BLOG & NEWS

2007.04.12

【受験生に薦める1冊】「学ぶ意欲の心理学」

『学ぶ意欲の心理学』市川伸一著 PHP新書,2001

動機付けの理論の概要について学ぶには読みやすい本だと思います。全体的に口語調の文章なので,すらすらと自分の経験を振り返りながら読むことができます。
個人的には,日頃過ごしている中で何気なく感じていることを,学術的な観点から見ることの楽しさを教えてくれました。

4章で構成されており,第1章では動機付けの心理学の展望として,基本的な古典研究から,「学習動機の2要因モデル」といった著者の研究まで,具体例を踏まえながら概略を述べていきます。
第2章と第3章では,動機付けの心理学に対して比較的批判的な論を持っている方との対談をそれぞれ行います。それぞれ異なる考えを,現代の教育問題や労働環境などに沿って展開していくことで,動機付けの理論を,教育現場や日頃の生活やる気の出し方やその維持にどのように生かしていくか考えていく第4章へとつながっていきます。

個人的に興味があるのは第3章の討論です。
ここでは,内発的動機付けを重視する傾向が,安易に「こどもはみんな学びたがっている」と一般化されてしまうことについて警鐘を鳴らしています。
俗流化してしまった動機付け理論の観点に立つと,家庭といったような周辺環境から受ける内面的・心理的な影響によって,当然学ぶ姿勢や学力も変化してくるという点を見落としてしまいがちになる,というのがこの章で取り上げている問題点です。
これについて,筆者は俗流の動機付け理論と学術的な動機付け理論を再度整理した上で,学術的な動機付け理論こそ外的な要因を考慮していること,すなわち外発的な状態から内発に移行していく自律性の高め方の重要性について言及し,理論を実践へつなげていく方法について考察していきます。

全体を通して具体的な実践例が多く,最初から最後まで理論と実践の考え方が行き来しています。そのため,決して両者のどちらかが優れているわけではなく,両方のつながりを忘れずに研究していかなければいけないということを改めて気付かせてくれる本だと思います。
[坂本篤郎]

2007.04.06

【お知らせ】受験を希望される方へ

学際情報学府修士課程入試の受験をご希望のみなさま

▼入学試験の概要は、以下のURLからご覧になることができます。
http://www.iii.u-tokyo.ac.jp/admission/masters.html

現在、TOEFLの受験枠が満席になっているため、特別措置を行っております。
詳しくは以下のURLをご覧ください。
http://www.iii.u-tokyo.ac.jp/admission/urgent040507.pdf

▼研究室訪問はお気軽にどうぞ。連絡はこちらまで。

2007.03.29

【Book Review】「三葉虫の謎」

リチャード・フォーティ著 垂水雄二訳(2000=2002)『三葉虫の謎』早川書房

「三葉虫」という生き物をご存知でしょうか? そう、理科の教科書などでおなじみの、殻を持った、平べったい古代の節足動物です。非常にポピュラーな古生物なので、皆さんも写真や映像など、どこかで一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。この本は、三葉虫研究の第一人者であるイギリスのリチャード・フォーティ博士によって書かれました。

研究者が書いた本だから難しいことばかり書かれているかというと、そんなことはありません。トマス・ハーディの小説の一節から始まり、硬い殻、柔らかい脚からその進化のプロセスへと次々に語り継いでいく著者の語り口に、読者は一気に引き込まれてしまいます。その後も、化石発掘の際の苦労と喜び、同僚の科学者との交感、科学者の日常生活など、数多くのエピソードを基に、三葉虫研究の最前線がわかりやすく語られていきます。

この本で、三葉虫研究を通じて著者が語ろうとしていることは、三葉虫という生き物の詳細な生態だけではありません。著者は、科学するということ、あるいは、科学者という生き方について、多くのことを述べています。言ってみれば、三葉虫の“眼の探求”を通じた、科学者の“眼の探求”です。

