2010.12.25
みなさま、こんにちは。修士2年の程琳と申します。
山内研究室院生が、授業やゼミ以外での「学びの場」を紹介する【私の学びの場】シリーズ。
第3回、程琳が紹介する「私の学びの場」は「東京視点/东京聚焦」です。
「東京視点/东京聚焦」は「身近な日本を中国へ」、「身近な中国を日本へ」伝えることを目指し、日中双方のメンバーが撮影した映像を配信する民間団体で、山内研究室の最初の外国人留学生の可越さんが発足したのです。
「東京視点」は、在日中国人の視点と日本市民の視点で、身の周りの日常を映像として捉え、日本語と中国語によりインターネットを通じて同時配信しています。ホームページができた2001年10月の配信開始以来、2週間から一ヶ月の頻度で、定期的にメンバーの誰かが1本のペースで10分前後の作品を発表し続けてきました。自主参加の形を取っている「東京視点」のメンバーは最初の日本人学生と在日中国人留学生のみでしたが、現在は口コミで一般の市民も多く巻き込まれてきています。中国側では人民日報のオンラインサイト人民網との共催で、これまで配信した作品は百本以上に達しております。
■初心者にやさしい東京視点
私が東京視点に出会ったきっかけは今年の初めでした。就職の相談に、研究室の大先輩の中国人留学生として、山内先生から可越さんのことを紹介していただきました。数回のEmailを交換したら、可さんから定期的に開く東京視点のイベントに来てくれないかとの誘いがありました。
そこで、大阪大学の大学院生の一人が「新聞売りのホームレス」を名に自分で取材撮影編集をまとめて作成したオリジナルな作品を披露しました。私は見るのも初回だったので、あれほどすばらしいものだからきっとプロの方だろうと思ったら、はじめの作品で、二回目の発表というふうに教えられて、あまりにも予想外で、大変びっくりしました。
実は、東京視点に一回だけ発表するメンバーもかなりいたようで、ここでは、プロを目指して作品募集を行っているわけではなく、敷居を低くし、まったくの初心者でもチャレンジできるようになっています。
自分の目にとどまることをカメラで記録し、われながらの形で一つの作品にし、そして多くの人に見せて共感してもらえるのは東京視点の魅力なところです。編集作業は複雑要求されず、基本ベースの技術指導は聞かれたら教えられる、必要なのは、作成者の独特なものを見る目と言葉に語る工夫だけです。
東京視点で顧問を務めている下村健一さんは、「素人だからというのは自分を不出来なほうに引きさげるための口実に過ぎないもので、世の中に、きっとあなたにしか見えないものがあるのだ。また、それを作品にするときは、"私もできる"と言うのではなく、"私だからできる"というような作品を作ろうという心が本当にすばらしい作品を育むのだ」とコメントを出しています。
■草の根だからできる東京視点
東京視点で作品を発表したメンバーはほとんど素人と言っていいのですが、みなそれぞれ自分の独自な視点から中国と日本を身近な出来事によって作品にし、遠く離れた人々に伝えています。そこで生まれた作品リストからも、テーマの広さと独特なアングルを垣間見ることができます。
たとえば、今年に入って、私がメーリスで知らされている編集会議などの定期行事で発表された作品名は「上海万博」「路傍のM」「新宿物語」「11人目のライナー」などがたくさん挙げられ、また編集会議以外に、大学との連携でメディアに関するワークショップ、日中関係に関わる講演や作品公表会などの情報もたっぷり得られます。つい先週土曜日に日中友好会館で「日中の未来を考える」のイベントも行われました。(http://blog.tvf2010.org/article/41734932.html)
今年10月で、10年目の誕生日を迎える東京視点は、ホームページのリニューアルや、これまでもっている100近くの作品ファイルをyoutubeや中国の土豆網などのメディアセンターにアップして更にこの草の根による交流の展開を繰り広げることが見られています。
日中間は国の境目を始め、政治、文化、言葉、衣食住まで、多くの共通点と多くの違いが存在しているのはどこまで一般の民間人に知られているのでしょうか。普通マスメディアからしか得られない情報だけでは、私たちは片耳片目人間になりがちとは誰でも知ってはいますが、そのもう一つの耳、もう一つの目はどこにめければいいのかと問われたら、草の根だからこそ伝えられる情報を東京視点が集めているのではないでしょうか。
URL: http://www.china.ne.jp/tv/
http://people.icubetec.jp/video/
[程琳]