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2015.06.04

【今年度の研究計画】三項関係に着目した幼児の物語行為を支援する学習環境デザインに関する研究

みなさまこんにちは!
今週の【今年度の研究計画】、今年から再入学を果たしたD3佐藤(朝)が担当いたします。

4月から再び学生生活がスタートし、新たなゼミメンバーとも少しずつ仲良くなれ、ワクワク楽しい気分もありつつ、あっという間の2か月です。が、本職の大学業務も含め、山積みのタスクに追われ、まさに体力勝負の日々を送ってます(^^;;


■テーマ■
三項関係に着目した幼児の物語行為を支援する学習環境デザインに関する研究

私の研究テーマは、「話す力」に着目するところからはじまりました。
M1当時、小学校入学直後に息子が激突した「言葉の壁」[*]、私自身が10年ぶりに学び直しで修士課程に入って体験した学習観のギャップ[**]等々、親子ともに「話す」ということが課題になっていたからです。

[*]幼稚園での「身近な人との気持ちの共有を大切にするやり取り」から、小学校での「1対多で他者へ考えを伝える」という状況へと変化し、幼小の隔たりは大きいと言われています。

[**]黙って教員の話を聞けば良かった私がこれまで受けてきた教育から一変、語らなければ始まらないという文化に衝撃を受けました・・・


そんなこんなで修士から博士課程にかけて2つの研究を行いました。

■「幼児の物語行為を支援するソフトウェアの開発」
 http://ci.nii.ac.jp/naid/110006792153/

■「幼児のNarrative Skill 習得を促す親の語りの引き出しの向上を支援するシステムの開発.」
 http://ci.nii.ac.jp/naid/110007520570/


今年度は、この2つの論文をまとめ、「博士論文」として仕上げることが目標です。

ゼミでは博士論文を「合体ロボ」のメタファーで説明することがあります。
研究1と2をどのように合体させていくか・・・合体させるために、現在私には2つの課題が立ちはだかっています。

まず1つ目は、博士研究で取り扱う発達支援が、社会・文化・歴史的アプローチの文脈でどのように位置づくのか?もう1つは、親子支援が主に母子支援となっていることについて、ジェンダーの観点からどのように説明がつくのか?についてです。

幼児教育での言葉の取り扱い、さらには言葉の発達に対する親や教員の意識には文化差があります。そこで日本で発達支援を行う私の博士研究が、他国の発達支援研究の中でどのように位置づくのかについて検討しています。

また、先行研究で当然のように扱われていた「親子=母子」を引き継いだ私の研究において、ジェンダーの視点からはどのように認識すべきなのか、その解釈を述べようとしています。

どちらもとても大きな課題で、右往左往、暗中模索、五里霧中な感じで取り組んでいます。
特に研究室の先輩が仰っていたことですが、業務の合間に思考を研究モードに切り替えるのが本当に難しく、いや元来浅はかということもあるのですが、深く考えるためにも山に籠りたい衝動に駆られてます。


「合体ロボ」は、無理やりつなげも動かなければ意味が無いとも言われてます。
けれど、うまく動けば単体より最強ですよね・・・今年度は、指導教官・助教の方々・ゼミメンバーの力を借りて、少しでも強いロボになるよう粛々と取り組んでいきたいと思います。


【佐藤朝美】

2015.05.31

【今年度の研究計画】オンライン上の学習資源を利用した対面での学びを支援するシステムの開発

皆さま、はじめまして。
M1の原田悠我です。
4月から山内研究室でお世話になっています。

山内研究室の学生になって早くも2ヶ月が過ぎようとしています(恐ろしいことに5月も今日で最後ですね)。私は人を賢くする道具を作りたいと思って山内研究室に入ってきました。九州から来た私にとって東京は様々な面白いイベントが多く、また授業やゼミでは同級生と日々議論するなど充実した日々を過ごしています。いろいろなことに目移りしてしまいますが、大事なことを選び突き詰めていきたいと思います。