研究の最前線とは、いつも過去の偉大な業績との戦いであり、その意味で過去は不変ではあり得ず、変わりうるものであるということ。科学とは協調的なプロセスであり、科学者同士が協力し、ときに対立しながら、ともに知を作り上げていかなければならないこと。絶対的な真理など存在せず、科学者たちはその方向へと向かい続けることしかできないこと…。これらは、古生物研究だけに言えることではないと思います。

物言わぬ三葉虫の眼が、私たちに多くのことを語りかけてきます。私たち人類は、三葉虫の生きた時代:2億5000万年のうち、まだ1000分の1も生きていないのです。[平野智紀]

2007.03.23

【Book Review】「イノベーションの達人!」

トム・ケリー&ジョナサン・リットマン 鈴木主税訳(2006)
『イノベーションの達人!発想する会社をつくる10の人材』
早川書房

この本は以前、平野さんのほうで紹介していただいた「発想する会社!」の続編に当たる本です。(前作の詳しい話は、そちらの書評をご覧下さい。)

前作のポイントをヒトコトでいうのならば、IDEOという会社の「イノベーションの方法」について書かれたものでした。クリエイティブな仕事の土台となっている「企業文化」や、「環境」、「技法」について書かれており、そのやり方は非常に大きなインパクトを与えました。

今作で注目しているポイントというのは、ズバリ「人」です。前作で紹介したような企業文化を実現には、なんといっても、それを支える人材が必要です。今作では、そこに必要とされる人材の役割を10のキャラクターで表現し、ホットなチームへ必要な要素について述べています。

10のキャラクターは大きく3つのカテゴリーに分かれています。

・情報収集をするキャラクター
1  人類学者:観察する人
2  実験者:プロトタイプを作成し改善点を見つける人
3  花粉の運び手:異なる分野の要素を導入する人

・土台をつくるキャラクター
4  ハードル選手:障害物を乗り越える人
5  コラボレーター:横断的な解決法を生み出す人
6  監督:人材を集め、調整する人

・イノベーションを実現するキャラクター
7  経験デザイナー:説得力のある顧客体験を提供する人
8  舞台装置家:最高の環境を整える人
9  介護人:理想的なサービスを提供する人
10 語り部:ブランドを培う人

本の中では、それぞれの特徴、役割が細かく書かれています。今作も、前作と同じく、具体例が豊富であり、身近なものを取り上げていることも多いので、気軽に読み進める事ができます。

ポイントとなっているのは、イノベーションについて、ひとりの天才に注目するのではなく、キャラクター同士のチームプレーとして捉えている点です。例えば、ある問題について、人類学者が人々の様子を観察して情報を集め、コラボレーターなどがイノベーションのための土台を作り、語り部が聴衆をあっと言わせる。

こうしたチームを作る事で困難を乗り越えようとしています。

イノベーションを起こす方法については、おそらく様々な本が出ていると思いますが、この本がよいところは、問題を身近に感じられるところかなと思います。それは分かりやすいメタファーを用いてキャラクターの説明しているだけでなく、IDEOという会社で起こっている事を題材としたり、豊富な実例があるからでしょう。

より専門的な本とはまた別に、こうした本を読む事で、大きなイメージをつかんだり、専門書とはまた違ったインスピレーションを得る事ができるのではないかと思います。前作を読んだ方は、ぜひ今作も読んでみたらいかがでしょうか。[舘野泰一]

2007.03.21

【記事掲載】MEET Video Explorerが毎日インタラクティブに掲載

▼MEET Video Explorerが毎日インタラクティブに取り上げられました。

学生の可能性引き出す 東大が次世代“マルチメディアノート”開発

模擬授業でビデオ・エクスプローラーを操作する学生(東大) “マルチメディアノート”で東大生の苦手な部分を克服--。東京大学は日本放送協会(NHK)と共同で、テレビ番組を教育に利用するためのソフトウェア「ビデオ・エクスプローラー(α版)」を開発した。学習内容に合った映像を効率よく視聴し、学生が問題意識を深めたり、自分で調査をするための仮説を導き出すサポートをするソフト。このほど、同大の学生16人が参加した模擬授業で、ソフトを公開した。同大の山内祐平助教授は「学生たちは自分で仮説を立てることに慣れていない」と指摘、次世代の“マルチメディアノート”で「学生の可能性を引き出せる」と話す。【岡礼子】

