2007.10.02

【エッセイ】サロンとカフェ

さる9月21日に、柏の葉アーバンデザインセンター (UDCK)で開かれているKサロンにうかがってきました。
Kサロンは、UDCKが提供しているまちづくりの交流の場です。市民や専門家,そして,マスコミやNPO,行政,企業,大学などの関係者が,ワインを片手にまちづくりを語り合う会になっています。Kサロンはとても居心地のよいサロンで、大学の人、企業の人、商店街の人、アーティストなどさまざまな人たちが集まってきます。
当日は、博士課程の森さんのプレゼンテーションと飛び入りで私から福武ホールのお話をさせていただきました。この企画を中心になって運営していらっしゃる新領域創成科学研究科の北沢先生と研究室のみなさんに大変お世話になりました。ありがとうございました。北沢研のブログに当日の模様があがっていますので、ぜひご覧ください。

http://kitalabo.exblog.jp/i11/

最近、このようなサロンやカフェを大学や街の中に作ろうという動きが同時多発的に起こっています。北大や東北大のサイエンスカフェ、阪大のオレンジカフェ、慶応大の三田の家、群馬大の人茶カフェなどです。サロンやカフェは、大学が社会と関係性を持ちながら新しい動きを生み出していく場として期待されているのだと思います。私自身も、福武ホールの中にこのようなカフェスペースを作りたいと思い、現在各方面と調整を進めているところです。
ただ、カフェやサロンは、ワークショップのようなはっきりとした活動のデザインがあるわけではありません。その中で、新しいことを生み出していくにはどうしたらよいのだろうと、いろいろ考えていました。
Kサロンで気がついたのは、サロンやカフェにおける共同体の重要性です。Kサロンがうまくいっているのは、北沢先生を中心としたコミュニティが母体となって、活動が創発的に生まれていることが大きいと思いました。
今まで、共同体の概念フレームワークとして、WengerのCommunities of Practiceを使うことが多かったのですが、サロンやカフェの共同体はもう少しゆるやかなつながりのような気がします。実践を共有しているというよりは、何か起こりそうという「期待」を共有している感じでしょうか。
サロンやカフェで起こる心の動きは、ハードな意味での「学習」ではないかもしれません。しかし、そこには学びや創造的活動を起動する気づきや新しい出会いが隠されていると考えています。

[山内 祐平]

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