ブログのテーマが【今年度の研究計画】ということで、
大学院試験の際に堤出したものを紹介します。



■ 題目
オンライン上の学習資源を利用した 対面での学びを支援するシステムの開発
■ 概要
本研究の目的は、オンライン上の学習資源を利用した学びにおいて、学習者同士が知識や技能を高め合う長期的な学びを支援することである。いつどこにいても利用可能な オンライン上の学習資源は有用である。しかし、オンライン上の学習資源は学習者自身の理解・疑問・疑問に対する 仮説を他者から認識可能な形で整理することが容易でないため、オンライン上の学習資源を利用し学習者同士で理解を深め合う活動を行なうことは難しい。そのためオンライン上の学習資源を利用した学びは、学習者個人の短期的かつ効率的な知識獲得の場となりがちである。そこで本研究では、オンライン上の学習資源を利用した、オフラインでの理解を深める対話を支援するシステムの開発を行なう。
■ 補足
大学院試験の段階では、対話によって互いの理解を深める建設的相互作用を促すことを目標に、システムを提案するところまで具体的に書いていました(ちなみに、システムにはTicketNoteと名前をつけていました)。現在は、もう少し幅広く私の注目する対話の意義について焦点を当ててレビューしています。


私自身、授業とは別に興味のあるオンラインの動画を見つけてきて学習をすることが好きです。しかし、どうしても独りで学習することには限界を感じていました。逆にいうと他の人と話した時に理解が深まる印象を受けています。そのような自分の好きな学習資源を利用し、他の人と学ぶことで、自分ひとりでの学びの限界を越えた学習を支援するシステムを開発したいと考えています。

最後になりますが、今日は大学院の入試説明会でした。お越しいただきました皆さま、ありがとうございました。1年前に緊張と不安を感じながら研究室の紹介を聞きに来たことを思い出しました。山内研のメンバーの研究を他の人に紹介することは、私にとって貴重な経験でした。また様々な背景を持つ受験生の方と議論する楽しい時間を過ごすことができました。受験生の方々は研究計画書の作成や受験勉強など、大変かつ不安な日々をおくられていると思います。体に気を付けて頑張ってください。山内研で待っています。

【原田悠我】

2015.05.21

【今年度の研究計画】心の健康問題を抱える児童生徒の学習支援に関する研究

皆さま、はじめまして。
4月から山内研究室でお世話になっております、M1の長野香織と申します。

他大学の出身の私は、入学から1か月以上経った今でも、赤門をくぐる時には少し緊張してしまいます。しかし同時に、優秀で魅力的な方々が集まっているこの環境で研究ができるということを、素直に嬉しく、そして誇らしく思う毎日です。
さて、ブログのテーマが【今年度の研究計画】ということで、簡単ではありますが、入試の時に提出したものをご紹介します。

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◆題目
「心の健康問題を抱える児童生徒への学習支援に関する研究」

◆概要
近年、心の健康問題が日本全体で問題視されており、不登校になる理由としても「不安などの情緒的混乱」や「無気力」といった心理的な要因が約6割を占める。また不登校の状態にある児童生徒を取り巻く環境として、適応指導教室やフリースクールなどの場所が挙げられるが、それらの場所においては「学習」に対する優先順位が低く、その環境が十分に整えられているとは言い難い。これらの背景から、本研究では、不登校の児童生徒を精神面からも学習面からもサポートできるシステムを提案したい。具体的には、いつでもどこでも利用できるユビキタス環境に着目し、コンピュータで利用可能な心理療法を組み合わせたシステムによる学習効果、および心理的効果を検証することで、新たな学習環境を構築するための提案につなげたいと考える。
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私は学部時代に4年間働いていた塾で何名か不登校の児童生徒を担当したことがあります。不登校の原因は病気や人間関係など様々でしたが、彼らの共通の認識として「学校に行っていない」ということに対する劣等感や不安感がありました。彼らと接していく中で、学校に行くことができなくても、質の高い学習は保障されるべきであり、将来の選択は狭まるべきではないと考えるようになり、不登校状態にある児童生徒を支援する方法に関して研究していきたいという思いにつながりました。

現在は、国内外を問わず、「学校外での学習」・「不登校」について幅広く文献のレビューをしています。まだまだ教育に関する知識は不足していますが、優秀な仲間たちに負けないよう、日々努力精進してまいります。どうぞ2年間、よろしくお願いいたします。

【長野香織】

2015.05.18

【今年度の研究計画】舞台でのパフォーマンスと自己変容に関する研究

みなさま、はじめまして。M1の杉山昂平と申します。学際情報学府、山内研の学生になって早ひと月。学部で先行した社会学との違いにとまどいつつも、新しい世界が開けるようで面白く感じています。ブログテーマが「今年度の研究計画」ということで、現時点での構想をご紹介します。

