2019.06.11

【研究計画】新規事業における中堅管理職の経験学習(D4田中聡)

D4の田中聡です。私は「新規事業×中堅管理職の学び」をキーワードに研究をしています。


これまで12年間の民間企業での実務経験から「経営環境の変化に対して非連続な組織変革を牽引して経営を舵取りできる経営人材が日本企業には圧倒的に少ない」という問題意識を持つに至り、次世代経営人材である中堅管理職の育成に強い関心を持っています。
新規事業という経験に着目し、新規事業を創る過程で大企業の中堅管理職が誰からどのような支援を受けて何をどのように学んでいるのか、という学びの全体像を明らかにし、経営人材の育成に資する実践的な知見を創出したいと考えています。


現在、山内研究室在籍者の中で「社会人の学び」を研究テーマにしているのは私ただ一人です。
こう聞くと「え?研究は前に進むの?」と疑問に思われるかもしれません。ただ、そのような心配は無用です。むしろ専門領域が異なる(とはいえ「学習研究」という意味では共通項のある)山内研究室のメンバーとディスカッションをする中で発見することはとても多く、私にとってゼミは研究を前に進める上で貴重な学びの場になってます。


例えば、専門領域が近い研究者コミュニティ(例えば、私の場合であれば管理職研究者など)内では改めて問われることのないような質問が、研究室メンバーからはごく自然に投げかけられます。
つい先日のゼミでも、私の研究内容に対してあるメンバーから「経験学習」とはどういう意味で用いているのか?という質問を受けました。それがきっかけとなり、あらためて社会人学習の文脈で経験学習がどのように論じられてきたのかを考えることができました。


こうした「当たり前に問いを立てる機会の多さ」こそが、「学習」という共通の軸を共有しながら多様な研究フィールドを持つ山内研究室ならではの強みであり、コミュニティとしての魅力ではないかと私は思います。

「学習」に関心があるすべての方に開かれている研究室だと思いますので、ぜひ山内研究室に興味をお持ちの方は気軽に見学にお越しください。

【田中聡】

2019.05.31

【研究計画】美術鑑賞における協調学習のデザインに関する研究(D3平野智紀)

D3になります平野です。私は、美術館や学校教育で広がりを持ちつつある、美術史などの知識だけでなく、鑑賞者同士の対話から美術作品の鑑賞を深めていく手法としての「対話型鑑賞」について実践・研究しています。私の研究では、対話型鑑賞を協調学習の一場面として捉え、鑑賞者同士の学習支援と、ナビゲイター(ファシリテーター)による情報提供の両面から、よい鑑賞をつくるための活動のデザインについて検討しようとしています。研究フィールドとしては、京都造形芸術大学のACOP(アート・コミュニケーション・プロジェクト)にお世話になっています。

博士課程も3年めになり、最近とみに考えていることとしては、私の研究は「何学」に属するのか? ということです。美術という領域でやっているということで、私の研究を「美術科教育」として捉えようとすると、私自身は教員ではなく、研究としても正規の小中学校・高校の図画工作・美術科の授業をフィールドにしているわけではありません。あるいは、美術館で取り入れられる手法を研究しているということで「ミュージアム研究」として扱おうとすると、私は美術館の学芸員ではなく、美術館での実践を研究にしているわけではありません。山内研のメインである研究領域は「教育工学・学習科学」だと思いますが、教育工学・学習科学で美術領域での研究が多いかというと、全然そんなことはありません。ただ、協調学習というメガネで対話型鑑賞を研究することに意義があると信じて(?)、山内研に所属しているところはあります。

この、ある種の座り心地の不安定さは、対話型鑑賞自体がさまざまな学問や実践の「間」(美術と教育の間、学校と美術館の間、教授と学習の間)で起こっている事象であるということを示しているとも言えると思っています。山内研は学際情報学府という、東京大学の中でも学部を持たない独立した大学院組織に属しており、「学際」=学問の際(きわ)にあたる研究をしている人たちが集まる大学院ですので、そうなるのも自然かもしれません。

