouさん
研究テーマは「Facilitation for Learning Community in Large-scale Online Learning Environment: a case study on Studying at Japanese Universities」。本研究室のほとんどは文化・人間情報学コースに在籍する学生ですが、ZhouさんはITASIA(アジア情報社会コース)のご在籍です。
【記事リンク】
【Research Plan】Facilitation for Learning Community in Large-scale Online Learning Environment: a case study on Studying at Japanese Universities (M2 ZHOU Qiaochu)


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それではまいりましょう!
(花嶋さんの回答は【花】、Zhouさんの回答は【Z】の表記があります。)

以下、インタビュー本文が始まります。
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・1日の過ごし方を教えてください
【花】授業やインターンがある時は、それをして、空いた時間は、スタバで研究
ない時は、昼頃に起きて、閉店までスタバで研究
【Z】It depends. For most of the common weekdays, it’s been like:
7/8 am Wake up & checking news (google home)
9 – 12 am Have classes or do the hardest work
12 – 1 pm Lunch
Afternoon Class/ semi/ work& assignments
5 – 10 pm Part-time job
12/2 am Go to bed

・1週間の過ごし方を教えてください
【花】特に平日、休日の区別なく、上記の通り
【Z】I had different schedules in M1 and M2 years. For the first year, over half of the week I took courses in ITASIA program or audited other lectures I was interested in. In M2 year, course credits were almost completed. I spent every week basically doing my research and sometimes part-time jobs & other events. And there is semi on every Thursday afternoon.

【小野寺's Comments】
1日or1週間の過ごし方について、大まかな時間の使い方はルーティーン化して、時期に応じて他の予定を入れつつも研究と両立するという点において、御二方とも時間の使い方に共通性があったようですね。

・忙しい時期の工夫
【花】時々人と話して気晴らしをする
【Z】1. In M1 year, it was a busy period taking many courses. A better way to handle might be to have those tough ones in different terms. I appreciated my choice when it came to the final.
2. In M2 year, I did the conduction of interviews & survey of my research (which are the core part) and job hunting in the same time around March. It’s all about maximizing the efficiency and carrying out PDCA.

【小野寺's Comments】
忙しい時期の工夫については、異なる切り口から回答をいただきました。
まず花嶋さんは、研究活動は個人で行われがちですが、それでも適度に他者との関わりを持つことの必要性について答えてくださいました。
一方Zhouさんは、M1とM2を1年ずつに区切り、1年次には単位の習得方法、2年次には研究活動と就職活動の両立について、それぞれの年でどのような工夫をしていらしたかについてお答えくださいました。
Zhouさんのお答えは修士課程の学生生活全体を通して、特に修士課程終了後に就職を選択する学生にとって参考になるものと思われます。加えて花嶋さんのお答えはどのような学問分野の研究活動を行うにあたっても重要なことであると考えます。こちらについては次項「研究を行う中で,持つと良い時間」についても関連して記述します。

・研究を行う中で,持つと良い時間(例えば,週末はレビュー内容を振り返ってまとめる時間をとっている,など)
【花】研究相談は1ヶ月に一回した方がいいと思う
【Z】To gather advice from others and adjust your research several times in a month.

【小野寺's Comments】
研究を行う中で,持つと良い時間については驚くほど類似した回答をいただくことが出来ました。まず、花嶋さんの仰るところの「研究相談」とは、本研究室では修士課程の学生にはメンターとして博士課程の学生or助教の先生が1人ついてくださるのですが、そのメンターの先輩と研究の進捗状況や悩み事などについて話し合う機会のことを意味しています。研究相談の回数についてはメンターの先輩との調整で決定するので所定の回数は決まっていませんが、だいたいひと月に1度は行うとよいと言われています。ところが研究を行っていくうちに、煮詰まったり進捗が芳しくなかったり、あるいは単純に多忙のためにひと月に1度も時間が取れない場合があります。しかしながら先述の通り、他者の意見を聞く時間を持つことは、1人で煮詰まった研究を解きほぐしてくれる、研究に不可欠なプロセスであるので、やはり定期的な研究相談が必要であるとのご回答であると推測されます。
また、Zhouさんも、他者からアドバイスをもらう重要性についてはお答えくださっていますし、それによって自分の研究の見直しや調整を行うことが大事であることとおっしゃっています。

・学部時代と修士の過ごし方の違いはなんですか?
【花】修士は、自分で自由に時間を使ってやりたい勉強を比較的できる
【Z】My undergraduate years consisted of studying, events, volunteer activities and volleyball team. While master’s years made me to focus on the research I want to do in MOOC. Different keywords are “participate” and “think”.

