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2010.12.31

【私の学びの場】山内研究室2


みなさまこんにちは,修士2年の伏木田です。
今年も残すところ,本当にあとわずかですね。
大みそかよりもお正月よりも,頭の中は修士論文でいっぱい...。

さて,授業やゼミ以外での「学びの場」を紹介するシリーズ【私の学びの場】。
4回目の今日は,「山内研究室2」をお伝えいたします。

「山内研究室2」とは,山内研究室の院生が集う部屋です。
ポートフォリオ(【山内研の秘密】第5回参照)やお菓子箱(同シリーズ最終回参照)など,特徴的なものがたくさん置かれています。
わたしたち院生はここで何をしているのか,内容を整理しながら書きだしてみました。

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・研究に必要な文献を探して読む
・講読している学会誌を読む
・歴代の修士論文や博士論文を読む
・自分や他の院生のポートフォリオを読む

・授業に使う資料をつくる
・ゼミ発表で配るレジュメをつくる
・学会で発表するパワーポイントをつくる

・他の院生に研究の流れを相談する
・他の院生から研究についてコメントをもらう
・後輩にゼミ合宿(【山内研の秘密】第7回参照)のいろはを伝える
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研究室に置かれたあらゆる資料を読むことで,専門分野の知識や研究方法についての知識を積み重ねることができます。
そして,得られた知見を資料などの形にしていく中で,研究に対するアイディアをより深めていくことができます。
ひとりで考えることに詰まったとき,他の院生と進捗や課題を共有することで,解決の糸口が見つかり次へのステップへとつながります。

このように,院生が思考錯誤を繰り返すプロセスにおいて,「研究室2」は大切な役割を果たしているといえます。
ときには,お菓子箱のおいしいものを囲みながら,研究に遠からず近からず,いろいろ話をすることができるのも,「研究室2」の醍醐味です。

院生同士の思いやりと,修士論文を執筆している修士2年の緊張感と,先生の心配りがほどよく混ざり合った「研究室2」。
授業やゼミ,学会とはまた違った,居心地のいい充実した学びの場だとわたしは感じています。


[伏木田稚子]

2010.12.28

【お知らせ】福武ホール事務職員の募集

情報学環・福武ホールで受け付け及び管理業務をしていただくスタッフを募集しております。概要は以下の通りです。

・福武ホール各施設利用に関わる窓口・電話・メール等の対応業務
・Word、Excel等を利用した施設利用申請書等作成、データ入力業務
・福武ホール各施設の管理業務
・勤務時間:1日6時間 週5日勤務(月~金)
・応募期限:平成23年1月12日(水)17時(必着)

ご関心をお持ちの方は以下の情報をご覧下さい。
http://www.iii.u-tokyo.ac.jp/affairs.php?id=1199

[山内 祐平]

2010.12.25

【私の学びの場】東京視点/东京聚焦

みなさま、こんにちは。修士2年の程琳と申します。
山内研究室院生が、授業やゼミ以外での「学びの場」を紹介する【私の学びの場】シリーズ。
第3回、程琳が紹介する「私の学びの場」は「東京視点/东京聚焦」です。

「東京視点/东京聚焦」は「身近な日本を中国へ」、「身近な中国を日本へ」伝えることを目指し、日中双方のメンバーが撮影した映像を配信する民間団体で、山内研究室の最初の外国人留学生の可越さんが発足したのです。

「東京視点」は、在日中国人の視点と日本市民の視点で、身の周りの日常を映像として捉え、日本語と中国語によりインターネットを通じて同時配信しています。ホームページができた2001年10月の配信開始以来、2週間から一ヶ月の頻度で、定期的にメンバーの誰かが1本のペースで10分前後の作品を発表し続けてきました。自主参加の形を取っている「東京視点」のメンバーは最初の日本人学生と在日中国人留学生のみでしたが、現在は口コミで一般の市民も多く巻き込まれてきています。中国側では人民日報のオンラインサイト人民網との共催で、これまで配信した作品は百本以上に達しております。

■初心者にやさしい東京視点
私が東京視点に出会ったきっかけは今年の初めでした。就職の相談に、研究室の大先輩の中国人留学生として、山内先生から可越さんのことを紹介していただきました。数回のEmailを交換したら、可さんから定期的に開く東京視点のイベントに来てくれないかとの誘いがありました。