私は社会人院生で、現在はあいちトリエンナーレ2019のボランティア育成等に携わっており、研修講師のため毎月1回名古屋・豊田にお邪魔しています。8月から始まるガイドツアーでは、対話型鑑賞の考え方を取り入れたツアーが実施される予定です。今年は9月の日本教育工学会秋季大会が名古屋開催ですので、よろしければ現代アートの対話型鑑賞を体験しに、あいちトリエンナーレにぜひいらしてください。

(私の研究のねらいは、こうした機会にナビゲイターを務めるみなさんが困ったときの指針となる実践的知見を提供することだと思っています)

平野智紀

2019.05.27

【研究計画】幼児の物語行為を支援するシステムデザインに関する研究(D6佐藤朝美)

博士課程の佐藤です。

私の研究ーテーマのキーワードは「物語・ナラティブ」です。
聞き慣れない言葉かもしれませんが、ナラティブ研究では、物語っていく過程における「語り手」だけでなく「聞き手」の役割にも着目します。本ブログであれば、大学院入試説明会も近いこの時期、「読み手」は山内研究室の進学を検討されている方が多いのではないでしょうか?そんなことを想定しながらブログを執筆したいと思います。

私はD6!ということで、ブログ「研究計画」もうかなりの回数書いておりますが、毎年それなりに目標も知識も増強されていて、学びの螺旋を実感しています。

現在は、デジタル化、テクノロジー化の社会的な動きが、どのようにナラティブ環境を変え、どのような新たなナラティブ研究が登場しているかについて調べ直しをしています。グーテンベルクの活版印刷術が発明される以前、民衆のナラティブを伝える媒体は、口承でした。印刷技術の進歩により、多くの人に印刷物が普及し、カラーの書籍や芸術的な作品が子どもたちの手に渡るようになります。インターネットの普及により、誰でもWebにアクセスするようになり、現在はタブレットやスマホ等、乳幼児を取り巻く環境にデジタルメディアは溢れています。そんな中、ナラティブの表現媒体にデジタル機器を用いる実践研究も増えています。

デジタル・ナラティブ」や「インタラクティブ・デジタル・ナラティブ」と呼ばれる活動においては、今まで表現しえなかった物語が展開され、大きな可能性を感じます。例えば、幼稚園において、ビデオ映像に取りながら物語を作成する共同制作では、映像を友達と確認しながら制作する中で気づきや発見があったり、作品を保護者に共有できることが利点として挙げらています。お絵かきソフトのスタンプ機能から、発話が促され、お話が膨らむ様子も報告されています。マルチメディアによる動機づけは大きく、これまでコミュニケーションを上手く取れなかった子どもの活動に保育者が驚くという展開も見られます。履歴を残すことが可能なデジタル環境では、アウトプットが最終作品ではなく、制作過程そのものがナラティブとして捉えられるのではないかとの議論もあり、物語の概念自体も改めて考えさせられます。

現在行っている博論執筆は、修士研究で行ったシステム制作(「物語行為を支援するソフトウェア」や「親子のオンラインコミュニティ」)をどのように意味づけ、まとめていくかという作業になります。社会人大学院生として、予想を超えてかなり長く在籍してしまいましたが(涙)、お蔭で多くの素敵な院生さんと出会うことができました。

次年度はどんな方が、どんな問題意識を持ち、どんなテーマの研究計画を持って入学されるのか・・・とても楽しみにしております。

佐藤朝美

2019.05.23

【研究計画】興味の深まりに関与する趣味縁の生態系(D3 杉山昂平)

D3の杉山昂平です。

これまで,大人が趣味を続けるなかで新しいおもしろさに出会っていくこと[興味の深まり]に,趣味を通した人間関係[趣味縁]がいかに関与するのかを研究してきました。1つめの研究ではアマチュアオーケストラを事例に楽団という[実践共同体]の関与を,2つめの研究ではアマチュア写真を事例にSNSなどで見られるゆるやかな[実践ネットワーク]の関与を明らかにしています。

