2016.02.21
すっかり花粉の季節になったようで、マスクをした人が増えたように感じる今日この頃です。私自身はまだ花粉症ではないのですが、時間の問題といわれ戦々恐々としている、M2の逆瀬川愛貴子です。
さて、本年度を振り返ってというテーマでお送りしている山内研ブログですが、私は今年で大学院を卒業するということもあり、2年間の修士生活を振り返ってみたいと思います。
このブログを書くにあたって、これまでの研究生活がつまったポートフォリオを見返してみると、お粗末すぎて目を瞑りたくなるレジュメもあり、くすぐったいような気持ちになりました。
私は、リサーチクエスチョンがきちんと決まったのはM2の7月と遅く、それまではあれでもないこれでもないと研究計画をつくっては練り直すことを繰り返していました。
何もすがるものがない状態で自分がこれからすることを自分自身で選択していくことは、私にとってはじめての経験であり、自分の研究に自分で責任を持つということがなかなかできずにいました。
なにが面白い研究なのか、どんなものがいい研究となるのかわからず、自分の選択に自信を持てなかった私は、他の人から批判的な意見を受けるたびに、また別の便利そうなアカデミックワードに飛びつき、研究テーマを二転三転していました。
その期間は、このままリサーチクエスチョンが決まることが永遠にないような気もして、とても苦しいものでした。
でも今こうして自分のポートフォリオを眺めてみると、右に左にと揺れに揺れていたように見える過去の研究テーマたちも、
「多様な生徒が一緒に学ぶ教室空間の課題を乗り越えたい」
という問題関心が根底にはあり続けていたことに気づきました。
興味関心も学力もパーソナリティもバラバラな生徒が存在する学校の教室で、より良く学ぶためにはどうしたらいいのかについて考えてきた2年間だったように思います。
入学して3ヶ月ぐらいで研究向いてないなぁと悟り悲しみに暮れていた私ですが、今手元にある自分の修士論文を見ると、わずかながらも自分の問題関心に一歩近づくことができたように思えて、諦めずに続けて良かったと思うことができます。
リサーチクエスチョンもなかなか決まらず、先行研究の海をふらふらと彷徨い歩いていた私に、いつの日も変わらず、きびしくも温かいコメントをくれた研究室のみなさま、まだ固まりきっていない研究案にも関わらず協力を快く引き受けてくださった先生をはじめとする学校関係者の方々には感謝の気持ちでいっぱいです。
それ以外にも、多くの方がいろんな形で修士生活を支えてくれました。
これから少しでも恩返しができればいいなと思います。
2年間本当にありがとうございました。
そして、これからも細々とよろしくお願いします。
さて、次は松山さんの担当です。
逆瀬川愛貴子
2016.02.07
まだまだ寒い日が続きますね。
M2の青木翔子です。
本年度最後のblogシリーズは【本年度を振り返って】というタイトルでお送りします。
修士1年の頃は、自分自身の研究テーマにあわせて先行研究をレビューすることが主でしたが、
今年度は、エスノグラフィという研究方法の難しさに直面した1年でした。
エスノグラフィとは、フィールドワーク(参与観察)において、その現場で見聞きしたことについての記録をフィールドノーツに書き留め、それをもとに現場の社会や文化を記述した報告書(もしくはその調査方法・プロセス)のことです。
そのエスノグラフィを行なっていく上で直面した困難についてまとめたいと思います。
◼︎現場に入ること
フィールドワークでは、研究者はその現場に関わる程度によって参加のタイプが異なります。現場への関わりは、その現場の人と同じように参加するような完全な参加(インサイダー)から、現場の活動の場面には居合わせるが参加しない傍観者、活動に参加しない(アウトサイダー)というあり方まで多様にあります。
私は多くの場合、「中程度」から「積極的な」参加をしてきました。参与の度合いが大きかったため、観察者としての役割と参与者としての役割の葛藤がありました。
最初は、現場のことがそもそもまだわからないし、どこまで現場に踏み込んで良いのかもわからない、自分自身が現場に与えている影響も考慮しなければならない・・・と考えるべきことで頭がいっぱいになりながら、探り探りで日々を過ごしていました。しばらくすると現場に慣れることはできましたが、今なにが起きていて、次にどうすればよいのか、次に何をみるか等の判断を、現場にいる一瞬一瞬において決めていかなければならないという困難はなくなりません。まだまだ難しさを感じますが、徐々に上達していきたいです。
◼︎データに向き合うこと
フィールドノーツの質を上げることも難しいですが、それを分析し、現場の背景にある文化や現象を解釈していくことも現在の課題の1つです。自分自身のとったフィールドノーツやインタビューのデータに対して、なぜ?これは何と関係している?目的は?どの段階のこと?と問いかけながら、現象を深く理解していかねばなりません。「現場に密着した」コードをつけその背景を探っていくということは、正解があるわけでもなく、その現場にいた私自身で考えていくしかありません。先生 方のアドバイスをいただきながら、そのような分析的な思考方法を模索しました(しています)。
いろいろな本には、分析をする方法が書いてあるかと思います(たとえば、KJ法やエクセルを使う、ペンで書き込む等)。しかし、その方法が自分にあっているとは限りません。自分自身がより分析的に深く思考できる方法をみつけることも大事だと思いました。
◼︎まとめ
エスノグラフィの結果として出される論文や書籍を読んだり、方法論の本を読むととても的確に、そしてわかりやすくまとめてあります。それらを読んでいるとなんとなくわかった気がしてしまいます。しかし、実際にやってみると、本当に雲をつかむような気持ちになりました。
どの方法もそうだと思いますが、エスノグラフィは特に実際にやってみることが学ぶための一番の方法だと思います。まだまだ勉強していかなければなりませんが、あと1年ほど修士論文をかくまでに時間をいただけることになったので、来年はこの一年の模索を通じて得たものを生かして修士研究に邁進したいと思います。
どうぞ宜しくお願いいたします。
【青木翔子】