BLOG & NEWS

2008.11.25

【エッセイ】変わる秋葉原

研究室がある本郷キャンパスは秋葉原に近いので、足りない部品があると秋葉原に買いに行きます。
街を歩いていると気づくのが、売れている情報機器の変化です。
ネットブック、それも5万円以下のものばかり売れています。ちょっと前までは2台目ねらいの30代男性が多かったのですが、最近は10代後半から20代前半の女性も増えてきているようです。
この背景にあるのが、ウェブにアクセスできれば多くのサービスを享受できる「クラウドコンピューティング」です。端末はネットにつながってウェブが使えれば十分で、サービスの本体はネットの向こう側にあるという仕組みです。
ネットブックの普及が、ケータイ中心だった日本人の情報行動にどういう変化をもたらすのか、学習支援サービスにどう影響するのか、注意深く見守っていく必要がありそうです。

[山内 祐平]

2008.11.20

【みんなの授業】「文化・人間情報学研究法3」


「みんなの授業」第6回は、M1の岡本がお送りいたします。
今回は、今年度の夏学期に開講された「文化・人間情報学研究法3」をご紹介します。

「文化・人間情報学研究法3」は、山内祐平先生と水越伸先生が担当されている、
講義+実践形式の授業です。

~前半:講義~
様々な領域で行われている実践研究の概要や、ワークショップのデザインの基本、
その内容の評価の仕方について、講義形式で学びます。
講義形式と言っても、質疑応答やディスカッションももちろんあります。
「なぜ実践研究なのか」という点や研究の方法論については、講義の後にも、他の
受講者と話が盛り上がったりしました。

~後半:実践~
グループに分かれてワークショップ案を作成し、実践します!
もちろん実践するだけではありません。
自分たちが企画・実践したワークショップの評価も行い、その結果を発表します。
なお、結果の発表は授業の受講者だけでなく、過去にこの授業を受講していた
先輩や卒業生の方などにもお越しいただきました。


今期は約20名が受講していたのですが、「仕事としてワークショップに関わった経験
がある」という人や「ここに来るまでワークショップなんて知らなかった」という人など、
いろいろな人がいました。
当然、各自の研究テーマや専門も様々です。
そうした中で、興味・関心をすり合わせ、一からワークショップを企画・実践していくのは、
予想とは違う難しさがあります。
ワークショップのアイデアを考える中で、「参加してくれる人に、普段使わない頭の部分を
使ってほしいよね」ということを何度も話したのですが、「普段使わない頭の部分」をいちばん
使ったのは、私たち受講者ではないかとさえ思いました。

今年は、「色」「音」「声」「人生ゲーム」などをキーワードにしたワークショップが企画・実践
されました。
本実践までの間に、グループメンバーや先生方とミーティングを重ね、場合によっては
複数のプレ実践を行い、案を練り上げて行きます。

途中、思いもよらない発見やトラブルがあり、どのグループも大変だったようです。
でも実際のワークショップで、参加者の方から「こういうところが面白かった!」と、思っても
みなかった部分でのフィードバックをもらったときには、純粋に楽しいと感じました。

もちろん、修士の研究で手法としてワークショップを用いる人はほんのわずかです。
でも、「研究対象、あるいはそれに関連のある事柄に積極的に関わる機会を持つことで、
いかに多くの知見を得られるか」については、この授業で多少なりとも感じることができたの
ではないかと思います。

個人的には、「他の人と協同してひとつの企画をつくりあげていくことの難しさ、楽しさ」に
ついても、考えさせられる部分がありました。
自分の考えをきちんと伝えながら、他の人の考えを聞き、「じゃあ、こうしたら良いかもね!」と
新たなかたちが生まれるプロセスは、難しくもワクワクするものです。
一緒に企画をしたグループのメンバーには、感謝することもいろいろあります。
他の研究室の院生と交流する機会としても、こうした授業は貴重だと感じました。

きっと来年も開講されると思うので、どんなワークショップとそれにともなうドラマが展開される
のか、楽しみです。


[岡本 絵莉]

2008.11.17

【イベント】アートワークショップで子どもの可能性をひらく

今回のBEAT Seminarでは、最近ブームになっている教育動向として、アート的な
活動を中心とした子ども向けワークショップをとりあげます。
都内で休日に行われるこの種のワークショップは、有料のものでも満席になるこ
とが増えており、学校教育や家庭学習とは違った新しい学びの場に成長してきて
います。
アート的な活動をワークショップに組み込んでいるワークショップ実践者をお招
きし、その可能性と課題を探ります。