■ テーマ
舞台でのパフォーマンスと自己変容に関する研究

■ 背景
 文化芸術振興基本法の制定をメルクマールとして、一般市民による芸術文化活動の振興が、政策的にも実践的にも関心を集めています。そのような例として、市民参加型舞台やアートプロジェクトなど、市民と芸術の「新しい関わり方」を模索する動向を挙げることができるでしょう(吉本 2010)。「市民に舞台を提供する」新しい活動は興味深いものである反面、それをどう評価していくのかという問題は、これからの課題と言えます。
 考えてみれば、一般市民による芸術文化活動と言ったとき、アマチュアとして音楽やダンス、演劇を楽しむ人々が、すでにこれまで多く存在してきたことは言うまでもありません。習い事をはじめ、市民オーケストラ、合唱団、バンド、ダンスサークル、舞踊団、市民劇団などで、成人であっても、時間をみつけて活動にはげむ人たちがいます(宮入編 2015)。教育と異なり明示的な目標を置いていないアマチュアの芸術活動は、「楽しめればよい」ものであると批判されることもあります(山本 2007)。一方で、誰にでも参加可能性が開かれているアマチュアの活動は、そこからさまざまな経験ができる場であるはずです。こうした既存の活動を評価するという立場から、芸術文化活動の振興することも可能であるように思われます。

■ 視点
 本研究では、発表会や公演、ライブといった「舞台でのパフォーマンス」に焦点をあて、それがどのような経験として自己変容に関係するのかを探求します。「これらの芸術[舞台芸術]は、練習を積んできたりスキルをもったりした人々の身体的な存在を要求する。彼らのスキルの実演がパフォーマンスである」(Carlson 2007[1996])とされるように、パフォーマンスにおいては、観客に対し、自らの活動を呈示するという点が特徴的です。観客の存在が、不安やあがりをもたらすものであることは、「演奏不安」の問題として、これまで心理学において取り扱われてきました(Wilson and Roland 2002)。しかし、ただプレッシャーがかかるだけならば、私たちが人前でパフォーマンスをすることはないでしょう。そこには、何らかの高揚感や印象深い体験があるはずです。それは「フロー体験」と呼ばれているものかもしれませんし、あるいは、もっと別の言い表し方があるかもしれません。例えば、舞台でのパフォーマンスから「ふだんの自分とは別人になったような感覚」「非日常感覚」を得る人がいることが、いくつかの調査で指摘されています(丸林 1999, Pitts 2004)。本研究の目的は、こうした、活動(パフォーマンス/遊び)と不可分に結びついた自己変容=インフォーマル学習が、どのような環境で、誰にとって起きるのかを明らかにすることです。また、それによって、一般市民の芸術文化活動を評価し、内省していくための視点を提供することを目標としています。

現段階では、演劇や音楽、ダンスなどの舞台芸術活動と、それを通じたインフォーマル学習に関してレビューをしつつ、パフォーマンス研究などの知見も学んでいる段階です。舞台でパフォーマンスすることは、自分にとっての強烈な原体験です。また、学部時代に、地域振興と芸術文化の関わりについて地方自治体と連携して考える経験をし、「舞台の面白さ」をできるだけ多くの人にわかってもらうことが、難しくも重要な課題であると認識したことも、この研究の動機づけになっています。ただ、この記事を書いていても、芸術文化に関する自らのさまざまな思惑が渦巻いていて、筋の通った議論をするのに苦労を覚えました。原点の思いを大事にしながらも、明晰な思考を心掛けていきたいと思います。まずは2年間、どうぞよろしくお願いします。

・Carlson, M. (2007[1996]) What is performance?. Henry Bial ed, The Performance Studies Reader Second Edition, 70-75.
・丸林実千代 (1999) 生涯音楽学習入門. 音楽之友社.
・宮入恭平 編著 (2015) 発表会文化論. 青弓社.
・Pitts, S (2004) 'Everybody wants to be Pavarotti': The experience of music for performers and audience at a Gilbert and Sullivan Festival. Journal of the Royal Musical Association, 129(1): 143-160.
・Wilson, Glenn D. and David Roland (2002) Performance anxiety. 尾山智子, 吉江路子訳 (2011) 演奏不安. In Parncutt, R and G. McPherson (2002) The Science and Psychology of Music Performance. 安達真由美, 小川容子監訳 (2011) 演奏を支える心と科学. 誠信書房 pp. 74-96.
・山本珠美 (2007) 市民参加型舞台芸術に関する序論的考察. 香川大学生涯学習教育研究センター研究報告, 12:29- 50.
・吉本光宏 (2010) 再考、文化政策:拡大する役割と求められるパラダイムシフト. ニッセイ基礎研究所報, 51: 37-116.