そこで、大阪大学の大学院生の一人が「新聞売りのホームレス」を名に自分で取材撮影編集をまとめて作成したオリジナルな作品を披露しました。私は見るのも初回だったので、あれほどすばらしいものだからきっとプロの方だろうと思ったら、はじめの作品で、二回目の発表というふうに教えられて、あまりにも予想外で、大変びっくりしました。

実は、東京視点に一回だけ発表するメンバーもかなりいたようで、ここでは、プロを目指して作品募集を行っているわけではなく、敷居を低くし、まったくの初心者でもチャレンジできるようになっています。

自分の目にとどまることをカメラで記録し、われながらの形で一つの作品にし、そして多くの人に見せて共感してもらえるのは東京視点の魅力なところです。編集作業は複雑要求されず、基本ベースの技術指導は聞かれたら教えられる、必要なのは、作成者の独特なものを見る目と言葉に語る工夫だけです。

東京視点で顧問を務めている下村健一さんは、「素人だからというのは自分を不出来なほうに引きさげるための口実に過ぎないもので、世の中に、きっとあなたにしか見えないものがあるのだ。また、それを作品にするときは、"私もできる"と言うのではなく、"私だからできる"というような作品を作ろうという心が本当にすばらしい作品を育むのだ」とコメントを出しています。

■草の根だからできる東京視点
東京視点で作品を発表したメンバーはほとんど素人と言っていいのですが、みなそれぞれ自分の独自な視点から中国と日本を身近な出来事によって作品にし、遠く離れた人々に伝えています。そこで生まれた作品リストからも、テーマの広さと独特なアングルを垣間見ることができます。
たとえば、今年に入って、私がメーリスで知らされている編集会議などの定期行事で発表された作品名は「上海万博」「路傍のM」「新宿物語」「11人目のライナー」などがたくさん挙げられ、また編集会議以外に、大学との連携でメディアに関するワークショップ、日中関係に関わる講演や作品公表会などの情報もたっぷり得られます。つい先週土曜日に日中友好会館で「日中の未来を考える」のイベントも行われました。(http://blog.tvf2010.org/article/41734932.html)

今年10月で、10年目の誕生日を迎える東京視点は、ホームページのリニューアルや、これまでもっている100近くの作品ファイルをyoutubeや中国の土豆網などのメディアセンターにアップして更にこの草の根による交流の展開を繰り広げることが見られています。

日中間は国の境目を始め、政治、文化、言葉、衣食住まで、多くの共通点と多くの違いが存在しているのはどこまで一般の民間人に知られているのでしょうか。普通マスメディアからしか得られない情報だけでは、私たちは片耳片目人間になりがちとは誰でも知ってはいますが、そのもう一つの耳、もう一つの目はどこにめければいいのかと問われたら、草の根だからこそ伝えられる情報を東京視点が集めているのではないでしょうか。

URL: http://www.china.ne.jp/tv/
http://people.icubetec.jp/video/
[程琳]

2010.12.21

【お知らせ】UTalk「未来の教室はどんな教室?」

UTalkは、様々な領域で活躍している東京大学の研究者をゲストとして招き、毎月開催しているイベントです。カフェならではの雰囲気、空気感を大切にし、気軽にお茶をする感覚のまま、ゲストとの会話をお楽しみいただける場となっています。

新年の初回である、2011年1月のUTalkでは、インタラクティブな授業にご関心があり、駒場キャンパスにてKALSや教養学部・理想の教育棟といった新しい学習環境のデザインに携わられている林一雅さん(教養学部附属教養教育高度化機構 特任助教)をお招きします。みなさまのご参加を、是非、お待ちしています。

日時:2011年1月8日(土)午後2:00 - 3:00
場所:UT Cafe BERTHOLLET Rouge
   (東京大学 本郷キャンパス 赤門横)
http://fukutake.iii.u-tokyo.ac.jp/access.html
料金:500円(要予約)
定員:15名(寒い時期ですのでカフェ店内での実施です)
申し込み方法: (1)お名前(2)ご所属(3)ご連絡先(4)この情報をどこでお知りになったか、をご記入の上、utalk2010@ylab.jp までご連絡ください。
※申し込みの締め切りは12月29日(金)までとします。
申し込み者多数の場合は抽選とさせていただく場合がございます。あらかじめご了承ください。