―――――――――【2008年度 第3回 BEAT Seminar概要】―――――――
■主催
東京大学 大学院 情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座

■日時
2008年 12月6日(土)午後2時より午後5時まで

■場所
東京大学 本郷キャンパス 情報学環・福武ホール(赤門横)
福武ラーニングスタジオ(B2F)
http://www.beatiii.jp/seminar/seminar-map36.pdf

■定員
50名(お早めにお申し込みください。)

■参加方法
参加希望の方は、BEAT Webサイト
http://www.beatiii.jp/seminar/?rf=bt_m054-1
にて、ご登録をお願いいたします。

■参加費
無料

■内容
1.趣旨説明 14:00-14:15

山内祐平(東京大学大学院 情報学環 准教授)
森 玲奈(東京大学大学院 学際情報学府)

2.講演 14:15-16:00(休憩適宜含む)

●事例紹介1:~玉川小学校での実践事例ほか~
杉浦幸子氏(京都造形芸術大学)

●事例紹介2:~愛・地球博での実践事例~
紫牟田伸子氏(日本デザインセンター)

3.参加者によるグループディスカッション 16:00-16:30

4.パネルディスカッション 16:30-17:00
 『子どもを対象としたアートワークショップの可能性とは?』
司会:山内祐平(東京大学大学院 情報学環 准教授)
パネラー:
 杉浦幸子氏(京都造形芸術大学)
 紫牟田伸子氏(日本デザインセンター)
 森 玲奈(東京大学大学院 学際情報学府)

2008.11.14

【みんなの授業】「デジタル教材のクリティーク」

「みんなの授業」第5回はM1大城がお送り致します。
今回は、今年度冬学期、まさに今開講されている
「文化・人間情報学特論Ⅹ デジタル教材のクリティーク」をご紹介いたします。

「デジタル教材のクリティーク」は、山内祐平先生と望月俊男先生が担当されている演習形式の授業です。

近年様々な場面で活用されているデジタル教材:

①Goal Based Scenario: TARA-REBA eラーニング
②シリアスゲーム: Virtual U
③協調学習環境: Knowledge Forum
④構築主義的学習環境: PicoCricket

について、

・教材を実際に体験すること
・教材の背後にある支援理論を理解すること
・その教材を改善するにはどうすれば良いかを皆で考えること

を通じ、その理論・設計・評価を深く理解することが目的とされています。

各教材は、3~4名の受講者で担当し、
それぞれのテーマを3週にわたり、以上のような流れで扱います。


1つ1つのデジタル教材をじっくりと時間をかけて味わい、批評するという
魅力的な授業内容もさることながら、さらに面白いのが、その「方法」です。

この授業、なんとプレゼンテーションがインタラクティブに行われるのです!

授業では、受講者一人一人がタブレットPCを使います。
ここで登場するのがソフトウェア「MEET Borderless Canvas」です。

受講者は、自分のPCの画面上で発表者のスライドをリアルタイムで見て、
さらに、それにペンで直接コメントを書き込むことができます。
その書き込みがまた教室前面のスクリーン、そして受講者の全てのPCに同時に反映されます。
つまり、受講者は、プレゼンテーションを聞きながら「つっこみ」を入れることができ、
それを皆で共有することができるのです。

私は最初の教材の発表担当だったため、他の受講者よりも一足早く、
"リアルタイムで「つっこみ」を入れられるプレゼンテーション"
というものを体験しました。

その結果、普段のPowerPointを使った普段のプレゼンテーションよりも
はるかに緊張すると同時に、ワクワクしました。

スライドに「?」マークが描かれると、
「あ、今の説明、まずかったかな?」
「そこは発表の準備をしながら、自分でも自信がないところだった、図星だわ...。」
と思ったり、

はたまた「にこにこ笑顔」のマークが描かれると、
「今のところ、うまく説明できたかな?」
「この部分の理論は、みんなも面白いと思ったんだな!やっぱり!」
と安心したりすることができました。

リアルタイムのつっこみに対応しつつプレゼンテーションを進められればよいのですが、
用意したスライドを先に進めるので精一杯で、なかなかそうもいかず...。

それにしても、リアルタイムで皆でつっこみを入れると、
小さな質問から大きな質問まで、その「つっこみ」がどんどん画面上に貯まって行きます。
プレゼテーション終了後に、その書き込まれたスライドを振り返りながら
みんなで行う質疑応答のなんと弾むこと!