【杉山昂平】

2015.05.10

【今年度の研究計画】創作活動を通じた変数の学習を支援するツール教材の開発と評価

みなさま、こんにちは。
M2の松山です。
雨がとても苦手なので、梅雨の到来が憂鬱でならない今日このごろです。
しかし外に出るといろいろな発見があり、研究の刺激にもなるので、できるだけ引きこもらないように頑張りたいと思います。

さて、年度始めのブログは恒例の「今年度の研究計画」ですね。
現時点での研究計画を紹介させていただきます。

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■背景
文部科学省(2014)によると、算数から数学へ学習内容が移る際に、数学学習に対する意識がネガティブになりやすい。 特に、変数に対して苦手意識を感じる生徒が多い(太田 2008)。 Papert(1980)も、変数の概念が子どもの生活環境において個人 的に関連のある事柄として受け入れづらいことを指摘している。
Pepert は、人が何かをつくる過程で知識や概念を主体的に学ぶという、 コンストラクショニスム(構築主義)という学習観を提唱した。
近年のものづくり教育(プログラミングやデザイン活動を通した学習) は、アルゴリズム思考や論理的思考を身につけることを目的としたものが多いが、算数・数学学習と統合した場合の学習効果も認められている(Harel 1991 など)。

■先行研究
デザイン活動を通じた算数・数学の学習を支援した研究に、DigiQuit(Lamberty2008)、curlybot(Frei 2000)、LED Display Kit(Chun 2010)などがある。これらは、数学を使ったり数学について考えたりしなくともデザイン活動を行うことができるため、数学を扱うこと、学ぶことの意義を必ずしも感じられるとは言えない。
また、変数・文字式への移行を支援した研究も多くある(太田 2008 など)。それらの研究は理解を重視した授業改善であり、有用感や意識向上の支援はなされていない。

■目的
小学校高学年を対象に、創作活動を通して、変数を扱うこと・学ぶことへの意欲の向上を支援する教材を開発し、実践を通してその効果を評価する。

■研究方法
複数の変数の関係を記述することで、児童が自分なりの成果物をつくることのできるツール教材を開発する。
小学4年〜6年生を対象にワークショップを実施し評価を行う。
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最近は都内の小学校を訪問して授業に参加させていただいたり、人気のおもちゃの面白さについて自分なりに分析したりして、ツールの内容を少しでも良いものにできるよう模索しています。
同時にロジックを組み直したりレビューの足りない部分を補ったりしなければならないので、かなりハードではありますが、ここが頑張りどころだと感じています。
自分のできなさを痛感してつらいこともありますが、負けずにやり抜きたいと思っています。
今年度もよろしくお願いいたします。


【松山彩香】

2015.05.02

【今年度の研究計画】高校生を対象とした協同学習における知識統合過程に関する研究

こんにちは。すっかり暖かくなってきて、半袖で過ごす方も見かけるようになりました。この連休中は天気が良い日が続くと良いですね。
さて、4月よりお送りしています、ブログテーマは「今年度の研究計画書」です。
大学院に進学した問題関心として、学校教育において、生徒が他者と関わりながら、主体的に学ぶことのできる授業を拡大させたいという思いがありました。教育現場に目を向けると、今までの伝統的な一斉授業の学習スタイルに慣れている先生にとって、新たな学習スタイルを導入することには様々な困難があり、それを乗り越えられるような研究をしたいと考えていました。
現在でも、問題関心の根底は変わっておらず、実際の教育現場にいる先生が活用できるような研究にできたらいいと思っています。
4月初頭に行われました研究構想発表会に提出したアブストラクトをご紹介します。

