2007.09.30

【研究に役立つウェブサイト】曖昧なものをつかまえる

「研究に役立つウェブサイトを」と求められて真っ先に浮かぶのは、やはり論文検索のサイト群です。山内先生御自身が既に「エッセイ:魔法の文献検索」で大御所をピックアップされています。それ程、研究活動では「ウェブサイト先行研究探索」というプロセスが大切と言えるでしょう。
 先行研究は論文や本、報告書というしっかりした形式でパブリッシュされているものが多いです。しかし、よく考えてみると、僕らはそれだけとお付き合いしている訳ではないようです。 
 そこで今回は、現在進行形の事例やパッと浮かんだ文献検索のキーワードのような「まだカタチになっていないものを管理する」ために役立つウェブサイトを挙げてみます。どれも決して珍しいものではありません。

1)del.icio.us
 これだけウェブが身近なものになってくると、論文化される前の実践がウェブで発表されていることが多くあります。「論文にはなっていないが、実際には行われている有名な実践」は、やはり把握しておく必要があります。勿論、論文にならないものもあります。
 例えば、僕の研究テーマでは、「教師支援のオンライン学習環境を開発している組織のウェブサイト」という感じです。こうしたものを管理するには、ベタですがソーシャル・ブックマークが意外に便利です。僕はdel.icio.usを海外の事例を集め管理する際に使っています。自分のPCの「お気に入り」では、パンクしがちですが、これなら1つ1つの事例にタグ付けが出来ますので、後から検索し、探しやすいです。 
 ウェブで公開される事例は、組織の活動と共に刻々と変わっていくものでもあるので、こうしたやわらかな管理ツールはこれらの動向を把握するために有効な一手段と思えます。
 勿論、他のソーシャルブックマークサービスでも同様のことは可能だと思われます。

2)ケータイでAmazon 
文献探索のプロセスには、しばしば「勝手に運命を感じてしまうような偶然の出会い」があります。
 「たまたま図書館で置いてある本を手に取ったら、大切なことが書いてあった」
「全く違う分野の本だと思っていたが、自分の研究テーマと本質的に関わりが深いものだった」
一見、全く違う分野、全く関係ないと思われる文献が、実は重大なヒントを与えてくれることは、意外に多いと感じています。そう言う意味での運命の出会いは多い方が良い。
 だから、一見関係なさそうな単語やキーワードでも、思いついたらすぐに、とりあえず検索してみるということはなかなか大切です。こういう「思いつき系検索キーワード」はすぐ忘れてしまうものです。そこで意外に役に立つのが、ケータイのAmazonです。
 良い考えの生まれやすい状況を「三上」と言うそうです。馬上・枕上・厠上。移動中、床の中、トイレの中。いつもPCに向かっている時に良い検索キーワードが浮かぶ訳ではありません。突然やってくる瞬間に対応するという意味では、ケータイで即Amazonというのはなかなか重宝します。
 夜、眠りに落ちる瞬間。朝、起きた後。通学中電車の中や道ばたで文献を検索し、本屋や大学の図書館へ直行、ということはしばしばあります。ケータイから活用できる図書館サービスにも同様のことが言えるでしょう。
 ケータイ板はPCのアカウントと同期しているので、とりあえずカートに入れておいて後からPCで吟味して買うこともできます。
 勿論、ケータイで思いつくまま買ってしまうとお金が大変掛かってしまうので、カートで、一端寝かせる、というのは、とてもとてもとても大切なプロセスだったりします。
 という訳で、今回は研究にまつわるアヤフヤなモノをどうつかまえ、管理し、活用するかについて書いてみました。
 え?当たり前?それ位、研究活動とウェブの利用は親密なものになっているのだと思います。
[酒井俊典]

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