BLOG & NEWS

2017.07.28

[Book Passage That Left an Impression] Nakagami, Japan: Buraku and the Writing of Ethnicity (M2 Lian)

Konnichiwa! This is M2 Lian Castillo, this will be my final blog entry as a master's student for University of Tokyo/Yamauchi Laboratory. Time flies and parting is such sweet sorrow. My book excerpt will be of personal significance, but may also be relatable to people from all walks of life.

Last year on my second semester as M1, I took some number of elective courses to cover for delaying 2 of my major subjects for the succeeding school year. With this, I took on ITASIA125: South and East Asia Compared, wherein we discussed various "caste type" systems within India and Japan. That of which is the Burakumin community- the untouchables, if you will. As such, in a very academic manner, one passage that appropriately describes /left an impression/ to me is the following from which I took a photo of on said date:

[05/21/2016] Time of Reading:

Nakagami would describe how his family spent the money for school supplies "given by the city, or the prefecture, or the country" for their daily needs. He describes being asked at school to draw a picture with a crayon and realizing his mother didn't know that was part of the school curriculum. He raced home to get money to buy crayons, and, when it came up short at the stationary store, the elderly shopkeeper let him have the crayons at a discount. He writes that from that day forward, the "cheap crayon" is the stuff his literature consists of, even to the present day.

Wherein I respectively captioned: Struggle is beautiful.

This passage is an excerpt from one of my assigned readings on Japanese Buraku author, Nakagami Kenji. It is quite a long passage in itself, but I deeply appreciated how a simple narrative could draw together a very vivid account of how we should not play victims to circumstance. Rather, the constant and upward progress towards a better standing is something that is truly even more so, deeply admirable.

I would like to supplement this stance with a famous quote from Pokmon: The First Movie, quoting Mewtwo:

I see now that the circumstances of one's birth are irrelevant. It is what you do with the gift of life that determines who you are.

In the context of the movie, it relates less on a person's socio-economic status, birthright, or any of the seemingly worldly attributes. It was a basic trope on an entire race (Pokmon) versus the humans, who are at their worst are cruel, vicious, and malicious. However, in their humanity and imperfections, they are unpredictable with the other end spectrum: kindness, empathy, and altruism- all complement the darkness that encompass the world.

From the utterly real unfairness of things, the burakumin, down to the representation through anime, my point goes down to embracing the colorfulness of our experiences. There will be ups and there will be downs, but the contrast between the two will makes the ups all the more worthwhile. Being born with privilege might make one not want for much, but throughout my studies coupled with rich life experiences, I find that people who have something to yearn for are at their maximum fulfillment.

Conclusively, dear reader, I leave with the message that whatever your dreams and aspirations may be, keep peace with yourself. Never compare your progress with that of others, and be proud of the little things that you have accomplished- for one day, we will look back and see that they were the big things.

For one last time, signing off
Lian Sabella Castillo

2017.07.23

【印象に残っている本の一節】星の王子さま(M2 林怡廷)

こんにちは。M2の林怡廷です。
暑い日が続いていますね。花火大会の季節が来ましたが、みなさんはどこの花火大会に行きますか?
さて、今回のブログテーマは、【印象に残っている本の一節】になります。

■私が選んだ本と一節

私が選んだのは、1943年4月6日に出版されたフランスの作家・アントワーヌ・サン=テグジュペリの小説「星の王子さま(Le Petit Prince)」です。 言うまでもなく、「星の王子さま」は世界中から愛されている名作で、今までは250以上の言語に訳されてきたそうです。私自身も星の王子さまが大好きで、いろんな言語の星の王子さまの本を集めています。ちなみに現在は台湾華語版、英語版、フランス語版、日本語版を持っています(笑)

この本の中では、心に沁みるの名言がたくさんあります。

「おとなって、はじめはみんな子どもだったのだから。(でもそれを忘れずにいる人は、ほとんどいない。)」

「ものごとはね、心でみなくてはよくみえない。大切なことは、目に見えない。」

印象に残った節がたくさんありましたが、一番胸に響いたのはこの節でした。

「きみはまだ、ぼくにとっては、ほかの十万の男の子となにも変わらない男の子だ。だからぼくは、別にきみがいなくてもいい。きみも、別にぼくがいなくてもいい。きみにとってもぼくは、ほかの十万のキツネとなんの変わりもない。でも、もしきみがぼくをなつかせたら、ぼくらは互いに、なくてはならない存在になる。きみはぼくにとって、世界にひとりだけの人になる。ぼくもきみにとって、世界で一匹だけのキツネになる......」
(サン=テグジュペリ「星の王子さま」新潮文庫 河野万里子訳)