今年度は博士論文の執筆にむけて,2つの研究を統合する大きな枠組みを言語化していくことが研究の課題です。


いまのところ,大きな課題が2つあります。

1つめの課題が「社会的意義と学術的意義の接続」です。なぜ仕事ではなく趣味を研究するのか。「趣味程度」のまま自然に放っておけばいいと考えるのではなく,趣味が深まるような環境のあり方を研究することは,社会的にどんな意味があるのか。研究の前提や大きな目的を改めて考え直すことで,趣味を学術的に研究することに社会的な意義づけを与える作業です。

2つめの課題が「総合考察」です。実践共同体に注目したアマチュアオーケストラ団員の研究と,実践ネットワークに着目したアマチュア写真家の研究,両方を行ったことではじめて見えてくることはなにか。研究の大きな目的に対応するかたちで,博士論文全体としての答えを出す作業です。

いずれもとてもチャレンジングな課題です。しっかり時間をかけて考えようと思います。
 

ちなみに,総合考察について考えていることを小出しにしてみると,「いま一緒に趣味をしているわけではないが自分と近しい趣味を追求している人,がある程度近くにいること」が大事な気がしています。楽団を移籍して新しい面白さに出会ったり,写真家の界隈から刺激を受けたりすることは,直接関わりのない他者が別の場所で趣味を楽しんでいないと成り立ちません。そういう意味で,さまざまな趣味人が織りなす「生態系」の豊かさに鍵がありあそうです。

杉山昂平

2019.05.07

【研究計画】興味の深まりを支援する越境的学習環境(M1 渡辺拓実)

こんにちは。山内研M1の渡辺拓実です。
昨年度に東京大学教育学部を卒業し、今年度からは山内研究室で学んでいます。

人の「やりたいこと」はどのように育まれていくのか?

ということについて関心があります。

「やりたいこと」と言われても、
それは、今この瞬間やりたいことなのか、それともこの先やってみたいことなのか、どれくらいやりたいのか
色々あるかとおもいます。

自分が具体的に興味を持っている「やりたいこと」は具体的には以下のようなものです。

1.いくつかの選択肢がある中で、それぞれの選択を吟味した上で決定している
2.自分の生活のほとんどの時間を割くようなもの、もしくは自分でそれほどの価値があると感じているもの
3.比較的長い時間取り組み続けたい、もしくは取り組んでいること

ここでいうやりたいことが学術的に何に当たるのか、自分でもまだ完全には見えていないのですが、「興味」というのが少し近いのかなという風に考えています。
興味には「深まる」という考え方があり、これは僕の言葉でいうと「やりたいことが明確になっていく」ということに近いなという風に解釈しています。

1例を紹介してみたいと思います。
Hidi & Renninger(2006)は興味の深化(develop)には4つの局面があると述べています。

1. 誘発された状況的興味/Triggered situational interest
環境や課題の特徴によって一時的に感情や認知プロセスに変化が引き起こされることによって生じる興味
2. 維持された状況的興味/Maintained situational interest
課題の意義を感じたり積極的参加を行うことを通じ,持続的に注意が向けられたり取り組んだりする状態のこと
3. 発現した個人的興味/Emerging individual interest
特定の内容に対し、繰り返し取り組みたいと長期的に望む初期の興味
ポジティブ感情、知識の蓄積、価値の認知を伴う
4. 深化した個人的興味/well-developed individual interest
より多くの知識や価値の認知を伴い,特定の内容のに対して,繰り返し取り組みたいとより長期的に望む興味

例えば、この4つの局面に合わせて、人の「やりたいこと」を段階別に分け、各段階で「やりたいこと」を育みやすい環境を考えることができるかもしれません。

そして、僕自身の実体験がベースでもあるのですが、この興味の深まりは、異なるバックグラウンドを持つ個人や異なる組織に所属する個人同士が、対話や実践を行う越境的な環境下で起こりやすいのではないかと考えています。

自分の知らない新しい場に出向くことや経験をすることで、自分の中で「これをやってみたい!」と感じた経験があるのではないでしょうか?

