2007.10.09

【エッセイ】100年耐えられるコンセプト

情報学環・福武ホールの建築が急ピッチで進んでいます。
09182007062.jpg
地下部分の基本構造はできあがり、ついに地上部分があらわれました。
2008年2月末に竣工し、3月にオープンする予定です。

この建築に関われたことで、いろいろおもしろい経験ができました。
建築は、ものを作る学問である「工学」のルートメタファー的なところがあります。ソフトウェア業界の人は「アーキテクチャ」という言葉を無意識に使っていますが、もともとは「建築様式」から来ています。教材やワークショップの開発にも転用できそうなアイデアがたくさんありました。
建築のこわさは、その耐用年数にあります。情報学環・福武ホールの耐用年数は「100年」です。私がたとえ定年まで勤めたとしてもあと25年、耐用年数の4分の1しかありません。
いまから100年前と言えば1907年です。この100年のめまぐるしい変化を考えれば、今後100年間の予測はほとんど不可能に近いといわざるをえません。
100年耐えられるコンセプトを作れたかどうか自信はありませんが、シアター・スタジオ・コモンズ・カフェといった構成は、それを意識して作っています。
「時間に耐えられるコンセプトを作ることの難しさ」ーこれが今回の建築から学んだ一番大きなことだったかもしれません。
[山内 祐平]

2007.10.04

【研究に役立つウェブサイト】「知の無償大公開」

 若かりし頃、全く勉強しなかったなぁ・・・なんて後悔の声、周囲で良く聞きませんか?何を隠そう私もその一人、後悔を始めればきりがありません。

 でも、学びたい時が適齢期!?そんな理想の実現をサポートしてくれる環境が、東京大学にこんなにあるのです。


◆東大オープンコースウェア
 東京大学の講義資料を無償で公開するWebサイト
 http://ocw.u-tokyo.ac.jp/

◆TREEプロジェクトのTODAI TV
 東京大学の公開講座、講演などの映像・音声を配信
 http://todaitv.ep.u-tokyo.ac.jp/

◆iii online
 東京大学大学院 学際情報学府の授業配信
 http://iiionline.iii.u-tokyo.ac.jp/


 例えば、「知」の大きな体系や構造を見たかったり、自らが現在学ぼうとしていることの意義や位置付けを確認したい場合、東大オープンコースウェアの「学術俯瞰講義」がお勧めです。学部1、2年生向けのこの講義では、学術分野において世界的に著名な先生方が惜しげもなく講義を披露してくれています。


 また、自身の研究はどこに向かっているのか?学問の体系から外れてしまいそうな興味を研究としてどう成立させていけばいいのか?そんな悩みや疑問を感じたとき、iii onlineの「学際情報学概論」がお勧めです。情報学環という文理融合型の特性を生かし、先生方の研究分野を幅広く横断的に把握することが出来ます。様々なアプローチからヒントを得ることで、不安も解消できるのではないかと思います。


 学部時代のぽっかり抜けてしまった学問の基礎体力を補強しつつ、研究の面白さを感じたら、自身の興味・好奇心の芽をさらに育みたい、そんな衝動に駆られるのではないでしょうか。TODAI TV では、公開講座「ロボット新世紀」と題し、十数名の先生方が講義をしています。私自身、幼児を対象に研究を行っているのですが、教育学研究科の多賀先生の「脳と身体の動的発達とロボット」や 総合文化研究科の開先生の「赤ちゃんはロボットをどう認知するか?」 は、知的好奇心を揺さぶる起爆剤の宝庫です。


 研究に直結!というわけではないのですが、これらの環境は羅針盤を持たずに学問航海に出発してしまった私にとっての貴重な情報源であり、また、長期にわたり研究を続けていこうと考えたとき、知の自己内核融合を継続していくための貴重なリソースになるのではないかと思います。

 秋の夜長、時にはワインを片手に、あるいは襟を正して真剣に、学問の大海を漂ってはいかがでしょうか。

[佐藤朝美]

