2007.09.14
SlideShare
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Zoho Show
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ThinkFreeてがるオフィス
http://www.thinkfree.co.jp/
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研究の分野を文系っぽいところから理系っぽいところへ移した私にとって,変わったことはいろいろありますが,発表スタイルの変化は,いくらか苦い気持ちが伴っているものです。
つまり,プレゼンテーションソフトのスライドを利用した発表形式であることが多くなったのです。以前の私はハンドアウトをごりごり書くことを好んでいたので,この変化に危機感を禁じ得ません。ついに私もパワーポイントに屈したのです。ああ,唯一の救いはキーノートユーザーであるということだけ…(軽い冗談です)。
まぁ,近頃は落ち着いてハンドアウトを練り上げる時間もないのが現実。ぱっぱっぱっとスライド作成できるプレゼンテーションソフトは,時間的余裕のなくなってきた現代人にとっては有り難いツールであることも事実です。
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しかし,私がパワーポイント以上に許せないのは,スライドほど共有してもらいにくい代物はないということ。親切な発表者は,スライドの全ページを紙印刷して配布してくれますが,文字や図が見にくかったり,モノクロ印刷で色の判別が難しかったり,フォントの印刷がずれていたりと,エレガントさに欠ける印象が払拭されたことはありません。
海外の学会では,発表要旨CD-ROMを配布するなんて試みもありますが,当日使用するスライドの共有となると,各発表者任せであることには変わりがないようです。
お互い同じようにパソコンを持ち込んでいるにもかかわらず,発表者の投影したスライドを,聴衆がデジカメで撮影するという場面もよく見かけます。「なんで電子化されたファイルを画像ファイルにして取り込まねばならないのか!」とその様子の滑稽さに呆れかえるのですが,そんな自分が学会の場で,スライドをデジカメ撮影しているようになった今を悲しく思います。またしてもパワーポイントに屈したか,自分…。
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ソニーが無線LAN機能付きの携帯ハードディスクを発売したとき,「おお,これで発表スライドをその場で共有すればいいじゃん,学会発表する研究者にとっての必携ツールになるぞ」と期待したものでした。
しかし,当の商品は需要が無くディス・コンティニュー。いまだ学会発表の会場で「いま,私の無線LANをオープンにしましたので,共有フォルダからファイルを持っていってください」というセリフに出会ったことはありません。いつの日にか,私がそれを皆さんの前でやりたいと思いますが,そのまえに発表できる成果をあげないといけませんな,ああ…。
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さて,長いフリはここまでにして,ネット上でプレゼンテーションソフトのスライドを共有するにはどうすればよいのでしょうか。
メールで直接送ることもできなくはありませんが,特定少数に送る場合ならいざ知らず,特定多数や,まして不特定多数となれば,メールでの共有は困難です。
どこかネット上にある共有フォルダに置いておくという方法もあります。昨今では,ネット上のディスクスペース・サービスがありますので,広告を我慢して無料で利用できるものや,会員になって利用できるものを使う手もあります。ただし,無料で利用できるものには転送制限を設けているものが多く,多数への配布には向きません。
そこで,「スライドを共有する」という特定目的のサービスをご紹介することにしましょう。
文字情報にはDiggが,写真共有にはFlickrが,ビデオ共有にはYouTubeが,音楽情報共有にはmidomiがあるとすれば,スライド共有に使えるものとして,SlideShareがあげられます。
このSlideShareの特徴は,アップロードしたパワーポイントやPDFファイルを,YouTubeみたいに他のWebページに貼り付け出来ることです。音声付きのスライドファイルも登録できるため,貼り付けたスペースでミニ・プレゼンが可能ということになります。
現在のところ,不特定の人々に公開する機能しか実装されておらず,特定グループ内だけでパスワードを設定して共有することはできません。現在,クローズドな共有機能は開発中とのことです。
SlideShareはスライド共有がメインですが,ネット上のツールでプレゼンテーションのスライド作成からサポートするものもあり,いろいろな競合サービスがやり合っています。
その一つがZoho Showというサービスです。ワープロや表計算ソフトを始めとした本当に様々なツールを提供しています。これを使えば,スライド作成から表示,そして共有まで可能です。
もしもあなたがパワーポイントに近いものを欲しているとするなら,ThinkFreeてがるオフィスは,お馴染みのソフト達と大変よく似たインターフェイスで操作が可能です。もちろんファイルを共有することもできます。
ご存知Googleも,これからスライド作成ソフトのサービスを提供すべく,サービスを鋭意開発中とききます。
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というわけで,今回は研究の発表につきものの,スライドについて,その共有に便利そうなサイトをいくつかご紹介してみました。
本来ならば研究の「中身」に役立つサイトをご紹介すべきなんですが,どうも力及びませんでした。とりあえず,私のブックマークでお茶を濁して,残りは次回までの宿題にさせてください。
[林 向達]