読まなければならない先行研究や理論などは山積みです。
自分の妄想に、少しづつ現実味を持たせることに、悩み、楽しみながら一歩づつ取り組んでいければと思います。

渡辺拓実

2019.04.29

【研究計画】美術大学における産学連携プロジェクトの評価手法の検討


今年度から山内研究室にお世話になっています、M1の増田悠紀子です。
入学から怒涛の4週間で、あっという間にGWに入ってしまいました。初回のブログは、研究計画の紹介ということなので、自分のこれまでの問題意識を含めて書いていこうと思います。

私は都内の美術大学を修了後、別の美術大学のデザイン科に5年間助手として勤務していました。ですので、18歳以降の人生の大半を、ものづくりをしている人たちのなかで過ごしてきました。助手としての業務の傍ら、いくつかの産学連携プロジェクトに携わる機会があり、その活動の実践を非常に面白く感じたことが、研究テーマにつながっています。
ところで、皆さん大学の産学連携というと、理工学系の大学が行なっている開発研究などを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。多くの大学で行われ、年々規模を増している産学連携ですが、さらなるイノベーションの促進のためその評価方法に関しても模索が続けられています。しかし、このような文脈で語られるのは通常理工学系分野での産学連携のみです。一方で、美術大学でも盛んに産学連携活動が行われています。例えば、製品やパッケージのデザイン提案、イベントの企画や運営、サービス提案、最近では地域創生に関する提案など、成果物がモノに限らないことも非常に多いです。こうした多様な取り組みがされている美大の産学ですが、それをとりあげた先行研究は少なく、各大学がホームページ上で行なっている実施報告にとどまっているような現状です。
特許庁の報告によると、美術・デザイン系の大学においては、理工学系分野と比較して高度な機器設備を要する必要がなく、そのため外部資金を獲得するインセンティブや意識が高くないという指摘がされています。このことも、この分野の研究があまり進んでいない要因の可能性があります。さらに、同じ資料の美術・デザイン系の大学への聞き取り調査によれば、産学連携に取り組む大学側の一番の狙いとして「学生への教育」が最も多く挙げられており、大学・学生たちにとっては産学連携が重要な実践的教育機会であることが示されています。理工学系の産学連携は、その評価の指標として特許出願数や経済波及効果を用いていますが、美術大学の産学連携は上記のように性質が大きく異なっており、別の観点からの評価の指標・方法が必要であると言えます。このような美術大学における活動を、PBL(Project Based Learning)の評価手法を参考に、そのあり方を検討したいと考えています。

産学連携は、実情として問題に直面している企業や地域に対して的確な提案を返すことと同時に、美術大学にとっては学生への実践教育活動の意味合いも強いことから、評価を検討する際もこの両方の視点が織り込まれる必要があるでしょう。
プレゼンテーションやプロジェクトの評価方法として、近年ではルーブリックによる評価が注目されています。大学でのフィールドワークの活動にルーブリックを用いた先行研究の例(猪池 2013)もありますが、ルーブリックの利点は、評価項目を自由に設定することができる点にあります。これを産学連携に携わる教員、連携先の企業や地域、学生の三者で一緒に項目を検討作成することにより、達成目標を全員で共有することが可能になるのではないでしょうか。大学でのサービス・ラーニングにおいて評価基準を地元住民と協働で開発した先行研究(杉原 2015)では、その有用性が報告されています。

以上のように、私自身の興味は、各プロジェクトの客観的格付けとしての評価ではなく、プロジェクトに関わるステークホルダーたちが一緒に目標とその段階を見定めることで、それ自体がプロジェクトの質を向上させるようなツールになり得るのではないか、というところにあります。そう行った意味で「評価」という言葉を使うのが妥当なのか、疑問を抱きつつあるのですが、まずは読まなくてはいけない基本的な先行研究の論文が机の上に山積みなので、それをさばくのでGWは終了しそうです。長く険しい研究の道のりの、まだスタート地点に立ったばかりですが、これからその途上で気づいたこと・変わってきたことも含めて、研究の進捗をまたこのブログでご報告できればと思います。

