2010.12.16

【私の学びの場】Historical Active Learning

みなさま、こんにちは。修士2年の帯刀菜奈と申します。
山内研究室院生が、授業やゼミ以外での「学びの場」を紹介する【私の学びの場】シリーズ。
第2回、帯刀が紹介する「私の学びの場」は「Historical Active Learning(歴史教育勉強会)」です。

Historical Active Learningとは、通称 HAL(ハル)と呼ばれる2009年に誕生した勉強会です。
これは、海外の能動的な歴史学習について勉強し、
歴史学習の新しい可能性を考えていくことを目標とする仲間が集まっている勉強会です。

■英語文献の読み方相談から、歴史教育の学びへ

きっかけは、先輩に持ちかけた私の相談でした。
帯刀「私、歴史教育系の英語文献を読むのが遅くて、
    誤訳があるんじゃないかって不安なんです。」
池尻「それやったら、定期的に同じ論文誌を分担して読みながら
    スキルアップ図ったらどうかな。」

そうしてはじまったHALは
・隔週交代で、英語文献を分担

・担当箇所の内容を共有し、ディスカッション

・次回の宿題を考える
という2時間の型になりました。

現在のメンバーは、
 .池尻良平(山内研 D1) ←発起人
 ・末橘花(東京女子大学4年,山内研 M0)
 ・帯刀菜奈(山内研 M2)
の3人に加え、オブザーバーとして2名が参加しています。

■ざっくり掴み、深く掘ることも、興味を分かち合う仲間となら楽しい
HALでは、1つのテーマを3ヶ月かけて学びます。
過去全3期はこんな学びをしてきました。

①そもそもどなたが有名な歴史学者なのか知るために、
第1期は歴史学習のレビュー論文を読みました。

②レビュー論文で知った研究者を中心に
第2期では歴史学習研究者(Sumuel S. Wineburgなど)の英語文を読みました。

③そして近年の歴史学習の動向を知るために
第3期にはTheory and Research in Social Education誌の10年分に目を通しました。

1回1回の文献から得る知識はもちろんですが、私にとっては調べ学習の手順を身に付ける場でもありました。

...というとかたい感じもしますが、ディスカッションは毎回盛り上がります。

■みんなで歴史学習の手引きとなるマップを創ることが夢

特に「従来の歴史学習における今後の展開と可能性」
を話し合うと、つい終了時刻を超過してしまいます。
このあいだのHALをちょっとお見せします。
歴史的思考力の歴史学習は今後どのような展開を見せるかについて意見を出し合いました。

「批判的思考力研究は、与えられた解釈を選択することから抜け出すのが難しそう」
これは批判的な意見です。

「学習者個人の歴史観を変えてくれるような存在、例えば、外国人とか、価値観も社会背景も違う歴史学習者と、日本人の歴史学習者を繫げるような支援が出来たらいいかも?」
夢は膨らみます。

私はこのディスカッションを、
先行研究をもとに「私だったらこうするのに」という感覚を育てて、
言葉にする訓練の場
として活用しています。

今期、基礎を固めることを主軸とした前期を土台に
HALは「世界の歴史学習のマッピング」に挑戦します。
① 世界の歴史学習研究が対象にしているトピックを知る
② 世界の歴史学習で獲得目標とされる能力を知る
③ 世界の歴史学習で行われている実践を知る
ことを大づかみにしようという試みです。

HALが、国内、国外の同じような興味関心をもった勉強会や研究会と知見を交換しながら
よりActiveになることを願って、これからも積極的に関わっていきたいと思います。

この勉強会に興味を持ってくださった方、ぜひtwitterで話しかけてください。
お待ちしております。

[帯刀 菜奈]

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