2010.12.16

【私の学びの場】Historical Active Learning

みなさま、こんにちは。修士2年の帯刀菜奈と申します。
山内研究室院生が、授業やゼミ以外での「学びの場」を紹介する【私の学びの場】シリーズ。
第2回、帯刀が紹介する「私の学びの場」は「Historical Active Learning(歴史教育勉強会)」です。

Historical Active Learningとは、通称 HAL(ハル)と呼ばれる2009年に誕生した勉強会です。
これは、海外の能動的な歴史学習について勉強し、
歴史学習の新しい可能性を考えていくことを目標とする仲間が集まっている勉強会です。

■英語文献の読み方相談から、歴史教育の学びへ

きっかけは、先輩に持ちかけた私の相談でした。
帯刀「私、歴史教育系の英語文献を読むのが遅くて、
    誤訳があるんじゃないかって不安なんです。」
池尻「それやったら、定期的に同じ論文誌を分担して読みながら
    スキルアップ図ったらどうかな。」

そうしてはじまったHALは
・隔週交代で、英語文献を分担

・担当箇所の内容を共有し、ディスカッション

・次回の宿題を考える
という2時間の型になりました。

現在のメンバーは、
 .池尻良平(山内研 D1) ←発起人
 ・末橘花(東京女子大学4年,山内研 M0)
 ・帯刀菜奈(山内研 M2)
の3人に加え、オブザーバーとして2名が参加しています。

■ざっくり掴み、深く掘ることも、興味を分かち合う仲間となら楽しい
HALでは、1つのテーマを3ヶ月かけて学びます。
過去全3期はこんな学びをしてきました。

①そもそもどなたが有名な歴史学者なのか知るために、
第1期は歴史学習のレビュー論文を読みました。

②レビュー論文で知った研究者を中心に
第2期では歴史学習研究者(Sumuel S. Wineburgなど)の英語文を読みました。

③そして近年の歴史学習の動向を知るために
第3期にはTheory and Research in Social Education誌の10年分に目を通しました。

1回1回の文献から得る知識はもちろんですが、私にとっては調べ学習の手順を身に付ける場でもありました。

...というとかたい感じもしますが、ディスカッションは毎回盛り上がります。

■みんなで歴史学習の手引きとなるマップを創ることが夢

特に「従来の歴史学習における今後の展開と可能性」
を話し合うと、つい終了時刻を超過してしまいます。
このあいだのHALをちょっとお見せします。
歴史的思考力の歴史学習は今後どのような展開を見せるかについて意見を出し合いました。

「批判的思考力研究は、与えられた解釈を選択することから抜け出すのが難しそう」
これは批判的な意見です。

「学習者個人の歴史観を変えてくれるような存在、例えば、外国人とか、価値観も社会背景も違う歴史学習者と、日本人の歴史学習者を繫げるような支援が出来たらいいかも?」
夢は膨らみます。

私はこのディスカッションを、
先行研究をもとに「私だったらこうするのに」という感覚を育てて、
言葉にする訓練の場
として活用しています。

今期、基礎を固めることを主軸とした前期を土台に
HALは「世界の歴史学習のマッピング」に挑戦します。
① 世界の歴史学習研究が対象にしているトピックを知る
② 世界の歴史学習で獲得目標とされる能力を知る
③ 世界の歴史学習で行われている実践を知る
ことを大づかみにしようという試みです。

HALが、国内、国外の同じような興味関心をもった勉強会や研究会と知見を交換しながら
よりActiveになることを願って、これからも積極的に関わっていきたいと思います。

この勉強会に興味を持ってくださった方、ぜひtwitterで話しかけてください。
お待ちしております。

[帯刀 菜奈]

2010.12.14

【エッセイ】読書体験の共有と電子教科書

NHK出版が、読書体験を共有できるサイト「Share Reader」を公開しました。
このサイトでは、電子書籍アプリケーションで選択した部分をTwitterで投稿し共有することができるようになっています。
現在、「フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略」がAppStoreで、1週間限定で無料公開されています。
私も早速試してみましたが、本文を引用しながらディスカッションできることに新しい可能性を感じました。