[参考文献]
経済産業省,平成24年度 産業技術調査「産学連携機能の総合的評価に関する調査」報告書 本編
特許庁,平成23年度 デザイン産学連携の多様性を踏まえた契約の在り方に関する研究
上田勇仁,合田美子,根本淳子,鈴木克明(2010)Project Based Learningにおける学習評価手法の動向と特徴,日本教育工学会第27回全国大会,p677-678,
猪池雅憲(2013)評価基準表を用いたフィールドワークの評価方法の改善―観光地域研究を例にして―. 太成学院大学紀要 ,15, 29-35
杉原真晃,橋爪孝夫,時任隼平,小田隆治(2015)サービス・ラーニングにおける現地活動の質の向上 : 地域住民と大学教員による評価基準の協働的開発.日本教育工学会論文誌,38(4), 341-349

【増田悠紀子】

2019.04.25

【研究計画】幼児の創造的音楽学習を支援するデジタルアプリケーションの開発と評価

こんにちは。修士2年の江﨑文武です。

私の研究については3月にこちらでご紹介させて頂いたばかりなのですが、今回は少しだけ具体的なお話しが出来ればと思います。

アブストラクト:
日本の音楽教育は機能和声による音楽の演奏表現を教え込むことに偏してきた。リコーダーや鍵盤ハーモニカ、歌唱による教育がその例である。しかし、幼稚園教育要領の領域「表現」において、「感じたことや考えたことを自分なりに表現することを通して,豊かな感性や表現する力を養い,創造性を豊かにする。」項目が追加されて以降、保育の現場では幼児の主体性・創造性を重視した表現活動が求められている。幼児と音楽をめぐる諸研究においても、領域「表現」の登場以降、楽器や歌唱を軸にした視点ではなく、子どもからの「音を介した」アウトプットを包括的に捉えた研究が登場してきているが、「自分の絵を描いて表現したことがある」ことがある人に対し「自分の音楽をつくって表現したことがある」人が少ないことからも、音楽教育の現場における「表現」を促す活動の展開およびその研究はまだ十分に行われていないと考えられる。

そこで、本研究では、主にヒップホップで用いられる「サンプラー」をベースに、身の回りの音を用いた創造的音楽学習(=既成の音楽を歌ったり演奏したりするのではなく、身の回りすべての音を使って子どもが主体的に音楽をつくる活動)を支援するデジタルアプリケーションを開発・評価する。

詳細:
幼児向けのデジタルアプリケーションを開発している企業プロジェクトに参加する形で研究を進めます。
全体的にはMurry Schafer(1965)の「創造的音楽学習」という概念をベースにしています。この学習では、子どもが多様な音素材を活用して即興的に音を探求しながら、経験創作(作りながら音を出す)によって音を創る学習であり、子どもの主体性や聴く力の育成、多様な音楽形式の追究による音楽観の拡大を促すことを目標にしています。
これまで、サウンドスケープやサウンドエデュケーションといった領域で、創造的音楽学習を支援する様々な教授法が試されてきましたが、音の即時的なデジタル加工編集・保存・共有は近年になって一般的に可能になったことなので、本研究はこれら『デジタルの強み』を積極的に活かす研究にしたいと思っています。支援原理は現在検討中ですが、まずは開発〜実践のサイクルを繰り返す予定です。アプリケーションのプロトタイプ開発は進んでおり、6月に幼稚園でプレテストを行う予定です。

研究の詳細は知財に関わることもあり、まだ詳細にはお話できませんが、音楽教育とICTについてご関心のある方、また、音楽家でこうした教育活動にご関心のある方はぜひご連絡頂ければ幸いです。

【江﨑文武】

2019.04.22

【研究計画】外国語としての英語でのコミュニケーションが促進される学習環境デザイン(M2 井坪葉奈子)

こんにちは!
今回のブログは、M2の井坪が担当します。
谷口さんと同じく、M1で書いた研究計画から少し変わってきたところもあるので、今回は現時点での計画に関して、少しお話しできればと思います。

M1の時点では、実践的な外国語教育が必要となってきている背景を踏まえ、外国語学習者の不安を軽減するCSCL(Computer Supported Collaborative Learning:コンピュータに支援された協調学習)プログラムの開発と評価を計画していました。

現在の計画では、背景から少し見直してあります。

【背景】
海外に出て行く日本人の数や、日本国内でも外国人労働者と呼ばれる人の数が増えていく中で(法務省 2018、厚生労働省 2019)、外国語でのコミュニケーション能力は、一部の職業人間が必要としているだけでなく、生涯にわたり様々な場面で必要となってきました(文部科学省 2017)。
本研究では、外国語の中でも今の日本で一般的になっており、外国語全般への入り口と捉えられる英語に着目します。

