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2025.07.04

研究におけるAI利用について(D1 入澤)

こんにちは。D1の入澤です。
修士論文をなんとか無事に書き上げ、博士課程に進学することができました。一つ研究をやり終えたことで、また一歩研究者として成長できたように感じています。より良い研究ができるように、博士課程でも頑張っていきたいと思います。

さて、自分が修士課程に所属している間にもAIがメキメキと進化を遂げ、より一層社会の中に浸透しているのを感じます。少し前になりますが、DeNA会長の南場さんの企業におけるAI活用についての以下の記事がX上などでも頻繁に流れていました。
https://fullswing.dena.com/archives/100153/

研究の世界でもAI利用が当たり前になりつつある
研究の世界でもAI利用が当たり前になりつつあることを感じます。
以下の記事にある通り、OpenAI社はキャンペーンとして北米の大学生へのChat GPTplusの無償提供を行っているようです。
https://newscape-lab.com/news/20250406/
また、GoogleのGeminiも最近大学生向け無料キャンペーンを行っていました。
大学生レベルからAIを使うことがより一層当然になっていく流れは不可逆なものでしょう。

AIを使うことが当然となっていく研究の世界でAIを使わずにいること自体が、自分の生産性を低いままにしてしまうリスクになると最近よく感じます。私自身もAIを活用して論文をより短時間で読めるように工夫しています。以下の記事は参考になります。
https://compass.readable.jp/2024/04/17/post-26/

とはいえ、AIを研究に「どう使うか」については、まだまだ模索が必要だと感じています。便利なのは間違いない。でも、「楽をするため」ではなく、「より深く考えるため」にどう使えるかを考えることが重要なのではないでしょうか。

AIは研究のどこで使えるのか?
まず、研究のプロセスを大まかに分けてみると、以下のようなステップがあります。
・問いを立てる
・先行研究を調べる
・調査設計をする
・データを集める
・分析する
・論文としてまとめる

この中でAIが使える場面を見てみると、意外と多くあります。
・文献調査: ChatGPTやElicitを使って関連文献の概要を把握したり、レビューの構造を整理したりできます。
・分析: RやPythonのコードのサンプルを生成させたり、エラーの原因を見つけたりといった「壁打ち」として非常に有用です。
・文章作成: 英語で論文を書く際には、自然で読みやすい言い回しを提案してくれるAIツールが役立ちます。
また、データ整理や表の作成、パワポ資料のたたき台など、ちょっとした作業の時短にもかなり助けられています。

それでもAIに「全部任せる」のは危ない
一方で、リスクももちろんあります。AIは万能ではありません。
・間違った情報をそれっぽく言う問題(ハルシネーション)
 → あくまで「参考意見」くらいに捉えるのが大事。うのみにしない。
・考えを代行してしまう問題
 → 自分で悩んで考え抜くプロセスを、AIにショートカットさせすぎると、研究者としての「思考の筋肉」が落ちてしまう。
・倫理やオリジナリティの問題
 → AIをどこまで使ったかが不透明になると、論文の独自性や倫理性が問われます。
AIの特性を理解し、その上で我々は活用する必要があります。

AIは「道具」であり、「共創の相手」
個人的には、AIはただのツールというより、アイデアを広げたり反論をくれたりする“壁打ちの相手”のような存在だと感じています。ある意味、共同研究者と対話しているような感覚になることすらあります。もちろん、最終的に責任を持って考え、判断するのは人間。だからこそ、「問いを研ぎ澄ますためにAIを使う」という姿勢が大切なのだと思います。

パラダイムシフトの只中にいる
今、私たちは間違いなく、研究のやり方そのものが変わるパラダイムシフトの真っ只中にいます。タイプライターからワープロになったとき、電卓からExcelになったときと同じように、AIによって研究のリズムや思考のスタイルが変わっていく。
でも、それは「機械に研究を任せる」という話ではありません。むしろ、「人間が人間らしい問いを立て続けるために、AIの力を借りる」──そんな未来の研究スタイルを、今私たちは形づくり始めているのかもしれません。
博士課程という「問いと格闘する時間」の中で、AIとどう付き合っていくか。この問いそのものが、今の自分にとっての重要な研究テーマでもあります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ちなみに、後半はAIに文章の叩き台を作成してもらっているのですが、気づきましたか?

入澤

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