「高校生を対象とした協同学習における知識統合過程に関する研究」
近年、21世紀型スキルが提唱されるなど、社会において求められる人物像が変化する中、学習のあり方も多様化している。教室における学びにおいても、学習指導要領の改訂やPISA調査の実施などにより、生徒が共通の目標達成を目指し、ともに学ぶ協同学習が注目を集めている。協同学習とは小規模グループを活用する教育の一形態であり、自分と他者の学習を最大限に高める目的において、生徒同士の対話は重要な役割を果たしている。協同学習では、成員同士が学習資源となり多様な意見に触れられるという利点がある一方、対話が断片的な意見のやりとりとなるため、それらを統合し文脈として整理することが難しいという課題があげられる。そこで本研究では、協同学習におけるグループの対話において知識統合を促す方法を検討し評価することを目的とする。


まだ、リサーチクエスチョンも固まっておらず修正が必要な段階ではありますが、1度しかない修士2年間を無駄にしないように、自分のやりたいことは何なのか?を常に考えながら、研究を進めていきたいと思います。

逆瀬川

2015.04.22

【お知らせ】大学院入試説明会(5/31)

5月31日に大学院入試説明会が開催されます。
受験をお考えの方はぜひお越しください。
ブース展示では山内と大学院生が対応します。

平成28年度東京大学大学院学際情報学府入試説明会のお知らせ

開催日時:2015-05-31 13:00 - 17:00
主催:東京大学大学院情報学環
申し込み:不要、入場無料
会場:東京大学本郷キャンパス・情報学環福武ホール地下2階ラーニングシアター

東京大学大学院学際情報学府は、情報・メディア・コミュニケーションに関する高度で総合的な教育を行う新しいタイプの大学院です。研究組織である情報学環と密接に連携しながら、文理の垣根を越えて情報学のフロンティアを切り拓く先端的研究者・表現者の育成を行っています。
本説明会ではその全体像を教員、事務職員、現役院生が一緒になって説明します。アクチュアルな問題意識を持ち、未来を切り開きたいと考えている大学生の皆さん、実務経験を見つめ直し、深く学んでみたいという社会人の方々を始め、多くの方々に是非ご参加いただければと思います。ご来場をお待ちしています。

プログラム
12:30 開場
13:00-13:30 学際情報学府・情報学環 全体説明
(佐倉統学環・学府長、園田茂人専攻長)
学環・学府全体の教育研究方針を、学府長、専攻長から説明します。
13:30-14:35 学環・学府 各コース紹介
(各コース長)
今回の説明会の対象となる、社会情報学、文化・人間情報学、先端表現情報学、総合分析情報学の4コースの研究教育内容を紹介します。どんな人に来てもらいたいかなど、それぞれのコースから説明します。
14:35-14:50 休憩
14:50-15:15 大学院生のプロフィール&就職・進学情報
(学務係ほか)
どんな学科や大学から学生が集まり、いかに学び、どこへ就職し、進学しているか。データを使って説明します。
15:15-15:45 2016(平成28)年度入試説明
(入試実施委員会、学務係)
入試手続きを説明します(原則は募集要項(http://www.iii.u-tokyo.ac.jp/admissions)をよく読んでください)。
15:45-16:00 休憩
16:00-17:00 各研究室のブース展示と研究紹介
(教職員、現役大学院学生)
各研究室に分かれての展示説明。教員、スタッフや院生と直接ディスカッションできる時間です。

お問い合せ先:東京大学大学院情報学環・学際情報学府 学務係
(TEL) 03-5841-8769
(URL) http://www.iii.u-tokyo.ac.jp/

2015.04.20

【今年度の研究計画】高校生の生徒タイプと技術的流暢さに関する研究

みなさま新年度いかがお過ごしでしょうか。
M2になりました青木翔子です。
今年の春は雨が多く、新しく買った春用の靴を試す機会があまりなく、なんだか少し寂しいです。

はい、そんな私情はさておき今回のブログテーマは「今年度の研究計画」です!

