2022.06.03
こんにちは。修士1年の仲沢 実桜です。
私は、自身の仕事でもあるグラフィックレコーディング・グラフィックファシリテーションに対する問題意識から研究テーマを設定していて、対話などの場における、リアルタイムのビジュアライゼーション(可視化)の効果について探究しています。
さて、
今回の「研究に役立つウェブサイトやツール」というテーマと同様のテーマが、じつは本ブログで過去に何度か設定されてきました。よって、菊池さんにならって私も「2022ver」という表現を採用します。
同様のテーマの過去の記事が気になる人は、これらのリンク先から記事を辿って読んでみてください。
▶︎ 2007ver 9月あたりから辿る
▶︎ 2012ver 8月あたりから辿る
ここまでの記事を拝読しての所感としては、テーマの「研究に役立つ」という言葉をどう解釈して書くかという点(「研究にどう役立つのか」)も執筆者それぞれで、どこに目を付けるかも多様であるのがおもしろいと感じました。
私は、
【1】「研究の入り口に立つ時/立ち返るのに役立つ」という観点
【2】「研究の世界に馴染むのに役立つ」という観点
という2つの観点から、役に立つWebサイトを紹介したいと思います。
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【1】「研究の入り口に立つ時/立ち返るのに役立つ」webサイト紹介
:東京大学附属図書館Literacy
その中の特に次のページ
> データベースの活用法
> 文献管理ツール
ひとつ目に紹介する「東京大学附属図書館Literacy」は、「学術情報リテラシー」に関する情報をまとめたサイトで、学習や研究をすすめていくために役立つ情報が入手できるというものです。
「学術情報リテラシー」と言われてもピンと来ない人もぜひ、ページの見出しの言葉を見てみてください。「文献データベースを使う前にキーワードの幅を広げたい!」など、見出しから情報を見つけやすいように工夫されています。扱うテーマも「論文の構造」から「文献管理ツールの比較」「査読について」まで、研究という営み全体について体系的に概説されています。また、東大附属図書室が作成したサイトなだけあって、概説それぞれに関して参考図書が紹介されている点も特徴的です。
私も最近、このLiteracyの文献管理についての説明を参考にして、文献管理ツールを使い始めて、研究を効率化してくれていること実感しています。時間は有限である中で研究を進めるとなると、できるところで効率化を図ることは重要です。このことについては、少し前の加藤さんの記事でも言及されており、「Zotero」というツールが紹介されていましたね。
Literacyのデータベースの活用法というテーマに関連させて参照したいのは、山内先生が2007年7月に自身の領域に関連する「文献検索に役立つもの」を紹介していた こちらのエッセイ記事です。しかしツールを紹介するに終わらず、その続編のエッセイ記事では、ツールを使いこなすための思考の準備段階の観点を提示しています。
山内先生の「データベースがあれば目的の文献が探せるかというと、そう簡単ではない」という指摘はもっともで、ツール単体ではなく使い方まで含めて学ぶ必要があると私も思います。
今回のブログテーマ「役立つwebサイト・ツール」についても、各人がそのツールを「どのように使いこなしているか」を想像しながら読んでみるといいかもしれません。
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【2】「研究の世界に馴染むのに役立つ」webサイト紹介
:研究者のWebサイトや、学会のWebサイト
※検索ツールがあると、より楽しい
続いては、研究者のWebサイトや学会のWebサイトのを見ることの勧めです。
これによって、研究の世界と気軽に親しむことができてよいと感じています。
スマートフォンが身近になった私たちの生活では、私のように、気になることがあるとすぐ「ググる」(webブラウザで検索することの意)習慣がある人も多いのではないでしょうか。ときどきは全世界を対象にするのではなく、学術的世界に寄って情報を探索してみませんか。そうすることで、研究者の考え方や研究室の文化などのメタ的情報に親しむことができると考えています。
例えば、
「創造性」に関するキーワードについて知りたい時は、日本創造学会のwebサイトで「創造性キーワード集」というまとめがあります。そのページの執筆者や出典引用元もきちんと記されているので信頼性が高いですし、なにより研究者が自身の領域のキーワードを端的に説明してくれることがありがたいです。すでに知っているキーワードでも、「このように説明するのか!」という説明の仕方についての気づきが得られることもあります。
他にも、
研究者のwebサイトとして、授業でもお世話になっている藤本徹先生のwebサイト「Ludix Lab @ UTokyo」を紹介します。この山内研究室webサイトと同様に、藤本先生のサイトにもブログがあり、ゼミ活動の報告やゲーム学習に関連する理論の概説などの濃密な情報が発信されています。
このサイトは、サイト内の検索機能があるために探索がやりやすく、例えば、自分が今プレイしているゲームタイトルを入れて検索すれば、そのゲームについてゲーム学習の理論を参照しながら論じられているものが見つかることもあり、楽しいです。(私は、「リング・フィット・アドベンチャー」で検索したことがあります。)
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まとめに代えて
上で紹介した山内先生の過去のエッセイでも述べられていたように、ツールはツール単体では成立せず、そのツールを使う人があって初めて「役に立つ」という現象が起こり得るものです。
今回のブログテーマは、「研究に役立つウェブサイトやツール」ですが、ブログの文章を読むことで学べるのは、リストアップされたツール名のような顕在的情報だけではないはずです。私は、本ブログの記事や、本記事で紹介したようなwebサイトで情報を獲得することで、研究者らしい考え方や文化、姿勢などの潜在的な情報についても学ぶことができると考えます。このような学習の対象になる潜在的な情報のことを、「隠れた情報」とも呼んでみたくなりました。(教育学の用語「隠れたカリキュラム(hidden curriculum)」をオマージュして私が考えた言葉です。)
[仲沢 実桜]
P.S.=====
藤本徹先生、お誕生おめでとうございました!👏🥳