2008.11.07

【みんなの授業】「学際情報学概論」

「みんなの授業」第4回目はM1の池尻がお送りいたします。
今回は、情報学環の各教員が担当する「学際情報学概論」について紹介させていただきます。

この授業は学際情報学府の全学生が受ける唯一の必修科目で、1年間続きます。形式としてはパワーポイントを使った一斉講義形式なのですが、特筆すべきは教員の専門の多様性です。

普通、大学の授業というと一人の教員が一つの専門的な内容を教えていく形が主流で、複数の教員で行われる授業でも同じ分野内の話をすることが多いと思います。ところが、この講義では分野に際限はありません。教員は、理系、文系が混ざっており、取り扱う内容も様々です。

では実際に、2008年の夏学期に行われた授業の内容を順に見てみましょう。
(私が講義内容から自分でタイトルを付けています。)
①学際情報学府とは何か
②新世代ネットワークインフラストラクチャー
③ユビキタス情報社会基盤の形成
④ユビキタス空間情報基盤
⑤学際とは?学環とは?ある生物学者のライフヒストリー
⑥身体運動と脳の相互作用
⑦メディアの歴史
⑧循環系システム(主に血管)とシミュレーション
⑨情感的な立体造形の創作技術
⑩地球温暖化を止める切り札 風車
⑪テレビゲームの子どもへの影響
⑫情報環境の変化と知的財産権
⑬映像社会学の招待

さて、どうでしょうか?一応どの授業も「情報」がキーワードにはなっていますが、システムの話もあれば、最新の技術の話、社会学的な話、文系的な話まで幅広く扱われていることがわかると思います。これは、情報学環という組織自体が「百学連携」「文理融合」を理念に掲げ、様々な教員が全国から集結しているがゆえにできることだと思います。その意味では、もっとも情報学環らしい授業、「文理融合」を具現化した授業だと言えると思います。

でも実際のところ、私は歴史学と教育学が専門なので、最初は理系の話についていけるかなと心配していました。ところが、教員の方は色々な専門の生徒が集まっていることを理解した上で、システムの仕組みから社会学的な影響、さらには生の人間との関わり方まで幅広く説明をしてくれるので、「へえ、こんな技術があるんだ。ほう、社会ではこう活かせるのか。使う人間のこともこういう風に考えてるのか!」と非常に興味深く聞けました。

不思議なのは、歴史学と教育学を専門にしている私からすれば、例えばユビキタス技術なんて全く別の世界だったのに、講義を受けてみると頭の中でユビキタスと歴史学と教育学が混ざり合っていくような感覚になることころです。そして、ユビキタス技術を用いた歴史教育の在り方が、教材レベルから博物館のような社会的な空間のレベルまでぼんやりと見えるようになるのです。まさに、頭の中で「文理融合」が起こっているのです。

普通、大学院は自分の専門をより深く掘っていく場所なのですが、学際情報学府では深い専門同士を混ぜあって新しい境地を掘っていくという特徴があるのかもしれません。

なお、この講義はe-learningによる受講も可能で、一部は一般の方でも情報学環のサイト内にあるiii-onlineから閲覧することができます。是非、一度見てもらって、みなさんの頭の中でも「文理融合」が起こる瞬間を楽しんでみて下さい。

[池尻 良平]

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