以降はこちらからどうぞ。

2007.03.13

【公開研究会】BEAT 2006年度研究成果報告会

▼定員に近づいてきました。申し込みはお早めにお願いします。

======================================================================
【ご案内】公開研究会「BEAT 2006年度研究成果報告会」開催について

       ~モバイル・ユビキタス技術と学習環境:
              BEAT3年間の研究を総括する~

            3/24(土)開催!

http://www.beatiii.jp/seminar/

 主催:東京大学情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座 (BEAT)
=======================================================================

 東京大学大学院 情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座(BEAT)では、携帯
電話などのモバイル・ユビキタス技術と学習と結びつけ、新しい利用法を探る
プロジェクト研究を展開してきました。

 このたび、BEATの3年にわたる研究をご理解いただくことを目的として、研究
成果報告会を3月24日(土)に開催いたします。

 特に、2006年度に展開されたプロジェクト「なりきりEnglish!」と「学習ナビ」
については、この成果報告会で初めて研究成果を公開いたします。

 年度末ご多用の折とは存じますが、ぜひご予定に加えていただき、ご参加くだ
さいますよう、よろしくお願いいたします

-----------------------【プログラムのハイライト】-----------------------
●「おやこ de 食育」プロジェクト成果報告●
総務省ユビキタスラーニング推進協議会の実証実験として、イオン北戸田店で実
施された携帯電話を用いた「おやこ de 食育」プロジェクトについて報告します。

●「なりきりEnglish!」プロジェクト成果報告●
社会人が英語を利用する文脈にあわせたモバイル英語学習教材「なりきりEnglish!」
の開発と試行実験について報告します。
(東京大学、ベネッセコーポレーション、スパイスワークスの共同研究)

●「学習ナビ」プロジェクト成果報告●
学習者にとって最も適切な「学習の方法」を提案する高校生向けウェブサービス
「学習ナビ」の開発と試行実験について報告します。
(東京大学とベネッセコーポレーションの共同研究)

―――――――――【2006年度 第9回 公開研究会 概要】――――――――
●主催:
 東京大学大学院 情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座(BEAT)
http://www.beatiii.jp/

●日時:
 2007年3月24日(土) 午後1時より午後5時まで

●場所:
 東京大学 本郷キャンパス 一条ホール(弥生講堂内)
http://beatiii.jp/seminar/seminar-map29.pdf

●定員:
 200名(参加費無料)
 このところBEATセミナーは満員が続いています。
 キャンセル時には、他の方に席をお譲りしますので、
 恐れ入りますが、sato@beatiii.jpまでご連絡ください。
 
■プログラム

1.BEAT3年間の活動
 BEATフェロー/東京大学助教授 山内 祐平

2..「おやこ de 食育」プロジェクト成果報告
 NTTドコモ 川上太一
 BEATコーディネータ/ベネッセコーポレーション 和気 竜也
 BEATコーディネータ/ベネッセコーポレーション 中野 真依

3.「なりきりEnglish」プロジェクト成果報告
 BEATフェロー/東京大学助教授 中原 淳
 BEAT 客員助手 山田 政寛
 国際交流基金 島田 徳子
 BEAT アソシエイツ 北村 智