キツネと仲良く遊びたい王子さまに対して、キツネはなついていないからできないと言いました。 なつくってどういうこと?と王子さまは聞きました。 するとキツネが「『絆を結ぶ』ということ」と答えました。なつかせることで、王子さまはキツネにとって特別な男の子になり、キツネも、王子さまにとって唯一のキツネになるのです。

■なぜ印象に残っているのか

この一節が印象に残っているのには、自分自身の経験と強く結びついています。なつかせたりはしないですが、人とのつながりをいつも大切にしています。

人と人のつながりはどういうことでしょうか?人間はいつでも、「意味付け」をしていると思っています。 子どもの頃から、私たちの周りには様々な人間関係が存在しています。それは、人々が互いに意味付けているからです。そうすることで、同級生、知り合い、友達、親友、恋人......もともと関わりのない人は、付き合う中で意味付けをすることで、自分にとって大切な存在になってきます。また自分も、異なる人にとって異なる存在になります。お母さんにとってはただひとりの娘であり、先生にとっては数多くの生徒の中のひとりであり、同期にとっては一緒に戦う仲間であり......。

絆を結ぶ、つまり、意味付けをすることで、人間関係が成り立つのです。そしてその絆は、時の移り変わりと共に変化していきます。強くなったり、弱くなったり、新しくできたり、消えたりします。そのような変化の中で、私たちは成長し、おとなになるだろう。

もちろん、人に対するだけではなく、物に対しても意味付けをします。意味付けをせずにものごとを理解するのは不可能です。そうすることで、自分なりの世界を構成していくのです。ただし、それぞれの環境が異なるから、この世界を違うふうに解釈するだろう。

■まとめ

この本は、何年前かはじめて読みました。今回はブログを書くために読み直しましたが、また目がうるんできてしまいました。

本の中の王様、実業家、点灯人など、様々な職業の人がいるように、みんなにとって人生の意味が違います。時々は、意味を見失ってしまいます。訳者によると、作者の分身だと考えることができるし、パイロットも作者の分身であるはずですから、星の王子さまは、作者と子どもだったころの自分との対話かもしれないです。王子さまが言ったように、人間は特急列車を乗っているのに、なにを探しているかわからないのがとても悲しいことです。そうならないため、時々初心を振り返って自分と対話するのが大事でしょう。

自分は何のために国を離れ、日本に来たのか?何のために大学院に進学したのか?叶えたい夢は何か?ちゃんと自分の目標に向かって努力しているのか?これからも、自分にとって大切な人と大切なことを忘れずに前に進みたいと思います。

今回もご覧頂きありがとうございました。

【M2 林怡廷】

2017.07.12

【印象に残っている本の一節】注文の多い学びの支援(M2 原田 悠我)

皆さん,こんにちは
山内研究室 修士2年の原田です.
いかがお過ごしですか?

 今回から新しいブログのテーマ「印象に残っている本の一節」になります.どうしてその一節を選んだのか,どんな切り口でその理由を語るのか,研究室のメンバーが選ぶ一節から山内研のメンバーの関心や思いを感じて頂けたら幸いです.

■ 私が選んだ一節

 トップバッターの私が選んだのは,宮沢賢治 「注文の多い料理店」のクライマックスで登場する一節です.この短編は猟に出かけ疲れきった2人の若い紳士が,山奥で1件の西洋料理店を見つけるところから始まります.2人の紳士はお腹も空いていたため料理店に入ることにしました.入ると扉には「当軒は注文の多い料理店ですからどうかそこはご承知ください」と書かれていました.2人はこの文章の意図を「きっと流行っているから注文が多くて支度が手間取るのだ」と解釈し次に進みました.すると今度は「お客さまがた、ここで髪をきちんとして、それからはきものの泥を落してください。」と書かれていました.2人はこの文章の意図を今度は「偉い人が来るから作法が厳しいのだと」解釈しました.このように2人は不思議な指示を次々とこなしていきます.

 そして,いよいよ今回の印象に残っている一節です.