KindleやiPadの登場により電子教科書が注目されています。現状は紙の教科書で行われてきたことのシミュレーションに関する議論が主流ですが、長期的には、紙を超える付加価値をどう実現するかという方向に向かうでしょう。そういう意味で、電子教材は教科書のメタファーを超えて、アプリ化し、ソーシャル化していくだろうと考えています。

読書体験の共有は、文献購読のゼミなどでもすぐに導入できそうです。予習として電子書籍で読んだ上で議論のポイントをあらかじめ共有し、授業では議論から始めることによって、報告から議論へ活動の中心を転換できる可能性があります。

図書館の電子化というインフラ整備が完了した暁には、読書体験のソーシャル化が大学の授業スタイルを大きく変える日が来るかもしれません。

山内 祐平

2010.12.10

【私の学びの場】まれびとハウス

みなさま、こんにちは。修士2年の安斎勇樹と申します。

私たち山内研の学生は、大学院の充実した学習環境の中で日々過ごしていますが、授業やゼミだけでなく、それ「以外」の場でも日々学んでいます。そこで、今週からは、私たち大学院生の授業やゼミ以外の「学びの場」を紹介する新シリーズ【私の学びの場】をお送り致します!


第1回、安斎が紹介する私の学びの場は「まれびとハウス(シェアハウス)」です。

まれびとハウスとは、20代前半の男女6人が運営する田端にあるシェアハウスです。シェアハウスといっても従来の単なるルームシェアとは異なり、「ふらっと寄れるプラットフォーム」をコンセプトに運営されている新しい形のシェアハウスです。

まれびとハウス
http://www.mare-bito.net/
http://twitter.com/mare_bito

毎晩何かしらのイベントや飲み会が企画され、それをTwitterを使って広報することで、日々新しい人たちが訪問し続ける仕組みをうまく作っています。2010年の4月にオープンし、これまでのべ1500人以上は訪問しているとか...。

イベントの内容は様々で、トークイベント、ワークショップ、勉強会、展示会から、単なる飲み会まで様々です。「黒メガネ好きが集まる会」なんて企画も...笑

僕はもともとの友人が運営している関係で、オープン当初からちょくちょく遊びに行かせてもらったり、イベントを企画したりしているのですが、今回は僕がどう「学びの場」として捉えているか、学習の観点から紹介したいと思います。


(1)シェアハウスだからこそ起こる内省と創発

一般的に外で参加するイベントには、何かしらの参加する「目的」があると思います。例えばワークショップに関するシンポジウムには、ワークショップに関心や悩みを持っている人達が集まるでしょう。ある意味、同質な人たちの集まりになりがちです。

ところが、まれびとハウスは特定のテーマがあるイベントだったとしても、テーマに関心がある人だけでなく、

・まれびとハウス自体に関心がある人
・たまたま立ち寄った(居た)人
・住民の友達
・ご飯を食べに来た人(笑)

など、比較的無目的的に参加している人も多く集まってくるのです。つまり、普段絶対に付き合わないようなタイプの人たちとの偶発的な出会いが誘発されやすい場になっているわけです。

こうした異質な人たちと出会い、そこで交流することは、学習にとっても大きな意味を持ちます。

例えば、自分の普段考えていることや活動を異領域の人にわかる言葉で説明したり、自分とは全く異なる生き方・働き方に触れることは、自分がしている活動や仕事の意味を相対化しながら考える内省の機会になります。

また、そこでの出会いが、思いも寄らない新しい仕事につながっているケースもよく見かけます。つまり、シェアハウス"外"での新たな学習活動が創発する機会にもなっているわけです。


(2)参加者から企画者、そして居住者へ

もう1点、僕が面白いと思っているのは、共同体としての学びです。

日々まれびとハウスで行われているイベントは、住民と協同すれば誰でも企画することが出来ます。僕は住民ではありませんが、何度もここでイベントをやらせてもらっています。

