BLOG & NEWS

2009.02.17

【イベント】Educe Cafe:なぜいま本が愉しいのか?

▼今旬のブックディレクターである幅允孝さんにおいでいただき、「なぜいま本が愉しいのか?」というテーマでカフェイベントを行います。ブログやSNSが当たり前の今だからこそかえって新鮮な、本の持つマテリアルな魅力を語っていただけると思います。ぜひおいでください。

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【ご案内】
2009/3/19(木)
Educe Cafe:なぜいま本が愉しいのか?

を開催致します!!

主催: NPO法人 Educe Technologies
http://www.educetech.org/
共催:東京大学大学院情報学環・学際情報学府 山内研究室
http://blog.iii.u-tokyo.ac.jp/ylab/
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2009/3/19(木)Educe Cafeを開催致します。

今回のEduce Cafeでは
ゲストに幅允孝さん(ブックディレクター)をおむかえし、
本の領分(本にだからこそできること)について、
実際のお仕事の事例を交えながらお話していただきます。

本に関わるあらゆることをお仕事と考え、
真摯かつ独創的に取り組まれている様子は
昨年10月、「情熱大陸」(毎日放送)でも特集されました。
http://www.mbs.jp/jounetsu/2008/10_19.shtml

■ゲストの紹介:幅允孝さん

BACH(バッハ)代表。ブックディレクター。
「スーベニアフロムトーキョー」を始め、
「SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS」など
様々なブックディレクションをてがける。
そのほかにも編集、執筆、企画、ディストリビューションなど、
本をツールに幅広い分野で活動中。

2月20日には、羽田空港に「Tokyo's Tokyo」がオープン。
毎週水曜日J-WAVE「colour your days」に出演中。

http://www.bach-inc.com/


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Educe Cafeではお飲み物などをお出しいたします。

今回はささやかですが、プロのケータリングスタッフが、
テーマに合わせたフィンガーフードもご用意いたします。

美味しいお酒やコーヒーと愉しい会話、
そしてとびきりの本をご用意して、
スタッフ一同、会場にてお待ちしております。

Cafeにいる人みんなが顔見知りになってお帰りいただけるような、
アットホームな会にしたいと考えております。

学生の方から大学・企業にお勤めのかたまで、
ぜひEduce Cafeにおいでください!

■日時:2009年3月19日(木) 18:00〜21:00

■ 場所:東京大学情報学環・福武ホール
     地下2階スタジオ1・2

都営大江戸線 本郷三丁目駅 (徒歩7分)
東京メトロ丸ノ内線 本郷三丁目駅 (徒歩8分)
東京メトロ千代田線 湯島駅 (徒歩20分)
東京メトロ南北線 東大前駅 (徒歩10分)

下記アドレスをご参照ください
http://fukutake.iii.u-tokyo.ac.jp/access.html


■定員:20名
(先着順とさせていただきます。ご了承ください。)

■参加費:一般 3500円

※学生の皆様へ・・
今回は学生会費は設けておりませんが、ボランティアスタッフとしてご参加いた
だくことができます。
その場合は簡単なお仕事をしていただきますが、参加費は無料になります。
スタッフ参加には人数制限がございますので事前に事務局までご相談ください。

■ 参加方法:
下記フォームに必要事項をお書き込みいただき、
cafe【アットマーク】educetech.org
までメールにてご連絡ください。

〆ココカラ=======================================
参加申し込みフォーム
cafe【アットマーク】educetech.orgまで
3月5日(木)までにお申し込み下さい
人数が多数の場合は先着順とさせていただきます。

Educe Cafe (3/19) に申し込みます。

氏名:

フリガナ:

所属:

メールアドレス:

この情報をお知りになったきっかけ:

ご興味をもたれた理由などありましたらお願いします
(                       )

〆ココマデ=======================================


■主催:NPO法人 Educe Technologies

■共催:東京大学大学院情報学環・学際情報学府山内研究室

■企画担当:山内研究室 森玲奈・牧村真帆
     
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Educe Technologiesとは・・・

人間がその可能性を最大限に発揮できる学びの場のデザインに
ついて、教育工学の立場から、大学・企業・教育現場をつない
だ実践的研究プロジェクトを展開していきます。また、新しい
時代にふさわしい「学びあう社会」を作り上げるために、研究
会やシンポジウムなどを通じて、その成果を広く社会に訴えか
けていく活動も進めていきます。

http://www.educetech.org/
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2009.02.12