だからさ、西洋料理店というのは、ぼくの考えるところでは、西洋料理を、来た人にたべさせるのではなくて、来た人を西洋料理にして、食べてやる家とこういうことなんだ。これは、その、つ、つ、つ、つまり、ぼ、ぼ、ぼくらが......。(宮沢賢治 「注文の多い料理店」 )

 2人は西洋料理店で西洋料理を食べさせてもらえると思っていましたが,実は自分たちが料理にされ食べられる立場だったのです.つまり,これまでの2人が従ってきた指示は,2人が思っていた意図とは文字通り180度違ったものでした.

■ なぜ印象に残っているのか

 この一節が印象に残っているのには,私の「学ぶとき」と「学びを支援するとき」の苦い経験があります.もちろん宮沢賢治が描くような180度違ったものではありません.しかし,ちょっとしたしかし重要な,指示とその意図のすれ違いです.

 私は今までに数多くのアドバイスをもらいながら学んできました.例えば高校時代の現代文の授業では,「原田くん.現代文を読むときはね.接続詞に丸をつけるといいんだよ.」「先に問題文をチェックして本文に入ろう」などです.高校生の私は,丁寧に鉛筆で接続詞に丸をつけ,始まるとすぐに問題文をチェックしました.さすがに回答が不正解の時に時に丸の濃さが足りないからだとは考えませんでしたが,なぜ先生が接続詞に丸をつけるといいと教えてくれたのか,なぜ問題文を先にチェックしなさいと教えてくれたのか,その意図が何となくでも分かってきたのはその何年も後のことでした.高校時代の私は手法を形だけ覚えて,その意図はおそらく聞いてすらいなかったのだと思います.これだけではありません.学校やアルバイトそしてゼミ,そのなかで学んできたことや頂いた助言,私がその意図を本当に理解するのは,多くの場合けっこうそれも多くは大失敗した後になってなのです.

 一方で,教育工学という分野を選んだこともあり,人の学びを支援する方法を考えることも多くなりました.例えばコンピューターを様々な問題を解決するツールとして使えるようになって欲しいと思い,様々なゲームや問題,システムを作り試しています.うまく遊んでくれたな,思ったように使ってくれたなかなと思ってインタビューをすると,「とりあえずやりましたが,なんかよく分かりませんでした」「えっそんなことなんですか」と答えられてしまうことが多々あります.わかりやすく伝わるように細かく小さな目標や支援にしたつもりなのに,まったく伝わらないもしくは意図しない学習目標が伝わっていたのです.

■ まとめ
 注文の多い料理店に出てくる2人は指示を自分なりに解釈し,そして指示に従い行動しました.しかし,実際にはその指示の意図は思っていたものとは異なり,2人は望まない結果に導かれてしまいました.

 では,私が誰かにアドバイスを頂いた時,

 ・私はアドバイスの意図を本当に理解できているだろうか?
 ・自分が解釈したいように曲げて,解釈してはいないだろうか?

 また,私が何かを伝えたいと思い支援を試みた時,

 ・本当に伝えたいことが伝わる支援方法になっているだろうか?
 ・仮に伝えたい内容が学習者に伝わった時,本当に学んで良かったと思ってくれるだろうか?

 何年も前に読んだ注文の多い料理店の一節は,私が学ぶときそして学びの支援を考えるときそんな問いが思い出される,私の印象に残っている一節なのです.

 今回もご覧頂きありがとうございました.

原田 悠我

2017.07.06

【今年度の研究計画】幼児のNarrative Skill習得のための物語行為支援システムに関する研究(D4佐藤朝美)

 たて続けですが、今回のブログ、D4佐藤が担当します。
 早いもので博士課程に再入学し、3年目に突入してしまいましたが、進捗は亀の歩みの如くです。今回のブログテーマ「今年度の研究計画」は、昨年のブログから殆ど進捗が無いことを改めて確認し、愕然としてしまいました・・・

 2016年7月7日【今年度の研究計画】(D3佐藤朝美)

 が、何もしていなかった訳では決してありません!上手く表現できないのですが、博論の骨子となる理論を探す旅を続けてきたという感触です。私の研究はICTを用いて支援を行う開発研究です。この「支援」というキーワードと格闘しながら、ヴィゴツキーの最近接発達領域からブルーナーの足場かけ、学習科学における足場かけのデザインに関わる研究の旅をして参りました。

 効果的な「足場かけ」とは、学習者が自分の力で理解するための助けとなるようなヒントやきっかけを与えることを意味します[1]。

 支援方法のメカニズムを考える時に学習科学の「足場かけをデザインする」という視点は、これまで見えなかった仕組みに気づきをもたらせてくれます。例えば、ブルーナーが示した積み木課題の足場掛けでは、言葉かけから思考を促し、1つ1つの動作を制御しながら支援を行うチューターの役割に着目しています[2]が、学習科学ではブルーナーの理論を拡張し、「いかにして、スキャフォルディングは学習環境に埋め込まれるか?」という視点で、教示だけでなく、活動や人工物・道具にも分散していく手法で検討しています[3]。

