2010.12.10

【私の学びの場】まれびとハウス

みなさま、こんにちは。修士2年の安斎勇樹と申します。

私たち山内研の学生は、大学院の充実した学習環境の中で日々過ごしていますが、授業やゼミだけでなく、それ「以外」の場でも日々学んでいます。そこで、今週からは、私たち大学院生の授業やゼミ以外の「学びの場」を紹介する新シリーズ【私の学びの場】をお送り致します!


第1回、安斎が紹介する私の学びの場は「まれびとハウス(シェアハウス)」です。

まれびとハウスとは、20代前半の男女6人が運営する田端にあるシェアハウスです。シェアハウスといっても従来の単なるルームシェアとは異なり、「ふらっと寄れるプラットフォーム」をコンセプトに運営されている新しい形のシェアハウスです。

まれびとハウス
http://www.mare-bito.net/
http://twitter.com/mare_bito

毎晩何かしらのイベントや飲み会が企画され、それをTwitterを使って広報することで、日々新しい人たちが訪問し続ける仕組みをうまく作っています。2010年の4月にオープンし、これまでのべ1500人以上は訪問しているとか...。

イベントの内容は様々で、トークイベント、ワークショップ、勉強会、展示会から、単なる飲み会まで様々です。「黒メガネ好きが集まる会」なんて企画も...笑

僕はもともとの友人が運営している関係で、オープン当初からちょくちょく遊びに行かせてもらったり、イベントを企画したりしているのですが、今回は僕がどう「学びの場」として捉えているか、学習の観点から紹介したいと思います。


(1)シェアハウスだからこそ起こる内省と創発

一般的に外で参加するイベントには、何かしらの参加する「目的」があると思います。例えばワークショップに関するシンポジウムには、ワークショップに関心や悩みを持っている人達が集まるでしょう。ある意味、同質な人たちの集まりになりがちです。

ところが、まれびとハウスは特定のテーマがあるイベントだったとしても、テーマに関心がある人だけでなく、

・まれびとハウス自体に関心がある人
・たまたま立ち寄った(居た)人
・住民の友達
・ご飯を食べに来た人(笑)

など、比較的無目的的に参加している人も多く集まってくるのです。つまり、普段絶対に付き合わないようなタイプの人たちとの偶発的な出会いが誘発されやすい場になっているわけです。

こうした異質な人たちと出会い、そこで交流することは、学習にとっても大きな意味を持ちます。

例えば、自分の普段考えていることや活動を異領域の人にわかる言葉で説明したり、自分とは全く異なる生き方・働き方に触れることは、自分がしている活動や仕事の意味を相対化しながら考える内省の機会になります。

また、そこでの出会いが、思いも寄らない新しい仕事につながっているケースもよく見かけます。つまり、シェアハウス"外"での新たな学習活動が創発する機会にもなっているわけです。


(2)参加者から企画者、そして居住者へ

もう1点、僕が面白いと思っているのは、共同体としての学びです。

日々まれびとハウスで行われているイベントは、住民と協同すれば誰でも企画することが出来ます。僕は住民ではありませんが、何度もここでイベントをやらせてもらっています。

僕が学習の観点から面白いと思っている点は、シェアハウスへの「参加の仕方」が変容していくケースがあることです。

どういうことかというと、Twitterで興味を持ち、最初はただ立ち寄っただけの「新規参加者」が、次第に何度も訪れる「常連参加者」となり、やがて自分の関心や表現したいことを元に、イベントの「企画者」になっていく。更に、一部の人はそこで生活する「居住者」になっていく...というケースがあるのです。最終的に"住んじゃう"というのが面白いですよね(笑) 実際に、オープン当初から住民は半分以上が入れ替わっているようです。

まれびとハウスは「家」なので、目標を共有している実践共同体ではないと思いますが、周辺的な参加者が、少しずつ場を運営する十全的な参加者になっていく、そのアイデンティティの変容プロセスは学習の観点から見ても興味深いですし、それを誘発している場の運営システムも大変興味深いと思っています。


今は修士論文の執筆で忙しくなかなか遊びにいけていないのですが...笑、定期的に足を運びたい「学びの場」の1つです。興味がある方は、是非遊びに行かれてはいかがでしょうか。

[安斎 勇樹]

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