【私とylab、この一年】自問自答と試行錯誤(坂本)

【クローズアップ教材】が一回りし、このメンバーでblogを更新していく
今年度最後のシリーズとなりました。
そんな今年度最後となるテーマは【私とylab、この一年】と題しまして、
メンバーがそれぞれの目線で4月からの1年間を振り返ります。
特にその中でも、修了を間近に控えた僕らM2の3人は、
修士2年間の出来事を振り返りたいと思います。

---
毎度トップバッターの坂本は、
自分が2年間で修論を進めていった過程を振り返りたいと思います。

山内研では、週に1回ゼミが行われ、研究進捗の発表は
一人につきだいたい月に1回のペースで回ってきます。
ゼミと各自の研究相談を通じて、メンバーそれぞれが自分のテーマを決めていきます。
修士2年間の大まかな流れとしては、
M1の1年では研究計画をしっかりと立てることが、
M2の1年ではその研究計画を着実に実行していくことが、
大きな目標として設定されています。

そして、みんなそれぞれの年に苦しい時期があります。
僕の場合は、1年目はテーマの焦点化、2年目は研究の方法論でした。

■修士1年目
研究計画を立てるとき、土台となる問題点が絞られていないと
地に足がつかない研究になってしまいます。
僕の興味・関心は入学当初から漠然としており、
ゼミで発表する度に「何が言いたいのかわからない」
「問題意識は何か」とずっと問われてきました。
協調学習や教師の支援方略に興味があることは自覚していたのですが、
ただ「おもしろい」と思うだけで、そこに「もっとこうしたらいいのに」とか
「こういう場合はどうなるんだろう」といった問題意識が薄かったのだと思います。

そんなM1の時期にまず与えられる課題は、「とにかく文献を読んでくること」です。
僕は少しその期間が長かったように思います。
読んでまとめてきては足りないところを突っ込まれの繰り返しでした。
協調学習の面白さだけに着目していた頃は、
協調学習の問題点には目がいきませんでした。
本来、効果的な協調学習を実現するためには、その問題点を認識しつつ、
それを避けるようにデザインしなければならないのです。
協調学習に限らず、関連する様々な分野で同じことを繰り返していく
というサイクルが続きました。
その間は、ただ文献を読むだけでは時間だけが過ぎていきます。
読むたびに自分の興味・関心と照らし合わせ、
「共感するもの、納得いかないものがあるか」「あるならそれはなぜか」
ということを常に意識していました。

では、いつテーマが決まったのか。
それは本当に何気ない一瞬でした。文献を読んでいるとき、
ある時ふと「ScaffoldingとFading」の関係性にたどり着いたのです。
M1の1月頃だったでしょうか。

山内研では、「研究のヒラメキ」が起こることを、「神がおりてくる」と言います。
そのときの瞬間を僕にとっての「神」と言っていいのかどうかはわかりませんが、
Fadingのプロセスに関する研究は行われていないことに加え、
個人的な興味・関心としても、学習者側の行動である「学び」と
支援者側の行動である「支援」が結びつく、納得のいくテーマでした。
そしてそこに絞った研究計画を書き、
先生の「うん、いいでしょう」という言葉をもらったのでした。

■修士2年目
もちろん、それで万事解決ではありません。
研究計画は「計画」でしかないばかりか、
その計画でさえもロジックや概念の整理には
まだまだ甘いところがたくさんありました。
M2の1年では、それを詰め、実行していくプロセスに入ります。

問題意識がクリアになっても、それを実現するためには
「研究の方法」がしっかりしていなければいけません。
何をするにも初めての出来事。
こればかりは本を読むだけではうまく行きませんでした。

僕の場合、インタビューの質問項目を考えるのが一つ目の大きな壁でした。
示唆に富む「分厚いデータ」を収集することができる質問項目を考えるのには、
何回も試行錯誤を繰り返しました。
実際の教育現場へフィールドワークに行かせていただき、
質問項目を考えては作り直しながらヒヤリングをしました。
インタビューの質問項目がある程度決定したら、
本当にそれで問題ないかプレインタビューをお願いしたりもしました。