【先行研究】
他者とのインタラクションを行うことで外国語の習得が促されるという仮説は1980年代からあったものの(Long 1983, 1996)、学習者の中には、他者との相互交流であるコミュニカティブな活動を避ける傾向がある者もいます(小林 2006)。
そこで本研究では、Willingness to Communicate=「第二言語を用いて、特定の状況で特定の人や人々との会話に参加する意思」(MacIntyre et al. 1998)という概念に着目し、学習環境デザインを通して、その意思を高めることを目指します。

どうやったらWTC(特に、状況に依存するstate WTC)を高めることが出来るのか、そのデザインに関してはまだ検討中ですが、具体的には、留学生との交流において、中高生といった初級レベルの学習者がより活発に会話に参加するには、どのような学習環境が効果的なのかについて、考えたいと思っております。

最後になりますが、上述したような研究にご関心のある方々や、実践にご興味を持っていただける中学校・高校の先生方がいらっしゃいましたら、こちらまでご連絡いただけますと幸いです。

【参考文献】
・厚生労働省.(2019).「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(平成30年10月末現在)」. アクセス日2019年3月27日.
・法務省.(2018).「平成30年版出入国管理」. アクセス日2019年1月16日.
・文部科学省.(2017).「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 外国語活動・外国語編」. アクセス日2019年1月16日.
・Long, G. L., & Winefordner, J. D. (1983). Limit of detection. A closer look at the IUPAC definition. Analytical chemistry, 55(7), 712A-724A.
・Long, Michael. "The role of the linguistic environment in second language acquisition." Handbook of second language acquisition (1996).
・MacIntyre P.D., Dörnyei Z., Clement R., & Noels K.A. (1998). Conceptualizing Willingness to Communicate in a L2: A Situational Model of L2 Confidence and Affiliation. The Modern Language Journal, Vol.88, Issue 4, pp. 545-562.

【井坪葉奈子】

2019.04.05

【研究計画】 中学生のブレンド型学習における指導者の役割に関するデザイン研究(M2 谷口恵子)

こんにちは。4月からM2になりました、社会人学生の谷口恵子です。
昨年7月に書いた研究計画のブログでは、まだ先行研究のレビューを行っている最中で、研究計画はまとまっていませんでしたが、昨年秋ごろから、ゼミで山内先生や他の先生方、先輩方にアドバイスを頂き、少しずつ研究計画らしきものが出来てきました。また、ここ東京大学大学院学際情報学府では、4月初旬に「研究構想発表会」というものがあり、新M2が研究計画を小グループで(主にM1向けに)発表します。こうしたマイルストンがあることで、研究計画をまとめていくことができるのはありがたいことです。

前回のブログとはタイトルがだいぶ変わりましたが、研究したいことの本質は変わっておらず、「ICTを活用した個別学習を進める際の指導者の役割」に注目した研究計画のままです。用語として「ブレンド型学習」(英語ではBlended Learning)という言葉を使っていますが、これは「eラーニングと対面学習の融合」「オンライン学習と伝統的学習の融合」といった狭義の意味で使っております。

その中でも、私は「中学生の英語教育」の中でブレンド型学習を行う場面を想定しています。日本の英語教育は今大きな変革期にあります。2011年度より、小学校において第5・第6学年で年間35単位時間の「外国語活動」が必修化されましたが、教科化されて評価が始まるのは2017年改訂、2020年全面実施の新学習指導要領からです。それに対して、中学校の英語教育では、文法を習い、たくさんの単語を覚えなければならず、定期テストがあって、成績がつけられます。小学生までの楽しかった外国語活動とは異なり、急に英語が「勉強」になってしまいます。中学1年生の始め頃は高かった英語の学習意欲が、1年の終わり頃や2年生になると下がりやすいという調査結果もあります。私は仕事で社会人向けの英語学習コーチをしていますが、実際、英語が苦手になった時期を聞くと、中学校の1〜2年という方がとても多いのです。この、英語が苦手科目になってしまう時期に、なんとかそれを予防したり、苦手意識を克服したり、別の観点から英語への興味をかき立てることはできないか、と思ったのが、このような研究をしたいと思った一つのきっかけでもあります。

