2015.04.10

【今年度の研究計画】正課外活動の活動内容とキャリア観の関係についての研究

赤門の隣の桜がきれいな時期になりました。新年度ですね。
2015年度第1回目のblogは、今年度の研究計画というテーマで
修士2年池田めぐみが担当させて頂きます。

私は、簡単に言うと、大学生の正課外活動(サークルやインターンシップなど)での学びについて研究しようとしています。
今までの研究から、大学生は正課外活動のなかで、汎用的技能や、エンプロイアビリティを高めていることが明らかにされてきました。しかし、いったい正課外活動の中のどのような要素が、学生の成長に影響を及ぼしたのかということに関しては明らかにされてきませんでした。
そこで、修士研究では、大学生の正課外活動のどのような要素(e.g. ロールモデルになるような人がいる、振り返りの時間が確保されている)が 学生の自己認識能力の向上や、将来展望の明確化等、キャリアに関わるプラスの変化に影響を及ぼすのかということいついて明らかにしていこうと考えています。


先日行われた、学際情報学府の研究構想発表会に提出した、アブストラクトはこちら。

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 大学生が授業のみならず,正課外での活動において学びを得ていることは,欧米において主にカレッジ・インパクト研究,トランジション研究の2つの文脈から明らかにされてきた(Astin 1993, Tchibozo,G 2007).こと日本においても,正課外活動での学びの成果は検証されはじめており,学生が正課外活動において汎用的スキルを獲得していること(山田・森 2010)や正課外で培われるOB・OGなどの人的ネットワークが就職活動に有利な情報を入手するのに効果的であることが明らかにされている(下村・堀 2004).このように,正課外活動は学生の学びや職業への移行を支える上で重要な活動である.しかし,正課外活動の種類は多岐にわたるにも関わらず,活動の種類ごとにその学習成果を比較検討した研究は少ない(Lauほか 2013, 秋元 2012).また,活動に含まれるどのような要素が,学生の成長実感に影響を及ぼしたのかということについては明らかにされていない. そのため,どのような要素を含んだ活動に参加すると,どのような学びが得られるのかということについてはわからないのが現状である.そこで,本研究では,正課外活動とキャリア観の関係に着目し,正課外活動のどのような要素(e.g. ロールモデルになるような人がいる、振り返りの時間が確保されている)が 学生の自己認識能力の向上や、将来展望の明確化等、キャリアに関わるプラスの変化に影響を及ぼすのかということいついて明らかにすることを目的とする.

参考文献

秋元政則. (2012). 「社会人基礎力」の形成と就職活動に対する課外活動の意義 : チームワーク要求型授業との比較から (東京大学教育学部比較教育社会学コース・Benesse教育研究開発センター共同研究 社会科学分野の大学生に関する調査報告書) - (就職). 研究所報, 64, 76-87.
Astin, A. W. (1993). What matters in college? : four critical years revisited. Jossey-Bass.
Lau, H.-H., Hsu, H.-Y., Acosta, S., & Hsu, T.-L. (2013). Impact of participation in extra-curricular activities during college on graduate employability: an empirical study of graduates of Taiwanese business schools. Educational Studies, 40(1), 26-47.
下村英雄・堀 洋元 (2004).大学生の就職活動に おける情報探索行動:情報源の影響に関する検 討社会心理学研究, 20, 93-105.
Tchibozo, G. (2007). Extra-Curricular Activity and the Transition from Higher Education to Work: A Survey of Graduates in the United Kingdom. Higher Education Quarterly, 61(1), 37-56.
山田剛史, & 森朋子. (2010). 学生の視点から捉えた汎用的技能獲得における正課・正課外の役割. 日本教育工学会論文誌, 34(1), 13-21.
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修士生活本当に最後の1年です。できることをコツコツと、頑張っていこうと思います。
行き着く先は、面白い研究であることを信じて。

今年度もどうぞよろしくお願いします。

池田めぐみ

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