質問項目ができあがり、本番のインタビューに入っても、
それを分析するのにまた大きな壁にぶちあたりました。
インタビューで収集した先生方のデータはすごく面白いのですが、
研究結果として手続き的に分析していくのに、ものすごく手間取りました。
分析は、「誰がやっても同じ結果になる」ように、手続きを明確にし、
機械的に進めなければいけません。
でも僕は、どうしても自分の頭の中で解釈してしまい、先に進めませんでした。
最後は結局、山内先生に手取り足取り指導していただきながら分析を進めました。

山内先生は、研究には「新しい学びの形を創りたいという『問題意識』と、
アイデアを実現するための『道具』」が必要であるとおっしゃいますが、
僕は十分な「道具」を持っていなかったのだと痛感しました。

研究方法に関する議論は、突き詰めると本当に複雑で多岐にわたっているので
ここで軽々しく扱えるような内容ではないのですが、
先生に助けてもらいながら分析を進め、なんとか結果を形にすることができました。
先日も現場の先生方の前で研究内容を発表する機会に恵まれ、
発表後、本当に嬉しい言葉をたくさんいただきました。
お世話になった先生方に恩返しがしたいという気持ちでやってきたので、
ここまで頑張ってきてよかったと心から思えました。

■修士研究を終えて
もちろん、修士研究が形になったことで全てが終わったわけではありません。
研究をしていると、知るたびに余計訳がわからなくなることがたくさん出てきます。
その連鎖で、これまでゼミで学んできたことや前に読んだ本の内容、
授業で学んだ内容、飲み会のときに先生や先輩が話していた内容ががリンクし、
「わかってはわからなくなる」を繰り返していくのだと思います。
山内先生は、
「『神』はいつおりてくるかわからないけど、努力しないと絶対おりてこない」
と言います。
その、何かと何かがリンクする瞬間に、「神」が隠れているのかな、なんて思ったりもします。

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秋以降、山内研には、来春から仲間入りする"M0"が出入りするようになり、
いよいよ世代交代の季節が近づいてきた、と感じます。
M0のみなさんは、これから、研究がうまく進まなかったり、
授業との両立が難しくて疲れてしまうことがあるかもしれません。
それでも、同じ学年の仲間とともに力を合わせたり、
同じ経験をしている先輩たちからアドバイスをもらったり、
先生やスタッフのみなさんから、厳しいけど的確で暖かい励ましをもらいながら、
修士研究が完成したときの喜びは何事にもかえられません。
「神」に出会うのに必要な努力を続けるためには、
仲間の存在がとても大きいように思います。

これからも、山内研のみなさんから
興味深い研究がたくさん生み出されることを期待しております。
僕もまた、わかり続けるための連鎖を途切れさせないよう
学び続けていきたいと思います。

2009.02.11

【イベント】振舞の際

3月10日に建築家の山本理顕さん、劇作家の野田秀樹さんと鼎談することになりました。エッジからこぼれ落ちそうになるスリルを味わえそうで、楽しみにしています。ぜひご参加ください。

建築の際 第4回 振舞の際

ゲスト: 山本理顕(建築家)野田秀樹(劇作家・演出家・俳優)山内祐平(学習環境デザイン)
コーディネーター:
片桐早紀 東京大学大学院学際情報学府修士課程(北田研)
関博紀 同博士課程(佐々木研)
牧村真帆 同修士課程(山内研)

日時: 2009年3月10日(火)18:30-21:00(18:00開場)
場所: 東京大学 情報学環・福武ホール 地下2階 福武ラーニングシアター
定員: 230名 (事前予約制: 申し込み多数の場合は抽選)
入場料: 無料

主催: 東京大学大学院情報学環・学際情報学府
後援: 株式会社新建築社
協賛: 凸版印刷株式会社

お申し込みはこちらからどうぞ。

2009.02.05

【クローズアップ教材】向後研究室のWeb教材

【クローズアップ教材】も最終回となりました。
今週は博士課程2年の森玲奈が担当いたします。

今回は早稲田大学人間科学部 向後千春研究室 が開発し、実際に大学の授業で使用しているWeb教材をご紹介します。

これらは一般公開されており、個人が自由に活用することができます。

(HP上には、教材を授業や講習会などで利用するときは、同一内容を収めたCD-ROM教材をご注文いただくことをお勧めします、との記述があります)