ICT活用というと、色々な形があり、文部科学省も「情報通信技術を活用し,その特長を生かすことによって,一斉指導による学び(一斉学習)に加え,子どもたち一人一人の能力や特性に応じた学び(個別学習),子どもたち同士が教え合い学び合う協働的な学び(協働学習)を推進していくことができる」としていますが、私の研究では、加藤幸次先生、水越敏行先生の「教育の個別化、学習の個性化」の考え方を軸にして、個別学習に活用したいと考えています。前回のブログでもPersonalized Learningという用語を使ってご紹介しましたが、自分で学ぶ内容やペースを選べると、学習意欲の向上、学力向上につながりやすいのではないかと考えているからです。また、ICTを使う利点として、教材や使うメニューを幅広く柔軟に選ぶことができたり、インタラクティブな機能を使って紙の教材だけでは実現しにくいことができたりする、ということがあります。そうしたICTの利点を生かしつつ、ICTだけでは実現できないこと(=指導者の役割)を探していきたい、というのが本研究の趣旨です。

ICT活用に関心がある方、英語教育に関心がある方、ぜひ意見交換させていただければありがたいです。直接のご連絡はこちらまでお願いいたします。

【谷口恵子】 

2019.03.30

【山内研院生の過ごし方】Part3 〜池田めぐみさんインタビュー〜

こんにちは!山内研M1の井坪葉奈子です。
シリーズ「山内研の院生の過ごし方」、Part3は博士課程の学生おふたりにお話を伺って参りました!

2人目は博士課程3年に在籍してらっしゃる池田めぐみさんです。
池田さんの詳しい研究内容などに関しては、こちらの記事をご覧ください。

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・1週間の過ごし方を教えてください
杉山くんの回答にもありましたが、「非常勤」や「研究会」などのように修士の頃よりも外に出る機会が増えると思います。あと、修士の時より1週間の過ごし方が多様な気がします。例えば、論文の査読が返ってきた時は、査読の対応に忙殺されるので、主にそれをやる週になったり。調査の時期は調査のためにどこかに滞在したりとかもあります。

・研究を行う中で持つといい時間はありますか?
これは、是非山内先生や助教の方に伺いたいですが..(笑)
今の私が回答するなら、研究の方法のレパートリーを学ぶ時間だと思います。研究方法は料理でいう調理方法の部分にあたります。煮るのか、焼くのか、揚げるのか、食材によって美味しい食べ方が違うように研究でも、この現象をどう分析するのかによって、出てくるアウトプットの旨味が変わる気がします。
なので、自分の分野の先行研究を読み込むだけでなく、意識して様々な研究方法をインプットしていくことは大事なのかなと思います。

・修士と博士の過ごし方の違いはなんですか?
上の回答や、杉山くんの回答と結構かぶっちゃうな..(笑)まだ出てないのを出すと、ペースを自分で作っていかないといけないところだと思います。修士のときは、同期がいて、修士論文提出に向けて同じスケジュールで動きますが、博士進学者はそんなに多くはないので、同期は大抵いません。なので、いかに自分から人を巻き込んだりしながらペースを作っていくことができるかというのが大切になるかと思います。

・その他、博士課程に在籍する中で意識してやっていることはありますか?
研究の型を学ぶということを意識して行っていた気がします。学部の専門が違ったり、自分にとって査読がeasyじゃなかったこともあり、研究とは何か?教育工学の分野にとって価値のある研究とは何か?ということをしっかりと理解するために、学術論文の書き方に関する本をよく読んでいた気がします。

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お話を伺って...
修士と比べると、やはり博士は柔軟性が求められて来るということで、自己管理能力も大切になってくるなと思いました。
研究方法を料理に例えて下さったところが非常にわかりやすく、勉強になりました。
アウトプットの旨味を最大限引き出せるよう、これからも邁進していきます!
池田さん、ありがとうございました!

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