この研究を志したとき(去年の研究計画のブログ)は、高校生などの青年が、自主的に参加している学校外のコミュニティ(音楽などの文化、FabLabなどのMaker文化の場)について研究したいと考えていました。学校や家庭に課題を持っていても、学校外のコミュニティに参加することで、全人格的な学習が起きている、その学習に着目したい。。。今もその気持ちは変わっていません。
しかし、この1年間で先行研究をレビューし学習理論を学ぶなかで、学校外の学習の場へ参加し学習する様子を的確に捉えるために、学校や家庭、友人関係などの様々な学習の文脈を考慮した研究を行いたいと考えるようになりました。そして、研究対象とする活動を、デジタルメディアやデジタルファブリケーションなどに絞ることとしました。

ですが、どのように、具体的に何について研究で扱うかに関しては、現在思案中です。
そもそもこの研究をしたい!と思った興味関心(問題意識)を、ひとつの研究に落とし込むことの難しさを感じております。そろそろ完成させて、研究を前進させていきたいです。
ということで、現在の研究案(仮ですが)です。
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◼︎テーマ
高校生の生徒タイプと技術的流暢さに関する研究 ーラーニングエコロジーの観点からー

◼︎背景と先行研究
インターネットの普及・デジタルメディア環境の変化によって、青年たちは学校外でデジタルメディアを活用する機会が増加し、生活環境も変化してきている。このような背景をふまえ、若者がどのような実践を行っているかに関する研究が増加してきている。たとえば、SNS上でのプロフィールや投稿を通して自身を表現したり(Boyd 2014)、コンピュータゲームやオンラインコミュニティでゲームの戦略や課題解決を通じて学習したり(Gee 2005)する実態が報告されている。

めまぐるしく変化する技術やメディアコンテンツなどの状況下では、デジタルメディアを享受することにとどまらず、それぞれ場や技術に適応し、適切にデジタルメディアを活用し、主体的に創造・表現する「技術的流暢さ(technological fluency)」が重要である。Barron(2004)は、高校生が、家庭や学校、オンラインコミュニティなど様々な文脈を移行しながら、読書や授業、学校外の学習プログラムなどの学習資源を活用して技術的流暢さを学習していることを明らかにしている。また、そのような学習資源で構成されるような学習機会を提供する一連の文脈を「ラーニングエコロジー」と呼び、高校生が学習する様子を俯瞰的、文脈横断的にとらえている。Barronの研究では、技術的流暢さを必要とする活動の経験(Webサイトのコーディング、デザイン活動、ロボット工作等)とラーニングエコロジーの関連を明らかにしており、特に性差やどのような学習資源が技術的流暢さに効果的かに着目して分析を行っている。それによれば、女子生徒は家族の働きかけの有無が情報の専門科目の受講に関係すること、学校外の学習プログラムは技術的流暢さの経験と関連があること等がわかっている。

◼︎目的
一方で、家庭や学校での過ごし方は個々人で異なる。たとえば、溝上(2014)は、高校生の活動タイプなどをもとに、高校生を勉学タイプ、部活動タイプ、交友通信タイプといった6つに分類している。
しかしながら先行研究では、どのような学生が、どのような学習資源を持ち、文脈を移行し、技術的流暢さを身につけているのかについては明らかになっていない。実際の高校生に対して学習支援する際や、次の学習活動への参加を促す際には、生徒のタイプごとに支援することが有効である。
よって、本研究では、高校生の技術的流暢さの発達を支援する知見を導出するために、高校生のタイプによって、技術的流暢さに関する「ラーニングエロコジー」がどのように異なるのかを明らかにする。

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他にも、
・いかに高校生は文脈間を移動しているのか(次の活動に移行するトリガーとなる経験や仕掛けは)?
・技術的流暢さを獲得するにあたっての、デジタルメディアを扱う学校外の学習の場(Out-of-School TimeやAfter School Programs)の機能や役割は?(なぜ参加するのか?どうやって参加しているのか?どのような生徒が参加しているのか?)
・いかにアイデンティティや将来展望を獲得しているのか?
・技術に関しての関心が発達していく過程は、どのような要因で変化するのか?
など、気になることがたくさんあります。。。

しっかり今までのレビューを整理して、自分の気持ちも整理して、よいかたちに落とし込めるよう、踏ん張っていきたいと思います。
今年度もどうぞ宜しくお願いいたします。

【青木 翔子】

2015.04.10

【今年度の研究計画】正課外活動の活動内容とキャリア観の関係についての研究

赤門の隣の桜がきれいな時期になりました。新年度ですね。
2015年度第1回目のblogは、今年度の研究計画というテーマで
修士2年池田めぐみが担当させて頂きます。

