2022.06.13
D6の平野です。アート鑑賞の方法論である「対話型鑑賞」のファシリテーションについて、博士論文審査の準備をしています。
学際情報学府には社会人大学院生のための長期履修制度があり、従来の年限の2倍まで(修士は4年、博士は6年)学生として在籍することができますが、私もD6になり、いよいよ背水の陣となっております。。
さて、今回のブログテーマは「研究に役立つウェブサイトやツール」ということで、「研究者を知る」をテーマに2つをご紹介したいと思います。
◆researchmap
1つ目はresearchmapです。researchmapは、国立情報学研究所が2009年から提供している研究者総覧データベースです。研究者自身が登録・更新するので、人によって内容に違いはありますが、研究者の論文や研究発表だけでなく、担当した授業や社会貢献活動なども登録されています(いちおう私の本務先は企業内研究所のため、私のresearchmapもあります)。
研究計画を立てるためのレビューを行っているときに陥りがちなこととして、先行研究をキーワードで検索し、バラバラと論文を読んでいくため、研究領域やそれを構成する主要な研究者といった全体像が見えにくいことが挙げられます。そんな中でresearchmapは、まず国内限定ではありますが、「人」という視点から研究領域を俯瞰できるシステムと言えます。
たとえば、昨今のキーワードのひとつとして「ラーニングアナリティクス」があります。ラーニングアナリティクス研究で有名な緒方広明先生のresearchmapを検索すると膨大な業績がありますが、そうした研究にたどり着く前に、モバイルラーニングやユビキタスラーニングの研究を行われてきたことがわかります。
このように、ある論文が検索にヒットしたとして、どんな研究をしてきた研究者がそれを主張しているのかを把握することができるなど、研究者がたどってきた研究履歴をたどることで、研究領域への理解の立体感が増すと言えるでしょう。
◆Twitter
2つ目はTwitterです。ご存知のとおりTwitterは世界有数のSNSですが、研究者の先生が普段どんなことを考えているか、どんな情報をウォッチしているか、知ることができるのはSNSの大きなメリットです。ある種、生きた人間としての研究者に出会うことができる場と言えるかもしれません。(いちおう私のTwitterもあります)
たとえば現・日本教育工学会会長の堀田龍也先生のTwitterには、文部科学省の会議や登壇されるイベントの情報をたびたび流してくださるので、堀田先生をフォローしていれば、初等中等教育において国や自治体レベルでどんなことに取り組まれているのか、動向を把握することができると言っても過言ではありません。また、シェアされる写真では出張先で食べたおいしいものが掲載されることも多く、大変いいなと思っております…!
それ以外にも、Twitterには海外の研究者も登録している場合があり、あの論文で読んだ研究者が、日々のよしなしごとを発信している!みたいなツイートに出会うこともあります。このように「研究者」という視点から研究を眺めることができるようになると、研究コミュニティへの参加に一歩を踏み出した状態と言えるかもしれないなと思います。
[平野智紀]