 このような学習科学研究における学校教育現場での学習に関する知見は、インフォーマルな場での、教員ではなく親の立場での、子どもの支援にも有効と考えます。

 以下、これまでの変更点を意識しながら研究計画を書いてみようと思います。


【タイトル】
幼児のNarrative Skill習得のための物語行為の足場かけデザインに関する研究

【研究の背景】
 人にとって「物語」を伝える事、読む事、語ることは重要な営みである。発達途上にある幼児にとっての物語行為にも、いくつかの重要な意味がある。発達心理学の領域で着目されているNarrative Skill(話す力)は、言葉をうまく使う力にとどまらず、体験や自分の考えを一連のまとまった物語として他者に伝える力であり、幼児期に著しく発達するという。そして、幼児期の物語る行為は、Narrative Skill(話す力)の習得のための活動として重要な役割を果たしている。いっぽう、これらの習得は、思考の道具、自己の確立、文化への参入方法の理解等の要素があり、支援の意義は大きいものの、語彙習得や文法獲得の支援など従来の支援方法では難しい。さらに、「語り」は社会・文化・歴史的な状況を反映するもので、物語を導く大人の役割が大きく、その関係性を保ちながら支援する道具を検討していく必要がある。「子ども」・「親」・「道具」の3点を踏まえたNarrative Skill(話す力)習得のための物語行為の支援を検討することが求められている。

【目的】
 本研究では、「物語る行為」の発達が著しい段階にある幼児を対象に、Narrative Skill(話す力)習得のための物語行為支援システムを開発する。物語行為を支援するために、足場かけをデザインするという観点で、「言葉(教示)」、「活動」や「道具」などの足場がけを埋め込む方法を検討する。開発した支援システムを評価実践し、検証により得られた知見から、物語行為を通したNarrative Skill習得のための足場かけデザインの原則を導き出すことを目的とする。

【方法】
 「研究の背景」で物語行為の支援要素として導き出した「子ども」・「親」・「道具」の3点に対し、足場がけを埋め込む方法として、ミクロ(即時的な支援)的・マクロ(長期的な支援)的視点で支援方法を検討する。ミクロ的には子どもが直接操作しながら物語産出を促されるよう、物語スキーマや登場人物の目標・感情の足場かけとなる絵情報の要素を埋め込み、デザインを行う。マクロ的には、子どものNarrativeSkillの発達につながるよう長期的な視点で、親の「言葉」による引き出しが向上されるよう足場かけのデザインを行う。以上により、2つの支援形態(開発研究1と2)が導出される。

■開発研究1:
 「幼児の物語行為を支援するソフトウェアの開発」

 http://ci.nii.ac.jp/naid/110006792153/

■開発研究2:
 「幼児のNarrative Skill 習得を促す親の語りの引き出しの向上を支援するシステムの開発.」
 
 http://ci.nii.ac.jp/naid/110007520570/

【進捗状況と予測される結果】
 2つの支援形態である開発研究1・2は、開発・実践・評価が完了しており、効果は検証されている。足場かけがデザインされたシステムを用いた実践により即時的な支援だけでなく、長期的な環境要因である親の支援が可能であることが示唆され、子どもの「Narrative Skill」習得の足場かけのデザインが有効であることが明らかとなった。一方で、定義された目標以外の教育効果やいくつかの課題も残されている。それらも考慮した上で知見をまとめ、幼児のNarrative Skill習得のための物語行為を支援する足場かけの要件を整理し、デザイン原則を導き出す予定である。

【研究の意義】
 幼児期において、社会や文化への参入方法を理解する上で、物語は重要な役割を果たすとともに、物語の産出の過程で大人のやり取りを通じで意味形成を行っていくことも重要な活動である。そのような背景を踏まえ、物語の産出スキルであるNarrative Skillについて、その発達段階やメカニズムの解明を試みる数多くの研究が行われている。いっぽう、言語獲得の支援を超えた学習の支援原理が要求されるNarrative Skill向上の支援に関する先行研究は少ない。
 本研究では、発達段階やメカニズムに関する発達心理学、認知心理学の研究の知見をもとに、教育工学的なアプローチでシステムを開発している。支援方法として、ミクロ(即時的な支援)的・マクロ(長期的な支援)的視点で足場かけのデザインを検討し、新たなテクノロジーを用いてこれまでにない支援方法を実現している点で意義があると考える。