4.「学習ナビ」プロジェクト成果報告
 BEATフェロー/東京大学助教授 山内 祐平
 BEAT 客員助手 松河 秀哉
 BEAT アソシエイツ 北村 智

5.フロアディスカッション&質疑応答

6.NEXT BEAT-次の3年間に向けて
 BEATフェロー/東京大学助教授 山内 祐平

■参加方法
 参加費は無料です。
 BEAT Webサイト
 http://www.beatiii.jp/seminar/ にて、ご登録をお願いいたします。

※終了後、懇親会を開催します。カジュアルな会で、発表者と参加者が交流
 できるものですので、ぜひご参加ください。

2007.02.22

【Book Review】『コア・コンピタンス経営』

 
G.ハメル&C.K,プラハラド著・一條和生訳『コア・コンピタンス経営』日本経済新聞社,1995。

原著はG. Hamel & C. K, Prahalad.,”Competing For The Future”(1994)です。
著者は両者とも経営学(国際経営・企業戦略)の研究者です。
内容は経営戦略論です。文量は380頁程度。訳は読み易いです。

本書は経営戦略論では、資源論(競争優位の源泉を組織資源により議論する学派)に位置づけることができます。
学術的な有用度は、経営戦略論ならば“重要”、更に資源論が論点ならば“避けては通れない”です。

本書は企業が“持続的に競争優位を獲得する”ための考え方を示しています。
題名にあるコア・コンピタンスとは、“顧客価値を提供する自社の中核能力”のことです。
このコア・コンピタンスを未来市場において増強することが、持続的競争優位につながるということが論点です。

私情では原題の”Competing For The Future”が大変気に入っています。本書の内容はまさにこの原題に尽きるからです。
「コア・コンピタンス経営」というと、さもそういった経営プロセスがあるような誤解を受けます。
しかし本書で示されていることは、未来市場で勝つことを構想し、どのように組織資源を増強するかという考え方です。

目先の(今重要に思える)活動を場当たり的に連鎖させるのではなく、10年後の未来市場を構想し戦略を構築する、という考え方には、
私達が組織運営を考える場合の“判っているようで解っていない”、重要な指摘があると思います。

[M0 山田寛邦]

2007.02.19

【Book Review】「グループウェアのデザイン」

石井裕著(1994)『グループウェアのデザイン』共立出版

 本書はグループウェアとは何かやグループウェアの設計や具体例について書かれています。

 グループウェアとは「共通の仕事や目的を持って働くユーザーグループを支援し、共同作業環境へのインターフェースを提供するコンピュータベースのシステム」です。グループウェアの対象とするグループとは、一般的に全社的な規模のそれではなく、比較的小規模なタスクフォース的なグループをさしています。。
 グループウェアを従来のシステムと区別する重要な要件としてウィノグラードは、人々の協調構造に基づいて設計されたシステムであることをあげています。すなわち、グループウェア実現に用いるコンピュータシステムの構造ではなく、グループワークそのものの構造に設計の焦点があるということです。
 グループウェアは構造的アプローチと非構造アプローチがあります。
 構造アプローチは、ヒューマンコミュニケーション構造のモデル化です。これらは非同期型のグループウェアで有効になるでしょう。しかし、構造アプローチは例外処理に弱いという欠点があります。
つまり、支援システムに構造を持ち込むことはツールをあるタスクに特化することであり、ユーザーにその構造を制約としてかすことなのです。
 非構造アプローチは、構造アプローチの逆となるものです。映像を生かしたマルチメディアグループウェアなどがあげられます。

 私は学部時代、コンピュータサイエンスを専攻していました。その影響で協調システム等を設計しようとした場合、システムの構造をどうするかのみ考えがちになります。この本はそういった人にもどのようにシステムを考えていけばよいか示唆を与えてくれます。

2007.02.08

【Book Review】「発想する会社!」

トム・ケリー&ジョナサン・リットマン 鈴木主税・秀岡尚子訳(2002)
『発想する会社!-世界最高のデザイン・ファーム・IDEOに学ぶイノベーションの技法』
早川書房