ーーーーーーーーー

具体的には下記のようなものがあります。

ハンバーガーショップで学ぶ楽しい統計学(2004)

平均・分散、信頼区間、χ2乗検定、t検定、分散分析までをカバーします。

アイスクリーム屋さんで学ぶ楽しい統計学(2003)

散布図、相関係数、偏相関、単回帰、重回帰、因子分析までをカバーします。

ネコのぶきっちょと学ぶC言語(2002)

Windowsパソコンを使ってCプログラミングの初歩を学びます。

園長と学ぶHTML・スタイルシート(2001)

基本的なHTMLタグの使い方とスタイルシートを学びます。

アフロ先輩と学ぶ実用文の書き方(2000)

実用文の書き方を、基礎編・実践編に分けて学びます。おまけとして「日記の達人塾」を収録。

つっちーと学ぶ情報処理(2000)

マッキントッシュを使って、ブラウザ、エディタ、クラリスワークスの使い方を学びます。

ーーーーーーーーー
興味深いのは、これらの教材に関して「フィードバック」をしてほしいということが書かれていることです。
教材の中に間違いや疑問の点などありましたら、メールでご意見を向後先生までお送りください、とのことです(HPにはメールアドレスが書かれています)。

教材も沢山の方に使われる中で揉まれ、フィードバックを通じてよりよい教材に成長していくのでしょうね。
まさにフォーマティブ、という感じがして、素敵な試みだと感じ応援しています。

【担当:森玲奈】

2009.02.04

【イベント】ICTによる未来の教育への挑戦

東京大学では,大学教育の方法や教育環境をICTを活用して改善することを目指して,Todai Redesigning Educational Environment (TREE)プロジェクトを2005年よりスタートさせています。
その中で,マイクロソフト先進教育環境寄附研究部門(Microsoft
chair of Educational Environment and Technology: MEET)が,2006年4月に発足し,タブレットPCを活用して,学生が受動的に講義を聴くだけでなく,自ら能動的に考えながら学習を進める「アクティブラーニング」のための教育用ソフトウェアや,新しい教室空間の研究・開発を行ってきました。
また,本学駒場キャンパスに教養学部・大学院情報学環と共同で「駒場アクティブラーニングスタジオ」(KALS)の開設・運用を行い,平成19年度現代GP「ICTを活用した新たな教養教育の実現」の推進を行っているところです。
※マイクロソフト先進教育環境寄附研究部門の研究開発
 http://www.utmeet.jp/projects/
※駒場アクティブラーニングスタジオ
 http://www.kals.c.u-tokyo.ac.jp/
※現代GP「ICTを活用した新たな教養教育の実現」
 http://www.komed.c.u-tokyo.ac.jp/gendai/
今回のシンポジウムは,MEET研究部門の3年間の研究活動の成果報告シンポジウムであり,「ICTによる未来の教育への挑戦」がテーマです。
パネルディスカッションでは,高等教育の改善を推進する立場,企業の立場,大学において実践的に批判的思考力を育成する立場,教育企画に携わる立場など異なる見地・経験を持ったパネリストの皆様をお招きし,近未来(2015年)を見据えた,大学教育とICTの活用のあり方を追究します。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。