[1] Wood, D., Bruner, J. S., & Ross, G. (1976). The role of tutoring in problem solving. Journal of Child Psychology and Psychiatry, 17, 89-100.
[2] Sawyer Keith (ed)-The Cambridge Handbook of the Learning Sciences-Cambridge University Press (2014)
[3] Guzdial, M. (1994). Software-realized scaffolding to facilitate programming for science learning. Interactive Learning Environments, 4(1), 1-44.

佐藤朝美

2017.07.03

【研究計画】中学生の作文活動を題材とした自己調整学習支援システムの開発(M1 宮川 輝)

はじめまして。山内研M1の宮川です。
この4月に大学院生となってから3ヶ月が経過しました。
ようやくいろいろなことが落ち着き、研究に集中できる状態になりつつあります。

突然ですが、皆さまには「計画性」はありますか?
たとえば試験勉強やレポートなどの課題に対して「ついつい先延ばしをしてしまう」というのは多かれ少なかれ経験のあることだと思います。
そして私自身、人に比べて計画性がないと感じることが多くあります。

計画的に物事をこなせる人とこなせない人の違いは何なのか、そもそもどうして計画的にこなしていくことは困難なのか。
そのような素朴な疑問に対して、教育心理学における「自己調整学習」という分野の研究が対応していると知り、修論のテーマとして取り扱いたいと考えました。

以下が現状の研究計画です。

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テーマ
 中学生の作文活動を題材とした自己調整学習支援システムの開発

社会的背景
 文部科学省による2017年3月の学習指導要領の改訂にあたっては「主体的・対話的で深い学び」という観点が重視されているように、教育における主体的・自律的な学習といった考え方は、今後より広く一般的に認知されていくことが予測される。

先行研究
 学習の主体性に関する理論として、教育心理学における「自己調整学習理論」が挙げられる。その代表的な定義の一つは「学習者が自分の学習の目標を設定し、その目標に役立つように自分の認知、動機付け、行動をモニターし、制御し、コントロールして、個人的な特徴と環境の文脈的な特徴の両者によってガイドされ制約される、能動的で構成的なプロセス」(Pintrich, 2006) というものである。
 自己調整学習を支援するシステム開発の試みはすでに多く行われており、一定の成果を上げている。それらの研究は高校生以上を対象としているものがほとんどであるが、一方でStoeger(2011)は小学生への宿題遂行のトレーニングによる自己調整学習スキルの獲得を報告しており、従来より年齢の低い学習者における主体的な学習スキルの獲得可能性も示唆されている。

研究方法
 中学生を対象として、自己調整学習スキルが求められるような課題を実施する。支援システムを使用する実験群とシステムを使用しない統制群を設け、得点の比較による量的な検討と質問紙への回答による質的な検討の両側面からシステムを評価する。

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自己調整学習における最新の知見に追いつくため、先行研究のレビューを進めている状態です。もしも近い興味をお持ちの方がいればぜひお話をしてみたく思います。
どうぞよろしくお願いします。