2007.10.02

【エッセイ】サロンとカフェ

さる9月21日に、柏の葉アーバンデザインセンター (UDCK)で開かれているKサロンにうかがってきました。
Kサロンは、UDCKが提供しているまちづくりの交流の場です。市民や専門家,そして,マスコミやNPO,行政,企業,大学などの関係者が,ワインを片手にまちづくりを語り合う会になっています。Kサロンはとても居心地のよいサロンで、大学の人、企業の人、商店街の人、アーティストなどさまざまな人たちが集まってきます。
当日は、博士課程の森さんのプレゼンテーションと飛び入りで私から福武ホールのお話をさせていただきました。この企画を中心になって運営していらっしゃる新領域創成科学研究科の北沢先生と研究室のみなさんに大変お世話になりました。ありがとうございました。北沢研のブログに当日の模様があがっていますので、ぜひご覧ください。

http://kitalabo.exblog.jp/i11/

最近、このようなサロンやカフェを大学や街の中に作ろうという動きが同時多発的に起こっています。北大や東北大のサイエンスカフェ、阪大のオレンジカフェ、慶応大の三田の家、群馬大の人茶カフェなどです。サロンやカフェは、大学が社会と関係性を持ちながら新しい動きを生み出していく場として期待されているのだと思います。私自身も、福武ホールの中にこのようなカフェスペースを作りたいと思い、現在各方面と調整を進めているところです。
ただ、カフェやサロンは、ワークショップのようなはっきりとした活動のデザインがあるわけではありません。その中で、新しいことを生み出していくにはどうしたらよいのだろうと、いろいろ考えていました。
Kサロンで気がついたのは、サロンやカフェにおける共同体の重要性です。Kサロンがうまくいっているのは、北沢先生を中心としたコミュニティが母体となって、活動が創発的に生まれていることが大きいと思いました。
今まで、共同体の概念フレームワークとして、WengerのCommunities of Practiceを使うことが多かったのですが、サロンやカフェの共同体はもう少しゆるやかなつながりのような気がします。実践を共有しているというよりは、何か起こりそうという「期待」を共有している感じでしょうか。
サロンやカフェで起こる心の動きは、ハードな意味での「学習」ではないかもしれません。しかし、そこには学びや創造的活動を起動する気づきや新しい出会いが隠されていると考えています。

[山内 祐平]

2007.09.30

【研究に役立つウェブサイト】曖昧なものをつかまえる

「研究に役立つウェブサイトを」と求められて真っ先に浮かぶのは、やはり論文検索のサイト群です。山内先生御自身が既に「エッセイ:魔法の文献検索」で大御所をピックアップされています。それ程、研究活動では「ウェブサイト先行研究探索」というプロセスが大切と言えるでしょう。
 先行研究は論文や本、報告書というしっかりした形式でパブリッシュされているものが多いです。しかし、よく考えてみると、僕らはそれだけとお付き合いしている訳ではないようです。 
 そこで今回は、現在進行形の事例やパッと浮かんだ文献検索のキーワードのような「まだカタチになっていないものを管理する」ために役立つウェブサイトを挙げてみます。どれも決して珍しいものではありません。

1)del.icio.us
 これだけウェブが身近なものになってくると、論文化される前の実践がウェブで発表されていることが多くあります。「論文にはなっていないが、実際には行われている有名な実践」は、やはり把握しておく必要があります。勿論、論文にならないものもあります。
 例えば、僕の研究テーマでは、「教師支援のオンライン学習環境を開発している組織のウェブサイト」という感じです。こうしたものを管理するには、ベタですがソーシャル・ブックマークが意外に便利です。僕はdel.icio.usを海外の事例を集め管理する際に使っています。自分のPCの「お気に入り」では、パンクしがちですが、これなら1つ1つの事例にタグ付けが出来ますので、後から検索し、探しやすいです。 
 ウェブで公開される事例は、組織の活動と共に刻々と変わっていくものでもあるので、こうしたやわらかな管理ツールはこれらの動向を把握するために有効な一手段と思えます。
 勿論、他のソーシャルブックマークサービスでも同様のことは可能だと思われます。

