2016.01.24
厳しい寒さが続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
M2の池田めぐみです。
早いもので、2015年度も終わろうとしていますね。本年度最後のblogシリーズは【本年度を振り返って】というタイトルでお送りします。
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私にとって2015年度は、おぼろげなリサーチクエスチョンを整えて行き、調査を行ない、修士論文を書き上げるという、1年でした。
この1年のなかで気づいたことについて記していきたいと思います。
■「批判を糧に」を大切に
本年度を振り返るなかで、1番に感じたことは、「批判的なコメント」をこわいものだと思わないことの大切さに気づいたことだと思います。
1年くらい前自分の研究に対する他者からのコメントが恐怖でしかありませんでした。他人からのコメントが怖いので、人前で自分の研究の方向性や研究計画を話すことは極力さけて一方でいました。
一方で、今年1年を通じて批判的なコメントは、研究に対する怖い否定ではなく、研究をよくしていくためのアドバイスなのだと気づけるようになりました。
自分の頭では考えられることに限界もあるし、論理が破綻していることも多々ある。そういうことに気づかさせてくれる批判やアドバイスには本当に大切ですよね。
今までは、人からのコメントを恐れ、ゼミでもびくびくしていましたが、
最近では、他者のコメントやアドバイスにできるだけ早く出会いたい、それをもとに本当にこれでいいのか、自分で見極めながら研究を進めていきたいと思えるようになりました。
これが1年間で一番変化したことなのではないのかなと思います。
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さて、この1年間とてもたくさんの人にお世話になりました。
修士研究にご協力してくださった、学生の皆様と先生方、
この素晴らしい学習環境を提供してくださった山内先生、ゼミでいつもファシリテーターとして、研究の様々なフェーズにおいてご丁寧な指導をしてくださった伏木田さん、ゼミの時やインフォーマルな場でも様々な面で助けて下さった助教の皆様と、同期、後輩達、本当に本当にありがとうございました。
修士論文を書ききることができたのは、皆様のお陰です。口頭審査もがんばらないとな!
次のblog担当は青木翔子さんです。
【池田めぐみ】
2016.01.07
あけましておめでとうございます!今年もどうぞよろしくお願いいたします。
2016年Ylabの初ブログ、D3の佐藤が担当します。
私の研究テーマは「子どもとデジタルメディア」に関することです。賛否両論ある領域ですが、テクノロジーを付加することで、これまでになかった豊かな体験、子どもや家族の楽しく宝物になる時間を創出する・・・そんな環境を自ら産みだしてみたいという衝動に駆られ、現在も試行錯誤している状況です。
一方で、心惹かれるアナログな活動があります。一見真逆の方向に見えるかもですが、「木育」です。
岐阜に一年赴任している間、ありがたいご縁で、岐阜森林文化アカデミーの松井勅尚先生率いる木育メンバーと交流することができました。松井先生は、時代を遡るのではなく、進化する社会に合わせながらも子どもを真ん中に据えた街づくりに木育を取り込むべく、地域の幼稚園・保育園の先生方とレッジョエミリアを視察されたり、革新的な活動を続けていらっしゃいます。
■岐阜県立森林文化アカデミー
http://www.forest.ac.jp/
「木育」とは、人と、森や木との関わりを主体的に考えられる豊かな心を育てたいという思想から生まれた用語です。これまで当たり前だったことを改めて言及せねばならない状況、その必要性を問う言葉の由来が「食育」と似ていると言われています。
私は、木育の玩具に初めて触れたとき、これまで憧れてやまなかった海外のメソッドやアプローチ、教具も恩物も一瞬吹っ飛びました。その繊細な木目や香り、触り心地から五感に働きかける玩具、自然物であれば1つとして同じものはない、その差を実感していく体験。それらを日本人の職人たちが提供していく仕組みがあるんだ!と目からウロコで、少々大げさかもしれませんが勉強不足を痛感しました。
昨年、おもちゃ美術館赤ちゃん木育ひろばチーフディレクターの石井今日子さんにインタビューをする幸運を得ることができました。子どもが夢中になるだけでなくお母さんが遊び出したり、30mmのスギ材の床にお母さん達がのんびりくつろぐ様子をうかがいながら、子どもを取り巻く一番重要な環境である親の精神状態に、ポジティブに働きかける木育環境のパワーを感じました。
そして、木育を推進する多田千尋館長の存在はとても大きいです。15年近く前、世田谷のご実家に開館されていた頃、息子と遊びに行って以来、個人的にもファンであります。5分で引きこまれてしまう世界観、何度講演を聞いても面白く心に響くお話だけでなく、木育展開への活動の様子をFBで拝見し、ただただ頭の下がる思いです。
■東京おもちゃ美術館
http://goodtoy.org/ttm/
■第3回木育サミット
http://goodtoy.org/ms2015/
■無印良品 木育広場
http://www.muji.net/kids/#mokuiku
何故「木育」に惹かれるのか?について、最近、「文化的道具」に興味があるのだと博論を執筆する中で感じるようになりました。人類が知恵を絞り、願いを込め、未来を担う子どもたちに最高の環境をつくり上げること、同時に、道具のデザインから子どもの育ちや取り巻く環境へ働きかけること、これらを考えることがたまらなく面白いと感じます。
ただ、同じ道具でも、デジタルとアナログではそこに関わる大人たちと、そこで使われる用語があまりに異なることに驚きます。たとえ、「子どもの豊かな体験とより良い育ちを願う」という根本は同じだとしてもです。けれどもその差分が多くの気づきや学びを与えてくれる、だからこそ、どちらも私にとってはかけがえのない関わりなのかな・・・考えるようになりました。
新たな時代、高次な思考活動を支える道具として、子どもたちはますますデジタルに触れる機会が多くなることが想定されます。が、そうなればなるほど、自然との触れ合いで生まれる感覚や五感をどう育んでいくのか?が重要な検討課題になると考えます。
私の20%の過ごし方、これからも広い視点で「文化的道具」を捉え、アンテナを広げていきたいと思います。
【佐藤朝美】