2006.08.03
工藤和美 (2004) 学校をつくろう!,TOTO出版
この本の著者である工藤和美さんは建築家。
とりわけ、千葉県市立打瀬小学校(日本建築学会賞受賞)、福岡県立博多小学校など、ユニークな学校建築で有名。現在は東洋大学教授。
http://www.coelacanth-kandh.co.jp
この書は、工藤さんが博多小学校をつくった1460日のプロセスをつづったものである。
私と工藤さんとの初対面は7年前。つい最近はラーニングスタイルセッションでお会いした。サバサバ、きさくなところが九州人だなあ、と思う。彼女は、働く女性としての立場や母としての経験などもうまく生かし、学校のデザインを考えている。珍しい建築家さんだと思う。
最近、ゼミでの輪読文献などの影響でオンラインコミュニティのデザインなどについて考える機会が増えた。この本につづられた実際の学校建築が出来上がっていくプロセスには、オンライン学習環境構築を考える上でも参考になる要素があるように思う。
―私はそもそも建築は、完成したときに立ちはだかるものではなく、存在感がスーッと消えて、そこには生まれるさまざまな活動がメインになればよいと考えていた。主役は子どもたちである。―
写真や設計図などビジュアルな資料も豊富。文章も平易。
いろいろな切り口で楽しめる、この夏お勧めのさわやかな一冊である。
(文責 森玲奈)