2)ケータイでAmazon 
文献探索のプロセスには、しばしば「勝手に運命を感じてしまうような偶然の出会い」があります。
 「たまたま図書館で置いてある本を手に取ったら、大切なことが書いてあった」
「全く違う分野の本だと思っていたが、自分の研究テーマと本質的に関わりが深いものだった」
一見、全く違う分野、全く関係ないと思われる文献が、実は重大なヒントを与えてくれることは、意外に多いと感じています。そう言う意味での運命の出会いは多い方が良い。
 だから、一見関係なさそうな単語やキーワードでも、思いついたらすぐに、とりあえず検索してみるということはなかなか大切です。こういう「思いつき系検索キーワード」はすぐ忘れてしまうものです。そこで意外に役に立つのが、ケータイのAmazonです。
 良い考えの生まれやすい状況を「三上」と言うそうです。馬上・枕上・厠上。移動中、床の中、トイレの中。いつもPCに向かっている時に良い検索キーワードが浮かぶ訳ではありません。突然やってくる瞬間に対応するという意味では、ケータイで即Amazonというのはなかなか重宝します。
 夜、眠りに落ちる瞬間。朝、起きた後。通学中電車の中や道ばたで文献を検索し、本屋や大学の図書館へ直行、ということはしばしばあります。ケータイから活用できる図書館サービスにも同様のことが言えるでしょう。
 ケータイ板はPCのアカウントと同期しているので、とりあえずカートに入れておいて後からPCで吟味して買うこともできます。
 勿論、ケータイで思いつくまま買ってしまうとお金が大変掛かってしまうので、カートで、一端寝かせる、というのは、とてもとてもとても大切なプロセスだったりします。
 という訳で、今回は研究にまつわるアヤフヤなモノをどうつかまえ、管理し、活用するかについて書いてみました。
 え?当たり前?それ位、研究活動とウェブの利用は親密なものになっているのだと思います。
[酒井俊典]

2007.09.24

【エッセイ】学会発表と同時多発的な動き

恒例になっている、秋の教育工学会が終わりました。
今年は、シンポジウム1B 「実践研究をどのようにデザインし、論文にまとめるか」(論文はこちら) と、ポスターセッション「教養教育アクティブラーニングのためのIT支援型教室 -駒場アクティブラーニングスタジオのデザイン」(論文はこちら) で発表しました。会場に足を運んでいただいたみなさま、ありがとうございました。
司会の木原先生の名裁きで本質的な議論ができたシンポジウム1Bもおもしろかったのですが、教育工学会では初めて本格的に展開されたポスターセッションが印象に残りました。
私は、駒場キャンパスに開設された新しい教室「駒場アクティブラーニングスタジオ(KALS)」のデザインについて発表したのですが、来てくださった多くの方々から、「自分たちもちょうどこういう教室を作りたいと思っていたところだ」という話を聞きました。(えらい人たちをどうやって説得するかで悩んでいるという話が一番多かったです。)新しいムーブメントが起こるときにはこういう同時多発的な動きがたくさんでてきます。今後、KALSのような教室が日本各地にたくさん開設されると思いますが、この発表が少しでもその参考になればと思っています。

[山内 祐平]

2007.09.21

【研究に役立つウェブサイト】ワークショップ

ワークショップの研究がしたくてここへ来た私のおすすめwebsiteです。
neomuseum
http://www.neomuseum.org/
ネオミュージアムは、先日のエントリーにもあった同志社女子大学の上田信行先生が吉野に作られたミュージアム。
ここで行われた"party"の様子や、"party"が作られていく過程が、ポップな色合いで記録されています。

ラーニングアート
http://www.learningart.net/
ラーニングアートは、「学びそのものがアートである」という認識を多くの人たちと共有するために創造されたアートプロジェクト。
上記のneomuseumや、ここで紹介されている「ラーニングアート2005」を見ていると、「学び」をとりまく環境というのはこんなにも、カラフルだったり、楽しかったり、きれいだったり、明るかったり暗かったり、おいしかったり…していいんだ!ということが、なんだかとても嬉しくなります。

そして、このラーニングアート2005が行われているのが、私たちが今年の夏合宿で見学させていただいた、 CAMP大川センター。
http://www.camp-k.com/
プレイフルな学びの場、人がコミュニケーションをしながら、自分を表現しながら、もちろん楽しみながら学ぶ「状況」を作り出す、贅沢な空間です。

[牧村真帆]

2007.09.14

【研究に役立つウェブサイト】スライド共有

SlideShare
http://www.slideshare.net/
Zoho Show
http://show.zoho.com/
ThinkFreeてがるオフィス
http://www.thinkfree.co.jp/

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 研究の分野を文系っぽいところから理系っぽいところへ移した私にとって,変わったことはいろいろありますが,発表スタイルの変化は,いくらか苦い気持ちが伴っているものです。