私は、簡単に言うと、大学生の正課外活動(サークルやインターンシップなど)での学びについて研究しようとしています。
今までの研究から、大学生は正課外活動のなかで、汎用的技能や、エンプロイアビリティを高めていることが明らかにされてきました。しかし、いったい正課外活動の中のどのような要素が、学生の成長に影響を及ぼしたのかということに関しては明らかにされてきませんでした。
そこで、修士研究では、大学生の正課外活動のどのような要素(e.g. ロールモデルになるような人がいる、振り返りの時間が確保されている)が 学生の自己認識能力の向上や、将来展望の明確化等、キャリアに関わるプラスの変化に影響を及ぼすのかということいついて明らかにしていこうと考えています。


先日行われた、学際情報学府の研究構想発表会に提出した、アブストラクトはこちら。

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 大学生が授業のみならず,正課外での活動において学びを得ていることは,欧米において主にカレッジ・インパクト研究,トランジション研究の2つの文脈から明らかにされてきた(Astin 1993, Tchibozo,G 2007).こと日本においても,正課外活動での学びの成果は検証されはじめており,学生が正課外活動において汎用的スキルを獲得していること(山田・森 2010)や正課外で培われるOB・OGなどの人的ネットワークが就職活動に有利な情報を入手するのに効果的であることが明らかにされている(下村・堀 2004).このように,正課外活動は学生の学びや職業への移行を支える上で重要な活動である.しかし,正課外活動の種類は多岐にわたるにも関わらず,活動の種類ごとにその学習成果を比較検討した研究は少ない(Lauほか 2013, 秋元 2012).また,活動に含まれるどのような要素が,学生の成長実感に影響を及ぼしたのかということについては明らかにされていない. そのため,どのような要素を含んだ活動に参加すると,どのような学びが得られるのかということについてはわからないのが現状である.そこで,本研究では,正課外活動とキャリア観の関係に着目し,正課外活動のどのような要素(e.g. ロールモデルになるような人がいる、振り返りの時間が確保されている)が 学生の自己認識能力の向上や、将来展望の明確化等、キャリアに関わるプラスの変化に影響を及ぼすのかということいついて明らかにすることを目的とする.

参考文献

秋元政則. (2012). 「社会人基礎力」の形成と就職活動に対する課外活動の意義 : チームワーク要求型授業との比較から (東京大学教育学部比較教育社会学コース・Benesse教育研究開発センター共同研究 社会科学分野の大学生に関する調査報告書) - (就職). 研究所報, 64, 76-87.
Astin, A. W. (1993). What matters in college? : four critical years revisited. Jossey-Bass.
Lau, H.-H., Hsu, H.-Y., Acosta, S., & Hsu, T.-L. (2013). Impact of participation in extra-curricular activities during college on graduate employability: an empirical study of graduates of Taiwanese business schools. Educational Studies, 40(1), 26-47.
下村英雄・堀 洋元 (2004).大学生の就職活動に おける情報探索行動:情報源の影響に関する検 討社会心理学研究, 20, 93-105.
Tchibozo, G. (2007). Extra-Curricular Activity and the Transition from Higher Education to Work: A Survey of Graduates in the United Kingdom. Higher Education Quarterly, 61(1), 37-56.
山田剛史, & 森朋子. (2010). 学生の視点から捉えた汎用的技能獲得における正課・正課外の役割. 日本教育工学会論文誌, 34(1), 13-21.
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修士生活本当に最後の1年です。できることをコツコツと、頑張っていこうと思います。
行き着く先は、面白い研究であることを信じて。

今年度もどうぞよろしくお願いします。

池田めぐみ

2015.04.07

【お知らせ】研究室訪問受付中

大学院受験をお考えのみなさま

山内研究室が所属している東京大学大学院学際情報学府は7月に出願、8月に入試というスケジュールになっています。
受験をお考えで研究室についてより詳細なことをお知りになりたい方については4月から7月出願時まで研究室訪問を受け入れています。
山内と現役の大学院生が対応します。

ご関心をお持ちの方は、contact[atmark]ylab.jp までメールしてください。

また、5月31日午後には、福武ホールで大学院入試説明会も開催されます。
こちらもぜひご参加ください。

山内 祐平

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