【宮川 輝】

2017.07.02

【今年度の研究計画】準正課の集団活動における 制度的な側面とキャリアレジリエンスの関連

みなさんこんにちは。D2の池田です。
暑い日が続き、すっかり夏めいてきましたね。
現在、私は「準正課の集団活動における制度的な側面とキャリアレジリエンスの関連」について研究しようとしており、研究計画のブラッシュアップを行っています。
具体的な研究計画は以下の通りです。
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1.背景と目的
 企業寿命の短縮や, 若者の離転職の可能性の増加とともにキャリアレジリエンスという概念に注目が集まっている. キャリアレジリエンスとは"環境の変化に適応し、ネガティブな仕事状況に対処する個人の能力(Noe et al. 1990)"である. この力は, これから社会に出て行き様々な変化に対応しなくてはならない, また, 進路選択という大きな課題に直面する大学生にとって重要な力であり, その育成が求められている (児美川2013:児玉 2016).
キャリアレジリエンスを育む環境については, 主に社会人を対象に研究が行われている (e.g.London and Mone 1987). 一方, 働く前の段階におけるキャリアレジリエンスの獲得方法に関しては, 研究の不足が課題である (Beltman et al.2011). キャリアレジリエンスがどのように獲得されていくかについては実証されていないが, 過去に同じような状況をどのように乗り越えたかということが, 大人の立ち直りにとって重要だという言及(平野 2016)が示唆的である. 即ち, キャリアレジリエンスの育成には, 環境の変化に適応し, ネガティブな仕事状況に対処するのと似た経験が有効であると言えよう.
 正課外活動に目を向けると, キャリアレジリエンスという単語そのものは登場しないが, 正課外において大学生は, キャリアレジリエンスの構成要素の一部である, 問題解決能力や適応力, チャレンジ精神などを獲得していることが示されている(e.g. 河井 2015).
近年では, 運動活動を通じたレジリエンスの獲得や, サークルや部活動などの活動にどのように参加することがキャリアレジリエンスの獲得実感に影響するのといったことが検討されている(池田ほか 2016).
2.問題と目的
 しかしながら, 先行研究において, 準正課の活動を包括的に扱って, アウトカムとの関連を明らかにした研究はない. また, 準正課の活動における, 教職員が設計可能な面を扱って, キャリアレジリエンスに当たる能力との関係を明らかにした研究は少ない. そこで, 本研究では準正課の集団活動におけるどのような側面が学生のキャリアレジリエンスの獲得実感と関連するのか明らかにすることを目的とした.3.方法
3.1調査の枠組み
 準正課の活動については, まだまだ研究の不足が課題である(河井 2015). そのため, 個別の準正課活動においては, アウトカムにつながるモデルが提唱されているが(e.g. 木村・河井 2012), 広く包括的に準正課の活動を対象に, それらの活動はどのような側面を持っているか, どのような要素があり,何がアウトカムの獲得につながるのか考慮したモデルは提唱されていない.
そこで, 本研究では, 高等教育経験が学生の価値観, パーソナリティに及ぼす影響について検討している, カレッジ・インパクト研究から参考にする枠組みをかりてくることにした. カレッジ・インパクト研究の文脈において, Kuh et al.(2006)は学生の成功(アウトカムの獲得や就職)を促す要因について明らかにする際に, 大学の制度的な側面が学生の成功に影響することを考慮したモデルを提唱している. 具体的には, 学生の成功には, 学生のエンゲージメント(質的, 量的な努力の量)が最も重要だと述べ, それを促す上で, 大学の制度的な側面にも焦点を当てることが重要だとしている. そして, エンゲージメントを促すような具体的な制度的な側面として, ①構造的・組織的な特徴, ②プログラムと実践, ③教授・学習アプローチ, ④学生中心の大学文化の4つを挙げている.
本研究ではこの枠組みにおける大学の制度的な側面を, それぞれの準正課活動における様々な側面として捉え, 準正課の活動に合うように修正を加え, 独立変数として用いる. その上で, 準正課活動における様々な側面と学生のエンゲージメント, キャリアレジリエンスの関連について明らかにしていく.
3.2.仮説
先述のように, 活動の制度的な側面は学生のエンゲージメントを促す. また, 正課外活動へのエンゲージメントはキャリアレジリエンスの全ての構成要素に正の影響を与える(池田 2016). 以上から, 仮説1:正課外活動の組織の状態の4つの要素は学生の正課外活動へのエンゲージメントを促し, 間接的にキャリアレジリエンスに影響する(図1:点線矢印).
②プログラムと実践に含まれるソーシャル・サポートはレジリエンスの規定要因であるとされている(石毛・無藤 2005). また, ③教授・学習アプローチに含まれる学生の自律性の支援などの教授活動は, レジリエンスに影響することが示されている(久保ほか 2015)他, キャリアレジリエンスの構成要素の問題解決能力などは活動の設計(問題解決活動を含むか等)に影響されることが予想される. 以上から, 仮説2:②プログラムと実践, ③教授・学習アプローチは直接的にキャリアレジリエンスに影響する(図1:実線矢印).
スクリーンショット 2017-07-02 15.44.47.png
図1:本研究の仮説
3.3. 本調査
大学1〜4年生を対象に, 15分程度で回答可能な質問紙調査を行う. なお, 質問紙はKuh et al.(2006)の提唱する制度的な側面(①構造的・組織的な特徴, ②プログラムと実践, ③教授・学習アプローチ, ④学生中心の大学文化)の4分類を元に, 先行研究の尺度を用い作成する.
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本調査に向けて、課題もいろいろありますが、頑張らねばねば。
今年度もどうぞ宜しくお願いします。

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