『ICTによる未来の教育への挑戦』 プログラム詳細

■日時 2009年:3月4日(水) 午後1時~5時10分
■会場 東京大学本郷キャンパス 情報学環・福武ホール 福武ラーニングシアター
■参加費 無料
(レセプションにご参加の方は,お一人につき2,000円申し受けます)
■定員 180名
■申込み  以下のフォームよりお申し込みください。
https://ssl.alpha-mail.ne.jp/utmeet.jp/eventform.html
※お申し込みの締め切りは,3月1日(日)までとさせていただきます。
 なお,定員を超えた場合は先着順とさせていただきます。
 ご了承ください。
■お問合せ 東京大学 大学総合教育研究センター
マイクロソフト先進教育環境寄附研究部門
email:symposium@utmeet.jp
tel:03-5841-1727
■プログラム
12:20- 記者発表・QA(※於 福武ラーニングスタジオ/報道関係者のみ)
13:00- 開会のご挨拶
  岡村 定矩(東京大学 副学長)
樋口 泰行(マイクロソフト株式会社 代表執行役社長
13:20- 基調講演(1)
  今泉 柔剛(文部科学省 大学改革推進室長)
13:50- 基調講演(2)
  大島 純(静岡大学)
14:20- <休憩>
14:30- マイクロソフト先進教育環境寄附研究部門の研究成果
  (東京大学MEET研究部門)
14:30- 「MEET the Future Education ~未来の教育に会いましょう」
  (マイクロソフト株式会社)
15:50- <休憩>
16:00- パネルディスカッション
「高等教育で育成するべき人材像とICTの役割」
  [パネリスト]
 今泉 柔剛(文部科学省 大学改革推進室長)
 大井川 和彦 (マイクロソフト株式会社 執行役常務)
 楠見 孝(京都大学)
 大島 純(静岡大学)
 中原 淳(東京大学)

[コーディネータ]
 山内 祐平(東京大学)
17:00- 閉会のご挨拶
  岡本和夫(東京大学 大学総合教育研究センター長)
17:30-19:30 レセプション+MEET公開デモンストレーション

2009.01.31

【クローズアップ教材】蓄積されていくコンテンツ

第7回の【クローズアップ教材】は、D2の佐藤朝美が担当いたします。
前回までは海外のコンテンツが多かったので、今回は日本に目を向けたく思います。


■School On the Internet(SOI)
http://www.soi.wide.ad.jp/contents.html
 SOIは、「世界中の学ぶ意欲を持つ人々に、デジタルコミュニケーションを基盤とした従来の制限や境界にとらわれない高度な教育と研究機会を提供する」ことを目的に1997年9月より活動を始めました。

 私は2004年5月8日の中原淳先生(当時はまだ東京大学の先生ではなく、MITの研究員として渡米されていた頃)のブログでその存在を知り、ちょくちょくのぞくようになりました。
http://www.nakahara-lab.net/2004diary0501.html

 メールアドレスとWebを見れる環境をお持ちの方ならどなたでも参加出来ます。受講をしないのであれば、登録をせずとも講義ビデオの視聴とその資料も閲覧する事が可能です。

 オンライン講義は多々見かけるようになりましたが、SOIには開講されてから10年以上、弛まず継続されてきたところに、大きな特徴と価値があるといえるのではないでしょうか?過去のコンテンツは、村井純先生の豊富な講義をはじめ、特別講演会なども公開されており、孫正義さん、シスコ取締役松本孝利さん、荒俣宏さんや大前研一さんなどのお話しも聞けます。10年前に各界のトップの方がどのように未来を見通し、どのようにビジョンを語っていたか?を見るのも興味深いモノです。「IT社会のこれから」系のテーマでは、現実となった事、実現されなかった事などがあるわけで、その原因を考えることで、今後を予測する際のヒントになる事もあるのではないかと思います。

 最近は、遠隔の講師が参加してダブルキャストで講義していたりと技術の進化が感じられます。新たな技術も取り入れつつ、でも、細く長く、これからも豊富なコンテンツを提供して欲しいと思います。


■SFC Global Campus
http://gc.sfc.keio.ac.jp/index.cgi
 こちらは慶應義塾湘南藤沢キャンパス(SFC)が、学外に向けてSFCの講義を公開しているものです。学部生が単位をもらえるe-科目制度という仕組みもあるとのことですが、一般公開のコンテンツ視聴は登録の必要がありません。

 2007年より公開されている学習環境デザインワークショップでは、SFCが提案&提供してきた新たな学びを支える学習環境についての紹介を行い、そこから学生達が次世代の大学環境を考えていくという授業を行っています。

 学際情報学府の学生や学環プロジェクト関係者には、SFC出身の方が多いのですが、一見似てると感じるSFCの授業が実際どのような展開をされているか?拝聴できるのは嬉しいです。

情報化でますますコンテンツが豊富になり嬉しい反面、新たな情報をどう把握していくか?と同時に、どのような情報を選択していくかが問われるようになると思います。人が持っている時間が限られていることを残念に思う今日この頃です。