【小野寺's Comments】
やはりどちらの先輩方も、当たり前といえばその通りですが、修士課程では研究活動に焦点を当てた過ごし方をされているようですね。花嶋さんの「自由に時間を使って」というところとZhouさんの"think"というところがキーワードとなってくるかと思います。

・入学・進学時の予定と実際過ごしてみてのギャップはありますか?
【花】研究と実践はなかなか相容れない
修士ではそこまで大きいことはできない
【Z】I didn’t have much gap in life and study in Japan. If to say, there are two things. First, doing research got harder in the later process, which was derived from the gap between original design and feasibility of conducting the research proposal. Adjustment is so significant all the time through research. Second, I didn’t expect every week’s semi to be so much helpful for my research and gasshuku in Ylab to be of so much fun. I learned and got help from everyone which I really appreciated. And for sure this kind of atmosphere is one of the most powerful strengths in Ylab.

【小野寺's Comments】
まず、花嶋さんは修士課程での研究テーマとしてふさわしいサイズを見極めることの重要性についてお答えしてくださいました。また、Zhouさんは少し似ていることとして、初期の研究デザインと実現可能性とのギャップをいかに調整していくかについてお答えくださいました。どちらも、計画と実行のバランスが取れていること、特に計画のほうが壮大である場合に注意することが必要であるとまとめられるかと思います。また、Zhouさんは加えてYlab特有のシステムである週に1度のゼミや年に2度の合宿など、研究室内での関わり合いが高頻度であることから積極的に意見が飛び交う雰囲気がYlabの強みであるとの旨のお答えをしてくださいました。この点についてはM1の私も同意見で、実際に入学してから他研究室の方の話をお聞きしたり、実際にゼミや合宿に参加することを通して、研究室内で活発に、かつ堅苦しくなくフランクに様々な方からご意見を頂いたり議論したりすることができることは当研究室の強みであり、また実際に過ごしてからの良い意味でのギャップであったと思います。

以上、今回はM2の先輩方にお話をうかがいました。インタビューに快く応じて下さった先輩方に、この場をお借りして感謝の言葉を述べさせていただきます。ありがとうございました!

本シリーズ次回の担当はM1谷口さんで、テーマは社会人学生です。
次回もお楽しみに!


【小野寺】

2019.03.06

【私の研究テーマ】幼児の音楽表現を支援するアプリケーションの開発

修士課程1年の江﨑文武です。
2017年から1年半、大学院を休学して音楽活動に専念していたのですが、復学しました。

休学前は、音楽活動と並行して、教育系のベンチャー企業で幼児の言語習得を支援するアプリケーションの開発に携わっていました。その関係で、子どもの言語習得過程を様々なアプローチで解明しようと試みた研究や、遊びのデザインやデバイスの開発を通して言語習得を支援しようとした先行研究をレビューし、アプリケーションを改良していきたいと思っていたのですが...!
休学中、音楽業界にどっぷり浸かる生活を送る中で、1つの疑問にぶつかりました。

美術も音楽も、どちらも学校で教わる科目で、「表現」が軸にあるが、ほとんどの人が自分の絵を描いて表現したことがあるのに対し、自分の音楽を作って表現したことがある人はほとんどいない......なぜだろう?

どうしても、音楽表現をすることは障壁が高いと思われがちです。
楽器が弾けないと、音楽表現は出来ないのではないか?まず楽譜が読めないとダメなのではないか?実際、小学校で習ったリコーダーがうまく吹けなくて、幼稚園で習っていたピアノが難しくて、音楽に苦手意識を持った人も少なくないのではないでしょうか。
実は、音楽表現にこれらの技術は必ずしも必要ではありません。プロのミュージシャンには、楽器も弾けなければ楽譜も読めない人がたくさん存在するのです。

だったら、もっと気軽に音に触れて楽しむ仕組みをつくることは出来ないだろうか?
テクノロジーの発達によって、今やいつでもどこでも簡単に音を録音し人に共有出来る仕組みが整っているのですから、幼児や保護者(保育者)が、従来の音楽観に囚われることなくのびのびと音楽表現を行うことは不可能ではないはずです。

