2025.10.26
みなさんこんにちは。M2の松谷春花です。
夏が終わったと思ったら、急に寒くなってきましたね。
体調に気をつけて修論を無事に書き上げることが、個人的には目下の目標です🔥
せっかくなので、修論に取り組む中での出来事や気づきについて今回は書いてみようと思います。
【学びの場にいるとき、私は研究者でいられるのか】
私の研究では、もともと実践者として関わってきた教育プログラムを対象に、その効果や、どのような要素が影響を与えているのかを調査する形で研究を進めています。
この夏は、高校生を対象としたサマープログラムに研究者として関わりながら、同時に運営スタッフとして現場に立っていました。
学部時代からプログラムの設計やメンターとして運営に携わってきたこともあり、研究者として参加者の学びを観察し、データを収集するという立場をどう取るべきかは大きな悩みでした。
一方で、それはこれまでにない新鮮な体験でもありました。
「観察する側」と「関わる側」を同時に行うことの難しさと面白さを、日々実感していました。
【実践者かつ研究者としてどう関わるか?】
研究的な視点を持ちながら実践に関わるとは、どういうことなのでしょうか。
個人的にはその切り分けがとても難しく、今年あらためて考えさせられた大きな問いでした。
研究として参加者の行動や発言を注意深く観察し、記録を取りながら、
「今、目の前にいる生徒にはどのような学びのプロセスが生まれているのか」を捉えようとしました。
ですが、目の前の高校生たちが本気で議論し、迷いながらも自分の考えを形にしていく姿を見ていると、
ただ観察するだけではいられないという思いも次第に強くなっていきました。
私はこれまで、チームに入り議論をサポートしたり、
ファシリテーターとして介入やフィードバックのあり方を探ったりしながら、
「どうすればより良い学びの場をつくれるか」という実践的な問いを中心に活動してきたように思います。
ですので、今回は“入らないようにする”ことを意識しながら、
同時に“入りたい”という気持ちの間で大きく揺れていました。
「最高の学びの体験を届けたい」という思いと、
「研究者として距離を保ちながら現象を理解したい」という思いの間で、
心の中ではずっと綱引きをしていたように思います。
そのジレンマは正直、少し苦しかったです。
でも同時に、その緊張の中にこそ、研究と実践が交わる瞬間があるようにも感じました。
私は、実践現場を研究的なまなざしで見たい、
そして実践だけではなく、そこで何が起きているのかを明らかにしたいという思いから山内研での研究を志しました。
今回の経験を通して、ようやく実感を伴ってその難しさを知るとともに、
M2になってやっとそのスタートラインに立ったのかなという気がしました。
山内研では、教育や学習の現場で実践を行いながら、そのプロセスや効果を研究する方が多く在籍しています。
それぞれが異なるテーマや方法を通じて各々のスタイルで探究しているというのは研究室の特徴である気がします。
私自身も、その一人として実践と研究の両立に挑みながら、自分のスタンスを模索していけたらと思います!
【まとめ】
データを整理していると、あのときの参加者の表情や言葉が何度も思い出されます。
表情の変化や沈黙の時間、そしてチームの中で交わされた何気ないやりとりの一つひとつが、
今になってあらためて「学び」という現象の奥深さを教えてくれているように感じます。
ですが、それと同時に研究としての分析を進めるほどに、
現場で感じた熱量や空気を言葉にすることの難しさにも直面しています。
数値やテキストデータの背後には、
その場でしか生まれなかった関係性や感情の流れがありました。
あの時の生徒が、その瞬間にどんな表情をしていたのか、どんな感情を持っていたのか、
どんな言葉を選んで発言していたのか。
自分の記憶には鮮明に残っているけれど、データとしては残せていないことがたくさんあります。
それをどう扱い、どう伝えていくのか。
この経験を通して、改めて「教育を研究する」ということの責任と奥行きを感じています。
学びの場にいるとき、私は本当に研究という視点を持てているのか。
その問いには、山内研に応募した時から少し解像度は上がりましたが、未だ明確な答えを持てていません。
けれど、その曖昧さや揺らぎを抱えながらも、
研究でしか明らかにできないことや、果たせない社会的な意義もあると思います。
そして、研究と実践が互いに影響し合うことで生まれる相乗効果も、確かにあるのではないかと感じます。
これからも、研究者としてのまなざしと、実践者としての関わりのあいだを往復しながら、
自分なりにどのような関わり方や意義があるのかを考えていけたらと思います。
とりあえずは、修士論文として第一歩を踏み出すことに集中します!
みなさまも体調にお気をつけてこれから来る寒い冬を乗り切りましょう⛄️