[佐藤朝美]

2009.01.27

【イベント】教育工学25年の歴史から考えるデジタル教材の未来

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
お知らせ : 2008年度第4回BEAT Seminar
「教育工学25年の歴史から考えるデジタル教材の未来」のご案内

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
BEAT(東京大学情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座)では2008年度第4回
BEAT Seminar「教育工学25年の歴史から考えるデジタル教材の未来」を
3月28日(土曜日)に開催致します。

1980年代から現在まで、電子機器の普及と情報技術の発展の波は、私たちの生
活や学習環境を大きく変えてきました。紙やテレビ、コンピューター、モバイ
ル、ゲーム機、それらをつなぐネットワーク技術により、学習環境は教室から
自宅や通勤・通学時という学校外の環境まで広がり、今や私たちはいつでもど
こでも好きなだけ学習することができます。しかし、情報技術が発展するスピ
ードに合わせて学習環境がそのまま進歩したかというとそうではありません。
情報技術・機器を教育にどのように応用するか、教育関係の研究者や現場教員
が成功と失敗を繰り返し、今の進歩があります。

このような学習環境の進歩に貢献してきた学会の1つであります日本教育工学
会が創立されて今年で25年になります。今回のBEAT Seminarでは東京工業大学
教育工学開発センター 教授で日本教育工学会 会長の赤堀侃司先生をお招きし、
デジタル教材の変遷と、特に近年、世界的に注目されているモバイルの教育利
用についてお話頂きます。

みなさまのご参加をお待ちしております。

―――――――――【2008年度 第4回 公開研究会 概要】――――――――
■主催
東京大学 大学院 情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座

■日時
2009年 3月28日(土)午後1時より午後5時まで

■場所
東京大学 本郷キャンパス 情報学環・福武ホール(赤門横)
福武ラーニングシアター(B2F)
http://www.beatiii.jp/seminar/seminar-map37.pdf

■定員
180名(お早めにお申し込みください)

■参加方法
参加希望の方は、BEAT Webサイト
http://www.beatiii.jp/seminar/
にて、ご登録をお願いいたします。

■参加費
無料

■内容
1. 趣旨説明 13:00-13:10
山内 祐平 (東京大学 准教授)

2. BEAT 2008年度成果報告 13:10-14:10

▼休憩

3. 基調講演 14:25-15:05

「メディアの変遷から見るモバイル学習(仮題)」
赤堀侃司 (東京工業大学 教育工学開発センター 教授)

4.パネルディスカッション 第1部 15:05-15:45
「教育工学25年の歴史から考えるデジタル教材の未来」
司会:
山内祐平(東京大学 准教授)
パネラー:
赤堀侃司(東京工業大学 教育工学開発センター 教授)
新井健一(株式会社ベネッセコーポレーション 執行役員)
向後千春(早稲田大学 人間科学部 准教授)

5.参加者によるグループディスカッション 15:45-16:05

▼休憩

6.パネルディスカッション 第2部 16:15-17:00

*終了後、懇親会(有料)

後援:日本教育工学会

2009.01.24

【クローズアップ教材】大学とオープンコンテンツ

みなさまこんにちは。
【クローズアップ教材】第6回は、M1の岡本がお届けいたします。
今回取り上げるのは、カーネギーメロン大学から提供されている、Open Learning Initiativeです。

実は私は最近まで、より多くの人がより簡単に大学にある知識にアクセスできるようになる「オープンコンテンツ」の動きがこんなに盛んだということを知りませんでした。
というわけで今回は、オープンコンテンツの例としてOpen Learning Initiativeに触れながら、大学の意義などについて私が感じたことも少し書かせていただきたいと思います。

さっそくOpen Learning Initiativeのトップページ(http://www.cmu.edu/oli/index.shtml)をひらいてみましょう。
そして、左上のタブから「open&free contents」をクリックすると、ウェブ上に無料で公開されている様々な教材のラインナップが見られます。
現在、統計、化学、経済、フランス語、物理などのコンテンツが公開されていることが分かります。
試しに「Engineering Statistics」を覗いて見ると、このOpen Learning Initiativeの特徴が良く分かります。
いちばん上には「このコースの使い方」そして「統計とは」というチュートリアルがついており、初めてここにアクセスし、コンテンツを理解しようとする人にとってはかなり親切な作りになっています。
また、実際の学習内容もかなり分かりやすく整理されています。
まるで予備校のテキストみたい!...すごいですね。
もちろん言語は英語ですが、この内容のまとまり方を考えると、(少しでも知識のある分野であれば)英語学習の教材としても使えそうです。