以上のことから、昨秋の復学以降、幼児の音楽表現活動を支援するデジタルアプリケーションの開発に向けて準備を進めています。

幼稚園教育要領に領域「表現」が示されたことによって、保育の現場では様々な音楽表現活動が試されています。自分のオリジナル楽器を作る活動や、周囲を取り巻く環境音を自分なりの楽譜(絵画)として保存する活動はその一例ですが、私の研究では「トライ&エラーの容易化」「他者への共有の容易化」といったデジタルの強みを活かし、幼児の主体的な音楽表現、音楽的共同・共創を促したいと考えています。

具体的には、幼児が周囲の「おもしろい」音をタブレット端末で録音し、それらをアプリケーション上で打楽器的に操作・演奏出来るような形に落とし込んであげることで、音の加工 / 他者との共演が可能な状態を作り出そうと考えています。(ヒップホップで用いられているMPCなどのサンプラーは、まさにこの仕組みからなるデバイスですね。)

私は、音楽表現能力の発達には「“音”に気づくこと」「数を試すこと」「人と影響しあうこと」が不可欠だと仮説しています。デジタルアプリケーションを通じたアクティビティはその性質上、これらの要素と最も相性がいいのではないでしょうか。

『幼児の「歌をつくる」活動を支える環境 (長尾 2017)』では、昭和40年代に園児の「つぶやき歌」を採譜し、伴奏をつけてあげることで「歌をつくる活動」へと発展させ、それを他の園児に共有することで、更なる「創作」を促した実践が紹介されています。当時は「音を容易に記録・保存できない」ことが障壁の1つとして掲げられていましたが、今となってはもはやその障壁はありません。

デジタルデバイスに囲まれて幼少期を過ごすことは時に批判されることもありますが、幼少期の音楽体験を大きく変える可能性もあります。ことに学校教育において「技術習得的なもの」だと思われがちな音楽が、「表現活動」として本質的に正しく捉えられるために。その大切な1歩目を担っている保育の現場に、この研究を通して貢献することが出来れば嬉しいです。

【江﨑文武】

2019.02.10

【私の研究テーマ】キャリアレジリエンスの獲得に繋がる経験とは?

D3の池田です。私の研究テーマは、「大学での正課外活動におけるキャリアレジリエンスの獲得に関する調査」です。

 ひらたく言うと、「環境の変化に適応し、ネガティブな仕事状況に対処する個人の能力」であるキャリアレジリエンスを部活やサークルといった、課外活動の中で学生はいかにして身につけているのかといった研究をしています。

 「キャリアが思うようにいかない」だとか「うまくいかないことばかりで仕事が辛い」といった声をよく耳にしますが、人生の岐路とも言える「キャリア選択」や、日々の生活において長い時間を占める「仕事」やにおいて、こうした感情を抱き続けるのは辛いことだと思います。また、昨今は大学から社会へと移行する前に、辛くても前を向き回復する力を獲得することの重要性が指摘されます。

 そこで、「環境の変化に適応し、ネガティブな仕事状況に対処する個人の能力」や「キャリア形成を脅かすリスクに直面した時、それに対処してキャリア形成を促す働きをする心理特性(児玉2015)」と定義されるキャリアレジリエンスという概念に注目をしました。

 キャリアレジリエンスの具体的な要素については諸説ありますが、例えば児玉(2017)は以下の5つを構成要素としてあげています。
(1)問題対応力:環境の変化に適応できる力や困ったときふさぎ込まないで次の手を考える力
(2)ソーシャルスキル:社交性、他の人と共感的に関わりあう力
(3)新規多様性:新しいことや珍しいことが好きな姿勢、いろいろなことにチャレンジするのを好む
(4)未来志向:自分の将来に希望を持てる
(5)援助志向:思いやりを持って他人に接する

 レジリエンスには、遺伝による影響が強いもの(特性)と、獲得しやすいもの(能力)があります(平野2010、2015)。そのため、課外活動を通じて、自分のもともと持った特性に気づいたのか、獲得されたのかと言う部分については議論の余地がありますが、例えば、「想定外の出来事に対処する経験」や「克服するのが難しいと感じていた課題をクリアすることを通じて、学生は先の問題対応力を身につけていることが確認されています(IKEDA et al. 2018)

 博士課程では、先に紹介した研究のほかにも、教員が関わるような課外活動において、教員がどのような支援をすることが学生のキャリアレジリエンスの獲得実感につながるのかに関する検討なども行ってきました。段々と研究が形になってきたので、これらの研究を博士論文にまとめることが今後の課題となるかと思います。少しでも誰かの役に立つ研究をできるよう頑張っていきたいな..と思います。

池田

 

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