2008.10.24
「みんなの授業」第二回目はM2の牧村がお送りします。
中原淳准教授による『組織学習システム論』についてご紹介させていただきます。
この授業では、学校以外で行われる学習、具体的には「企業・組織での学習」に関連した文献講読を行いました。
熟達化と経験、経験による成長、成人教育学という思想、組織と物語、コミュニティと学習、組織学習と転移、組織学習論、組織開発手法の実際、知識創造経営論、組織文化の中での学習、ネットワークと学習、アクターネットワーク・ワークプレイス研究、という風に、各回にテーマがあります。
主に受験生の方が見てくださっているブログということなので、詳しい内容については入学後のお楽しみということにして、今回は、私たち学生がどんな風に授業に「参加」しているのかということについて書いてみたいと思います。
授業の形式は、以下のようになっています。
まず、二人の学生が一つのテーマを担当し、文献を読んで発表します。
その後に参加者でディスカッションをします。
テーブルごとに4,5名ずつで話し、その後全体で共有するというスタイルで行われました。
発表は、そのディスカッションテーマの提案まで含めたものになります。
中原先生は
・組織における知識共有、学習に関心のある学生
・組織のおける人材育成、人間の成長に関心のある学生
・組織変革や文化の構築等に関心のある学生
という履修者を想定していたようですが、これらのことに関心を持って集まったとは言え、文系の人もいれば理系の人もいます。
もちろん、研究領域も異なります。
それぞれの参加者が、自分の研究関心という「戻るところ」を持っていて、その上で同じテーマについて議論しているからこそおもしろいのかなということを感じました。
また、中原先生はディスカッションの中で、ご自身もこれについては悩んでいる、ということを時々おっしゃいました。
授業というと、何かを「教わる」というイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。
でも、この授業は、先生も頭を悩ませて、まさに現在進行形で研究していらっしゃるテーマについて、一緒になってディスカッションすることができるのです。
そうか、私たちは「わからないこと」を探求したくて研究をしているんだ、ということ、そして、それは「先生」と呼ばれる人であっても同じなんだ、ということを改めて実感した授業でした。
話は少しそれますが、私達は、「学際情報学府」という「学際的」な場所で、学生や先生が研究室や研究領域を越えて日常的に話ができるような場を作るため、福武ホールでHappy Hourというイベントをしています。
今年5月にスタートし、現在既に8回開催しています。
授業でも再三このイベントの宣伝をさせていただいたせいか、中原先生が、「組織学習システム論」の最終回に、私たちのHappy Hourという場を使ってくださいました。
各回のテーマを印刷したカードを用意し、大きな模造紙を広げてその上で並べ替えたり、線でつないだりしながら、皆でディスカッションをし、それぞれの関係性を考えました。
また、今回の授業の中で、「ネットワーク分析」について紹介する部分を担当した人が、その手法を使い、関係を可視化するプログラムを書き、お披露目してくれました。
この授業の履修者の「ネットワーク」を分析したものです。
こんな風に、教室という空間を離れた場所にも学びが飛び火した授業でした。
福武ホールというパブリックな場所で行っているため、履修者以外の人がやってきて、話に加わってくれることもありました。
回の終わりには、できあがった模造紙を広げて記念撮影。
「授業」にはこんなかたちもあるということを、少しでも想像していただけたら嬉しいです。