新しい技術を導入すると、それを使う人間の側にも新しいスキルが求められる、
ということを改めて実感するとともに、
それによって可能になる新しい活動に対するワクワク感の方が、
不安や戸惑いを上回ることを感じています。

残りの授業も楽しみです!

[大城 明緒]

2008.11.12

【エッセイ】英語コンテンツの価格破壊

大統領選のときに主要TVネットワークのサイトをチェックしていて気がついたのですが、CBSのイブニングニュースがオンラインで見れるようになっています。(選挙の際には生放送のストリーミングまでしていました。)

http://www.cbsnews.com/video/eveningnews/

他にも硬派のドキュメント番組として有名な60minutesもまるごと配信されています。

http://www.cbsnews.com/video/60minutes/

ちょっと前までABCの有料サービスを使っていたのですが、映像情報が無料になっていくスピードには驚くべきものがあります。

昔英語を学習する際は、素材としてのこの手の映像を手に入れるだけで相当な出費が必要でした。それを考えればずいぶん敷居が下がっているのではないかと思います。
もちろん素材を見ているだけで学習が完結するわけではないので、このプロセスを加速する仕組みは必要です。ただ、ネットの普及によって、外国語学習の焦点が、コンテンツからプロセスのサポートに移っていくのは時代の必然でしょう。

[山内 祐平]

2008.11.07

【みんなの授業】「学際情報学概論」

「みんなの授業」第4回目はM1の池尻がお送りいたします。
今回は、情報学環の各教員が担当する「学際情報学概論」について紹介させていただきます。

この授業は学際情報学府の全学生が受ける唯一の必修科目で、1年間続きます。形式としてはパワーポイントを使った一斉講義形式なのですが、特筆すべきは教員の専門の多様性です。

普通、大学の授業というと一人の教員が一つの専門的な内容を教えていく形が主流で、複数の教員で行われる授業でも同じ分野内の話をすることが多いと思います。ところが、この講義では分野に際限はありません。教員は、理系、文系が混ざっており、取り扱う内容も様々です。

では実際に、2008年の夏学期に行われた授業の内容を順に見てみましょう。
(私が講義内容から自分でタイトルを付けています。)
①学際情報学府とは何か
②新世代ネットワークインフラストラクチャー
③ユビキタス情報社会基盤の形成
④ユビキタス空間情報基盤
⑤学際とは?学環とは?ある生物学者のライフヒストリー
⑥身体運動と脳の相互作用
⑦メディアの歴史
⑧循環系システム(主に血管)とシミュレーション
⑨情感的な立体造形の創作技術
⑩地球温暖化を止める切り札 風車
⑪テレビゲームの子どもへの影響
⑫情報環境の変化と知的財産権
⑬映像社会学の招待

さて、どうでしょうか?一応どの授業も「情報」がキーワードにはなっていますが、システムの話もあれば、最新の技術の話、社会学的な話、文系的な話まで幅広く扱われていることがわかると思います。これは、情報学環という組織自体が「百学連携」「文理融合」を理念に掲げ、様々な教員が全国から集結しているがゆえにできることだと思います。その意味では、もっとも情報学環らしい授業、「文理融合」を具現化した授業だと言えると思います。

でも実際のところ、私は歴史学と教育学が専門なので、最初は理系の話についていけるかなと心配していました。ところが、教員の方は色々な専門の生徒が集まっていることを理解した上で、システムの仕組みから社会学的な影響、さらには生の人間との関わり方まで幅広く説明をしてくれるので、「へえ、こんな技術があるんだ。ほう、社会ではこう活かせるのか。使う人間のこともこういう風に考えてるのか!」と非常に興味深く聞けました。

不思議なのは、歴史学と教育学を専門にしている私からすれば、例えばユビキタス技術なんて全く別の世界だったのに、講義を受けてみると頭の中でユビキタスと歴史学と教育学が混ざり合っていくような感覚になることころです。そして、ユビキタス技術を用いた歴史教育の在り方が、教材レベルから博物館のような社会的な空間のレベルまでぼんやりと見えるようになるのです。まさに、頭の中で「文理融合」が起こっているのです。