 つまり,プレゼンテーションソフトのスライドを利用した発表形式であることが多くなったのです。以前の私はハンドアウトをごりごり書くことを好んでいたので,この変化に危機感を禁じ得ません。ついに私もパワーポイントに屈したのです。ああ,唯一の救いはキーノートユーザーであるということだけ…(軽い冗談です)。

 まぁ,近頃は落ち着いてハンドアウトを練り上げる時間もないのが現実。ぱっぱっぱっとスライド作成できるプレゼンテーションソフトは,時間的余裕のなくなってきた現代人にとっては有り難いツールであることも事実です。

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 しかし,私がパワーポイント以上に許せないのは,スライドほど共有してもらいにくい代物はないということ。親切な発表者は,スライドの全ページを紙印刷して配布してくれますが,文字や図が見にくかったり,モノクロ印刷で色の判別が難しかったり,フォントの印刷がずれていたりと,エレガントさに欠ける印象が払拭されたことはありません。

 海外の学会では,発表要旨CD-ROMを配布するなんて試みもありますが,当日使用するスライドの共有となると,各発表者任せであることには変わりがないようです。

 お互い同じようにパソコンを持ち込んでいるにもかかわらず,発表者の投影したスライドを,聴衆がデジカメで撮影するという場面もよく見かけます。「なんで電子化されたファイルを画像ファイルにして取り込まねばならないのか!」とその様子の滑稽さに呆れかえるのですが,そんな自分が学会の場で,スライドをデジカメ撮影しているようになった今を悲しく思います。またしてもパワーポイントに屈したか,自分…。

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 ソニーが無線LAN機能付きの携帯ハードディスクを発売したとき,「おお,これで発表スライドをその場で共有すればいいじゃん,学会発表する研究者にとっての必携ツールになるぞ」と期待したものでした。

 しかし,当の商品は需要が無くディス・コンティニュー。いまだ学会発表の会場で「いま,私の無線LANをオープンにしましたので,共有フォルダからファイルを持っていってください」というセリフに出会ったことはありません。いつの日にか,私がそれを皆さんの前でやりたいと思いますが,そのまえに発表できる成果をあげないといけませんな,ああ…。

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 さて,長いフリはここまでにして,ネット上でプレゼンテーションソフトのスライドを共有するにはどうすればよいのでしょうか。

 メールで直接送ることもできなくはありませんが,特定少数に送る場合ならいざ知らず,特定多数や,まして不特定多数となれば,メールでの共有は困難です。

 どこかネット上にある共有フォルダに置いておくという方法もあります。昨今では,ネット上のディスクスペース・サービスがありますので,広告を我慢して無料で利用できるものや,会員になって利用できるものを使う手もあります。ただし,無料で利用できるものには転送制限を設けているものが多く,多数への配布には向きません。

 そこで,「スライドを共有する」という特定目的のサービスをご紹介することにしましょう。

 文字情報にはDiggが,写真共有にはFlickrが,ビデオ共有にはYouTubeが,音楽情報共有にはmidomiがあるとすれば,スライド共有に使えるものとして,SlideShareがあげられます。

 このSlideShareの特徴は,アップロードしたパワーポイントやPDFファイルを,YouTubeみたいに他のWebページに貼り付け出来ることです。音声付きのスライドファイルも登録できるため,貼り付けたスペースでミニ・プレゼンが可能ということになります。

 現在のところ,不特定の人々に公開する機能しか実装されておらず,特定グループ内だけでパスワードを設定して共有することはできません。現在,クローズドな共有機能は開発中とのことです。

 SlideShareはスライド共有がメインですが,ネット上のツールでプレゼンテーションのスライド作成からサポートするものもあり,いろいろな競合サービスがやり合っています。

 その一つがZoho Showというサービスです。ワープロや表計算ソフトを始めとした本当に様々なツールを提供しています。これを使えば,スライド作成から表示,そして共有まで可能です。

 もしもあなたがパワーポイントに近いものを欲しているとするなら,ThinkFreeてがるオフィスは,お馴染みのソフト達と大変よく似たインターフェイスで操作が可能です。もちろんファイルを共有することもできます。