僕が学習の観点から面白いと思っている点は、シェアハウスへの「参加の仕方」が変容していくケースがあることです。

どういうことかというと、Twitterで興味を持ち、最初はただ立ち寄っただけの「新規参加者」が、次第に何度も訪れる「常連参加者」となり、やがて自分の関心や表現したいことを元に、イベントの「企画者」になっていく。更に、一部の人はそこで生活する「居住者」になっていく...というケースがあるのです。最終的に"住んじゃう"というのが面白いですよね(笑) 実際に、オープン当初から住民は半分以上が入れ替わっているようです。

まれびとハウスは「家」なので、目標を共有している実践共同体ではないと思いますが、周辺的な参加者が、少しずつ場を運営する十全的な参加者になっていく、そのアイデンティティの変容プロセスは学習の観点から見ても興味深いですし、それを誘発している場の運営システムも大変興味深いと思っています。


今は修士論文の執筆で忙しくなかなか遊びにいけていないのですが...笑、定期的に足を運びたい「学びの場」の1つです。興味がある方は、是非遊びに行かれてはいかがでしょうか。

[安斎 勇樹]

2010.12.08

【お知らせ】デジタル教材開発活用セミナー

▼1月8日(土)に大阪教育大学で開催される「デジタル教材開発活用セミナー 」で講演します。関西圏でデジタル教材にご関心のある方のご参加をお待ちしております。

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 学校へのコンピュータやネットワークの導入が進んでいますが,授業の中で先生や子どもたちがこれらのICT環境をどう活用するかという点については多くの課題があります。また,最近では「電子教科書」の導入をめぐって活発な議論が活発に行われています。
 これらの課題を解決するためには,普通の授業で簡単に使えるデジタル教材の開発とその実践的活用方法の普及が鍵だといわれています。大阪教育大学では幅広い分野における研究成果を活かしたデジタル教材の開発と活用を組織的に展開するためのプロジェクトを開始しました。
 今回はまだその最初の報告になりますが,今後,継続してデジタル教材の開発と情報の発信を進めていく予定です。みなさまのご意見をお待ちしております。

【日 時】:平成23年1月8日(土)13:00〜17:00(12:30受付開始)
【場 所】:大阪教育大学天王寺キャンパス中央館2階 214・215教室
      キャンパスマップご覧ください。
【定 員】:100名(定員を越える場合はお断りすることがあります)
【参加費】:無 料
【申込方法】:参加申し込みは次のページの事項を明記したメールを
        ict@cc.osaka-kyoiku.ac.jp までお送りください。
【締 切】:平成22年12月25日(土)
【お問い合わせ】:ict@cc.osaka-kyoiku.ac.jpまでお願いします。

【プログラム】
 1.大阪教育大学のデジタル教材プロジェクトの概要
   ・小学校英語におけるPodcast教材(吉田晴世)
   ・附属平野中学校の教材デジタル化プロジェクト(山田雅弘)
   ・音楽科におけるデジタル教材の活用(寺尾正)
 2.デジタル教材のデモンストレーション
 3.招待講演
   「デジタル教材の過去・現在・未来」
   山内祐平 氏(東京大学大学院情報学環)
 4.パネルディスカッション
   〜デジタル教材から電子教科書へ〜
   進行:木原俊行(大阪教育大学)
   パネラー:
     山内祐平(東京大学)
     田中龍三(大阪教育大学)
     前田康裕(熊本市教育センター)
     石田興三(三省堂英語教科書編集部)

2010.12.05

【山内研の秘密】お菓子箱

みなさま、こんにちは。
博士課程1年の大城です。

山内研究室にある、ちょっと意外で便利な道具や文化をご紹介する
【山内研の秘密】!
シリーズ最終回となる今回は、「お菓子箱」をご紹介します。

山内研究室には冷蔵庫があります。
先生のご好意で、いつもお茶などの飲み物が常備されています。

その冷蔵庫の隣の棚の上にあるのがお菓子箱!



さて、今日はどうなっているのでしょう?
ちょっと中身を覗いてみましょう。



ちょうど先日マレーシアに出張があったため、
不思議なお菓子も混じっていますね。「Rocky」...?