このOpen Learning Initiativeを提供しているカーネギーメロン大学は、アメリカでも有数の名門大学です。
ちょっと考えると、大学がこのように親切丁寧な教材を無料で公開しているのか不思議ではないでしょうか?
私はこうした現象は、社会における大学の位置づけについて考えるひとつのきっかけになると思います。
大学は知識を生産し、その知識を継承する場であり、こうした活動を担う人間を育成してきました。
その中で、大学が「象牙の塔」であるという批判もありましたが、現在は世界的な「大学の大衆化」が進んでいる状況があります。
これに伴う様々な問題もありますが、これまでに作られた知識の体系にアクセスできる機会が増えるという点では、喜ばしいことではないでしょうか。
もう既に存在する「知識」を広く開放すれば、知識生産に様々な形で関わることのできる人が増え、大学はより新しい知識をよりたくさん生み出すことができます。

大学を愛する者として、やや「大学バンザイ」側に偏った意見かもしれませんが、すばらしくまとまったOpen Learning Initiativeを見て、以上のようなことを考えていました。

[岡本 絵莉]

2009.01.21

【エッセイ】一枚の布

月曜日に開かれたEduce Cafeで、ゲストの榎本寿紀さんにとても楽しいミニワークショップをしていただきました。

・大きな一枚の布をみんなで波打たせて空気を入れます。
IMG_0081.jpg

・内側からすそをしぼると、うみぼうずのできあがり。
IMG_0105.jpg

・中から見るとかまくら風です。

IMG_0100.jpg

・外でもやってみました。モダンアートのようです。
IMG_0130.jpg

榎本さんは小さい頃ふとんのシーツをばたばたさせるのがとても楽しくて、お母さんに怒られていたそうですが、原体験のおもしろさにこだわり続けて、どんな人でも面白いと感じられる活動に昇華させたのはさすがです。個人的な経験をつきつめるところに、アイデアの創造の源があるのかもしれません。

[山内 祐平]

2009.01.16

【クローズアップ教材】the encyclopaedia of informal education

【クローズアップ教材】第5回は、M1大城が担当させていただきます。
今回ご紹介させていただくオープンコンテンツはこちらです。

the encyclopaedia of informal education(「インフォーマル・エデュケーション百科事典」)
http://www.infed.org/encyclopaedia.htm

これは、インフォーマル・エデュケーション、ソーシャル・アクション、
生涯学習の理論と実践について探索できるスペースの提供を目的とした
オープンかつ非営利のサイト"infed.org"(http://www.infed.org/)のコンテンツの1つです。

informal educationに関わる事柄を理論・思想家等の名前から簡単に検索することができます。
たとえば、アルファベット順からドナルド・A・ショーンを探してみると...ありました!

"Donald Schon (Schn): learning, reflection and change"
http://www.infed.org/thinkers/et-schon.htm

ショーンの経歴から始まり、ダブルループ・ラーニング、
省察的実践者の行為の中の省察と行為についての省察などが説明されています。
ショーンの書籍紹介や、関連する参考文献の記載も充実しています。

今、山内研ゼミではショーンの"Educating the Reflective Practitioner"を毎週講読していますが、
ショーンの理論や考え方、あるいは文献の中に出てくる他の理論や思想家の名前など、
ちょっとわからなくなってしまった時に気軽に引くことができます。

あらゆる分野について、そのごくごく大まかな話を知りたい場合、
Wikipediaは気軽に引くことができ、便利です。
しかし、各分野に特化したもの、特に文献を引いて論文形式で書かれている
infed.orgのようなサイトは、そのもっと深い部分を知りたい時には、より重宝すると思います。

informal learningと銘打ってはいますが、informalでなくても、
教育一般でちょっと用語・人名に詰まった時には引いてみる価値は十分あると思います。

皆様も、気になる言葉をぜひ探してみてください。

[大城 明緒]

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