 ご存知Googleも,これからスライド作成ソフトのサービスを提供すべく,サービスを鋭意開発中とききます。

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 というわけで,今回は研究の発表につきものの,スライドについて,その共有に便利そうなサイトをいくつかご紹介してみました。

 本来ならば研究の「中身」に役立つサイトをご紹介すべきなんですが,どうも力及びませんでした。とりあえず,私のブックマークでお茶を濁して,残りは次回までの宿題にさせてください。

[林 向達]

2007.09.11

【エッセイ】ロフトとKYATATSU

先週金曜日から、ALT@UT夏合宿で京都を訪問しました。
1日目に、同志社女子大学の上田信行先生がデザインされたワークショップスタジオでPiagetPapertに関する合同セッションをさせていただきました。研究室のみなさん、すばらしい「おもてなし」本当にありがとうございました。
このワークショップスタジオは、2008年3月オープン予定の情報学環・福武ホールにできる福武ラーニングスタジオのモデルのひとつですが、ひとつ大きく違うところがあります。同志社にはロフトがあるのです。

IMG_0030.jpg

これによって、俯瞰的に学習の様子をリフレクションできるようになります。

IMG_0076.jpg

本当は福武ラーニングスタジオにもこのようなしかけがほしいのですが、ロフトは固定すると動かせないので、今回は見送りました。上田先生には、「だったら脚立がいいよ」といわれています。工事現場にあるような脚立だともうひとつなので、少しかっこいい脚立を作って、「KYATATSU for Learning」として売り出そうかという話をしてもりあがりました。

[山内 祐平]

2007.09.06

【研究に役立つウェブサイト】「最新教育基本用語」小学館 教育技術.com

院試も一段落し,今回から,「受験生にすすめる一冊」に代わって,「研究に役立つウェブサイト」を紹介することとなりました。

今回紹介するのは,小学館から出ている教育用語の辞典とも言える『最新教育基本用語』のweb版です。

http://www.ed.shogakukan.co.jp/yougo
「2003年度版 最新教育基本用語」
(教育技術.com,小学館)

文献検索サイト,OCWのポータルサイトなど色々と悩んだのですが,基礎固めや調べ物に手軽に使えるサイトを選びました。

web版は最新年度ではないのですが,把握すべき基本的な用語はかなりの量がおさめられており,検索機能もついていて,気軽に調べられるので助かっています。
「学力論」「学級経営」といったカテゴリで章立てされ,それぞれ“基礎・基本用語”と”話題の用語”に分類されています。
また,ブックマーク機能がついているので,一度調べた用語を保存ができ,書籍と同じ感覚で利用できます。
もちろん,最新の辞典を買うのがベストなのですが(書籍はA5判で定価も1,980円とお手頃です),ちょこっと調べたくなったときに,お気に入りに入れておくと便利だと思います。

[坂本篤郎]


関連ウェブサイト
「教育技術.com」 小学館
 http://www.ed.shogakukan.co.jp/

『2007年版 最新教育基本用語』 小学館 s-book.com
 http://www.s-book.com/plsql/com2_magcode?sha=1&sho=0300205107&keitai=80

2007.09.04

【エッセイ】Team-Based Learning

最近、医学教育の世界でTeam-Based Learningがはやりはじめているそうです。
一般的な高等教育の文脈ではあまり聞かない言葉なので、調べてみました。

Team-Based Learningは、 当時オクラホマ大学で教鞭をとっていたDr. Larry K. Michaelsenが開発したグループ学習の方法です。もともと経営系の授業で行われていましたが、現在は医学教育において広く活用されています。

個人で学習した後、6-8名の小集団に分かれ、最後にクラスで共有するというスタイルで、大講義室でも行いやすいというメリットがあります。下の映像を見ていただくと、様子がわかると思います。

・医学教育におけるTBL(映像)
http://www.bcm.edu/fac-ed/realvideo_public/TLPromo042302.ram

基本的には、協調学習やアクティブラーニングの一種だと考えることができますが、チームで学習や作業ができること自体を評価に加えるなど、グループでパフォーマンスを発揮すること自体を教育目的に加えているところがユニークな点です。KALSのような協調学習教室を整備する前に、協調的活動の重要性を理解してもらうための方法としても使えるかもしれません。

・Team-Based Learning Collaborative
http://www.tlcollaborative.org/Index.htm

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