だいぶ前にコピーライターで劇作家の知人の方に紹介していただいた本。

「こんな風にものづくりができたら楽しいだろうなあ」という話が、たくさんのカラフルな写真とエピソードとともに描かれており、とても刺激的な本です。

IDEOは、古くはマッキントッシュの初期のマウスをデザインしたほか、歯磨きのチューブ、ラップトップコンピュータ、医療機器、マウンテンバイク用のウォーターボトル、子ども用歯ブラシ、玩具、鉄道車両など、「機能的で遊び心に満ちた」デザインで名をとどろかせている会社です。クライアントも、アップル、パーム、プラダ、ペプシ、ピクサー、P&Gなど。最近では「なぜIDEOではクリエイティブなデザインが生まれるのか」と、この会社そのものが注目を集めるようになっており、今では“働き方そのもの”をコンサルティングするようなことまでやっているそうです。

難しい理屈ではなく、実例が豊富なのがこの本の良いところです。写真も装丁もきれいで、眺めているだけで楽しい。「コミュニティ・オブ・プラクティス」や「企業内人材育成入門」のようなちょっと硬めの本を読む前に、こういう柔らかい本にざっと目を通しておくと、理解がぐっと深まるのではないでしょうか。

IDEOのメンバーはみんなイタズラ好きで、この本に収められたエピソードひとつひとつから、会社の生き生きとした雰囲気が伝わってきます。多くの日本の企業に勤める人にとって、このような働き方は斬新を通り越して、ほとんど革命的なのではないでしょうか。

もちろん「プロダクト・デザイン」という職種だからこそできることもあるのだと思いますが、ここに描かれている、自分が選んだ仕事・プロジェクトとの向き合い方、その構えのようなものは、どんな仕事をしている人にも(もちろん研究者にも)、適用できるものであるはずです。[平野智紀]

2007.02.01

【Book Review】「素人のように考え、玄人として実行する」

金出武雄(2004)『素人のように考え、玄人として実行する』PHP研究所

「なにか困ったときに、ふと手にとってみると、その答えが書いてある」という体験をさせてくれる本はいくつかありますが、今回紹介する本は、そんな本の1つです。

この本はロボット工学の研究者である著者が、「問題解決の方法」について書いたものです。内容は、著者自身の経験から、考え方のコツや、そのときのメンタル的な部分まで幅広く書かれています。

「考え方」について書かれた本というのは、いくつかあると思いますが、この本の主要なメッセージというのは、シンプルでありつつ、強力です。それはタイトルにまさに集約されているのですが、ポイントは、

・発想は、単純、素直、自由、簡単に(素人のように)
・実行は、知識と習熟した技で(玄人として)

ということです。本の中で紹介されている方法や、考え方は、基本的にこのアイデアが元となっています。

例えば、その中の一つに「キス(KISS)アプローチ」というものがあります。KISSとは、"Keep it simple, stupid"の頭文字です。意味は、「こら、簡単にやれ!バカモノ」ということらしいのですが、もっとストレートにいえば、「ごちゃごちゃ言わずにやれ」ということのようです。

これは、なにかをやり遂げる前に「できないこと」をいろいろ想像して前に進まない学生に対して言うそうです。つまり、やる前に思い悩んでいてもなにも進まないが、それをやってみることで「何が難しいか」がわかることもある。つまり、簡単に一歩目を踏み出すことで、困難な点が明らかになってくるということを示しています。

「素人発想、玄人実行が大切だ!」とわざわざ書いていたり、なるほどと思うのは、人は得てして、その反対の「玄人発想、素人実行」になりがちだからだと思います。

自分自身を振り返ってみても、まさにそうなっている部分というのが多々あります。学部3年のときに買ったこの本を、なぜかいまごろ手を伸ばして読み直しているのも、こうした反省からかもしれません。

「素人のように考え、玄人として実行する」

当たり前のようでいて、難しいこの言葉ですが、自分の考え方、問題解決の仕方がうまくいっているのかを振り返るときに、ひとつのよい指標となるのではないでしょうか。みなさんにおすすめというよりも、自分自身にたいしてのメッセージが強い気もしますが、この本は研究活動をしていく上で、基本になる一冊のように思います。

[舘野泰一]

PAGE TOP