普通、大学院は自分の専門をより深く掘っていく場所なのですが、学際情報学府では深い専門同士を混ぜあって新しい境地を掘っていくという特徴があるのかもしれません。

なお、この講義はe-learningによる受講も可能で、一部は一般の方でも情報学環のサイト内にあるiii-onlineから閲覧することができます。是非、一度見てもらって、みなさんの頭の中でも「文理融合」が起こる瞬間を楽しんでみて下さい。

[池尻 良平]

2008.11.04

【エッセイ】ネットで集めてリアルを動かす

アメリカ大統領選挙の投票が始まりました。選挙結果の如何に関わらず、この選挙は歴史に残る選挙になるでしょう。オバマ陣営にネットを通じたクレジットカード小口献金を中心に621億円という史上空前の選挙資金が集まったからです。この巨額の資金によって、主要テレビネットワークに30分CMを流したり、ネットを通じて集まったボランティアの組織化を行うことが可能になりました。
ネットは今までお金が集まりにくいメディアだと思われてきました。テレビなどのマスメディアとの相乗効果があったとはいえ、これだけの金銭的価値が動いたことは、今後の社会変革的なプロジェクトに大きな影響を与えるでしょう。
ネットで集めた価値をリアルな人を動かすことに転化させる新しい方程式は、今後様々な領域で使われそうです。

[山内 祐平]

2008.10.30

【みんなの授業】「アーカイブの世界」

 私たちが受講している/していた授業をご紹介するシリーズ「みんなの授業」第3回は,M2の林向達がお届けします。
 今回は,小川千代子先生による「アーカイブの世界」(文化・人間情報学基礎4)をご紹介いたします。

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 情報学環・学際情報学府に限らず,組織はアーカイブと無縁ではありません。組織活動をすれば,記録書類が発生し,それを利用したり保管したりする必要があります。

 利用されなくなった記録をいつまで残すのかは,組織によっても,記録内容によっても異なりますが,残すと決まれば,様々な処理を施されて「アーカイブ」されるわけです。

 ところが,私たちは情報の発生や利用,流通,影響効果などには比較的強い興味を抱きますが,情報の消滅や記録の永続的保存といった事柄にはあまり注意を払ってきたとはいえません。

 この授業では,記録を残すことの意味から実際に記録を残す現場へと足を運ぶなど,アーカイブの世界への扉を開き,理解を深めていきます。

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 情報の記録を残していく「アーカイブ」。この世界で活躍されているのが小川千代子先生です。小川先生は組織の文書管理から始められて,大学史編集,公文書館のような組織への関わりを深められています。日本のアーカイブ界の重鎮といってもよいでしょう。

 私自身は「記録」に対する関心から小川先生の著書など触れたことがありましたが,先生が学際情報学府で授業をしていることを入学してから知り,迷わず受講することにしました。

 授業では,組織の中で文書がどのように生成され,どのように管理され,どのように利用され,そして使い終わった文書はどのような処理を経て処分或いは保管されるのか。そのような文書のライフサイクルについて学びつつ,記録された情報を残すとはどういうことなのかを,根本にまで戻って考え学びます。

 そして実際に,アーカイブと呼ばれる現場へ出掛け,様々な記録保存を知ります。安田講堂内にある東京大学大学史史料室を皮切りに,国立公文書館,松本市文書館,板橋区公文書館などにお邪魔しました。

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 この授業で「記録を残す」ということの重要性を認識し始めると,いかに私たちの日常でそのことへの意識が薄いかを思い知ります。

 いちいち記録を残すことに何の意味があるのか,知られたくない情報を記録保存することへの抵抗感もあるでしょう。すでに膨大な情報が流通しているというのに,あれこれ記録を残しても,ゴミを増やすだけじゃないかと思うのも無理はなのかも知れません。

 しかし日本という国は,つい最近まで,公文書というレベルにおいてさえ,記録を残して保管し,あとで参照できるようにするということに無頓着でした。ある意味では自分たち自身で歴史を刻む責任を曖昧にしていたともいえます。

 また,記録に対するそうした関心の薄さが,ひいては学問研究の蓄積ということへの理解にも影響を与えてしまっているのかも知れません。

 記録を残すということへ理解を深めるということは,研究に携わる人びとはもちろんのこと,今を生きる私たち全員が必要としていることだと思います。

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 最後には,授業で学んだ成果や自分たちの関心につなげた原稿を書いて,本として出版しようという計画が進められたりします。これも1つのアーカイブというわけです。

