2026.07.16
皆さんにとって、人生のテーマは何でしょうか。このブログをご覧くださっている方には共感していただけるかもしれませんが、私にとってのテーマは「学び」です。ただし、ここでいう学びとは、単に知識を身につけるstudyingだけを意味しません。もちろん、知識を得るために勉強することも大切ですが、経験や人との出会いを通して、自分自身の考え方やものの見方を少しずつ変えていくlearningの方を、私は大切にしたいと思っています。私は、年齢や立場を問わず、素晴らしい方々と関わる機会に恵まれているという点で、とても幸運な人生を送っていると思います。そうした方々の言葉や行動から学ぶことは多く、それが私にとって大きな喜びとなっているのです。
2025年度から、専門分野を越えて学び直す機会をいただき、東京大学大学院学際情報学府で学んでいます。自分の知らないことを学ぶのは刺激的で、何より楽しいものです。同時に、これまで当たり前だと思っていた考え方を問い直すことも少なくありません。先生方、とりわけ山内先生が、専門や立場の異なる多様な学生の問いを広く受け止めてくださる姿勢に、懐の深さを感じる日々です。同期の皆さんやクラスメートにも、さまざまな場面で助けてもらっています。さらに、研究を支えてくださるファシリテーター、そして先輩方からも有益な助言をいただきながら、充実した学生生活を送っています。
一方で、ご想像のとおり、体力的にはなかなか大変です。片道数百キロに及ぶ遠距離通学に加え、普段は大学教員として課題を出す立場でありながら、自分自身も締め切りに追われています。課題を提出する側の気持ちを身をもって実感し、最近では、自分が教えている学生たちにも少し優しくなった……ような気もします。体力的な負担には、教員としての仕事との両立も大きく関係しています。使える時間が限られている以上、すべてを完璧にこなすことはできません。最近は、自分にできる範囲で、一つひとつの学びを楽しもうと思えるようになってきました。大学院の修了や、研究課題には、もちろん目標や区切りがあります。しかし、学びそのものには、最終的なゴールはありません。ゴールがないからこそ、これまで知らなかった新しい景色に出会う楽しみは尽きません。
ニュートンは晩年、自分を海辺で遊ぶ少年にたとえ、ときおり滑らかな小石や美しい貝殻を見つけて喜んでいるにすぎず、その前には、まだ発見されていない「真理の大海」が広がっていると語ったと伝えられています(Brewster, 1855/2009, Chapter XXVII)。以前よりも、その言葉の意味を実感できるようになりました。分からないことがあるということは、まだ知らない世界が自分の前に広がっているということでもあります。問いを抱えながら考えたり、学んだこと同士のつながりを探したりすることも、学びの楽しさなのだと思います。経験を重ねた今だからこそ、思いがけないつながりや発見を、じっくりと味わえるようになった気がします。
もう一度学生になることは、社会人としての立場を手放すことではなく、自分を捉え直す機会でもあると思います。私は教員であるため、学生の立場から授業や課題を経験することで、教えることと学ぶことは、互いに行き来しながら深まっていくものだということも改めて実感しています。そして、今回の学び直しを通して改めて感じたのは、学びは一人で完結するものではないということです。先生方や同期、先輩方をはじめ、さまざまな方々との関わりが、自分の考え方を深め、視野を広げてくれています。これからも、そうした方々との関わりを大切にしながら、好奇心を失わず、自分なりの歩幅で学びの旅を続けていきたいと思います。
※ニュートンの言葉は、Brewster(1855/2009, Chapter XXVII)に収録されている記述を、本稿の文脈に合わせて日本語で要約しています。
Brewster, D. (2009, September). Chapter XXVII [Normalized transcription]. The Newton Project. https://www.newtonproject.ox.ac.uk/view/texts/normalized/OTHE00088 (Original work published 1855)