冷蔵庫の飲み物は、院生のみんなで、好きなものをまとめて注文しているのですが、
こちらのお菓子箱の中身は、山内先生が直接買って来てくださるものがメインで、
時期によって、先生や院生の出張先・帰省先のお土産が入っていたりもします。

さすがは美食家・山内先生!どのお菓子も美味しいです。うまうま。
しかも、いつも"誰が食べるか"を予想しながら考えて買っているとのこと。
例えば、私は「こげめし」というお煎餅が大好きで、箱にあると必ず食べています。



↑これ

醤油のしみ具合とプチプチパリパリの食感がたまらない~!!

...ということを、先生は全てお見通しなのだった!


しかし、そんな先生といえども、やはり新製品や流行りものには弱いのでしょうか?
ごくたまに、よくわからないものも補充されます。



↑???

その場にいた院生みんなで試してみましたが、これ、本当につかめます!
ポテチをつかんだ後に指をすり合わせる、あのしぐさまで再現可能!
しかしながら、パソコンを使いながらではかえって不便という悲しい発見もありました。

などと、茶化してしまいましたが、こんな変わり種もお楽しみのひとつです。
研究や課題に苦戦して、院生がピリピリしてしまっている時でも、
一瞬で研究室の空気が和みます。


また、(これは私だけかもしれませんが、)
実は、先生が冷蔵庫の飲み物を取りに来られるタイミングや、
お菓子箱を補充しに来て下さるタイミングで、
先生に話しかけるタイミングを見計らっています。

ご多忙の中、「いつでもデスクに来てもらって大丈夫です。」と言ってくださる山内先生。
実際、急用の場合には遠慮なくそうしていますが、
人間、食べ物や飲み物に手を伸ばすタイミングというのは、
どんなに短い時間でも、その人が一呼吸入れているタイミングなのではないかな、
と私は考えています。

そこで、お茶やお菓子をつまみながらお話しできるくらいの、
ちょっとした用事で先生に話しかけたい時には、そのきっかけを、
冷蔵庫やお菓子箱に来られるタイミングでつかんでいる...つもりです。


ということで、山内研のお菓子箱は、山内研のオアシスです。
胃袋的な意味でも、精神的な意味でも。

おやつ、お茶、お食事、お酒、どんなレベルのものでも、
「いっしょにものを食べる・飲む」ということは、
ともに生活していくうえで、とても大事なことだと思います。

山内研究室は、「同じ釜の飯」ならぬ「同じ箱の菓子」を食った仲間!
普段から「食」を通じた温かいやりとりが大切にされています。

[大城 明緒]

2010.12.01

【エッセイ】学習は時間によって保証されるのか?

ちょっと前になりますが、アメリカ合衆国の下院教育労働委員会で大学の単位時間に関する議論が行われました。

下院教育労働委員会でオンライン学習の普及による履修単位時間の不透明化について議論。厳正な時間確保を求める議員に対し、大学認証団体はピアレビューを用いた柔らかい定義が必要と主張。MT @chronicle http://bit.ly/aONnpb

アメリカでは100% eラーニングで卒業資格がとれる大学をはじめ、多くの大学で一部のコースをオンラインで履修できる仕組みを導入しています。

在宅で学習する場合、従来の単位時間の考え方がなじまず、空洞化している(1単位あたりに必要な学習時間をとっているかどうかが不明である)のできちんと管理すべきであるというのが下院労働委員会の立場で、現場を審査している大学認証団体(アメリカでは教育省でなく、認証団体が大学の質を審査しています。)は、時間ではなく人による評価などより実質的な方法を優先すべきであると主張しているわけです。

学習を時間で保証するのか、アウトプットを人が測定することによって保証するのかについては、答えが見えない難問になっているようで、現在参加している国際会議ICCEでも議論が行われていました。

同じ場所に集まって講義をするという条件のもとでは、教員が話す知識量と記憶する知識量は時間によってある程度コントロールすることができます。
しかし、eラーニングのようにインタラクティブな仕組みを取り入れたり、プロジェクト学習のように知識よりも思考力を育成するような授業では、時間は学習成果の要因の一つであっても、絶対的な存在ではなくなります。今後大学の授業が多様化するに従って、この問題は深刻化するでしょう。

「学習時間」は世界中の大学で、長い間学習を保証する柱として使われてきました。しかし、近代型の大学モデルが曲がり角を迎えつつある今、この大黒柱を考え直すべき時期にきているのかもしれません。

山内 祐平

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