 皆さんも是非,アーカイブの世界に触れてみてください。

[林 向達]

2008.10.29

【イベント】UTalk:人と動物のおつきあい

福武ホールのUT Cafeで毎月開催しているトークイベント「UTalk」。11月は、中国や日本で人と自然環境の関わりについてフィールドワークを重ねている菅豊さん(東洋文化研究所 教授)に、調査にまつわるエピソードや自然とのつきあい方の文化についてお話をうかがいます。いい季節ですので、キャンパス散歩とセットでいかがでしょうか。

日時: 11月8日(土)午後2:00~3:00
場所:UT Cafe BERTHOLLET Rouge
(東京大学 本郷キャン パス 赤門横)
料金:500円(事前申し込み制/ドリンク付き)
定員:18名
申し込み方法: (1)お名前 (2)ご所属 (3)ご連絡先(メール/電話)
(4)イベントをお知りになったきっかけ、をご記入の上、utalk2008@ylab.jp までご連絡をお願いいたします。

2008.10.24

【みんなの授業】「組織学習システム論」

「みんなの授業」第二回目はM2の牧村がお送りします。
中原淳准教授による『組織学習システム論』についてご紹介させていただきます。

この授業では、学校以外で行われる学習、具体的には「企業・組織での学習」に関連した文献講読を行いました。
熟達化と経験、経験による成長、成人教育学という思想、組織と物語、コミュニティと学習、組織学習と転移、組織学習論、組織開発手法の実際、知識創造経営論、組織文化の中での学習、ネットワークと学習、アクターネットワーク・ワークプレイス研究、という風に、各回にテーマがあります。

主に受験生の方が見てくださっているブログということなので、詳しい内容については入学後のお楽しみということにして、今回は、私たち学生がどんな風に授業に「参加」しているのかということについて書いてみたいと思います。

授業の形式は、以下のようになっています。
まず、二人の学生が一つのテーマを担当し、文献を読んで発表します。
その後に参加者でディスカッションをします。
テーブルごとに4,5名ずつで話し、その後全体で共有するというスタイルで行われました。
発表は、そのディスカッションテーマの提案まで含めたものになります。

中原先生は
・組織における知識共有、学習に関心のある学生
・組織のおける人材育成、人間の成長に関心のある学生
・組織変革や文化の構築等に関心のある学生
という履修者を想定していたようですが、これらのことに関心を持って集まったとは言え、文系の人もいれば理系の人もいます。
もちろん、研究領域も異なります。
それぞれの参加者が、自分の研究関心という「戻るところ」を持っていて、その上で同じテーマについて議論しているからこそおもしろいのかなということを感じました。

また、中原先生はディスカッションの中で、ご自身もこれについては悩んでいる、ということを時々おっしゃいました。
授業というと、何かを「教わる」というイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。
でも、この授業は、先生も頭を悩ませて、まさに現在進行形で研究していらっしゃるテーマについて、一緒になってディスカッションすることができるのです。
そうか、私たちは「わからないこと」を探求したくて研究をしているんだ、ということ、そして、それは「先生」と呼ばれる人であっても同じなんだ、ということを改めて実感した授業でした。

話は少しそれますが、私達は、「学際情報学府」という「学際的」な場所で、学生や先生が研究室や研究領域を越えて日常的に話ができるような場を作るため、福武ホールでHappy Hourというイベントをしています。
今年5月にスタートし、現在既に8回開催しています。

授業でも再三このイベントの宣伝をさせていただいたせいか、中原先生が、「組織学習システム論」の最終回に、私たちのHappy Hourという場を使ってくださいました。
各回のテーマを印刷したカードを用意し、大きな模造紙を広げてその上で並べ替えたり、線でつないだりしながら、皆でディスカッションをし、それぞれの関係性を考えました。

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また、今回の授業の中で、「ネットワーク分析」について紹介する部分を担当した人が、その手法を使い、関係を可視化するプログラムを書き、お披露目してくれました。
この授業の履修者の「ネットワーク」を分析したものです。

P1010851.jpg

こんな風に、教室という空間を離れた場所にも学びが飛び火した授業でした。
福武ホールというパブリックな場所で行っているため、履修者以外の人がやってきて、話に加わってくれることもありました。
回の終わりには、できあがった模造紙を広げて記念撮影。

P1010911.jpg

「授業」にはこんなかたちもあるということを、少しでも想像していただけたら嬉しいです。

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